マイナスイオン
マイナスイオンは、主に空気中の過剰電子によりイオン化した大気分子の陰イオンを表すと思われる[出典 1]和製英語である。負の大気イオン(negative air ions)またはアニオン(anion)を表すとする見解がある一方で、マイナスイオンは未だに物質が特定できる状況にないため、未科学の領域に属する存在と見る研究者もいる。また、国内の日本マイナスイオン応用学会や分子動力学などの分野では、陰イオンなどの意味でマイナスイオンという言葉が、学術用語として用いられている(詳細は後述)。実際には、現在 いつ?主流となっているゲルディエン式コンデンサ形イオン密度測定器 (Gerdien condenser) などを用い、JIS B9929:2006「空気中のイオン密度測定方法」に基づいて空気中の陰イオンを計測した結果をもって、マイナスイオンが発生していると主張する家電メーカーが大半である[出典 2]。
マイナスイオンの健康面の効果については、いわゆる「マイナスイオンブーム」が巻き起こった1990年代の終わりから21世紀の初頭にかけて、十分な裏付けが得られないまま効能を謳うメーカーが数多く現れた結果、「似非科学商法」を糾弾する社会問題に発展した実態がある。ただし、負の大気イオンの生体・生物学的影響に関する研究を行った学術論文や書籍は幾つも存在する(詳細は後述)。また、厚生省の認可を受けた医療機器として、マイナスイオン電子波動投射装置(AWG)が存在する。
「実際には科学で言うところの陰イオンと(マイナスイオンは)無関係である」と主張する研究者も存在する。大阪大学の菊池誠教授は「イオンという科学用語を使用してあたかも科学的に立証されているかのように誤解を故意に与える疑似科学・オカルト・霊感商法として関連物品の販売に使用されているのが実情である」と報告する[出典 3]。
ところが前段の菊池誠教授等の主張が事実と異なる点を疑問視して、いわゆる「マイナスイオン商法」を糾弾し続ける人々の指摘の信憑性をやや疑問視するむきもある。
近年 いつ?では、マイナスイオンの研究をさらに発展させて、クラスターやOHラジカルやアニオンといった物理学の概念を導入することで、技術の向上を目指し、携帯型空気清浄機やヘアドライヤーなどの分野で、より付加価値の高い製品を生み出す動きも見られる。
目次
概要[編集]
「マイナスイオン」という言葉は、20世紀の終わり頃からメディアに頻繁に登場するようになり、1999年から2003年頃が流行のピークであった。日本の流行語となった[出典 4]。この頃のマイナスイオンは、一見「科学用語」のようにみえる便利な「マーケティング用語」として、家電製品や衣類・日用雑貨などのキャッチコピーに頻繁に利用された、いわゆる「バズワード」の典型例の一つとみなされていた。
なお、家電メーカー13社からはマイナスイオンの定義として「空気中の原子や分子が電子を得てマイナスに帯電したもの」というほぼ共通した回答がある。一部に関しては特性に関する自社の研究データがある[出典 5]。
家電製品のイメージは「健康によいもの」であったが、実態は統一的な定義もなく、健康に関して標榜されたさまざまな効果効能の中には科学的に研究されたものもあるが、実証が不十分であるものが多い。「マイナスイオン」は「擬似科学」の代名詞ともいわれるようになり、現在 いつ?では多くのメーカーがあまり大きく宣伝しないようになるか、一定の距離を置くようになっている。また、他の概念を導入して、マイナスイオンとは異なる技術を謳う方向に移行する動きを見せる家電メーカーも存在する。
「マイナスイオン」の起源と流行[編集]
滝の近辺で空気が負に帯電する現象について、20世紀初頭前後にドイツの気象学者フィリップ・レーナルトが、「水滴が微細に分裂して摩擦することによって空気が負に帯電する」というレナード効果で説明した。ドイツを中心にこの現象の生理や病理との関連が研究され、日本でも1920年代から1930年代に同様の研究がおこなわれるようになったとされている[出典 6]。日本で1922年(大正11年)に出版された『内科診療の実際』[出典 1]において空気中の陰イオン(英語で aero-anion、物理学・化学でいうイオンとは無関係である)を指して「空気マイナスイオン」という訳語が使われ、生理学的作用が報告された。1930年頃には病気に対する症例報告が行われるようになった[出典 7]。
その後、戦争によって研究の進展が停止したものの、20世紀後半に入って再び注目を集めるようになった[出典 6]。
マイナスイオンの流行語としてのピークは2002年夏ごろである。当時「マイナスイオン商品」と呼ばれる様々な商品が大量に市場に溢れる現象がおこり社会問題となった[出典 8][出典 9]。それら商品は、マイナスイオンの効果効用を標榜するもののその実証はなく、またマイナスイオンが科学的に何を意味するのか(何の物質や現象を指すか)についての定義も明確ではなかった。それにも拘らず、それら商品の広告や関連の健康本では、「イオン」という科学用語を使った上でのあたかも科学であるかの如く表現されていたため、マイナスイオンは典型的な疑似科学用語であるとされた[出典 10]。このような、あたかも科学的に健康効果があるかのようにみせる表現は、消費者を欺き商品の購買意欲を誘うものとして問題視されている。
マイナスイオン「健康論」の起源[編集]
換気論の分野で、19世紀末から20世紀初頭の欧米で一部の学者(1910~1920年頃のSteffens、Dessaurなど)が負の空気イオン(negative ions、negative air ions)が健康に好影響を与えるとする仮説を主張していた[出典 11]。西川義方[脚注 1]らが医学書[出典 1]に「空気マイナスイオン」と訳語を記載し、生理学的効果を検証報告したことから国内でも知られるようになった。1930年代には、空気イオンによる療法として特に日本やドイツで陰イオンと陽イオンの病気が病気にどのような影響を与えるかという研究論文が医学会誌に掲載された[出典 6]。1940年前後には、北海道帝国大学医学部で空気イオンの医学的研究をしていた木村正一らが欧米の学者の説と自身の研究をまとめて出版した[出典 12][出典 13]。空気イオン説が国内で言われるようになったのは、これらの医学書の記述が発端となっている。
これらの研究による検証は単純な二元論であり、すなわち、負イオンは健康に好影響を与え、正イオンは悪影響を与えるとする臨床的な実証がなされた。ただ、マイナスイオンが体に良く、プラスイオンが体に悪いという白黒二分法的な理論の科学的根拠はない。ニセ科学の一種である。南風が吹くと空気のプラスイオンが増えるため、人の精神に悪影響を与え犯罪発生率が上がると主張され、スイスではプラスイオン量が増大するフェーン現象は犯罪の実刑が軽くなる情状酌量の証拠として認定されている[出典 6]。
日本以外の国では、 健康機器としてion generating device(イオン発生装置)が1950年代頃に一時流行したことがあった。しかし1960年代初頭には、イオン発生装置や副産物のオゾンに対してアメリカ食品医薬品局 (FDA) が警告を出したことにより、イオン発生装置は健康市場から制限を受けることになった[出典 14]。結果として業者らは、空気清浄機として販売しなければならない状況になった[出典 15]。
これらの空気イオン商品は数十年後の1990年代、「マイナスイオン商品」と名称を変えて日本に再登場した。
あるある大事典とマイナスイオンブーム[編集]
1990年代後半から、マイナスイオン商品は散発的に販売されていたが、ブームのきっかけは1999年から2002年にかけて、テレビの情報バラエティ番組「発掘!あるある大事典」[脚注 2]がマイナスイオンの特集番組を放送したことであった[脚注 3]。番組ではマイナスイオンの効能が謳われ[出典 16]、ブームに火がつき、マイナスイオンは2002年の流行語となった[出典 4]。
当時の家電市場は不況[脚注 4]であり、大手家電各社はなりふりかまわず様々なマイナスイオン商品を販売したが、その効果効能の実証をしてはいなかった。2002年の家電販売店の店頭は一時マイナスイオン商品で溢れかえる事態となった。そのため、2002年上半期の日本経済新聞社発表のヒット商品番付では、マイナスイオン家電が小結にランクされた。家電以外でも、繊維製品や雑貨品各社もブームに便乗して、マイナスイオン効果を謳う商品を市場に投入した。これらの商品も臨床実証がされぬまま、情緒的に効果や効能が謳われた。
流行の実態[編集]
「マイナスイオン専門家」[脚注 5]のステレオタイプな説明では、「マイナスイオンは常に好ましいもの」であり、対して「プラスイオンは様々な害悪を発生させる根元」とされる。そして善悪二元論の論理でマイナスイオンを身の回りに満たす方法を提唱した。
マイナスイオンの健康問題を扱う一般書籍[出典 17][出典 18][出典 19]やマイナスイオン商品の広告[出典 20][出典 21][出典 22]の中には、科学としてマイナスイオンによる効能を扱うものが見られる。
マイナスイオン商品の解説や健康本の著述の中には、「マイナスイオンが疲労回復・精神安定を始めとする様々な健康増進効果をもたらす」と主張するものがあるが、これらの効果は客観的に証明されたものではないものが多くある[出典 5]。また、本来のイオンとは関連性のない効果や現象を混合したものもマイナスイオン効果と呼称している場合もある。
雑誌・健康本の世界では、実証されていない様々な効果効能が標榜された。健康増進に寄与することが実証されていなくとも、商品販売とは関係がなければ、書物の記述は医薬品医療機器等法の規制対象外であるためである。これらの言説がマスコミ(特にテレビ)やインターネットで引用され、拡大再生産された(参考:アカデミック・マーケティング)。
流行が過熱した2002年頃には、流行に便乗して様々な「マイナスイオン商品」が発売された。エアコン・冷蔵庫といった大型で高価な家電製品、衣類・タオル・マスクなどの繊維製品、マッサージ器やドライヤーなどの健康機器・美容機器、芳香剤・消臭剤などの日用品、自動車用品[出典 23][出典 24]、パソコン[出典 25]、パソコン関連製品など多岐にわたっている。また、マイナスイオンを発生させるという触れ込みの商品であっても、実際には単なる置物・装飾品・印刷物[出典 26]であるものも存在した。何かが発生しているように見せかけるため、音や光を出す商品や説明文書を添えた商品も存在した[出典 27]。
景表法改正による取締り強化とブーム沈静化[編集]
2003年になると、景品表示法が改正され商品の表示に対しては合理的な根拠が要求されることとなり、マイナスイオンブームの逆風となった。法施行後、大手家電はマイナスイオン家電のパンフレットから効果効能の記述を削除し、そして販売自体が中止されたマイナスイオン家電も多く出た。2003年、国民生活センターは、マイナスイオンを冠した商品すべてに科学的に健康効果が実証されているわけではないと報告している[出典 28]。2003年8月には、マイナスイオンブームの旗手であり、マスコミに頻繁に登場していた堀口昇が経営するメーカーが製造するマイナスイオン器具関係が薬事法(現・医薬品医療機器等法)違反で行政処分を受けた。これ以降、堀口昇がマスコミに取り上げられることは稀となった。2004年になると、マイナスイオン関連製品の月別発表件数は最盛期(2002年8月)の1/10以下となり、マイナスイオンブームは沈静化した[出典 29]。沈静化した後もマイナスイオン製品の効果効能を信じる、あるいは期待する消費者はいるが、効果を実感できなかったという消費者のアンケート結果が公開されたことや、効果の究明が全く不十分と指摘する学識経験者の声が広まり、またメーカーが効果を検証していないことが明らかになるに従い、効果を疑問視する消費者も増えてきた[出典 30]。さらに2006年11月には、東京都は科学的根拠が薄弱なマイナスイオン商品に対して、複数の業者に対し資料提出要求及び景品表示法を守るよう指導を行った(後述)。また2008年2月には、マイナスイオン等による「自動車の燃費向上グッズ」が効果無しとして、業者19社が公正取引委員会によって排除命令を受けた[出典 31]。現在 いつ?ではかつてのマイナスイオンのブームは終結しており、大手家電メーカーがマイナスイオンを機能として表示しているものはドライヤーくらいであるが、これも除電機という昔からある概念で説明ができる。しかし、一部の家電業者は現在 いつ?もエアコン・扇風機・加湿器・除湿機等の商品をマイナスイオン機能付きで販売しており[出典 32]、また地方の観光地などでは、ブームの名残りの商品が販売されていることがある[出典 33]。また、一部の企業は、名称を変えたのみの商品を販売しているところもある(後述)。
青森県の八戸学院大学では、同県に所在する奥入瀬渓流の「マイナスイオン」値を測定し、マップにして配布していたが、一部研究者からの指摘を受け、自主回収することとした。
曖昧な「マイナスイオン」の定義[編集]
様々な定義で用いられている現状[編集]
マイナスイオンは自然科学の用語ではない。マイナスイオンの健康本[出典 34]やマイナスイオン商品[出典 35]などによって、イメージが形作られた造語である。
こうした文脈では、「マイナスイオン」という用語は、科学的な標準定義がなく使用者により異なる意味で用いられている。例えば、「マイナスイオンとは電子e-である」[出典 36]、「原子、分子に電子を付着させた状態がマイナスイオン」[出典 37]など様々な相互に矛盾する記述が散見される。 なお科学分野の事典で唯一「マイナスイオン」の記述が掲載されている『科学大事典第2版』[出典 38]では印象記述にとどまり、マイナスイオンの科学的な標準定義の記述等はない。
製品表示の記述では、マイナスイオンに様々な意味・イメージが付与されているが、一例として2002年に掃除機にマイナスイオンブラシを取り付けた松下電器産業(現 パナソニック)は摩擦帯電の意味で使用した。また、一部の洗剤など液体の表示にも「マイナスイオン」が記述されることがあった[出典 39]。この場合は液中の何らかの成分を指しているはずであり、大気イオン(後述)とは異なる。
このように「マイナスイオン」は、定義が曖昧で意味が統一されていないという側面があるが、一般的には以下に述べるように陰イオンや負イオンを指す。
「大気イオン」と国内の空気イオンの生体に対する研究[編集]
1922年(大正11年)に空気中の過剰電子によりイオン化した分子の陰イオン(英語でアニオン、anion)を指して、生理学的な研究報告の際に訳語として紹介された[出典 1]和製英語[脚注 6]である。これが空気マイナスイオンという和製英語が生まれた起源である。
なお通商産業省の先端技術の紹介文献において、水溶液中のイオンの状態をあらわす用法としても用いられたことがある[出典 40]が、科学技術用語としては「負イオン」が正しい用法である。
『科学大事典 第2版』や山形大学データベースアメニティ研究所の説明[出典 41]では、「マイナスイオン」を負の大気イオンと解釈する記述がある[脚注 7]。
またマイナスイオン業者の「マイナスイオン商品」の説明文[出典 42]において、負の大気イオンのことを「マイナスイオン」と呼ぶ例が見られる。このように「マイナスイオン」と「大気イオン」を混同する事例があるが、本来後者は大気電気学における厳密な学術用語で、20世紀前半にも空気イオンと病気との関連が医学会誌において研究論文が発表されている。国内でマイナスイオン研究の主導的立場にある研究者らや、他の日本人研究者たちは、国内の学会において、負の大気イオンを「マイナスイオン」と呼んで生体・生物学的影響に関する研究発表を行っている(後述)[脚注 8]。
『大気電気学概論』では、両者の混同を避けるために以下のような記述がある[脚注 9]。
日本大気電気学会編 (2003年3月) 日本大気電気学会編 [ 大気電気学概論 ] 初版 コロナ社 2003年3月 144大気電気学では負イオン (negative ion) と呼ぶが、健康問題に関係するときはマイナスイオンと呼んでいるので、以下、この呼び方をする。また、正イオン (positive ion) のことをプラスイオンと呼ぶ。
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家電メーカー13社は「空気中の原子や分子が電子を得てマイナスに帯電したもの」というほぼ共通した定義を回答している[出典 5]。
国内の物理学[編集]
国内の物理学分野では、陰イオンの意味で「マイナスイオン」が使われる例があり、例えば独立行政法人理化学研究所の分子動力学研究において「プラスイオン」、「マイナスイオン」という用語が用いられている[出典 43]ほか、日本学術振興会総合研究連絡会議透明酸化物光・電子材料第166委員会でも結晶中のナノ構造に関連して「マイナスイオン」が用いられている[出典 44]。
物質は何か?[編集]
マイナスイオンは、物質が特定できるような状況にない。
そこで参考までに、負の「大気イオン」と仮定して概略説明する。負の大気イオンの組成は、大気の条件や大気イオンの発生方法により異なる場合があることから、マイナスイオン発生器等で発生させた雰囲気 (atmosphere) 中の「マイナスイオン」を物質として特定するためには、大気イオンの質量分析をその都度行う必要がある。しかし「マイナスイオン」の学術的な研究においては、質量分析は一部[出典 45]を除いて実施されていない。「マイナスイオン商品」の説明においても同様で、この商品が発生させた「マイナスイオン」が実際にどのような物質を指すのかを明示しているものはない。
2006年11月には、イオン発生量の測定方法がJIS規格化された。(後述)
マイナスイオン商品[編集]
マイナスイオン効果および空気中のイオンの効果を標榜している家電企業[編集]
- マイナスイオン商品を販売する家電企業
- コロナ (製品:窓用エアコン) 2010年4月
- 三洋電機 (製品:ドライヤー[出典 46]) 2007年12月現在
- 東芝 (製品:ドライヤー[出典 47]、除湿機[出典 48]) 2007年12月現在
- 日立製作所 (製品:ドライヤー[出典 49]、掃除機[出典 50]、冷蔵庫[出典 51]、インテリアライト[出典 52]) 2007年12月現在
- テスコム (製品:ドライヤー[出典 53]) 2007年12月現在
- 参考:空気中にイオンを産生する家電を販売する企業
- パナソニック 「ナノイー(OHラジカル)」(製品:ナノイー発生機、空気清浄機、エアコン、加湿器、洗濯機、ドライヤー、冷蔵庫等) 2009年9月[出典 54]
- シャープ 「プラズマクラスター(プラスのイオンとマイナスのイオン)」(製品:エアコン等) 2010年4月
- 東芝 「ピコイオン」
- 東芝キヤリア 「スゴイオン(マイナスのイオン)」(製品:エアコン) 2010年3月
- 日立アプライアンス 「イオンミスト」(製品:エアコン) 2010年4月
- 富士通ゼネラル 「プラズマイオン」(製品:エアコン) 2010年5月
- 三菱電機 「ピュアミスト」(製品:エアコン) 2010年4月
- 三菱重工業 「プラズマ4Dイオン(マイナスのイオン)」密閉容器内のウイルスの抑制(製品:エアコン) 2010年12月
このようにマイナスイオンという言葉を宣伝に用いる企業もあれば、独自の名称を用いる企業もある[脚注 10]。
2010年春モデルのエアコンでは、コロナがマイナスイオンを採用しているが、独自の名称のイオンの発生機を搭載しているメーカーが多く、プラスかマイナスかすらカタログに記載していないメーカーもある。
業者が主張するマイナスイオンの効能[編集]
業者の主張[編集]
既出のように、大気中には大気イオンが微量であるが存在している。大気汚染がある場合や、人工空間等では、大気中の帯電粉塵により中和され、大気イオン濃度は小さくなる。これは科学的な記述である。
しかし、マイナスイオン商品を販売する業者は論理を飛躍させて、実証されていない健康効果や検証されていない効果を述べる(例:「滝の側で高イオン値が観測されるとして、滝の側の爽快感はマイナスイオンが豊富だからだ」などと主張する)。確かに滝の側で爽快感を得ることはあるが、これは飛び散った細かな水滴が気化する時の気化熱による空気の冷却[脚注 11]による涼しさ、都会の喧騒から離れたことによる静けさ(滝の音のみ聞こえる)や空気の清浄さ(車の排ガスなどのない)、また木々の緑が目に及ぼす優しさ等、普通に想定される快適要因による説明で十分であり、あえて科学的に実証されていない「マイナスイオン」を原因として持ち出す必要はない[脚注 12]。
人工空間のような非自然的環境では「プラスイオン」が多く存在しており、これらが様々な疾患の原因であるとの主張もある。中にはプラスイオンが精神の混乱や荒廃を促し、犯罪を引き起こす原因であると主張するものもある[出典 55]。
マイナスイオン同様、「プラスイオン」も科学的に定義されていない。このプラスイオンと疾患の因果関係は、科学的・医学的に実証されたものではない。
マイナスイオン商品が標榜する効能[編集]
マイナスイオン商品が標榜する効能としては、精神安定・不眠の改善、アレルギーの抑制・血液浄化といった人体に直接作用するものから、空気浄化、脱臭、除菌といった環境に作用するものなどがある。
様々な商品が様々な効能があることを直接・間接に示唆しつつ販売された。
これらの効能は実証されていないものが多いため[脚注 13](後述)、2003年の景品表示法の改正以降、研究データを持っていない大手メーカーは「マイナスイオン」を宣伝文句としては避けざるをえない。
マイナスイオンの疑似科学性を批判してきた統計物理学者の菊池誠は、2005年には「帯電した細かな水滴は加湿効果くらいはあるだろうが、科学的に効果が明らかになっていない商品はニセ科学である」と述べている[出典 56][出典 57]。
行政は不実証の効果効能標榜に対し規制取締りを行っている。特に人体への作用と標榜するものに対しては医薬品医療機器等法違反となる。例えば、2007年に東京都はマイナスイオン関連商品に対して「病気の治療を目的として使用することを標ぼうする場合は医療機器に該当」するとし、薬事法(現・医薬品医療機器等法)違反を警告している。またここでいう「問題となる標ぼう」について、「血液をサラサラ」、「心臓病の予防精神安定」、「不眠症の解消」、「体細胞の活性化」等の具体的事例を挙げて説明している[出典 58]。
家電メーカーの研究データ[編集]
2003年に、家電メーカー13社から回答を得たところ、「脱臭」「保湿」「静電気の抑制」「集塵」といった費用・技術的に実証しやすいものは各社実験で確認済みであったり、ドライヤーに関しては松下(現パナソニック)が毛髪水分量や髪をしっとり・サラサラにさせるというデータを、日立製作所が髪の水分保持に関するデータを持っていた[出典 5]。
シャープによる除菌効果の検証[編集]
大手家電メーカーのシャープは除菌効果があるとするイオンを放電する装置を販売している。シャープは、放電により生成した大気イオンに除菌効果があるとし、これを「プラズマクラスター」と名付けてエアコンや冷蔵庫を販売している。開発者による技報[出典 45]によると、除菌効果は放電で同時に発生したオゾンによるものではなく、マイナスイオンとプラスイオンの反応により生成した活性酸素(OHラジカルなど)のタンパク質変性作用がウイルスを不活性するとしている。シャープはマイナスイオンとプラスイオンを放電するプラズマクラスターイオン技術[出典 59]に対して、同社の特許技術[脚注 14]である「プラズマクラスター」という登録商標を使用している。
「除菌効果の実空間での実証」が開発者以外の第三者によってなされた科学論文は2007年現在のところ存在しない。同社は、広島大学、大阪市立大学、ハーバード大学、ソウル大学など国内外の複数機関で研究を行い効果を実証しているとしている[出典 60][出典 61]。なお、有効な特許について「特許発明の技術的範囲」に則った説明が景品表示法違反になった例は、未だに存在しない[脚注 15]。
シャープは製造した「プラズマクラスター」を組み込んだ掃除機に関して、空気中に浮遊しているダニの糞や死骸等のアレルギーの原因となる物質を分解、除去すると広告で表示していたが、2012年11月28日、消費者庁が外部の研究機関に依頼して調べた結果、表示された通りの性能が出なかったため、同社に対し不当景品類及び不当表示防止法違反(優良誤認)で再発防止を求める措置命令を出した。
マイナスイオン発生器[編集]
市販されている発生器の種類[編集]
市場では、マイナスイオンを発生すると称する様々な商品が販売されている。
代表的なものは以下のとおり。
- コロナ放電方式発生装置
- 電子放射方式発生装置
- プラズマを利用した発生装置
- レナード方式発生装置
- 天然鉱石を用いるもの ― トルマリン鉱石等
- 植物の加工品 ― 木炭、竹炭
- その他 ― 観葉植物(サンセベリア)等
1 - 3はいずれも放電により大気を電離させる。コロナ放電のような無声放電では、人体に有害なオゾンが発生する。
4はレナード効果(水滴分裂による帯電)によるものである。この場合、負イオン濃度だけでなく、湿度も増加させる。
5のトルマリンの結晶は、その圧電効果や焦電効果により、衝撃や熱が加えられると大気を電離させて負イオンを発生させる可能性がある。しかし、常時、歪みや熱が加えられなければこの状態は続かず、静止状態では負イオンは発生しない。また粉末状のトルマリンでは電離に必要な電圧が出るとは考えられない[出典 62]。そのため、原料のトルマリン粉に放射性同位元素を混入した商品が存在する。この場合は放射性同位元素から放出される電離放射線により大気を電離させて負イオンを発生させる可能性があるが、同時に低線量放射線の健康影響(被曝)が心配される[脚注 16]。
7:愛媛大学農学部の仁科弘重教授は、観葉植物とマイナスイオンの濃度の関係について実験を行い、観葉植物の有無、配置によって濃度が変化することを示している[出典 63]。(しかし日本機能性イオン協会は「植物の放出エネルギーによるイオンの生成は考えられない」[出典 64]としている)
イオンブロアーという静電気の発生を制御する装置がある。ドライヤーや洗濯機などは乾燥による静電気の発生を抑制する目的としては理にかなっている。
マイナスイオン密度の測定[編集]
発生器の性能を示す指標として、マイナスイオン密度(あるいは濃度)が用いられる。これは「マイナスイオン密度測定器」で測定される値であるが、この装置の多くは、大気イオンの濃度測定法を利用している。しかし、この測定器は原理的にさまざまな環境因子(温度・湿度・エアロゾル濃度)の影響を受けるため、信頼できるデータを得るためには、科学的な測定技術と知識が必要である。 例えば測定時には湿度が敏感に影響するはずだが湿度の影響をどう取り除いたのかの説明が無いとの意見がある[出典 65]。
すなわち(高湿度である)滝の側や湿気の高い森林の中などでの測定は、測定に影響を及ぼす環境因子をきちんとコントロールしなければ科学的に信頼性のあるデータは得られない。
一部のメーカーは、バークレー大学の作った国際規格である、発生口から1メートル離れた場所で1立方センチあたり10万個以上のマイナスイオンが発生すればイオン発生器という名称が使えるというアメリカでの基準を自主的に採用していた[出典 66]。
このように信頼性に疑問があるイオン測定データが増え続ける可能性が懸念される状況の中、マイナスイオンブームの最中の2002年にマイナスイオン業界の支持の元で設立された特定非営利活動法人日本機能性イオン協会(会長 中江茂 東京理科大名誉教授)[脚注 17]が利害関係人として、みずから作成した「空気中のイオン密度測定方法」の原案を提出してJIS制定を申し出た。日本工業標準調査会は提出原案の審議の後、空気中におけるイオン密度の測定方法及びイオン発生器によって生成されるイオン発生量の測定方法として、2006年11月にJIS B9929:2006「空気中のイオン密度測定方法」[脚注 18]を制定した。なお、これは測定方法に関する規格なので、「イオン化学種は何か」「イオンが健康に良いかどうか」に関する説明は一切含まれていないことに注意しなければならない[脚注 19]。
特許庁等の対応[編集]
特許庁は、平成17年度特許出願技術動向調査報告書「多機能空気調和機」[出典 67]において、空気調和機の4つの基盤技術の一つに「オゾンやイオン発生などの電気技術」を挙げ、物質富化機能としてマイナスイオンに関する特許が多いことを指摘している。また、工業所有権情報・研修館は、2004年3月にマイナスイオン発生器の技術動向等を解説した特許流通支援チャート「マイナスイオン発生機」[出典 68]を作成し、マイナスイオン技術の概要、企業等の特許情報等を公開している。この中で、市場への商品投入後に学術研究が追いかけているのが現状であり、「マイナスイオン発生器の効果については、科学的に完全に解明されていない状況の下で社会的に注目されてきたことにも留意する必要がある」ことを指摘している。
東京都生活文化局の対応[編集]
東京都生活文化局は、2006年11月、「マイナスイオン商品」に対する注意を喚起し[出典 8]、「マイナスイオンの効果を謳う商品の表示」に関する科学的検証結果を公表した[出典 9]。これによると、景品表示法の観点から、マイナスイオン商品のインターネット表示8件を科学的に検証した結果、マイナスイオン発生量に関する表示には客観的実証が認められず、情報・根拠の表示も不十分であると指摘した。さらに、マイナスイオンの存在自体を否定したり、すべてのマイナスイオン商品の効果・性能を否定するものではないと断った上で、調査対象の8件の商品について、マイナスイオンの効果や性能に関する表示に客観的実証が認められない点を指摘した。対象となった事業者に対して景品表示法の遵守を指導すると共に、通信販売・訪問販売の関係業界に対して客観的事実と根拠に基づく表示の適正化等を要請した。
「マイナスイオン」研究の実態[編集]
日本国内のマイナスイオン研究の実情[編集]
空気イオンの生理学的研究には、1922年に出版された『内科診療の実際』[出典 1]において、空気マイナスイオンには鎮静作用が、空気プラスイオンには興奮作用があり、血圧、脈拍、呼吸、血糖値、白血球など多くの生理学作用の増減報告がなされている。1930年代にもいくつかの例を示せば、血液酵素アミラーゼが陰イオンにより増強され陽イオンは阻害する[出典 69]、マイナスイオン療法は活性酵素を抑制しモルヒネ受容体と結合するため関節炎・打撲・骨折などの炎症を緩和し機能回復を促進する[出典 70]、陰イオンは特に糖尿病患者の血糖値を抑制する[出典 71]といった1930年代(昭和5年ごろ)の研究論文がある[出典 6]。
ブームの最中の2002年を中心に、多くの日本人研究者が「マイナスイオン」という用語を用いて、生体・生物学的影響に関する研究発表を国内の学会で発表した。論文検索[脚注 20]を用いて、題名に『マイナスイオン』を含み、かつ、生体・生物学的影響に関する国内学会発表を検索すると、少なくとも29学会[脚注 21]で計56件の発表を確認できる。筆頭発表者の所属を見ると、大学が37件[脚注 22]、その他が19件[脚注 23]であった。産学共同の状況では56件中14件が大学と企業との共同研究であった。
発表年別集計では、1994年が1件、1995-1999年が8件、2000-2004年に46件と大きく増加したが、2005年以降が1件と激減している。このように「マイナスイオン研究ブーム」は現在 いつ?では収束している。なお2003年11月には、不当景品類及び不当表示防止法(景品表示法)の改正が行われ、効果・効能表示の合理的な根拠を立証する責任が事業者に課されるようになっている。
これらの学会発表は第三者による審査(科学的検証)がない。発表の一例としては、マイナスイオン環境をイオン濃度のみで分類し、人間への感性的作用に関する発表では、被験者の自覚症状や自律神経活動に対する影響をt検定や分散分析により検定・評価しているが、質量分析によるイオン化学種の同定がされているものはほとんどみられない。また、被二重盲検法を導入した研究はほとんど見られない。
査読付き原著論文(国内誌)は、過去2件ある。共に、渡部一郎北大助教授(当時)によるものである[出典 72][出典 73]。これらの論文について第三者による追証は現時点でない。
以上のように、日本人研究者らによって「マイナスイオン」という用語が用いられた研究発表が2002年前後に多数なされた。しかし負の大気イオンの替わりにこの用語を用いることは、国内の学界において広く認知されてはいない[脚注 24]。「マイナスイオン」は本記事の冒頭で述べたように定義が定まっていない用語である。なお、医療書でも論文でもなく単に事典であるが前述の『科学大事典第2版』[出典 38]の「マイナスイオン」の解説では、「人体への好影響が言われているが詳細は不明である」との記述がある。
国外論文誌におけるnegative air ions研究[編集]
1930年代にはいくつか例をあげれば、軽症の動脈硬化症に対し発作が減り血圧と脈拍が降下する[出典 74]、特に肺結核に対する諸疾患に対して陰イオンが病気に対する抵抗を高める[出典 75][出典 76]、陰イオンは喘息患者79例中32例が快癒13例が軽癒19例はやや軽快13例は変化なしで陽イオンは疲労感を訴えさせた[出典 77]といった研究論文がある[出典 6]。
負の大気イオン(negative air ions)の生体・生物学的影響に関する論文(主に国外論文誌に掲載)を、生命科学系文献データベースPubMed(MEDLINE)にてキーワードを"negative air ion(s)" OR "negative ion(s)"で検索し、生体・生物学的影響に関する論文のみ抽出すると、1959年から2007年までの48年間で63件(平均1.3件/年)確認できた[脚注 25]。論文誌別にみると、International Journal of Biometeorologyが8件[出典 78]、Biofizikaが4件、Natureが3件[出典 79][出典 80][出典 81](活性酸素による殺菌の研究)、その他(Scienceに1件[出典 82]を含む40誌)に掲載されている。著者の国別を見ると、USAが12件、Russiaが9件、Japanが8件、UKとGermanyが各4件、その他[脚注 26]であった。これらの論文のうち、効果に否定的な結論を示す論文は63件中4件ある[出典 83][出典 84][出典 85][出典 86]。
負の大気イオンの論文は、このように長期間に渡りある程度の量が発表されてはいる。
しかし大気イオンの効果には未解明(再現性の問題、試験方法や評価手法の妥当性の問題、第三者の追試の有無の問題、合理的な説明の問題等・・)の部分が多く、健康作用については疑問視する研究者もおり、大気イオンの効果が医学的に認められているわけではない。仮説の実証には今後の更なる検討が必要である[出典 87]。また効果の機序を合理的に説明している論文も存在しない。
なお、疑似科学の批判者として知られるテレンス・ハインズは1988年発行の自著[出典 88][出典 89]の中で以下のようにコメントしている。「(要約)空気イオン (air ions) の人間行動への影響を示す研究がいくつかあるが示された効果は小さく、また被験者により正反対の効果をも示す別の研究結果もあり、さらに全く効果が見られないとする別の研究結果もある。よって実商品の応用に使うには無理だ。つまりこの「効果」を「マイナスイオン生成機」の購入正当化の理由にはできない。」
医学的実証[編集]
「代替医療」の事例[編集]
代替医療として臨床現場で使用が試みられている例も存在する。(なお以下の「療法」は医療機関が自主判断で行っているものは、厚生労働省が関知する医療行為ではない)
東京女子医科大学[脚注 27]付属青山自然医療研究所クリニックはホメオパシーなどとともに「マイナスイオン療法」を行っている[出典 90]。統合医療を実践する上での問題点や本クリニックの実践内容については、日本補完代替医療学会誌に掲載された論文[出典 91]に詳しく書かれている。なお、「マイナスイオン療法」は他の代替医療と同様、健康保険は利用できない。
元高等学校教諭で職業として研究をした経歴のない青木文昭は著書にて、マイナスイオンを増加させることによって数十例の難病が全体あるいは部分的に快復したと書いている[出典 92][出典 93]。
ニューウェイズの宣伝本を書いたピート・ビラックは自身の別の著書で、「アメリカのフィラデルフィアのイーストウエスト病院において、マイナスイオン療法により花粉症やぜんそくの63%が全快または部分的な改善を示し、火傷患者の85%に鎮痛剤としてのモルヒネが必要なくなり、138人の外科手術者に対しては57%が痛みをまったく感じないか大幅に減じられた」と主張している[出典 94]。
ニセ科学か未科学か[編集]
2003年に国民生活センターが実施したアンケートに対して、マイナスイオン推進側の中江茂は「人体への効果との因果関係については、1970年以降400編近い論文が発表されている。ただ、分子レベルのメカニズムが解明されていないが、その大部分は効果ありとする論文であり、客観的には有益であると考える」と述べた。一方、懐疑側の安井至は「無効とする論文も多く、マイナスイオンと人体への効果との因果関係は十分に究明されていない。オゾンや湿度などの効果ではないという検証も不足している上に絶対量があまりにも少ない」と主張している[出典 28]。
マイナスイオンを批判している工学者の安井至は、実証されていないマイナスイオンの効果効能をあたかも実証されたもののように言説したり宣伝したりすることは非科学であり、「科学的迷信」として糾弾している。ただ「純粋に物質の追究を行なう試み」に対しては未科学と表現している[出典 95][出典 62]。ただし、安井至はまともに実験値が出ていると思えるものにシャープのプラズマクラスターイオンの除菌作用があり、それ以外にも脱臭、掃除機、空気清浄機、ドライヤー、エアコンなどの効果がマイナスイオン以外の原理で説明がつくだろうという検証されていない仮説を述べている[出典 96]。
同じくマイナスイオン批判をしている統計物理学者の菊池誠は、マイナスイオンを「ニセ科学」としている[出典 97]。菊池は、『大気電気学概論』に記載された大気イオン(大気電気学)専門家の論文(?)に対しては「未科学」としている[出典 98]。
化学者の小波秀雄も、マイナスイオンを「ニセ科学」と表現している。小波は「ニセ科学」が流行してしまった理由のひとつとして、「専門家の言語表現と一般の日常用語の感覚にあるズレ」について言及している。すなわち、専門家は「-は絶対にありえない」という表現は使えないため、「確率的にはきわめて低い」などと表現するが、これを一般の人の受け止め方では「実際に起きるかもしれない」となってしまうという[出典 99]。
文献[編集]
研究論文集[編集]
- 琉子友男、佐々木久夫『空気マイナスイオン応用事典』人間と歴史社、2002年、ISBN 978-4890071272。書籍情報
- 『ラジカル反応・活性種・プラズマによる脱臭・空気清浄技術とマイナス空気イオンの生体への影響と応用』エヌ・ティー・エス、2002年、ISBN 978-4860430085。書籍情報
- イオン情報センター編集『空気マイナスイオンの科学と応用』イオン情報センター、2004年、ISBN 978-4990181901。書籍情報
マイナスイオン推進者による総説等[編集]
- 渡部一郎「空気中マイナスイオンがヒトへ与える影響の研究の取り組み」『臨床環境医学』11巻2号、63-71頁、2002年。
- - 他のマイナスイオン(negative air ion)研究者の研究のまとめであり、研究成果の妥当性についての考察を目的としたものではない。
- 西岡将輝「マイナスイオンの測定技術と最近の研究動向」『におい・かおり環境学会誌』34巻6号、241-244頁、2003年。 - 大気イオン測定技術に関するまとめ
マイナスイオン批判者による解説等[編集]
- 安井至「マイナスイオン論争 - 未科学がなぜ大メーカーによって製品化されるのか」『化学』58巻10号、18-22頁、2003年。
- 安井至「マイナスイオンとは何か」『月刊理科教室』46巻10号、8-15頁、2003年。
- 菊池誠「疑似科学の現在」『科学』76巻9号、902-908頁、2006年。
- 小波秀雄「「マイナスイオン」がニセ科学である理由」『化学』62巻4号、22-26頁、2007年。
- 小波秀雄「マイナスイオンとはなんだろうか」『RikaTan』1巻5号、44-46頁、2007年。
- 松永和紀『メディア・バイアス - あやしい健康情報とニセ科学』光文社〈光文社新書〉、2007年、ISBN 978-4-334-03398-9。
関連項目[編集]
- プラズマクラスター(プラスのイオンとマイナスのイオン)
- 疑似科学
- プロトサイエンス(未科学)
- バイブル商法
- 大気イオン
- カンゲンイオン
- レナード効果
- 空気のビタミン
- 燃費向上グッズ
- 酸性食品とアルカリ性食品
- バズワード
外部リンク[編集]
- 日本大気電気学会 - 学術団体
- 日本マイナスイオン応用学会
- 特定非営利活動法人 日本機能性イオン協会
- 市民のための環境学ガイド
- 物理学会でのシンポジウム「『ニセ科学』とどう向き合っていくか?」
- マイナスイオンを謳った商品の実態(国民生活センター)
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