群馬大学
群馬大学は、群馬県前橋市荒牧町4-2に本部を置く日本の国立大学である。1949年に設置された。大学の略称は群大(ぐんだい)。
概観[編集]
キャンパスは教育学部および社会情報学部がある荒牧地区(前橋市)と、医学部のある昭和地区(前橋市)、理工学部がある桐生地区(桐生市)に分かれている。なお、最初の1年次は学部を問わず荒牧地区で教養科目を中心に学ぶ。(工学部生産システム工学科夜間主コース生のみ、1年次の教養科目が太田キャンパスで開講される。)
学部・大学院以外に総合情報メディアセンター(旧附属図書館と旧総合情報処理センター等を統合)、生体調節研究所、医学部附属病院、地域共同研究センター、機器分析センター、サテライト・ベンチャー・ビジネス・ラボラトリーなどの施設がある。2003年にナノ材料システム工学専攻が設立されたが、2007年度の学科改組みによりナノ材料システム工学専攻という名前は消滅し、生産システム工学科等へ組み入れられる。
国立大学法人化の際、埼玉大学との合併が検討されたが、教育学部の統合問題などにより、凍結されている。しかしながら、引き続き北関東地域の拠点としての役目を担っており、2007年度の特別研究経費採択額22億7千万円は全国公私立大学中4番目である。
またイギリスTimes紙の『2007年世界大学ランキング』によると、群馬大学は世界ランキング252位(国内16位)であった。
腹腔鏡手術後8人死亡。群大病院、同じ医師執刀(2014年11月)[編集]
群馬大学病院(前橋市)で2011~14年、腹腔鏡を使う高難度の肝臓手術を受けた患者約100人のうち、少なくとも8人が死亡し、病院が院内調査委員会を設置して調べていることがわかった。
8人を執刀したのはいずれも同じ医師。同病院ではこれらの手術は事前に院内の倫理審査を受ける必要があるとしているが、担当の外科は申請していなかった。
病院関係者によると、手術が行われたのは第二外科(消化器外科)。死亡した8人は60代~80代の男女で、肝臓がんなどの治療として腹腔鏡を使う肝臓切除手術を受けた。手術と死亡の因果関係は現時点では不明だが、8人は術後に容体が悪化し、約3か月以内に肝不全などで亡くなった。
事態を重く見た病院側は現在、同科肝胆膵(肝臓、胆道、膵臓)グループの全手術を停止している。
沿革[編集]
年表[編集]
- 1873年 群馬師範学校創設
- 1915年 桐生高等染織学校創設
- 1918年 群馬青年師範学校創設
- 1920年 桐生高等染織学校から桐生高等工業学校に改称
- 1943年 前橋医学専門学校創設
- 1944年 桐生高等工業学校から桐生工業専門学校へ改称
- 1949年 新制群馬大学設置
- 1964年 工学専攻科を廃止し、大学院工学研究科修士課程を設置
- 1978年 医療技術短期大学部を設置。
- 1990年 工学部の学科改組、工業短期大学部の募集停止。
- 1993年 社会情報学部を設置
- 1996年 9月19日サテライト・ベンチャー・ビジネス・ラボラトリー設置
- 2004年 独立行政法人化により設置者が国立大学法人群馬大学となる。
- 2007年 工学部の学科が再編
- 2013年 工学部から理工学部へ改組
基礎データ[編集]
所在地[編集]
- 荒牧キャンパス(群馬県前橋市荒牧町4丁目2)
- 昭和キャンパス(群馬県前橋市昭和町3丁目39-22)
- 桐生キャンパス(群馬県桐生市天神町1丁目5-1)
- 太田キャンパス(群馬県太田市本町29-1)
教育および研究[編集]
組織[編集]
学部[編集]
教育学部[編集]
- 文化・社会系
- 自然・情報系
- 芸術・表現系
- 生活・健康系
- 教育人間科学系
教育学部は、1873年設立の小学校教員伝習所に端を発する群馬師範学校と1918年設立の農業講習科に端を発する群馬青年師範学校に由来する。この二つの学校を母体として、1949年に群馬大学学芸学部が発足した。学芸学部は1966年に教育学部に改称している。1999年に大学院教育学研究科(修士課程)が設けられ、2008年に大学院教育学研究科(専門職学位課程)、いわゆる教職大学院が設置された。
- 高等学校教諭(情報・工業)の免許状は自然・情報系の技術専攻で得られる。
- 教育学部の特色あるカリキュラム
- 一年次:教育現場体験学習
- 二年次:授業実践基礎学習
- 三年次;教育実習
- 四年次:教育実践インターンシップ(希望者)
- 特色あるカリキュラムの中でも特筆されるべきは、一年次から教育現場体験の場が設けられたことだ。これは、三年次で行われる教育実習と異なり、実際に授業を行うものではない。授業の準備や生徒との交流など、現職員のさまざまな仕事を手伝うことが体験学習の中心である。しかし、公立小中学校において実際に現職員や生徒たちと接するという点では、教育実習と何ら違いは無い。一年次から教職という仕事を肌で感じ取ることで、学ぶ際のモチベーションを向上させるのが狙いのようだ。
社会情報学部[編集]
社会情報学部は1993年に新設された学部である。1998年に大学院社会情報学研究科(修士課程)が設けられた。2006年より、これまでの単一学科制から2学科制となった。
医学部[編集]
医学部は、1943年設立の前橋医学専門学校を前身とする前橋医科大学に由来する。1949年、群馬大学の医学部となり、1955年には大学院医学研究科(博士課程)が設けられた。旧制医学専門学校を前身とする医学部として、弘前、東京医科歯科、信州、鳥取、広島、徳島、鹿児島とともに新八医科大学と呼ばれる。大学院は2001年に医学系研究科に改称し、2003年に博士前期課程・後期課程をもつ大学院に改組された。
理工学部[編集]
- 化学・生物化学科
- 機械知能システム理工学科
- 環境創生理工学科
- 環境エネルギーコース
- 社会基盤・防災コース
- 注:2年進級時にコースを選択
- 電子情報理工学科
- 電気電子コース
- 情報科学コース
- 注:2年進級時にコースを選択
- 総合理工学科
工学部は1915年設立の桐生高等染織学校の後身である桐生工業専門学校が母体となっている。1949年に他の学部とともに群馬大学の学部として発足した。1964年に大学院工学研究科が、1989年に博士課程が設置された。2007年には、大学院重点化による学科・専攻の大幅な改組再編が行われ、同年、太田市に生産システム工学科のキャンパスが開設された。キャンパス用地は公園を廃止し転用した。この公園は市内の標準的な公園とは違ったため類似する公園はなかった。同学科以外は桐生キャンパスに留まる。さらに2013年に理工学部へ改編が行われた。改編前の工学部は、応用化学・生物化学科、機械システム工学科、生産システム工学科、環境プロセス工学科、社会環境デザイン工学科、電気電子工学科、情報工学科で構成されていた。
大学院[編集]
教育学研究科[編集]
- 修士課程
- 障害児教育専攻
- 障害児教育専修
- 教科教育実践専攻
- 国語教育専修
- 社会科教育専修
- 数学教育専修
- 理科教育専修
- 音楽教育専修
- 美術教育専修
- 保健体育専修
- 技術教育専修
- 家政教育専修
- 英語教育専修
- 障害児教育専攻
- 専門職学位課程(教職大学院)
- 教職リーダー専攻
- 児童生徒支援コース
- 学校運営コース
- 教職リーダー専攻
社会情報学研究科[編集]
- 社会情報学専攻(修士課程)
- 研究領域:経済・経営領域、地域・行政領域、文化・コミュニケーション領域
医学系研究科[編集]
- 生命医科学専攻(2年制修士課程)
- 専攻分野:基礎医学系(17分野)、臨床医学系(14分野)、協力・連携講座(15分野)
- 医科学専攻
- 系
- 高次機能統御系
- 講座:脳神経病態制御学、脳神経発達統御学(協力講座)
- 代謝機能制御系
- 講座:器官代謝制御学、器官機能制御学、代謝・内分泌学(協力講座)、生体機能解析学(連携講座)、
- 臓器病態制御系
- 講座:病態腫瘍制御学、重粒子線医学(協力講座)、遺伝情報・発現学(協力講座)
- 環境病態制御系
- 講座:生体防御機構学、社会環境医療学、生体情報学(協力講座)
- 高次機能統御系
- 特別コース
- 基礎・臨床融合型研究推進コース
- トランスレーショナルリサーチコース
- 重粒子線医工学グローバルリーダー養成プログラム・重粒子線医工連携コース
- 国際協力型がん臨床指導者養成コース
- 腫瘍外科学指導者コース
- 集学的臨床腫瘍学指導者コース
- 放射線・粒子線腫瘍学指導者コース
- がん薬学研究指導者コース
- がん医療開発学研究指導者コース
- アジア核医学指導者養成コース
- 医療開発医科学コース(地域オープンイノベーションR&D人材養成コース)
- 基礎・臨床融合型研究推進コース
- 系
保健学研究科[編集]
大学院理工学府[編集]
2013年度に工学研究科から理工学府に組織改編。工学研究科の博士前期課程は、応用化学・生物化学専攻、機械システム工学専攻、生産システム工学専攻、環境プロセス工学専攻、社会環境デザイン工学専攻、電気電子工学専攻、情報工学専攻で構成。後期課程は工学専攻のみだった。
- 理工学専攻
- 博士前期課程
- 物質・生命理工学教育プログラム
- 知能機械創製理工学教育プログラム
- 環境創生理工学教育プログラム
- 電子情報・数理教育プログラム
- 博士後期課程
- 物質・生命理工学領域
- 知能機械創製理工学領域
- 環境創生理工学領域
- 日清紡アドバンストカーボン工学講座(寄附講座)
- 電子情報・数理領域
- 博士前期課程
特別専攻科[編集]
- 特別支援教育特別専攻科(修業年限:1年)
- 一種免許状取得コース
- 専修免許状取得コース
附属機関[編集]
- 附置研究所
- 生体調節研究所
- 生体情報部門
- 分野:遺伝子情報、細胞構造、シグナル伝達、核内情報制御
- 病態制御部門
- 分野:分泌制御、細胞調節、生体膜機能、遺伝生化学、分子細胞制御
- 附属生体情報ゲノムリソースセンター
- 分野:疾患ゲノム研究、ゲノム科学リソース
- 代謝シグナル研究展開センター
- 分野:代謝シグナル解析、トランスレーショナルリサーチ
- 生体情報シグナル研究センター
- 分野:分泌制御、生体膜機能
- 生体情報部門
- 生体調節研究所
- 総合情報メディアセンター
- 図書館
- 中央図書館
- 理工学図書館
- 医学図書館
- 情報基盤部門
- 図書館
- 大学教育・学生支援機構
- 教育基盤センター
- 学生支援センター
- 学生受入センター
- 健康支援総合センター
- 研究・産学連携戦略推進機構
- 研究戦略室
- 産学連携・知的財産戦略室
- 産学連携・共同研究イノベーションセンター
- 群馬大学TLO
- 高度人材育成センター
- インキュベーションセンター
- 産学連携・共同研究イノベーションセンター
- 機器分析センター
- 重粒子線医学推進機構
- 重粒子線医学研究センター
- 重粒子線医学センター
- 国際教育・研究センター
- 未来先端研究機構
- 多文化共生教育・研究プロジェクト推進室
- 多職種連携教育研究研修センター
- 先端科学研究指導者育成ユニット
- 学部附属機関
- 社会情報学部
- 社会情報学研究センター
- 教育学部
- 附属小学校
- 附属中学校
- 附属幼稚園
- 附属特別支援学校
- 附属学校教育臨床センター
- 医学部
- 医学系研究科
- 附属生物資源センター
- 附属薬剤耐性菌実験施設
- 附属教育研究支援センター
- 附属医学教育センター
- 保健学研究科
- 附属保健学研究・教育センター
- 理工学府
- ケイ素科学国際教育研究センター
- 社会情報学部
学生寮[編集]
研究[編集]
21世紀COEプログラム[編集]
21世紀COEプログラムとして2件採択された。
- 2002年
- 生命科学
- 生体情報の受容伝達と機能発現(生体調節研究所)
- 2004年
- 革新的な学術分野
- 加速器テクノロジーによる医学・生物学研究(医学系研究科医科学専攻)
- このプロジェクトに伴い、大学附設としては全国初となる重粒子線治療施設を建設することとなった。150億円規模の国家的な事業として平成19年2月17日に着工し、平成22年3月より稼働開始した。先進的な低侵襲がん治療を実施し、さらにはこの分野の新規開発研究を行うことを目的としており、外科治療や化学療法との連携の上で、がん治療における教育研究拠点としての役割が求められている。
グローバルCOEプログラム[編集]
グローバルCOEプログラムとして1件採択されている。
- 2007年
- 生命科学
- 生体調節シグナルの統合的研究(生体調節研究所)