特定都区市内
特定都区市内(とくていとくしない)とは、JRの運賃計算の特例の一つである。
目次
概要
本特例はJRの旅客営業規則(旅規)第86条並びに第87条の規定に基づく。目的は大都市の駅での出札業務の簡素化である。
導入されたのは高度経済成長期の真っ直中だった時期であるが、背景として、その高度経済成長の進捗に伴ってビジネスや観光などを目的とする長距離移動需要が高まっていたことがあった。
当時、普通乗車券の発売には着駅毎に常備券を用意するか、あるいは手計算により運賃を算出した上で発着駅などを補充券に筆書し発行するかのいずれかによらなければならなかった。前記の長距離移動需要の高まりを背景に、当時の国鉄は本制度を導入した。
現在は東京都区、横浜、名古屋、京都、大阪、神戸、広島、北九州、福岡、仙台、札幌の計11都市・都区内(これらを「特定都区市内」と呼称)に各々所在する駅を対象に適用されている。「東京都区」内に限っては、片道営業キロによって適用される旅規条文及び対象範囲が異なる《詳細は後記参照》。
特例の内容
旅客営業規則(旅規)より
規定内容
- 特定都区市内に所在する駅と、当該特定都区市内の中心駅から片道の営業キロが200kmを超える駅との相互間の片道普通旅客運賃は、当該中心駅を起点または終点とした営業キロまたは運賃計算キロによって計算する《旅規86条》
- 「東京都区内」の中で特に山手線内各駅および山手線の内側に所在する中央本線・総武本線の各駅(これらを「東京山手線内」と呼称)については、東京山手線内の中心駅・東京駅からの片道営業キロが100km超200km以下(1km未満は切り上げ)の区間の駅との相互間の片道普通旅客運賃についても前記特定都区市内に所在する駅の場合と同様の計算方により取り扱われる《旅規87条》
- 以上旅規86条・87条による規定は、特定都区市内に所在する駅を発駅とする場合で一旦その特定都区市内の外を経たあと、再び発駅が属する特定都区市内を「通過」してから着駅に至る場合、あるいは特定都区市内に所在する駅を着駅とする場合で発駅より一旦着駅が属する特定都区市内を「通過」し外に出てから着駅に至る場合、強制的に適用対象外となる。
- ただし、塚本駅から尼崎駅を経由してJR東西線に入る場合、市外乗車の特例が認められているので、1回目の中心駅である大阪駅から201km以上ある場合は、1回目の大阪駅までの運賃となり、尼崎経由でJR東西線で北新地方面に行く場合は、尼崎経由の入らない乗車券になり、尼崎駅では途中下車できない。尼崎駅で途中下車するためには、着駅を単駅指定にする必要がある[† 1]。以前は、着駅が市内適用である場合、市内着の乗車券が認められていた。ただし塚本 - 尼崎 - 北新地駅経由で入る乗車券は、2回目の大阪市内の着駅にすることは、マルスでは出来ず、手書き乗車券でも発売となった。
- なお、その他連絡運輸の範囲外や1回も当該市内を出ないで完結する乗車券(現行そのような自治体路線はない、今後の市町村合併では可能性あり)などでやむを得ない場合も市内制度は適用せず単駅指定となる。原則として東京都区内から東京都区内のように通過とならず、環状線で留まる場合は、重複する経路があっても構わないということになるが、神戸駅から新神戸駅の様に、新神戸駅は山陽新幹線の単独駅で、かつ路線がリンクしていないような場合は、神戸市内から新神戸駅の単駅となる(着駅市内制度必須とすると、新神戸から先は通常は最短経路での神戸までの乗車券ということになるが、新神戸新幹線新大阪東海道神戸とすると、一旦神戸市外を出るので、どうしても経路が拾えない、なお、名古屋市内から金山駅は金山 - 名古屋駅間に市外駅がないため、経路が拾えるので、名古屋市内から名古屋市内で問題はない)。
- 旅規86条・87条は基本的に、「特定都区市内にある駅」から「その特定都区市内の中心駅から200kmを超える鉄道区間内にある駅」までの運賃計算に用いる営業キロ(または運賃計算キロ)の起点(または終点)を当該中心駅とみなすということを意味する。
- つまり、まず発駅から見て運賃計算上の終点駅を確定させた後、着駅から見て運賃計算上の起点駅を確定させた上で、運賃が計算される。中心駅間が200kmを超える特定都区市内間の運賃は、必ず中心駅同士の営業キロで計算される。なお旅規87条の規定の場合は、ここまでの文章中の「特定都区市内」を「東京山手線内」に、「200kmを超える」を「100km超200km以下の」に各々読み替える。旅規87条の規定による普通乗車券は、営業キロ200km以下であることが必要であるため、「東京山手線内⇒○○都区市内」という券面表示はあり得ない。(中心駅が東京なので、同様に東京から東京都区内もあり得ない、なお東京山手線内から新宿などは東京から東京だと101km未満だが、東京から新宿が101km以上ならありうる)
- 旅規86条・87条の規定により運賃計算される普通乗車券の有効期間は、その旅客運賃の計算に用いる中心駅から、または中心駅までの営業キロによる《旅規154条2項》。
- 旅規86条・87条の規定により発売した乗車券を使用する場合は、当該乗車券の券面に表示された特定都区市内(東京山手線内)の各駅では途中下車できない《旅規156条》。
- 特定都区市内(東京山手線内)の各駅で途中下車した場合には前途無効の扱いとなり当該乗車券は回収される《旅規165条》。ただし発駅と同一の特定都区市内(東京山手線内)の駅に下車した場合で実際の乗車駅と下車駅との区間に対する普通運賃を別途支払った場合、当該乗車券は旅行開始前または使用開始前のものと同一の効力を持つものとして取り扱われる《旅規166条》。(経路上の途中駅と旅行終了の駅が同一である場合は1回目の当該駅において途中下車は可能である。ただし市内制度においては6の字は現行の制度では必ず単駅指定になるため、現行のおいて適用は事実上ありえない)
具体例
- 目黒は「東京山手線内」に所在する駅で、その中心駅たる東京駅から上田駅までの営業キロは「189.2km」となり、100km超200km以下の範囲内に収まっていることから、発券される普通乗車券の券面表示は「東京山手線内⇒上田」となる。有効期間は2日で、新幹線利用には別途乗車区間に対応した特急券等が必要。
- 杉本町は大阪市内に所在し、名古屋市内駅である大高は名古屋市内に所在する、いずれも特定都区市内に属する駅である。杉本町から大高までの営業キロは220.4km(阪和、大阪環状、東海道経由)であるが、杉本町の属する「大阪市内」の中心駅・大阪駅から大高の属する「名古屋市内」の中心駅・名古屋駅までの営業キロは190.4kmと200kmに満たない。
- その一方で、杉本町・名古屋間は208.0km、大阪・大高間は202.8kmといずれも200km超となっていることから、発券される普通乗車券の券面表示は「杉本町(単駅)⇒名古屋市内」か「大阪市内⇒大高(単駅)」のいずれかとなる。有効期間はいずれの場合も2日。なお、このようなケースでは、乗客から特に求めがない限り、乗車後の予定変更に対応できるよう、着駅側についてのみ本特例が適用される。
- 具体的には、以下に示す経路を辿る
- この経路を辿って千葉に向かう場合、東京から千葉までの営業キロは404.8kmとなる。ただし、東京から東海道新幹線(東海道本線)に乗って一旦「東京都区内」を出たあと、甲府からの中央本線にて再度「東京都区内」に入り総武本線(緩行線)にて通過する経路であることから、本特例の適用対象とはならず、「東京都区内」発とはならない。そのため、この経路で発券される普通乗車券の券面表示は「東京(単駅)⇒千葉〔経由:新幹線・東海道・身延・中央東・総武〕」となり、よって「東京都区内」に所在する駅も含め区間内の全ての駅で途中下車が可能となる。有効期間4日間。
旅客営業取扱基準規程(規程)より
- 中心駅からの営業キロによる本特例適用の有無を原因として、適用非対象駅までの運賃がそれより遠方にある適用対象駅までの運賃より高額になる場合は、適用非対象駅までの運賃を適用対象駅までの運賃と同額にすることができる《規程114条》。
- 実際の発駅(または着駅)と運賃計算上の起点駅(または終点駅)が異なり、中心駅から200km前後の場合にこうした矛盾が生じることがある。
【規程114条適用例】若松〔筑豊本線(地方交通線)〕から佐伯(日豊本線)まで 若松は「北九州市内」所在駅の一つであるが、「北九州市内」中心駅・小倉と佐伯と間の営業キロが200km以下(197.8km)のため本特例は適用されない。よって若松・佐伯間の運賃は同区間の運賃計算キロ227.2kmをそのまま適用して4320円となる。ところが佐伯の一つ先の駅である上岡までで見た場合、中心駅・小倉と上岡と間の営業キロが200km超(202.4km)となっていることから本特例が適用されて3990円となり、これにより「近い駅までの運賃のほうが高くなる」という矛盾が生じる。そのため若松から佐伯までの運賃は、本特例が適用される小倉・上岡間の運賃に合わせて3990円とすることができる。乗車券券面表示は「若松(単駅)⇒佐伯」となり、有効期間は2日。 |
- 東京近郊区間内相互発着の場合に於いて、「特定都区市内」中心駅からの券面表示経路による営業キロが200km超であっても、中心駅からの営業キロが200km以下になる経路が存在する場合は、本特例を適用しないで運賃を計算することができる《規程115条1項》。
- 東京近郊区間内相互発着の場合において、東京からの券面表示経路による営業キロが100km超であっても、東京からの営業キロが100km以下になる経路が存在する場合は、東京山手線内発着の特例を適用しないで運賃を計算することができる《規程115条2項》。
- 上記2本の規定は、2009年3月14日に制定された規程(新)115条によるものである。
【規程(新)115条適用例】小岩(総武本線)から植田(常磐線)まで 東京都区内に所在する小岩から福島県内に所在する植田までの最短経路は「総武本線-武蔵野線-常磐線」で、営業キロは189.2km。当該経路のままで「東京都区内」の中心駅・東京から見た場合の営業キロが200km超(202.0km)となっていることから、距離の上では本特例が適用されて「東京都区内⇒植田〔経由:総武本線、武蔵野線、常磐線〕」という券面表示の普通乗車券(運賃3670円)が発券されるところである。しかし、乗車区間および中心駅・東京から着駅・植田までの区間がいずれも東京近郊区間内で完結していること、更に中心駅・東京から植田までの区間の最短経路である「[東京]-東北本線-(日暮里)-常磐線- [植田]」を辿った場合の営業キロが200km以下(193.6km)となることから、券面表示「小岩(単駅)⇒植田〔経由:総武本線、武蔵野線、常磐線〕」の普通乗車券(運賃3350円)の発券を受けることができる。なお、東京近郊区間内で完結することから有効期間は1日(当日限り有効)〔旅規154条〕となり、かつ「途中下車不可」の扱い〔旅規156条2号〕となる。 |
- 大阪市内発着の乗車券で大阪・北新地両駅相互の乗り継ぎ、神戸市内発着の乗車券で新神戸と「三ノ宮・元町・神戸・新長田の各駅」間相互乗り継ぐための一時出場が認められている《規程145条2項》。
- 特定都区市内発着となる普通乗車券を所持する旅客が、列車に乗り継ぐため同区間内の一部が複乗となる場合は、旅客運賃を収受しないで当該区間の乗車を認める《規程150条》。
【規程150条適用例】 「東京都区内→松本(経由:中央東・篠ノ井)」と券面表示された普通乗車券を使って西荻窪から乗車し、新宿で特急列車(「あずさ」など)に乗り継いで折り返すことが出来る。なお、新宿からの特急券等を別途用意する必要がある。 |
- 大阪市内発着となる普通乗車券を所持する旅客は、別途運賃不要で以下の区間を区間外乗車することができる《規程150条2項》。
- 東京都区内に京葉線・葛西臨海公園経由で出入りする場合でも、東京都区内発着の乗車券と総武本線・小岩発着の乗車券を併用することで乗車できる。同じく、横浜市内発着の乗車券と根岸線・本郷台発着の乗車券を使って東海道本線・戸塚経由で乗車することや、大阪市内発着の乗車券とJR東西線・加島発着の乗車券を使って東海道本線・塚本経由で乗車することもできる《規程155条[† 2]》。
設定区域一覧
- 現在本特例が適用されているのは、東京23区・大阪市・京都市・名古屋市・横浜市・神戸市・札幌市・仙台市・広島市・北九州市・福岡市の計11都市・都区
- 駅の設定は基本的に各市の市域内。ただし、(JRが定める)中心駅へJR線だけで行くために一旦市外に出なければならない山陽新幹線新神戸以外の駅(選択乗車が可能で神戸扱いできるから)は除外され、同一線内に特定都区市内に指定された市以外の市町を挟む場合などには、便宜上他市町の駅も含める場合がある。この場合、乗車券の券面にこれら除外駅や含まれる駅を表記(横浜市内の場合は、「横浜市内・川崎・鶴見線内」、または「横浜市内・川崎」と表記)する場合がある(旅規183条3項)。
- 当該都区市内での新線開業や新駅開業、市町村合併による市域拡大の場合は、当該する新駅が既存のJR線内に当該都区市内のみで接続する場合に限り、当該都区市内ゾーンへの組入れが行われる。
- 例えば京葉線の新木場・葛西臨海公園両駅の場合は、開業当初は新木場止まりで都区内では「独立」したJR線のため東京都区内ゾーンに組み入れられなかったが、その後1990年に東京まで延伸開業した際に、同時に開業した八丁堀などの途中駅とともに東京都区内ゾーンに組み入れられた。
- 仙台市内に属する仙台を除く仙山線の駅は、設定当初は北仙台1駅のみだったが、市域拡大と新駅開業に伴い2010年現在では臨時駅を含めて下図の14駅と大幅に増加している。なお、2014年(平成26年)3月15日より、臨時駅である西仙台ハイランド駅・八ツ森駅が廃止に伴い除外される[1][2]。
- 1983年の筑肥線「博多〜姪浜」間廃止までは、廃止区間の中間駅に加えて姪浜・今宿・周船寺の各駅も福岡市内の駅に入っていたが、廃止に伴い3駅は除外された。なお、下山門・九大学研都市は1983年以降の開業であり、福岡市内駅だった時期はない。
- 2003年(平成15年)12月1日の可部線「可部 - 三段峡」間廃止に伴い、河戸から小河内までの各駅が除外された。
- 当該都区市内での新線開業や新駅開業、市町村合併による市域拡大の場合は、当該する新駅が既存のJR線内に当該都区市内のみで接続する場合に限り、当該都区市内ゾーンへの組入れが行われる。
- 本特例が適用されている都区市内に所在する各駅の駅名標の右上または左上には、それを示す記号(下表にて列挙する各カテゴリの先頭の四角マーク)が付いている。
設定名称 (中心駅) |
路線・区間 | 路線図 オレンジ色の線は新幹線を表す |
---|---|---|
札札幌市内 (札幌) |
札幌市内 | |
サムネイルの作成エラー: サムネイルを保存先に保存できません 仙台市内(仙台) |
仙台市内 | |
サムネイルの作成エラー: サムネイルを保存先に保存できません 東京都区内(東京) |
東京山手線内・東京都区内 (緑線の部分が東京山手線内) | |
サムネイルの作成エラー: サムネイルを保存先に保存できません 東京山手線内[† 3](東京) |
||
サムネイルの作成エラー: サムネイルを保存先に保存できません 横浜市内(横浜) |
便宜上、川崎市内の一部駅(川崎区・幸区)と鶴見線内の全駅を含む。 横浜市内と市外にまたがり所在地表記が横浜市外(鎌倉市)となる大船を除く。 |
横浜市内 |
名名古屋市内 (名古屋) |
名古屋市内 | |
京京都市内 (京都) |
便宜上、京都市内と市外にまたがり所在地表記が京都市外(亀岡市)となる位置に移転した保津峡(山陰本線)を含む。 | 京都市内 |
大阪市内 (大阪) |
大阪市平野区にある新加美(おおさか東線)を除く。 大阪市内発着の乗車券の特例が存在する。 |
大阪市内 |
神神戸市内 (神戸) |
神戸市北区にある道場(福知山線)を除く。 新神戸駅と在来線との乗り継ぎの特例が存在する。 |
神戸市内 |
広広島市内 (広島) |
便宜上、広島市外である海田市・向洋(安芸郡;山陽本線)を含む。 | 広島市内 |
九北九州市内 (小倉) |
北九州市内 | |
福福岡市内 (博多) |
福岡市西区にある筑肥線「姪浜 - 周船寺」間の各駅を除く。 | 福岡市内 |
沿革
- 1939年10月15日 - 東京、横浜、名古屋、京都、大阪、神戸から300kmを超える駅について、各都市中心駅までの運賃で当該市内各駅に有効とする六大都市制度を制定
- 1942年4月1日 - 六大都市制度を151km以上に変更
- 1944年4月1日 - 六大都市制度を廃止。二大都市制度を東京と大阪に適用。101km以上に変更。東京電車環状線内制度を東京駅から51km以上の駅に設定
- 1957年4月1日 - 二大都市制度を151km以上に変更
- 1961年4月6日 - 二大都市制度を201km以上に変更
- 1969年5月10日 - 二大都市制度に横浜、名古屋、京都、神戸各市内を追加、特定都区市内制度に変更(旧六大都市制度の事実上の復活)
- 1972年9月1日 - 特定都区市内制度に札幌、仙台、広島、北九州、福岡各市を追加。東京電車環状線内を「東京山手線内」に変更
特別企画乗車券での例外
普通乗車券とは別の規定により発売される特別企画乗車券(トクトクきっぷ)の中には、過去あるいは現在時点で、本特例で規定されている条項にかかわらず発駅または着駅として特定都区市内エリアを設定したり、本特例の適用対象都市・都区以外の都市やエリアに対して本特例に準じた取扱を行われたりするものが散見される。
営業キロの例外
新幹線回数券や“早特きっぷ”類、あずさ回数券、ひたち往復きっぷ(2013年9月末日を以て発売終了[3])、ひたち回数券などのトクトクきっぷは、利便性を考慮して、中心駅から200km以下の区間であっても100km超の中距離区間であれば、特定都区市内制度を適用している場合がある。
そのため、設定区間によっては通常の乗車券ではあり得ない券面表示になることもある。以下にその該当例を列挙する。
- 「名古屋(市内)⇔新大阪(市内)」(名古屋・大阪間190.4km)
- 「仙台(市内)⇔盛岡」(仙台・盛岡間183.5km)
- 「新宿(都区内)⇔“甲府 - 竜王”」(東京・甲府間134.1km)
- 「新横浜(市内)⇔“新富士 - 静岡”」(横浜・新富士間:経由新横浜125.3km)
- 「東京(都区内)⇔安中榛名」(東京・安中榛名間123.5km)
- 「東京(都区内)⇔宇都宮」(東京・宇都宮間109.5km)
- 「東京(都区内)⇔“高崎 - 前橋”」(東京・高崎間105.0km)
- 「上野(都区内)⇔“友部 - 勝田”」(東京・友部間104.6km)
- 「東京(都区内)⇔“熱海 - 静岡”」(東京・熱海間104.6km)
設定都市(エリア)の例外
トクトクきっぷの中には、現在本特例にて規定されている11都市・都区部以外の都市・エリアに対し、本特例と同様の取扱方を行うものが存在する。
過去のケース
周遊きっぷ(2013年春廃止)の前身である、『ミニ周遊券』・『ワイド周遊券』・『ニューワイド周遊券』といった「周遊券」類などのトクトクきっぷで、当時国鉄と提携していた日本交通公社(現・JTB)により「函館市内」・「新潟市内」・「千葉市内」・「高松市内」各エリアを発着とするものがJR移行後の1998年3月31日まで設定されていた。
また東海道新幹線区間の新幹線回数券で、「千葉市内」発着のものが設定されたことがある。
現在のケース
JR九州が企画・発売しているトクトクきっぷのうち「熊本」発着が設定されている商品の中には、「熊本」のみの単駅指定とするのではなく「上熊本・『熊本〜水前寺』間」エリアを独自設定した上で“着駅”として指定しているものが存在する。『九州新幹線2枚きっぷ』・『九州新幹線日帰り2枚きっぷ』・『ビックリつばめ2枚きっぷ』の3商品が該当する。このうち『ビックリつばめ2枚きっぷ』は九州新幹線「つばめ」で博多・熊本間を往復することに特化したトクトクきっぷとなっている。
またJR東日本が2009年の年末年始期(2009年→2010年)から発売している『ふるさと行きの乗車券』は、着駅(エリア)として「秋田・青森エリア」・「岩手・三陸エリア」など、本特例で規定されている都市・都区内域とは異なるエリアが設定されている一方、発駅(エリア)については、初回発売分では本制度で規定されている「東京都区内」のほか、さいたま市内区間のうち大宮以南区間(「大宮〜戸田公園」・「大宮〜川口」の2区間)の2エリアが設定されていた[4]。2010年年末年始期(2010年→2011年)発売分以降は前記「東京都区内」およびさいたま市内大宮以南区間を包含する「東京電車特定区間」のみの設定となっている[5]。
このうち着エリア側の取扱について、初回発売分には本特例で規定されている、「都市・都区内」着の乗車券による着域内での途中下車取扱方と同様の形態が採られており[4]、着エリア内(復路では発エリア内)での下車は前途無効の扱いとなっていた。また本トクトクきっぷでは発着各エリア間の各駅での下車も前途無効の扱いとなっていた。2010年年末年始期発売分以降は、初回発売分で”ゆき券”にあった着エリアの路線図が“かえり券”に表示されるようになったことに伴い、復路の着エリアからの乗車時に限り、着エリア内のJR線普通列車の自由席に乗り降り自由という取扱方に変更されている[5]。なお、別途料金券類を購入することにより特急列車や新幹線にも乗車可能。
株主優待割引乗車券の例外
概要
東京・博多間を結ぶ東海道・山陽新幹線は、在来線でのJR旅客会社毎の管轄領域で見た場合、東日本・東海・西日本・九州の4つのJR旅客会社に跨っている。
また、東海道・山陽新幹線自体も、新大阪を境に、新大阪以東の東海道新幹線区間はJR東海、新大阪を除く新大阪以西の山陽新幹線区間はJR西日本、と、管轄するJR旅客会社が異なっている。
このため、特定都区市内に所在する東海道・山陽新幹線の駅のうち、以下に列挙する駅は新幹線のりばと在来線のりばとで管轄するJR旅客会社が異なっている。
一方、東海道・山陽新幹線を管轄するJR東海とJR西日本は、現在、共に株式市場に上場しており、各々の株主に対し、優待サービスの一環として、自社管轄内全線に係る乗車券類(除外条件有り)を割引購入出来る株主優待割引券を保有株数等に応じて配布している[6]。この株主優待割引券を使って他社管轄に跨る乗車券類を購入する場合、自社管轄区間のみ割引対象となり、割引対象となる自社管轄区間分と割引対象とならない他社管轄区間分を分けて発売される。このため乗車区間によっては株主優待割引券を使わずに乗車全区間分通しの乗車券類で購入する場合と比べて割高になるケースがあるとしてJR側は注意を呼びかけている。
JR東海とJR西日本が各々発行する株主優待割引券を使って、東海道新幹線(JR東海管轄)または山陽新幹線(JR西日本管轄)を利用することを前提に本特例適用の要件を満たす特定都区市内に属する新幹線駅発着の普通乗車券を購入する場合で、在来線のりばが「他社管轄」となっている前記列挙の駅を発着駅としている場合には、その前記列挙の駅の側では本特例は適用されず、単駅指定の形で発券される。
具体例
- 名古屋から東京まで東海道新幹線(JR東海管轄)を利用。JR東海の株主優待割引券を使って乗車券・特急券を購入
- 名古屋・東京間の片道営業キロは「366.0km」であり、距離の上では「名古屋市内⇒東京都区内」という券面表示の普通乗車券が発行できそうなところ、発駅の名古屋は在来線もJR東海の管轄であるのに対し着駅の東京では在来線がJR東日本の管轄となっていることから、着駅では本特例は適用されず、発券される普通乗車券の券面表示は「名古屋市内⇒東京(単駅)」となる。
JR線以外での適用
都区内の常磐緩行線各駅にて乗降する場合
東京都区内の駅のうち、JR線のみで乗り換えなしに直接山手線に乗り継ぐことのできない常磐緩行線の金町・亀有・綾瀬の各駅の乗降客に対しては、東京地下鉄(東京メトロ)千代田線の北千住・西日暮里間を乗車することを、同区間の運賃170円を支払うことにより便宜上認めている。ちなみに綾瀬と西日暮里の間を乗車した場合の本来の運賃は、全区間東京地下鉄線扱いとなるため200円となる。
その他
JRの長距離乗車券以外でも、他社私鉄や地下鉄などとの連絡普通乗車券、連絡定期乗車券の販売対象区間駅に、東京都区内や東京山手線内といった表現が使われている場合がある。この場合は“東京都区内や東京山手線内に所属する駅”という意味であって、長距離乗車券のような東京都区内や東京山手線内という区間ではない。
脚注
注釈
- ↑ 本但し書きは、2008年4月1日の旅規改正により、従前からの旅規86条・87条の各条文にそれぞれ追記された。旅規87条の場合は、但し書きの中の「特定都区市内」を全て「東京山手線内」に読み替える。この改正と引き換えに、本但し書きの中で示しているケースに該当する場合に、本特例適用の有無を旅客が選択出来ることを定めた規程(旧)115条は廃止されている。
- ↑ 特定都区市内着発の乗車券と、その特定都区市内の出入口にあたる駅までの乗車券を併用することによる他経路乗車を認める特例を定めた条文で、他経路乗車中は途中下車不可。この特例が導入されているのは東京都区内発着・横浜市内発着両関連で2区間ずつと大阪市内発着関連1区間の計5区間で、標記以外では「東京都区内発着の乗車券と西大井発着(武蔵小杉以遠・武蔵中原方面)の乗車券の併用による“武蔵小杉・蒲田間”」・「横浜市内発着の乗車券と矢向発着(武蔵小杉以遠・武蔵中原方面)の乗車券の併用による“鶴見・武蔵小杉間”」で導入されている。
- ↑ 山手線一周全線と中央線・総武線の代々木 - 神田・秋葉原間については、東京からの片道営業キロが100kmを超え200km以下にある駅に対して東京山手線内が適用される。
出典
- ↑ 仙山線 西仙台ハイランド駅及び八ツ森駅廃止についてPDF - 東日本旅客鉄道仙台支社、2014年2月14日、同日閲覧。
- ↑ 平成26年2月10日 旅客営業規則の一部改正についてPDF - 九州旅客鉄道、2014年2月10日、2014年2月12日閲覧。
- ↑ 『常磐線の特別企画乗車券の発売終了および「えきねっとトクだ値(乗車券つき)」の設定追加について』(JR東日本水戸支社・2013年8月8日付発出プレスリリース)
- ↑ 4.0 4.1 『JR東日本帰省応援キャンペーン(2009)~お正月は列車でふるさとへ』 - JR東日本・2009年11月4日付けリリース文書《当該文書3ページ目に本トクトクきっぷ2009年発売分の説明記載有り》
- ↑ 5.0 5.1 『JR東日本帰省応援キャンペーン(2010)~お正月は列車でふるさとへ』 - JR東日本・2010年11月18日付けリリース文書《当該文書4ページ目に本トクトクきっぷ2010年発売分の説明記載有り》
- ↑ 株主優待の内容詳細については『株主優待のご案内』(JR東海)・『株主優待』(JR西日本)をそれぞれ参照。
関連項目
- 大都市近郊区間
- 電車特定区間
- 国電
- E電
- アーバンネットワーク
- シティ電車
- 電車大環状線
- マルチエアポート - 航空券における類似例
- 香月線香月駅 - 北九州市内に位置しながら新加美駅や道場駅と同じ理由で特定都区市内に含まれなかった。路線廃止により廃駅となっている。
- ナゴヤ球場正門前駅 - 名古屋市内の駅ではあったが、線路そのものはJR貨物の所有であったために特定都区市内には含まれなかった。