MADLAX
『MADLAX』(マドラックス)は、2004年4月5日から同年9月27日までテレビ東京とテレビ大阪で放送されたテレビアニメ。全26話。
目次
概要[編集]
監督の真下耕一によると、「MADLAX」は英語の "MAD" と "reLAXed" からの造語であるとのこと。作品のテーマの一つである人間の二面性を、タイトルでも暗示したことになる。
なお、『NOIR』(2001年)、『エル・カザド』(2007年)は、本作と併せて「三部作」と位置付けられている。
ストーリー[編集]
近代化を推し進める政府の国王派と、それに反発する反政府組織ガルザとの間で12年の長きに渡り内戦を続ける、ガザッソニカ王国。そこでは、マドラックスと名乗る一人のエージェントの存在が、政府軍兵士と反政府ゲリラ双方の間で知れ渡っていた。少女のあどけなさを残す顔立ちと大人の色気をほのかに漂わせる肢体を併せ持ち、驚異的な戦闘能力を誇る美少女・マドラックス。そのマドラックスに、秘密組織アンファンのエージェントであるカロッスア・ドーンが興味を持つ。カロッスアは、マドラックスに遭遇しながら唯一生き残った政府軍の女性士官リメルダ・ユルグを配下に加え、執拗に彼女の行方を追う。
一方、先進国ナフレスではマーガレット・バートンという一人の美少女が、メイドのエレノア・ベイカー、元家庭教師で隣人のヴァネッサ・レネに見守られながら、何不自由ない生活を送っていた。しかし、エレノアとヴァネッサには唯一気がかりなことがあった。12年前、マーガレットは両親と飛行機事故に遭いながら単身自宅まで帰還したばかりか、それ以前の記憶を失っていたのだ。「12年前、マーガレットの身に何があったのか」、二人にはそのことが気がかりだったのである。
全く別々の場所で対照的な生活を送る、マドラックスとマーガレット。しかし、マーガレットが自宅で見つけた赤い本の秘密を探り始め、ヴァネッサが内戦の原因を探るためにガザッソニカに飛んだことで、隠されていた二人の接点が明らかになっていく…。
キャラクター[編集]
ガザッソニカ王国[編集]
- マドラックス (声:小林沙苗)
- 雇われの凄腕エージェント。幼い時に戦火の中をさ迷っている所をSSSに拾われ、エージェントとなる。幼い時の記憶はなく、戦火の中をさ迷っていた理由も覚えていない。ただ、父親については後姿のみ微かに覚えている。銃の腕前は百発百中で、任務遂行の邪魔者は容赦なく射殺する。ただし、任務の依頼者には興味を持って接し、情を掛けてしまう傾向がある。特にヴァネッサとは意気投合し、親密な関係となった。愛用の拳銃はSIG P210。
- リメルダ・ユルグ (声:久川綾)
- ガザッソニカ軍中尉でエリート部隊である親衛隊の女性士官。有能なスナイパーで陸軍司令官暗殺事件でマドラックスと対峙して以来、彼女を追い求める。マドラックスと対決するために親衛隊を離れてカロッスアの指揮下に入るが、彼女との対決を重ねるうちにマドラックスという人間そのものに魅入られ、カロッスアの思惑を離れた動きを見せるようになる。
- SSS (声:浦山迅)
- スリースピードと呼称される謎のエージェントで、マドラックスに仕事を与える。劇中ではマドラックスと直接会うことはなく、電話でしか話さない。第3話で目から下の横顔は出たが、全体像は登場しなかった。後の『MADLAX the Bible』には、全体像の設定資料が載っている。
ナフレス[編集]
- マーガレット・バートン (声:桑島法子)
- メイドのエリノアと二人暮らし中の女学生。12年前、両親と共に飛行機事故に遭遇するが、行方不明の両親とは対称的に単身で帰宅。事故以前の記憶はその際、既に失われていた。実家は名門貴族の流れを汲むことから莫大な財産に恵まれているので、生活には全く困っていない。そのため、多少浮世離れした感があり、他人を疑わず簡単に付いて行ってはエリノアに心配されている。しかし人間を見る目はしっかりしていて、時折、対峙している相手の本性を看破する。また、自宅で見つけた赤い本には異常に執着しており、赤い本の謎を探るために尽力している。
- エリノア・ベイカー (声:内川藍維)
- マーガレット付きのメイド兼護衛。外見はマーガレットとほぼ同じ年齢のように見られるが、高校は飛び級で卒業済み。また、武術の心得があるのか、いざという時には華麗な技を披露する。マーガレットが12年前に事故現場から単身帰宅して以来、彼女に対して「自分が守らなくては」という思いを強く抱くようになり、現在ではその世話を生き甲斐のように感じている。また、マーガレットと同じ学校の男子生徒を全てチェックし、マーガレットに素行の悪い男子が近づかないようにしている・旅行中に出会った男性にマーガレットが興味を持っていることをヴァネッサに指摘されるとムキになって否定する(このときはヴァネッサから「妬いているの?」とからかわれていた)…などの描写から、彼女に対しては主従の関係を超えた好意を持っている模様。
- ヴァネッサ・レネ (声:雪野五月)
- マーガレットの隣人にして幼い頃の家庭教師であり、現在は良き相談相手。最高学府を優秀な成績で卒業し、コンピューターに対する造詣が深い。過去に外交官であった両親が、ガザッソニカの内戦を起こしたとされて捕まった。自分の勤めている会社がガザッソニカの内戦に荷担しているのを知り、両親の無実を証明すべく、自分の会社の情報を掴もうとするが、その際に謎の組織アンファンがガザッソニカの内戦に関係していることを知り、彼らから命を狙われるようになる。成り行き上、自分の掴もうとした情報がガザッソニカのあるコンピューターに転送されてしまったため、それを回収すべく自らガザッソニカに飛び、マドラックスをボディーガードとして雇った。しかし、マーガレットと大して歳が違わないにもかかわらず危険な仕事に従事するマドラックスに興味を覚え、次第に親しくなっていく。
- チャーリー・ウィストン (声:川島得愛)
- ヴァネッサの同僚で、彼女の下で働いている社員。軽薄そうな外見からか、マーガレットには劇中で2回ほど本能的に避けられた。ヴァネッサがガザッソニカで事件に巻き込まれているのを知ると、自らもガザッソニカに渡り、安否を確かめようとする。
アンファン[編集]
- フライデー・マンデー (声:江原正士)
- アンファンの総帥。数年前に真実の扉を開き、内乱を引き起こした張本人。マーガレット一家が遭った12年前の飛行機事故も、彼が引き起こしたものである。カロッスアが彼に逆らっていると判断された場合の恐怖を度々口にしていることから、相当な力を持つ者と思われる。
- カロッスア・ドーン (声:森川智之)
- アンファンのエージェント。表向きはヴァネッサが勤める会社の幹部。何故かマドラックスの存在に興味を覚え、執拗に行方を追う。一方、フライデーの命令でマーガレットの持っている赤い本についても調査を進めるが、時折嘘の報告をするなど、必ずしもフライデーの思惑通りには動いていない。
聖地[編集]
- クアンジッタ・マリスン (声:兵藤まこ)
- 聖地の美しき神官、もしくは巫女。真実の扉の手がかりを知っている。
- ナハル (声:中野千佳代)
- クアンジッタに仕える謎のボーイッシュな女性。ナイフの達人で、個々の戦闘力ではマドラックスと同等かそれ以上。
- レティシア (声:金田朋子)
- 「聖地」に存在する謎の幼女。意味深な言葉を語る。
- プゥペ
- レティシアの傍らにいる謎の幼児。レティシアのように何かを語ることは無く、殆ど黙っている。実は劇中で2回ほど台詞があるが、エンディングクレジットには出ていない。
以上で作品の核心的な内容についての記述は終わりです。
スタッフ[編集]
- 企画:佐々木史朗
- プロデューサー:北山茂・浜元達哉
- アシスタントプロデューサー:吉田博
- 監督:真下耕一
- シリーズ構成・脚本:黒田洋介
- キャラクターデザイン:大澤聡・芝美奈子・宮地聡子
- キャラクター監修:大澤聡
- メカニックデザイン:寺岡賢司
- メカニック作画監督:才木康寛
- 色彩設計:小島真喜子
- 美術監督:海野よしみ
- 音楽:梶浦由記
- 音楽プロデューサー:野崎圭一
- 音響監督:なかのとおる
- 音響プロデューサー:中野徹
- 撮影監督:鎌田克明・斎藤仁
- 特殊効果:村上正博
- アニメーション制作:ビィートレイン
- 製作:ビクターエンタテインメント
各話タイトル[編集]
- 「銃舞 -dance-」4/5放送
- 「紅月 -crimson-」4/12放送
- 「蒼月 -moon-」4/19放送
- 「誘惑 -ask-」4/26放送
- 「無在 -none-」5/3放送
- 「遺言 -leave-」5/10放送
- 「繪本 -nature-」5/17放送
- 「魂言 -soul-」5/24放送
- 「残香 -scent-」5/31放送
- 「侵触 -dive-」6/7放送
- 「異国 -object-」6/14放送
- 「消意 -close-」6/21放送
- 「覚鳴 -awake-」6/28放送
- 「忘想 -memory-」7/5放送
- 「偽争 -camouflage-」7/12放送
- 「銃韻 -moment-」7/19放送
- 「刹那 -reunion-」7/26放送
- 「双離 -duo-」8/2放送
- 「獲本 -holy-」8/9放送
- 「真争 -wish-」8/16放送
- 「告薄 -guilty-」8/30放送
- 「撃情 -rage-」8/30放送
- 「迷心 -doubt-」9/6放送
- 「献心 -hearts-」9/13放送
- 「聖血 -saints-」9/20放送
- 「欠片 -pupile-」9/27放送
主題歌[編集]
- オープニングテーマ
- 「瞳の欠片」(FictionJunction YUUKA)
- エンディングテーマ
- 「inside your heart」(FictionJunction YUUKA)
- 挿入歌
- 「nowhere」(FictionJunction YUUKA)
- 「I'm here」(FictionJunction YUUKA)
備考[編集]
ヤンマーニなアニメ[編集]
主人公のマドラックスの戦闘シーンに使われている挿入歌『nowhere』(FictionJunction YUUKA)のコーラス部分では、ヤンマーニという謎のフレーズを連呼するため、ファンの間ではヤンマーニなアニメとして認知されている。
このフレーズについて、梶浦由記はホビージャパン発売の『MADLAX the Bible』で、「造語ですので、聞こえたままの響きが正解だと思っていただければ」と語っているが、この部分の歌詞は公表されていないために、実際に何と言っているのかは不明。ただ、梶浦本人はヤンマーニと言っているつもりは全くなかったようである。
一方では、ファンの反響を受ける形で、制作者サイドでもヤンマーニというフレーズを使用しており、結果的には公式にも認められた言葉になっている(DVD Vol.3 の解説の挿絵、DVD Vol.8 の解説、『MADLAX the Bible』のサブタイトルなどで使用されている)。
なお、黒田洋介は角川書店発売の月刊ニュータイプ2006年1月号で、「初めに断っておきますが、文章の出だしに『ヤンマーニ』と書きましたが、本当は『ヤンマーイ』と歌っているそうです。ビクターエンタテインメントさんから聞いた情報ですので間違いないと思われます」と発言しているが、これに関しては後日梶浦が自身のブログで、「とりあえず何と言っているかはご想像にお任せ致したく思っているのですが、『ヤンマーイ』で無い事だけは保証します」と言っているため、「ヤンマーイ」は誤りである。
補足を付けると、このコーラスが流れている間は意図的にマドラックスの戦闘能力を強調した描写が施されるために、2ちゃんねるなどでは彼女自身を無敵モードにする、もしくはそういうトランス状態に入ったことを視聴者に知らせる何らかの呪文であると解釈されている。
他作品とのリンク[編集]
本作中で使用されている通貨単位は『ガングレイヴ』(2003年)と同じ「ユール」(ユーロのもじり)であり、また、『極上生徒会』(2005年)には「ナフレス諜報機関」の工作員が登場するなど、他の黒田洋介脚本作品とのリンクが見られる。
外部リンク[編集]
- MADLAX公式サイト(ビクターエンタテインメント内)
- TV東京・Anime X-press MADLAX
- MADLAX the Bible
テレビ東京 月曜25:30枠 | ||
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