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+ | 独裁者が暴政を行った場合、その国は非常に不安定となる。またそうなった場合、その国全体が人の生活を低下させるだけでなく、命の危険に晒される。また、独裁者の命も例外ではない。独裁国家の場合、独裁者本人(つまりその国のNo.1の人間)は常に政敵からの暗殺の危険に怯えなくてはならず、他の政治形態の最高指導者と比較すると猜疑心が強くなる。そのため、独裁者に次ぐ人間(No.2やNo.3の人間以下政権中枢の人間)は常に独裁者からの粛清の危険に晒される。 | ||
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+ | 独裁者は一般的に民族や国家を自分と同一視させる。そして自分に反対する者を民族、国家の裏切り者として弾圧する傾向にある。また、国民の不満を逸らすためにも意図的に反対派や少数民族を弾圧することも多い。そのように独裁者によって引き起こされた悲劇は、[[粛清]]、[[民族浄化]]など枚挙に暇が無い。 | ||
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+ | イギリスの政治家[[ウィンストン・チャーチル]]は独裁制に魅力を感じる風潮を戒め、次のように述べている。「民主主義は最悪の政治体制といえる。これまで試みられてきた、民主主義以外の全ての政治体制を除いた場合だが。」 | ||
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+ | {{lang-en-short|''Dictator''}}の語源[[共和政ローマ]]の官職の一つ、[[独裁官]](どくさいかん、{{lang-la-short|dictator}}、ディクタートル)は国家の非常事態に任命され、6ヶ月間に限り、国政を一人で操ることができた。 [[紀元前44年]]、[[ガイウス・ユリウス・カエサル]]は自らを終身独裁官に任命したことにより、共和政は解体し、一人支配が常となる帝国に似た元首政が誕生する礎となった。 | ||
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+ | 独裁者と[[絶対君主制|専制君主]]の違いは諸説あるが、独裁者は[[選挙]]や[[委任]]などで選出された人物であり、専制君主は[[世襲]]や軍事力で地位についた人物であるという分け方がある。ただし独裁者の中には、明らかに[[世襲]]や軍事力で地位についた、実質上の専制君主と言える者も存在する。ただしそれら独裁者は、[[不正選挙]]、あるいは議会の議決を暴力で強制するなど、多数意見を反映しているという偽装を行っているケースが多い。また、現政権は国民の多数意思を反映しておらず、それと比べれば軍隊のほうがより国民の多数意思を反映しているという場合もあるので、軍事力で現政権を打倒して独裁者の地位に就いた人物であっても、専制君主的とは言い切れない場合もある。 | ||
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2021年3月22日 (月) 06:38時点における最新版
独裁者(どくさいしゃ)とは一人の人物に政治上、軍事上、経済上などの権力が集中している人物を言う。また、「テンプレート:先編集権」を張ると、誰でも独裁者になれます。ウィキペディアにおける独裁者は「ウィキペディア日本語版の管理者」を参照のこと。
概説[編集]
近代に入って、法律上国民または有識者に選ばれた形になっているが、現実には一人の人物に権力が集中し、その者が国政を操っている状態を独裁制、そしてその権力が集中した人物のことを独裁者と呼ぶ。
多数決の原則によるとされる民主主義であるが、これは民主主義の一面でしかなく、実際には少数意見の尊重こそ民主主義の要である。それゆえに、実際の政策を決める際には多くの話し合いや手続きを要する。
独裁制は、少数意見尊重の民主主義に付き物の数々の煩雑な手続きが無くなるため、目的を達成する効率が良い。また、独裁者が有能な場合は、国民の大多数の意見を伺ってそれに従うよりも、より高所に立った合理的判断をすることができる。
そのひとつの典型はベニート・ムッソリーニである。当時のイタリアは議会の過半数を獲得できない少数政党が乱立しており、議員数の配分こそ国民の意思の反映であったものの、国民の意思に即した政策が実行できないという不合理な状態にあった。そんな中で登場したムッソリーニは、「選挙で25%以上の得票率を得た第一党が議会の議席の3分の2を獲得する」という法律によって独裁権を確立した。これは少数政党乱立に辟易していた国民の意思を反映していたのである。
そして、実際にトルコ共和国の初代大統領ケマル・アタテュルクの様に、後世でも称えられる独裁者もいる。
問題は、独裁者の判断が偏狭または不合理であっても、それを止める方法が合法的に存在しないことにある。システムとしての独裁制には、独裁者の暴走へのチェック機能が存在しないことが問題点となり、常に暴政に変貌する危険を秘めている。
独裁者が暴政を行った場合、その国は非常に不安定となる。またそうなった場合、その国全体が人の生活を低下させるだけでなく、命の危険に晒される。また、独裁者の命も例外ではない。独裁国家の場合、独裁者本人(つまりその国のNo.1の人間)は常に政敵からの暗殺の危険に怯えなくてはならず、他の政治形態の最高指導者と比較すると猜疑心が強くなる。そのため、独裁者に次ぐ人間(No.2やNo.3の人間以下政権中枢の人間)は常に独裁者からの粛清の危険に晒される。
そして、そういった暴政には多くの場合、言論の自由が制限される。報道機関は管制され、一般国民も自由に意見を述べる権利が大幅に削られることが多い。大多数の国民の支持によって独裁者が誕生した時は、それは国民の大多数の利益に反する者を排除するという事で、多くの国民に支持される政策であったものが、独裁者が多数意見と乖離した時には、大多数の国民に対しての権利侵害となるのである。
独裁者は一般的に民族や国家を自分と同一視させる。そして自分に反対する者を民族、国家の裏切り者として弾圧する傾向にある。また、国民の不満を逸らすためにも意図的に反対派や少数民族を弾圧することも多い。そのように独裁者によって引き起こされた悲劇は、粛清、民族浄化など枚挙に暇が無い。
イギリスの政治家ウィンストン・チャーチルは独裁制に魅力を感じる風潮を戒め、次のように述べている。「民主主義は最悪の政治体制といえる。これまで試みられてきた、民主主義以外の全ての政治体制を除いた場合だが。」
英:Dictatorの語源共和政ローマの官職の一つ、独裁官(どくさいかん、羅:dictator、ディクタートル)は国家の非常事態に任命され、6ヶ月間に限り、国政を一人で操ることができた。 紀元前44年、ガイウス・ユリウス・カエサルは自らを終身独裁官に任命したことにより、共和政は解体し、一人支配が常となる帝国に似た元首政が誕生する礎となった。
独裁者と専制君主の違いは諸説あるが、独裁者は選挙や委任などで選出された人物であり、専制君主は世襲や軍事力で地位についた人物であるという分け方がある。ただし独裁者の中には、明らかに世襲や軍事力で地位についた、実質上の専制君主と言える者も存在する。ただしそれら独裁者は、不正選挙、あるいは議会の議決を暴力で強制するなど、多数意見を反映しているという偽装を行っているケースが多い。また、現政権は国民の多数意思を反映しておらず、それと比べれば軍隊のほうがより国民の多数意思を反映しているという場合もあるので、軍事力で現政権を打倒して独裁者の地位に就いた人物であっても、専制君主的とは言い切れない場合もある。
独裁者の一覧[編集]
注釈:ここで掲げる独裁者の一覧はあくまでも参照である。独裁者かどうか意見の分かれるものも含まれていることをあらかじめご承知願いたい。
現代の独裁者[編集]
共和制国家[編集]
- フィデル・カストロ(キューバ共和国、国家評議会議長)
- 胡錦濤(中華人民共和国、共産党主席)
- 金正日(朝鮮民主主義人民共和国、国防委員長・朝鮮労働党総書記)
- カダフィ(社会主義人民リビア・アラブ国、役職は無いが「革命指導者」の称号)
- アレクサンドル・ルカシェンコ(ベラルーシ共和国、大統領)
- イサイアス・アフェウェルキ(エリトリア国、大統領)
- オマル・アル=バシール(スーダン共和国、大統領)
- テオドロ・オビアン・ンゲマ(赤道ギニア共和国、大統領)
- パルヴェーズ・ムシャラフ(パキスタン・イスラム共和国、大統領)
- タン・シュエ(ミャンマー連邦、国家平和発展評議会議長)
- バッシャール・アル=アサド(シリア・アラブ共和国、大統領)
- イスラム・カリモフ(ウズベキスタン共和国、大統領)
- アリー・ハーメネイー(イラン・イスラム共和国、最高指導者)
- イルハム・アリエフ(アゼルバイジャン共和国、大統領)
- ウゴ・チャベス(ベネズエラ共和国、大統領)
君主国家[編集]
- カーブース・ビン=サイード(オマーン国、国王)
- ムスワティ3世(スワジランド王国、国王)
- シェイク・ハマド・ビン・ハリーファ・アール・サーニ(カタール、首長)
- アブドゥッラー・ビン=アブドゥルアズィーズ・アッ=サウード(サウジアラビア、国王)
- シェイク・ジャービル・アル・アハマド・アル・ジャービル・アル・サバーハ(クウェート、首長)
- ギャネンドラ・ビール・ビクラム・シャー・デーヴ(ネパール王国、国王)
歴史上の独裁者[編集]
- ペリクレス(古代アテナイの第一人者の地位を15年独占)
- ガイウス・ユリウス・カエサル(共和政ローマ 独裁官)
- オリバー・クロムウェル(イギリス 護国卿)
- ウィレム1世およびその子孫(オラニエ=ナッサウ家)(ネーデルラント連邦共和国 総督の地位を独占)(→後にオランダ王家となり、独裁者でなく君主となる)
- ナポレオン・ボナパルト(ナポレオン1世)(フランス第一帝政*、皇帝)
- ルイ・ナポレオン(フランス第二帝政、皇帝)
- ウラジーミル・レーニン(ソビエト社会主義共和国連邦、人民委員会議議長)
- アドルフ・ヒトラー(ナチス・ドイツ崩壊ともに自殺、国家元首と政府首班を兼務)
- ベニート・ムッソリーニ(イタリア王国ムッソリーニ政権、イタリア王国首相兼ファシスト評議会総帥)
- ヨシフ・スターリン(ソビエト社会主義共和国連邦、ソ連閣僚会議議長)
- サダム・フセイン(イラク共和国、イラク戦争で米軍に逮捕され、絞首刑に処される。大統領)
- ニコラエ・チャウシェスク(ルーマニア社会主義共和国、ルーマニア革命後失脚し、銃殺刑に処される、大統領)
- エンヴェル・ホジャ(アルバニア人民社会主義共和国、首相)
- イディ・アミン(ウガンダ共和国、大統領)
- フランソア・デュバリエ(ハイチ共和国、大統領)
- アントニオ・サラザール(ポルトガル共和国、首相)
- ケマル・アタテュルク(トルコ共和国、大統領)
- スカルノ、スハルト(インドネシア共和国、大統領)
- フランシスコ・フランコ・バハモンデ(スペイン、総統)
- フアン・ペロン(アルゼンチン共和国、大統領)
- ポル・ポト(民主カンプチア、首相)
- フランクリン・ルーズベルト(第32代アメリカ大統領 大統領は二選までという慣例を破って、大統領四選は独裁ではないかと主張する立場からのもの。なお後に慣例は修正憲法の規定となる)
- 金日成(朝鮮民主主義人民共和国、国家主席)
- 毛沢東、江沢民(中華人民共和国、共産党主席)
- 袁世凱、蒋介石、蒋経国(中華民国、総統)
- 西太后(清、皇太后)
- マヌエル・ノリエガ(パナマ共和国、国軍最高司令官)
- 李承晩、朴正煕、全斗煥(大韓民国、大統領)
- モハメド・シアド・バーレ(ソマリア民主共和国、大統領)
- メンギスツ・ハイレ・マリアム(エチオピア人民民主共和国、大統領)
- ゴ・ディン・ジエム(ベトナム共和国、大統領)
- ヘイダル・アリエフ(アゼルバイジャン共和国、大統領)
- ハフェズ・アル=アサド(シリア・アラブ共和国、大統領)
- ムーサ・トラオレ(マリ共和国、大統領)
- フェルディナンド・マルコス(フィリピン共和国、大統領)
- プレーク・ピブーンソンクラーム(タイ王国、首相)
- ニャシンベ・エヤデマ(トーゴ共和国、大統領)
- アウグスト・ピノチェト(チリ共和国、大統領)
- エンゲルベルト・ドルフース(オーストリア共和国、首相)
- ジャンバプティステ・バガザ(ブルンジ共和国、大統領)
- マシアス・ンゲマ(赤道ギニア共和国、大統領)
- ウゴ・バンセル・スアレス(ボリビア共和国、大統領)
- ポルフィリオ・ディアス(メキシコ合衆国、大統領)
- マウン・マウン、ソウ・マウン(ミャンマー連邦、国家法秩序回復評議会議長)
- トドル・ジフコフ(ブルガリア人民共和国、国家評議会議長)
- エーリッヒ・ホーネッカー(ドイツ民主共和国、国家評議会議長)
- ラファエル・トルヒーヨ(ドミニカ共和国、大統領)
- ジャン=ベデル・ボカサ(中央アフリカ帝国、皇帝)
- フルヘンシオ・バティスタ(キューバ共和国、大統領)
- リー・クアンユー(シンガポール共和国、首相)
- ユゼフ・ピウスツキ(ポーランド共和国、国家元首)
- モブツ・セセ・セコ(ザイール共和国)、大統領)
- ネ・ウィン(ビルマ連邦共和国)、大統領)
- サパルムラト・ニヤゾフ(トルクメニスタン、大統領)
集団による独裁[編集]
特定個人が国政を握るのではなく、特定集団が政治を握る寡頭制による独裁もある。独裁者として扱うか意見が分かれている歴史上の人物については、「独裁権力を持った集団の第一人者に過ぎない」という場合がある。
関連項目[編集]
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