崎陽軒
株式会社 崎陽軒(きようけん)は、神奈川県横浜市西区に本社を置く、主に焼売(シウマイ)の製造販売ならびにレストラン経営をおこなう企業である。
横浜名物のシウマイ(崎陽軒の焼売はシウマイと表記する)、駅弁の「シウマイ弁当」を製造、販売していることで有名である。また、中華料理店やイタリア料理店など、レストランも経営している。工場は横浜市都筑区と東京都江東区の2か所に所在する。
名前の由来[編集]
創業者の久保久行が長崎出身である事にちなみ、長崎の漢文風の美称である「崎陽」に由来する[1]。なお、崎陽軒の工場見学の案内では、長崎にある場所で太陽が昇る岬という意味を持つ「崎陽岬」を由来と説明している[2]。
ひょうちゃん[編集]
ひょうちゃんは1955年から同社製シウマイの箱中に封入されている陶器製醤油入れの愛称で、ひょうたん型容器に多種多様な表情が描かれている。ファンも多く、ひょうちゃんコレクターも存在する[3]。1996年、フタがコルク栓からゴム製のものに変わる。また、関連商品として同社からひょうちゃんサブレなども発売されている。ひょうちゃんの顔を書いていたのは「フクちゃん」を書いた有名なマンガ家、横山隆一の手によるものだったが、その後イラストレーターの原田治に変わった。2003年からは横山隆一の作品に戻っている。製造は愛知県瀬戸市にあるヤマキ電器が担当している。2008年、崎陽軒創業100周年記念としてサントリー洋酒のアンクルトリスを手がけた柳原良平による絵柄のひょうちゃんが封入された。
シウマイ娘[編集]
崎陽軒の女性従業員の代表が、横浜駅の東海道本線ホームで駅弁形式で販売するスタッフのことを言う。それまで、駅での販売はすぐ近くに東京駅など、東京近郊区間の大ターミナル駅が多いため、あまり向かなかったことから、崎陽軒は従業員に赤いチャイナドレス風の衣装と、ミス・コンテスト受賞者と同じたすきをつけてもらい、シウマイの販売を1950年ごろから始めたとされており、以後横浜駅の名物となった。[4]桂歌丸の妻・冨士子もその昔、シウマイ娘をしていた。[5]
この「シウマイ娘」は映画・小説の題材にもなり、1952年に毎日新聞で獅子文六によって連載された「やっさもっさ」という横浜を舞台にした小説にも、花咲千代子なる女性がシウマイ娘として登場し、1953年、法人化(合名会社)30周年記念として行った映画化に際しては花咲の役を桂木洋子が務めており、実際にシウマイ娘の制服・たすきをつけて演じている[6]
その後横浜駅での駅弁形式での販売は中断するが、2007年7月に東海道本線の横浜駅 - 国府津駅の区間の開業120年を記念した特別企画として、期間限定ながらそれを復活させている[7]
沿革[編集]
- 1908年 - 横浜駅(現桜木町駅)での営業許可を取得
- 1923年 - 合名会社崎陽軒を設立
- 1928年 - ホタテの貝柱を使って、冷めても美味しい「シウマイ」を開発・販売開始
- 1950年 - 宣伝のため横浜駅の構内に「シウマイ娘」を登場させる
- 1954年 - シウマイ弁当発売開始
- 1955年 - 「ひょうちゃん」が横山隆一により誕生
- 1967年 - シウマイの真空パックが完成(「真空パック」という言葉を使ったのは崎陽軒が最初)
- 2005年 - 地元横浜のサッカークラブ横浜F・マリノスに出資
- 2007年11月、JAS法違反(後述)判明
- 同年12月、大丸京都店・大阪阪急サン通りの店舗を閉鎖(関西地区から撤退)
主な商品[編集]
崎陽軒が発売している主な商品は以下の通り。
- シウマイ弁当:シウマイを主なおかずとして盛り込んだ幕の内弁当で、崎陽軒の代表的商品。駅弁としても売られている。
- 横濱チャーハン:中華料理のチャーハン風のごはんとおかずをセットにしたもの。冷めてもちゃんとおいしく食べられる。シウマイも入っている。
- 横濱中華弁当:エビのチリソースなどをおかずとした中華風の幕の内。シウマイも入っている。
- 幕の内:和風の幕の内弁当。
- 鯛めし:パッケージが鯛の形。680円(2013年10月現在)
- 季節限定弁当:季節ごとにモデルチェンジされる幕の内系の弁当。
- 百々(もも):2009年2月13日 - 3月31日販売の限定商品で、価格は700円。崎陽軒と共に、創立100周年を迎えた地元の高木学園女子高等学校とのコラボ企画。崎陽軒顧客層の若返りも担っている。女子高生達の意見を取り入れた、ヘルシーで見た目も「カワイイ」弁当。シウマイは辛うじて1個入が入り、デザートとしてピンクと緑の超ミニ大福が付く。
- シウマイ年賀状:毎年11月ごろから発売される。年賀状(オリジナルデザインはがき)と懸賞用のはがきがセットになっており、年賀状を受け取った人にはそこに印刷されているシウマイ引換券(1箱)を崎陽軒の各店舗で交換することができ[8]、購入した人にはシウマイ年賀状の応募はがきを送る事によって、豪華賞品が贈呈される[9]
その他[編集]
- シウマイに使う干貝柱は北海道猿払村産を使っている。猿払村漁業協同組合の加工場には崎陽軒の看板がかけられている。
- 原材料不適切表示問題
- 2007年11月28日、同月中旬に実施した社内調査にて「昔ながらのシウマイ」「真空パックシウマイ」「特製シウマイ」「フカヒレ粥」等9種類21品目(後に10品目22種類に変更)の自社製品の原材料表示について、本来表示すべき重量順となっておらず、JAS法(加工食品品質表示基準)[10]違反が判明した[11]。これを受け、崎陽軒は「シウマイ弁当」以外の自社製品を店頭から一時撤去し、農林水産省は本社と工場に立入検査をした[11]。
- 日本テレビで放送されている『ぶらり途中下車の旅』、過去のテレビ東京「日曜ビッグスペシャル」(いずれもスポンサーの一つ)や、崎陽軒のお膝元であるテレビ神奈川・横浜エフエム放送などで放送されているCMソングは「シウマイ旅情」というタイトルで、1968年に崎陽軒の創業60周年を記念して製作した同名タイトルの映画主題歌でもある。作詞は伊藤アキラ。作曲は越部信義。
- 横浜DeNAベイスターズの本拠地・横浜スタジアムでは、1978年の開業以来35年間、外野・右中間フェンスに「崎陽軒シウマイ」の広告が掲示され続けている。
脚注・出典[編集]
- ↑ eチラシドットコム☆横浜名物・シュウマイ☆より
- ↑ たとえば次のブログ。[1]しかし、この説明には疑問が残る。本文に書かれているように「崎陽」とは長崎そのものの美称であるからだ。たとえば次のものは、長崎市にある諏訪神社の祭の図だが、長崎をさすことばとして、「崎陽」が使われている。崎陽諏訪明神祭祀図また、次のものも同様である。天保十五年崎陽表異船録
- ↑ ひょうちゃん博物館
- ↑ 崎陽軒公式サイト「崎陽軒の歩み・歴史 1950年(昭和25年) シウマイ娘登場」
- ↑ 47クラブ「元祖キャンペーンガール!?横浜駅に現れた真紅の看板娘たち」(神奈川新聞提供)
- ↑ 崎陽軒公式サイト「崎陽軒の歩み・歴史 1952年(昭和27年) シウマイ娘新聞小説に登場・映画になる」
- ↑ 産経新聞iza!「駅弁文化・駅弁ニュース・シウマイ娘が横浜駅に登場」(福岡健一、2007年7月21日、2014年1月16日閲覧)
- ↑ 基本的には「昔ながらのシウマイ」。地方デパートなどのお土産コーナーなどでの販売では「真空パックシウマイ」との引き換えになる場合もある。
- ↑ シウマイ年賀状(2014年版)
- ↑ maff.go.jp - 加工食品品質表示基準。
- ↑ 11.0 11.1 神奈川新聞 - 2007年11月28日「原材料の順序を誤表記で、シューマイの販売自粛 崎陽軒」、崎陽軒 - 「原材料表示に関するお詫びと表示変更についてのお知らせ」。