駐車場
駐車場(ちゅうしゃじょう)とは、自動車を停める場所。停めるべき場所として、建物の前やパーキングエリア、サービスエリアなどに設置される。なお、原動機付自転車や自転車を停める場所は一般に駐輪場と呼ぶこともあるが、法律が定められている自転車駐車場などのように、自動車以外の駐車場を指すこともある。
自動二輪車については、駐車場法の一部改正[1]により駐車場法第2条第4号の「自動車」の定義に大型自動二輪車及び普通自動二輪車(以下両者をあわせ「自動二輪車」という。)が加えられ自動車と同じ扱いになった。
日本における現状[編集]
地方自治体は、都市計画法で定める都市計画区域内に駐車場整備地区を指定し、駐車場法で定める「駐車場整備計画」を策定することが出来る。
店舗等では利用者に対して附置義務駐車場を無料で貸す場合もあるが、一般には用務地に駐車場がない場合等には、別に一時的に駐車するスペースを時間貸しする場合が多い。都市部においては、建物の附置義務駐車場やパーキングメータなどに加えて、違法な路上駐車を防ぐ目的で簡易な路外駐車場として増やす動きもある。
広さ的に住宅・建物を建てるのに不向きな土地ないしは広さは十分だが用途を不確定にしている土地を駐車場に充てる場合もある。この場合、駐車場経営について専門家ではない地主が、大手駐車場経営会社に運営を委託することが多い。
駐車場法によると、名称、管理者の氏名及び住所(法人には、名称・事務所の所在地代表者の氏名及び住所)、供用時間、駐車料金に関する事項などを管理規程に定め、供用開始後10日以内に都道府県知事に届け出なければならないとされている。各自治体では駐車場整備計画を連動させ、駐車場条例として運用している。
日本においては2006年(平成18年)6月1日から駐車禁止の取締りが都市部の重点路線等で強化されたので(駐車監視員・放置違反金制度の導入)、駐車場の需要が拡大する傾向にある。
大阪府を中心とする関西一円では、民間駐車場の事を「モータープール」と呼ぶ。元々はアメリカ軍の車両部隊や官庁の公用車の待機所または部隊自体の事で、原語の「motor pool」に駐車場の意味はない。現在でも米軍施設や自衛隊では用いられており、厳密に言えば日本各地に存在するが、民間駐車場の呼び名としては関西でしか用いられない。
分類[編集]
設置場所による分類[編集]
駐車場法では、設置場所によって分類をしている。
- 路上駐車場
- 駐車場整備地区内の道路の路面に一定の区画を限って設置される自動車の駐車のための施設であって一般公共の用に供されるものをいう。パーキングメーターなどにより、料金の徴収を行うことが出来る。
- 路外駐車場
- 道路の路面外に設置される自動車の駐車のための施設であって一般公共の用に供されるものをいう。駐車場法その他の法令で安全上の基準が定められている。
- 都市計画駐車場
- 路外駐車場の一種。道路交通が著しく集中し込み合う地区で、道路の効用を保持し、円滑な道路交通を確保する必要のある区域(駐車場整備地区)において、その地区内の駐車需要に応ずるため、都市計画によって定められる駐車場。
形態による分類[編集]
- 平面駐車場
- 通称「平駐」。郊外の一般駐車場の場合はこの駐車場のタイプが多い。ある意味では一番単純な駐車場であり、自動車の区画のみを区切ることで駐車スペースとなる場合が多い。
- 立体駐車場
- 通称「立駐」。市街地や郊外の大規模ショッピングセンターの場合はこの駐車場のタイプが多い。また、ビルディング・マンションなどで地下・屋上に駐車場を設ける場合でもこう表現する場合もある。なお、市街地で簡便なものとしては、鋼材によって組み立てられるものもある。なお、建物の構造から来る高さの制限があるが、後者のそれに比べ、建物そのものに起因することから、おおむね2m~2.5m程度と比較的高さが高く設定されている。
- 自走式
- 平面駐車場の車両制限は無い場合が多いが、自走式立体駐車場の多くは取り分け大規模なものを除いて平均1790mmの高さ制限を設けている。このためSUVのような比較的大きな車両でない場合でも駐車できない事がある。機械式と異なる点として高さ以外の制限は無い場合が多い。
- 機械式
- タワー式、2段・多段式、地下式など。タワー式の場合は「タワーパーキング」の通称が一般的。一般的に多くのタワーパーキングは自走式より厳しい高さ制限(1550mm未満が多い)と車幅制限(1850mm未満が多い)を設けており、一部のミニバンやトールワゴン、SUVなどいわゆるハイルーフ車やメルセデス・ベンツ Sクラスやレクサス・LSなどの大型高級車は駐車できない場合が多い。例として1550mm制限の場合、トヨタ・カローラスパシオ(車高1610mm)でも全高制限に接触する。2004年の国交省の調べでは首都圏、名古屋市、大阪市内に設置されたタワーパーキングの内、比較的小規模なものを除いて1550mm以上に対応できるものは全体の8%程度であり、1900mm以上に対応可能なものは全体の2%に満たず、減少傾向にあるとしている。タワーパーキングは土地面積が狭く限られていても営業できるため土地事情に厳しい駅前や都市中心部に設置される場合が多い。また構造上盗難に遭いにくい。そのため利用者は他の駐車場に比べて増加傾向にある。しかしながら人口過密地域であればあるほど地価も高く収容可能台数も経営に大きな影響を及ぼす。なお、車高2000mm程度のハイルーフ車に対応する大型のエレベーターを設置した場合、駐車場全体の45%~60%もの収容可能台数を犠牲にしなければならない。こうした事情や近年の軽自動車、小型車人気との相乗効果もあり、ハイルーフ車も収容可能な大型タワーパーキングの普及を足踏みさせる原因となっている。一般的な1550mmの収容サイズに対応できる最大の自動車にはトヨタ・ラウム(4WD 1545mm)、スズキ・スイフト(1540mm)、ホンダ・オデッセイ(3代目 1550mm)、三菱・eKワゴン(1550mm)などがある。但し、オデッセイ、eKワゴン等の全高1550mm丁度の車両に関して、厳密には1550mm未満の制限を設けている一般的なタワーパーキングには駐車できない。しかしながら、こうしたタワーパーキングは全高制限にある程度の余裕を設定しているため多くは許容されるが、同事由により管理会社によっては駐車を断られる場合もある。またタワーパーキングはその構造上、車高を下げた国産自動車や左ハンドル車も駐車できない場合が多い。
使用契約の期間による分類[編集]
駐車場使用契約を結ぶ際に使われる一般的な契約方法をあげておく。
- 時間貸し(コインパーキング)
- 都市部に多い。
- 日貸し駐車場
- 日単位で契約する。鉄道駅や空港、バスターミナル近隣に設置されていることが多い。
- 月極(つきぎめ)
- 不動産賃貸契約と同じ手法が取られるケースが多い。基本的に1箇月後も更新されることが多い。ちなみに、「げっきょく」「つききわめ」は誤読。
- 年払い
- 年間契約。
なお、駐車場の中には長期にわたる駐車場使用契約車の使用区画と一時的使用に用いられる区画と同一敷地内に設置してある場合もある。
- 定期契約
- 時間の流れという意味があり、いろいろな契約形態が可能になり、幅広い駐車形態を生み出すことができる。
駐車場をめぐる問題[編集]
- 畑や緑地、水辺空間を削って駐車場がつくられていることによって、ヒートアイランド現象が深刻になる可能性がある。
- 巨大な駐車場が建物を建設する空間やオープンスペースを圧迫する。空間の有効利用をはかるため立体駐車場を建設すると、逆に建設費がかさむ。
- 夜間、駐車する自動車が少ない駐車場の場合、暴走族などのたまり場になっている。
- 集合住宅などでは、1階部分に駐車場のための大きなピロティを配置することで、耐震壁が少なくなったり、位置が偏ったりし、大地震に弱い構造となることが多い。阪神・淡路大震災ではピロティ構造の建物の被害が目立った。
- 身体障害者が運転する自動車および介護の必要な障害者を同乗させている場合は専用の広いスペースの駐車場(主に車椅子のマークとスペースのしるしがある)が必要だが、一部の身勝手なドライバーが「入り口に近いから」と強引に駐車する例が多く見受けられる。一見して障害者が利用しているかどうかがわからない自動車が多いことや、本来障害者の利用する自動車にしか貼ってはならない車椅子マークを「駐車してもとがめられないため」と、障害者と無関係なドライバーが貼る事で、障害者の迷惑になる。
脚注[編集]
- ↑ 平成18年5月31日公布。
関連項目[編集]
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