Twitterにおけるデマ
本稿、TwitterにおけるデマではTwitter上で発生したデマについて解説する。
目次
概要[編集]
TwitterやFacebookなどの情報通信技術の発達により情報の拡散が速くなった半面、不確かな情報や嘘の情報も真実であると流され、その結果これまでのデマの拡散速度よりも非常に速い速度でウソの情報が流れてしまうという現象が多発している。
特に近年では東日本大震災や福島第一原子力発電所事故から発生した政府や新聞、ニュースなど既存報道への不信感、インターネットやソーシャルメディアへの過度の信頼から、全く科学的根拠のない話や裏付けが無い話も真実としてとらえられ、また、Twitterで共有する間にあたかも伝言ゲームの如く話の主幹が大きくずれて伝わるということも多い[1]。
日本ではこのようなデマの拡散ツールとなってしまっている点や、一部ユーザーがデマであることを知った後もデマに踊らされた自分を恥じるのではなく、「デマを流した人間が悪い」と責任転嫁(全く無実の人間を首謀者として吊し上げるというケースもあった)する態度、「もう学習した。次からは釣られない」と宣言したにもかかわらず再び釣られるという学習能力の無さなどを含め、ネット上では「デマッター[2]」「バカッター[3]」と蔑称で呼ぶことも多い。
虚構新聞関連[編集]
実際にありそうで実は存在しない嘘のニュースを配信する虚構新聞ではしばしばTwitterに関連する嘘ニュースを取り上げており、その記事を本当の記事であると勘違いしたユーザーによって拡散され騒動が起こることも多い。
虚構新聞の記事に引っかかる要因として、通常、ソースとして提供されるURLには「kyoko(www.kyoko-np.net/)」の文字が入れられており、親記事もタイトルをドラッグすることで「これは嘘ニュースです」と表示されるため嘘のニュースであることわかる一方、Twitte上ではURLが短縮表示されてしまうため「kyoko」が表示されず、また、ソース先のサイトを見ずにリツイートし拡散してしまうため、次第に嘘ニュースが本当のニュースとして広まってしまうとされている。
「文字数制限」騒動[編集]
2011年3月25日付の記事で「東日本大震災による影響で4月からTwitterで一度に投稿できる文字数が17文字(俳句・川柳と同じ文字数)に制限される[4]」という記事を発表。この記事がTwitterで一気に拡散。その広がりを受けてTwitter公式アカウントが正式に否定を発表するという事態になった[5]。この騒動では虚構新聞の記事に対するツイートが初めて1万件を突破(最終的に2万2000件以上)するなど、その影響力の高さと拡散速度が改めて示された。
「フォロワー300人以下は強制退会」騒動[編集]
2011年7月11日付の記事で「会員間の結びつきを強くするため、7月末でフォロワーが300人以下のユーザーは強制退会の措置を取る。」という記事を発表[6]。これに関してもその他の記事同様多くのユーザーが釣られることとなった。さらに、虚構新聞が嘘のニュースを載せるサイトであることを理解しないで虚構新聞を批判したり、「政府や東京電力からの外圧による措置である」と反原発運動とからめる者もいた。なお、この記事では社主のUK氏が「どうせ拡散されるなら、みんな釣るしかないじゃない!」と皮肉交じりでコメントを入れている。
「大阪市の小中学生にツイッター義務化」騒動[編集]
2012年5月14日の記事で「大阪市の橋下徹市長が、市内の小中学生全員にツイッターの利用を義務付ける条例案を提出する見込み」という記事を発表[7]。これに対し多くのユーザーが引っかかり、一部はツイッター経由で橋本市長に直接真偽を聞こうとした者や、「橋下市長ならやりかねない」と断言した者、「風説の流布だ。」と語る者もいた(風説の流布は有価証券に対する虚偽の情報の事であるため、このような事例は風説の流布とは呼べない)。騒動が広まった直後に虚構新聞公式アカウントにて「今後はもっと現実離れした虚構報道を心がけます。申し訳ありませんでした」と若干皮肉を交えながらUK氏が謝罪した。なお、この件に関して橋下本人及び大阪市からは一切コメントが出ていない。
このような一連の騒動について、UK氏は自己検証を行った記事において「開設から8年の間にネット環境が変わってしまった」と分析している。また、「迷惑だから虚構新聞を閉鎖しろ」との声に対し、「本気で閉鎖させたいなら深津絵里さんに会わせてください。」とジョークを飛ばしている[8]。
また、この騒動に便乗し、全く関係のないブログが「虚構新聞の更新停止」をアナウンス(ただし、虚構新聞同様隠し文字を入れており、嘘記事と知ることができる。)[9]し、またも多くのユーザーが引っかかるという事態になった。これに対し本物の虚構新聞側からも嘘であるとのアナウンスがなされた他、これまでの嘘ニュースとは違う悪質ないたずらとして、嘘ブログの管理人に多くの批判が殺到した。
Twitter有料化騒動[編集]
Twitterが有料化されるというデマは2009年頃からたびたび流されており、そのたびに日本語版公式アカウントが噂の否定を行うという循環がたびたび行われていた。
2011年6月21日には上記のTwitter文字数制限騒動を皮肉り、アンサイクロペディア内の「アンニュース」にて「Twitterの日本語版のみ7月20日より有料化される」という記事が執筆された[10]。これはフォロワー数と月間ツイート数により1ツイート当たりの金額が決定し、定額料金制(ただし月額120万円という非現実的な金額)もあり料金表も作られるという完成度の高い記事だった。しかし、この記事に関しても直接ページを見ればアンサイクロペディアであることが明白であった。この記事に対しユーザーが過剰反応を示し、またも公式アカウントが否定するという火消しに追われた[11]。なお、この記事はアンサイクロペディア内の「2011年十大バ科ニュース」第1位に選ばれた。
また、2012年4月1日(エイプリルフール)にも同様にTwitter有料化に関する嘘が流され、4月22日にはジョークとして制作された「Twitterご利用明細書メーカー[12]」で作られたTwitterの明細書を本物と勘違いし再びユーザーが釣られるという騒ぎになった[13]。
また、海外でも同様な有料プランの発表によるデマが生じている[14]。
福島第一原子力発電所事故・放射能関連[編集]
福島第一原子力発電所にて発生した事故により放射能が外部へ流出、原発付近の土地では放射能汚染が発生した。これに伴い、放射線・放射能・放射性物質などに関するデマが発生している。基本的には中学~高校程度の科学知識や放射能に関する基礎知識さえあれば正しい理解や嘘を看破することができるものの、放射能に対する過度の恐れや、原発事故に対する初動対応の不手際から発生した政府・既存メディア・東京電力の大本営発表への不信感などから多くのユーザーが引っかかるという事態になっている。また、デマの情報を鵜呑みにし、インターネット上だけではなく現実社会において誤った情報による抗議行動が発生している。ネット上では放射能を恐れるあまり、科学的根拠や証拠が無いにもかかわらずデマ発言を行う人や、デマツイートを鵜呑みにし極度の反原発論を掲げる人を「放射脳[15]」と揶揄することもある。
- 主なデマ
- 「放射能は他の人に感染・伝染する」
- 仮に大量の放射線を受けたとしても人体から放射能を発することは無い。
- 「新たに設定された食物への暫定基準値は他国と比べ桁違いに高い」
- 日本が新たに設定した暫定基準値は、放射性ヨウ素ではEUが、放射性セシウムでは国際食品規格委員会が設定した基準よりも同等か低く設定されている(ただし、EUでは日本からの輸入品に限り日本と同じ基準値に設定)。そのため、他の国々よりも異常なほど高いというわけではない[16]。
- あるユーザーが「東北・関東地方のセブンイレブンで販売されている弁当には放射能汚染地域で採れた食材を使用している」と発言。これに対し他のユーザーがソースの開示を求めたところ、「ソースを持っている人はいませんか?」と発言してからソースを探すという前代未聞の行動に出た[17]。このユーザーは他にも「娘が給食に手をつけなかったから給食費を返還させる」「プロフィールアイコンにアニメ作品のキャラクターを使っている人は変質者」などの問題発言を行いたびたび炎上していた[18]。
- 北九州市のごみ焼却場にて宮城県石巻市の震災がれきを試験焼却しようとがれきを搬入しようとしたところ、「放射能を飛散させる」とがれき受け入れ反対派による抗議活動に遭い、公務執行妨害により2人が逮捕された[19]。
- 石巻市は原発からの直線距離では東京よりも遠く、がれきが放射能に汚染されている可能性は限りなく低い。実際に試験焼却したところ、1kg当たり100ベクレル以下の放出量という極めて安全な数値であることが確認された。
- また、北九州市からゴミを焼却した場合の放射能拡散図がTwitterユーザーにより公開されたが、このデータはユーザーがGoogle マップとAdobe Photoshopを使用し、個人の予想と推測のみ(数値的根拠は一切無し)で書き記した、コンピュータによる予測など一切含まない「個人によるただの想像図」であることを自白した[20]。
- 塩素(Cl)とホルムアルデヒド(CH2O)は構成元素的に全くの別物であり、放射能が触媒になって物質が変化するということもない。また、塩素と放射性物質が核破砕反応によって変質するには加速器を必要とするほどの莫大なエネルギーが必要となり、現実的に発生する確率は限りなくゼロに近い。
従軍慰安婦像寄贈騒動[編集]
2011年12月18日に2ちゃんねるのニュース速報VIP板に「野田総理が韓国へ従軍慰安婦像を7体寄贈することを決定」という記事の投稿がされた。これは同月14日に報道された「韓国政府が在韓日本大使館前に従軍慰安婦像を設置[22]」というニュースに対してのパロディであり、見た目は朝日新聞のウェブサイト「アサヒコム」そっくりにつくられていたものの、アドレスに「vip(news-asahi.com/vip/20111218/1.html)」が入っていることや、他のリンクをクリックすると嘘であることを示すページが表示されるなど嘘ニュースであることがわかるような作りであった。
しかし、その他の騒動と同様にユーザーからユーザーへリツイートされていくうちに真実にすり替わってしまい、また、アドレスの「vip」も短縮されてわからなくなるなど虚構新聞の騒動と同様の展開により多くのユーザーに広まってしまった[23]。また、嘘ニュースだと指摘されたユーザーが「本物の朝日新聞が嘘ニュースを発信した」と勘違いするケースもあった。
この騒動はページの作者が正式に嘘であることを認め謝罪し収束した[24]。
その他主な騒動[編集]
- 南ア杯PK失敗謝罪騒動
- 2010年7月1日に2010 FIFAワールドカップ・決勝トーナメント、日本対パラグアイ戦のPK戦にてPKに失敗し、敗退の原因となった駒野友一の母親にみのもんたの朝ズバッ!(TBS)が取材、PKに失敗し敗退したことを謝罪させたというデマが発生した。
- 実際には駒野の母がパブリックビューイング会場で行われた観戦後の共同取材にて「皆さんに申し訳ない」とコメントした物を放送しただけであり、朝ズバッ!取材班並びにTBS単体でコメントを引き出したというわけではない。しかし、TBSやマスコミ叩きを行いたい者たちにより改変や嘘が加えれられた結果、「司会のみのもんたが駒野の母と直接中継で話し、その中で駒野の母が謝罪した」というデマが発生、各所に拡散した[25]。さらに、この事件を信じた一部ユーザーが政財界の著名人に対し意見を求め、マスコミを批判するコメントを発するといった事も起きた。
- 北乃きい結婚報道騒動
- 2012年5月11日、女優の北乃きいが俳優の三浦翔平と結婚したとの報道が発生。瞬く間にTwitter上で拡散され、情報の真偽を問う声や結婚報道に対する批判の声が上がった。直後に北乃は自分のブログにて結婚報道を否定した[26]。
- その後の検証により、ネット上の質問サイトにて、「2人が結婚を発表した」という書き込みから情報が拡散したのではと推測されている[27]。
海外におけるデマ[編集]
Twitterによるデマは日本だけでなく、世界でも同様のデマは多発している。以下はそれらの中から代表的なものを記述する。
- エミネムが自動車事故で死亡
- マネージャーが否定
- ベネズエラにある金融セクターの経営状況が危機的。
- このデマで風説の流布として2名の逮捕者が出ている。
- 航空会社の広報が否定
- ボビー・ブラウンが肺がんで死去
- 自身のラジオで否定
- ティエストが自動車事故で死亡
- 本人のツイートで否定
- ジョニー・デップが交通事故死
- 3歳の子供が誘拐される。
- デビッド・ベッカム・ヴィトクリア・ベッカム夫妻が破局
- 本人たちが否定
出典[編集]
- ↑ 震災でのデマ・ガセ情報に踊らされるな
- ↑ デマッター
- ↑ バカッターとは
- ↑ 4月から、17文字に ツイッター
- ↑ ツイナビのツイート
- ↑ フォロワー300人以下は強制退会 SNS化を徹底
- ↑ 橋下市長、市内の小中学生にツイッターを義務化
- ↑ 検証:橋下市長ツイッター義務化報道問題
- ↑ 【お詫び】虚構新聞の更新を一時停止します。大きくなりすぎました。
- ↑ UnNews:ツイッター日本語版、7月から全面有料化
- ↑ 「Twitter有料化」ネタが“デマ”になるまで Twitter公式アカウントが否定する騒ぎに
- ↑ Twitterご利用明細書メーカー作ってみた
- ↑ 2012.4月22日。なんで今さらTwitter有料化デマが広がったか。請求書メーカーを知らない人々
- ↑ Twitterユーザー、「有料アカウント創設」のデマ情報に踊る
- ↑ 放射脳とは
- ↑ 日本の暫定基準値が世界的に緩いとは必ずしも言えない
- ↑ セブンイレブンのお弁当の食材について衝撃のツイート→ソースは今から探します
- ↑ 「娘が給食に手をつけなくなったから給食費返せ」→炎上→「アニメアイコンは変質者」→炎上
- ↑ 震災がれき:搬入めぐり妨害の2人を逮捕 北九州市で
- ↑ “北九州、瓦礫焼却による放射能拡散予想図”は「おそらくこんな感じだろう・・・」と作図されたものだった。
- ↑ 「放射能によって塩素が変質し、ホルムアルデヒドが発生した可能性が高い」だと?!
- ↑ 在韓日本大使館前に慰安婦象徴の少女像設置
- ↑ 朝日新聞の「アサヒコム」偽サイトが登場 「韓国へ慰安婦像7体を寄贈」で356万ヒット
- ↑ 作者のページ
- ↑ 駒野選手の母が謝罪? デマも広がるツイッター 情報リテラシーが問われる時代に
- ↑ 誤報
- ↑ 北乃きい、三浦翔平との結婚の噂を否定……「何故こんなガセが流れたのかわかりません」