長崎新幹線

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九州新幹線長崎ルート(西九州ルート)(きゅうしゅうしんかんせん ながさきルート/にしきゅうしゅうルート)は、福岡市鹿児島市長崎市を結ぶ整備新幹線計画(九州新幹線)のうち、福岡市(博多駅)と長崎市(長崎駅)を結ぶルートを指す。

福岡市と鳥栖市間は鹿児島ルートと路線を共有(新鳥栖駅にて長崎ルートと鹿児島ルートが分岐[1])し、武雄温泉 - 長崎間はスーパー特急方式として新線を建設する計画となっていたが、後にフル規格に変更された[2]

「九州新幹線」として既に営業されている鹿児島ルートと区別するために単に「長崎新幹線」とも呼ばれることがある。

概要[編集]

基本計画は1972年(昭和47年)12月に決定されたが、経由地公表の前にその後の第一次石油ショックで凍結。1978年(昭和53年)に当時放射線漏れ事故を起こした原子力船「むつ」の修理を行う港が見つからず同船が「漂流」していた際に同じく当時経営難に陥っていた佐世保重工業の救済ともからめて修理を佐世保港で受け入れる代わりに佐世保市経由の長崎新幹線を建設する、という「念書」が存在する、と地元では語られてきた[3]。その後、1985年(昭和60年)1月に早岐経由のルートが公表された。ただし、当時の国鉄、その後のJR九州は共に「採算性に乏しい」として計画に消極的であった。現在の武雄温泉からの短絡ルート並びにスーパー特急方式での整備を提案したのは当時の佐賀県知事の井本勇であり、1991年(平成3年)11月のことだった。

計画時から「長崎ルート」と呼ばれてきたが、2005年(平成17年)10月に推進派の長崎県庁・佐賀県庁は独自に「西九州ルート」へと名称を変更した。「長崎ルート」表記では長崎県がことさら強調されるため、佐賀県民を取り込むには支障があるからである。推進側のJR九州もこれに対応し「長崎ルート」の名称は併記される形となった。政府・与党・法令上の名称は引き続き「長崎ルート」の呼称を用いており、これが正式名称である。

  • マスコミでも対応が分かれており、例えばテレビではNHKが「長崎ルート」を使用し、サガテレビは「西九州ルート」を使用する。新聞においては、全国紙の読売新聞が「長崎ルート」、朝日新聞は記者により「長崎ルート」や「西九州ルート」、毎日新聞は「長崎ルート」を先に記し括弧付きで「西九州ルート」を併記。地元紙の長崎新聞佐賀新聞は「長崎ルート」、ブロック紙の西日本新聞は「西九州ルート」と分かれている。
  • 同様の事例は全線開通前の長崎自動車道でも生じており、長崎県内区間は「長崎自動車道」、佐賀県内区間は「九州横断自動車道」と呼んでいた(九州横断自動車道は長崎自動車道の高速自動車国道としての路線名でもある)。

路線データ(予定)[編集]

  • 営業主体:九州旅客鉄道
  • 建設主体:鉄道建設・運輸施設整備支援機構
  • 軌間:
    • 新鳥栖駅 - 武雄温泉駅:1,067mm(狭軌)
    • 武雄温泉駅 - 長崎駅:1,435mm(標準軌)
  • 電化方式:
    • 新鳥栖駅 - 武雄温泉駅:交流20,000V (60Hz)
    • 武雄温泉駅 - 長崎駅:交流25,000V (60Hz)

ルート詳細[編集]

国土交通省による2011年12月26日発表時点での詳細は次の通り。

国土交通省は、2022年度の「完成」を目指すと発表している[4]

JR九州による運行計画[編集]

2007年(平成19年)4月の時点でJR九州が発表している、新線ほか関連路線を含めた運行計画は次の通り[6][7]。前述の『ルート詳細』以前の発表であるので、齟齬が生じている。あくまで当時のものであり、かなり状況が変わっているのでこれが決定ではない。

  • 博多駅 - 新鳥栖駅 - 武雄温泉駅 - (長崎ルート経由) - 長崎駅:32往復(フリーゲージトレインでの運転。新鳥栖 - 博多間は鹿児島ルートに乗り入れ)
  • 博多駅 - 鳥栖駅 - 武雄温泉駅 - (佐世保線経由) - 佐世保駅:16往復(在来線特急列車での運転。これまで通り全線在来線経由)
    • 新鳥栖駅 - 武雄温泉駅間・諫早駅 - 長崎駅間は現在の長崎本線・佐世保線の線路を使用する。佐賀・長崎両県は単線区間である肥前山口駅 - 武雄温泉駅間の複線化並びに高規格化を要望している[8][9]
    • 博多駅 - 新鳥栖駅間(鹿児島ルート)、武雄温泉駅 - 諫早駅間(軌間1067mm、ただし施設は将来のフル規格に対応できるように建設)は新線を使用。
    • 長崎駅、佐世保駅発着列車は別々に運行される。
    • 以上の列車とは別に、肥前鹿島駅発着の在来線特急列車を5往復程度運行する。なお、佐賀県の発表によると肥前鹿島から博多までの直通となり、現在の電車ではなく気動車による運行となる、とされている[10]。また、設定時間帯は肥前鹿島駅の特急利用客の多い朝夕中心となる。

なお、博多から先のJR西日本山陽新幹線区間への乗り入れについては、JR西日本社長の山崎正夫(当時)が定例記者会見の席上で、ダイヤ編成上他より遅い車両を走らせるのは難しいこと[11]や線路保守費の増大[12]などへの懸念からフリーゲージトレインによる乗り入れに難色を示す発言を行っている[13]

計画についての曲折[編集]

沿線となる長崎県民及び佐賀県民間に、建設についての反対意見が多数を占める中、第一期工事としての武雄温泉駅 - 諫早駅間については2005年度以降毎年10億円の予算が下りた。しかし着工認可のための大前提となる「並行在来線の経営分離への沿線地方公共団体の同意取付[14]」に関して、並行在来線沿線の鹿島市江北町が2005年(平成17年)8月に同意を正式に拒否し(当初はこの1市1町に加えて太良町も同意拒否に加わっていた)、着工は実現出来なかった。江北町の場合は田中源一町長が徹底反対の姿勢を貫き、町議会は2006年(平成18年)3月に経営分離に同意する旨の決議を行い、いわゆる「ねじれ」の状態にあった。ちなみに、かつては佐賀県側で経営分離の対象となるすべての自治体(1市3町)が反対姿勢を示していたが、建設推進の佐賀県庁による振興策呈示等に懐柔され、白石町が2005年(平成17年)12月、太良町が2006年(平成18年)2月に同意した。

その後、同意取り付けが得られないことに苦慮した推進側は、2007年(平成19年)12月17日に建設を推進する長崎県庁・佐賀県庁・JR九州による「三者合意」(並行在来線を上下分離方式によりJR九州が運行を継続するので経営分離とはならず、分離についての沿線市町の同意は不要になるという独自解釈に基づくもの)という脱法的な手段を繰り出し、局面打開を図った。これを受けて、2008年(平成20年)3月26日に国土交通省は鉄道建設・運輸施設整備支援機構に対し工事実施計画を認可した(認可が強行された)[15](詳細は後述)。

また、第二期工事として計画されているのは諫早駅 - 長崎駅間約21kmであり、長崎県では第一期工事の着工の目途がつき次第、国に対して早期着工を要望していく、としている。約1,100億円とされるこの区間の建設費の財源がないため着工の目処は立っていなかったが、2010年度の国土交通省の当初の概算要求には長崎駅部分の着工に向けた予算が計上されていた。しかし、2009年9月の政権交代に伴い新たに国土交通相に就任した前原誠司は新幹線の新規着工区間については「白紙に戻して見直す」としており、この区間の今後の行方は再び不透明となっている。

県内区間全線の着工を求めている長崎県とは異なり、佐賀県は新鳥栖駅 - 佐賀駅 - 武雄温泉駅間の着工は求めない、としている。これは佐賀平野が軟弱地盤であり難工事が予想され、佐賀県の建設費の実質負担額が約750億円と非常に大きいため、と説明されている。(これが江北町議会の同意決議につながった、と見る向きが多い要出典。当初の計画では新線は江北町内は肥前山口駅の北方を通過するだけで駅は設置されない予定だったためである。JR九州は、新幹線開業後は長崎方面の列車のうち2本に1本は引き続き肥前山口駅に停車し、佐世保方面の列車はこれまで通り全列車が停車する、としている)。

並行在来線をめぐる経緯[編集]

佐賀・長崎両県が当初示していた並行在来線の運行計画としては、以下の様なものであった。

  • いわゆる「上下分離方式」を採用し、線路・路盤・駅設備等の維持・管理は両県が責任を持って行う(第三種鉄道事業者)。
  • 実際に鉄道の運営を行う第二種鉄道事業者は以下の通りとする。
    • 肥前山口 - 肥前鹿島間:JR九州
    • 肥前鹿島 - 諫早間:両県が中心となって設立する第三セクター鉄道
      • 電化設備は使用せず、ディーゼルカーによる運行とする。交流電車は高価であること、また最低でも2両編成となるため効率が悪いため、としている(肥薩おれんじ鉄道とは異なり、この区間を走行する貨物列車は既にないため、電化設備を残す必要はない、としている)。
      • 肥前山口駅ではJR九州の列車との乗り換えが便利なように「対面乗り換え」とする。また、JR佐賀駅までの直通列車を走らせるようJR九州と協議する。
      • 新駅の設置も考慮する。運賃水準は現在のJR九州並みとする。
      • 運営費は松浦鉄道と同じ水準とする。

佐賀・長崎両県は、以上の計画が実施され、普通列車の乗客数が現在と同じ水準であると仮定した場合、第三セクター鉄道の収支はほぼトントンに収まる、と主張していた。この計画について、前述の運転計画とあわせた利便性の大幅な低下と、将来の並行在来線区間の(利用低迷による)廃線の可能性に懸念を示した鹿島市・江北町が肥前鹿島 - 諫早間の経営分離計画に同意せず、2005年度(平成17年度)以降長崎ルート(西九州ルート)の事業予算が毎年計上されながら工事着手が行えない状況が続いていた。同意しなかった2自治体は「JR長崎本線存続期成会」を結成し、並行在来線の第三セクター鉄道化に反対すると同時に、第一期工事の時間短縮効果が余り見込めない・費用対効果が悪い、といった主張を行っていた[16]。また、両自治体は長崎本線の輸送改善は新幹線建設ではなく既存区間の複線化で対応できると期成会において主張していたが、両県(特に長崎県)は時間短縮効果がほとんどない、複線化費用に対する国の補助金額が少なく現在の国の補助予算規模では肥前山口 - 諫早間の複線化に60年近くかかる、補助金以外の費用はJR九州ならびに佐賀・長崎両県の負担となり特にJR九州に負担の意思がない、等の理由を示し否定的見解を示し続けた。もちろん、この見解には将来の長崎新幹線の全線フル規格化を目論んでいる長崎県の意思が色濃く反映されている。

新幹線計画を推進したい佐賀・長崎両県は両市町との協議を継続しつつ、並行して新幹線の工事着手が可能となる方法を模索していたが、2007年(平成19年)12月17日、佐賀・長崎両県とJR九州の話し合いにより「並行在来線を引き続きJR九州が運行する方向」で合意した[17]。合意内容は、

  1. JR九州による並行在来線の運行は新幹線開業後の20年間とし、21年目以降の扱いについてはその時点で再び三者で協議する(JR九州社長の石原進(当時)は21年目以降の扱いは「当社の他の路線と同じ」との見解を示している)。
  2. 鉄道設備はJR九州が集中的に整備した上で佐賀・長崎両県へ14億円にて有償売却し、並行在来線に指定された肥前山口 - 諫早間を「上下分離方式」で運営する。

というものであった。この合意内容について、佐賀県知事の古川康は記者会見で「これは経営分離ではない、JRがそのまま続けるということにほかならない」「今回の案、合意で、鹿島市と江北町の(経営分離に対する)同意は必要なくなった」という趣旨の発言を行った[18]。また、当初は肥前山口 - 諫早間の地上設備はJR九州から無償譲渡される予定を14億円での有償譲渡に変更しているが、これについて佐賀・長崎両県は、第三セクター鉄道設立時に想定していた車両購入費等の開業時の初期費用約16.4億円よりは少ない、と説明した。

一方でこの案については(経営分離への不同意を貫く)鹿島市・江北町長を疎外した推進派三者による恣意的な合意であり「実質的に経営分離ではないのか」との疑問の声が生じており[19]、江北町長等も「経営分離にあたる」として直ちに異議を唱えたが[20]、2008年(平成20年)1月23日に開催された政府・与党のワーキンググループ会合において、国土交通省はこの案は「経営分離にはあたらない」との見解を示した[21]。同省内で新幹線の採算性などについての精査が終わり、2008年(平成20年)3月26日に工事着工が認可された。佐賀・長崎両県は2007年度内に着工認可が下りることを前提に2007年度補正予算案並びに2008年度本予算案に建設費を計上した。

認可内容によれば、建設キロは45.7km、そのうち約半分の23kmがトンネルとなる。工期はおよそ10年、当初は用地買収費、トンネルや橋の建設費として1,840億円を認めた。レールや電気設備分は工事の進捗状況をみて認可される。総事業費は2,600億円(当初計画より100億円削減)とされている[22]。2008年(平成20年)3月に認可されたことにより、2007年度に計上されていた工事費10億円を2008年度に繰り越して執行することになり、2008年度に計上された10億円と合わせて20億円の国の予算が投入された。2009年度は60億円、2010年度は70億円の国の予算が計上されている。

これに対し、2008年(平成20年)2月24日に投開票された江北町長選挙では、新幹線着工反対を訴えた現職の田中源一が新幹線容認派で新人の元県職員を破って5選を果たし、「選挙結果が(町民による)最大の意思表示」として町として改めて新幹線の着工に反対を表明しつつ、「着工が決まれば現実的に受け止めなければならない」と現実的対応も示唆した[23][24]。2008年(平成20年)3月には佐賀県議会において民主・社民系会派等の共同提案により長崎新幹線の建設賛否を問う県民投票を実施する条例案が提出されたが、最大会派の自民党・公明党ならびに保守系会派の反対多数で否決された[25]。田中はその後のシンポジウムの席上で「本格着工までは(新幹線建設への)反対を続ける」と明言した[26]。その後、事実上「本格着工」となり建設工事は進んでいるが、田中は後述の通り機会を見ては建設中止もしくは凍結を求める発言を続けている。

一方、鹿島市長の桑原允彦はJR長崎本線経営分離反対運動を終息させるとした[27]。そのため、2011年(平成23年)9月現在、関係する自治体の首長で公式に長崎新幹線建設反対の立場を取っているのは江北町長の田中ただ一人となっている。また、民主党政権への交代後にフリーゲージトレインへの国費投入についてもいわゆる「事業仕分け」の対象となり、検討が行われたが、条件付きで継続となった。その際に田中は長崎新幹線建設自体についても「事業仕分け」の対象にすべきだった、と発言した。

佐賀・長崎両県は、在来線維持のために両県が負担することとなる設備購入費を14億円、開業後20年間の維持管理費を46億円と見積もっているが、この計60億円を、長崎県が40億円、佐賀県が20億円負担することで2008年(平成20年)4月25日に合意した。この負担割合について長崎県の金子原二郎知事は、「佐賀県の理解と協力がなければ、新幹線は実現しなかった。長崎の誠意を具体化した」と述べている[28]

2008年(平成20年)3月の工事認可を受け、同年4月28日には佐賀県嬉野市において起工式が行われ、武雄温泉 - 諫早間の建設工事が開始された。2008年度は主に測量が行われた。2009年度には60億円の予算が計上され、トンネル工事が着工されている。

一方、長崎県内の旧小長井町(諫早市に合併済)などではJR九州の運営となることで普通列車の運行本数増加と新駅設置という長崎県が将来の第三セクター鉄道転換の際に表明していた約束が実行されないのでは、という懸念を示す動きが出ている[29]

長崎ルートと、2011年3月に先行して全線開業した鹿児島ルートとの結節点となる新鳥栖駅は、鹿児島ルート全線開業と同時に新幹線の駅に直交する形で在来線(長崎本線)の駅が設置され、すべての在来線特急(かもめ、みどり、ハウステンボス)が停車している。

なお、2012年6月29日に諫早 - 長崎間の着工が認可された。その際、JR九州は並行在来線とされる長崎本線の在来線は経営分離せず、これまで通り同社が引き続き運営するとしている。

着工後の問題点[編集]

2011年4月、国土交通省が当ルートの費用対効果を計算する際に開業時に使用される予定のフリーゲージトレインの走行速度を開発目標以上の速度設定で試算していたことが判明した。現状のフリーゲージトレイン開発車両では標準軌区間では270km/h、狭軌区間では130km/hを目標としているが、国土交通省の費用対効果の計算では標準軌区間では300km/h、狭軌区間(武雄温泉 - 諫早間)では200km/hで計算していた。この前提で費用対効果は「1.5」としていた。国土交通省はそれぞれ270km/h、130km/hで計算しても費用対効果は「1」を上回る、としているが、具体的数値は非公式のため公表できないとしている。これを受け、江北町長の田中は「前提が崩れた以上中止または凍結すべき」と発言した[30]

2011年12月26日に諫早 - 長崎間の着工が認められ[31]、当初狭軌での整備予定だった武雄温泉 - 諫早間も標準軌での整備に変更される[2][4]。また、肥前山口 - 武雄温泉間の複線化も「整備新幹線扱い」での整備となった。そうなると、新鳥栖 - 武雄温泉間が狭軌で残ることになり、フリーゲージトレインでは2回の軌間変更が必要となるため、新鳥栖 - 武雄温泉間の扱いが注目されることになる。佐賀県の古川知事は2011年12月の西日本新聞のインタビューにおいて「同区間のフル規格格上げについては、佐賀県の費用負担が大き過ぎるとして賛成できない」と表明している。諫早 - 長崎間の着工は2012年6月29日に正式認可されたが、並行在来線の沿線住民からは財政難の中僅かな時間短縮のために大量の資金を投じる意義は少ないとして、恨みの声も上がっている[32]

沿革[編集]

  • 1967年7月 国鉄、全国新幹線網構想を発表。
  • 1969年5月 新全国総合開発計画決定。
  • 1970年5月 全国新幹線鉄道整備法成立。
  • 1972年12月 基本計画決定(福岡市 - 長崎市間)。
  • 1973年11月 整備計画決定。
  • 1982年9月 財政赤字の拡大、国鉄の経営悪化のため建設凍結を閣議決定。
  • 1987年1月 建設凍結解除を閣議決定。
  • 1987年4月 国鉄分割民営化
  • 1988年8月 運輸省が暫定整備案を発表。本ルートは含まれず。
  • 1994年2月 非自民連立政権の政府・与党が新規着工凍結の申し合わせ。本ルートの構想維持を明記。
  • 1996年12月 新規着工区間に関する自民党案において、武雄温泉 - 大村間をスーパー特急方式で整備する案が示される。
  • 1996年12月 新財源スキームの策定。
  • 1999年9月 自自連立政権与党が建設見直し案。鹿児島ルートとの分岐駅として新鳥栖駅を設置、武雄温泉 - 新大村のスーパー特急方式での早期着工、着工後15年での整備目標、フリーゲージトレインの活用の検討、が盛り込まれる。
  • 2000年12月 政府・与党が、武雄温泉 - 長崎間について環境影響評価終了後に工事実施計画の認可申請を行うことを決定。
  • 2001年12月 武雄温泉 - 長崎間をスーパー特急方式で整備する暫定整備計画を決定。
  • 2004年3月 鹿児島ルート新八代 - 鹿児島中央間が開業。
  • 2004年12月 政府・与党が、並行在来線に関する地元自治体の同意を条件として、武雄温泉 - 諫早間のスーパー特急方式での着工を決定。フリーゲージトレインも視野に入れるものとされる。
  • 2007年12月 着工条件である並行在来線沿線自治体の同意が得られないため、JR九州・佐賀県長崎県の三者は、新幹線開業後も並行在来線(長崎本線肥前山口 - 諫早間)を引き続きJR九州が運行する内容で独自に合意(路線や駅舎などは両県が保有するいわゆる「上下分離方式」)。着工認可のため強行手段を取った。
  • 2008年4月 武雄温泉 - 諫早間が着工。
  • 2011年3月 鹿児島ルート博多 - 新八代間が開業し、鹿児島ルート全線開業。
  • 2012年6月29日 国土交通省が、諫早 - 長崎間21キロの着工認可。開業は、2022年度末頃を予定。
  • 2012年8月18日 長崎ルート全面着工。長崎市内で諫早 - 長崎間の起工式を行う。

設置予定駅[編集]

  • 新鳥栖駅 - 肥前山口駅は長崎本線、肥前山口駅 - 武雄温泉駅は佐世保線の在来線区間を走行し、武雄温泉駅 - 長崎駅は新規に建設予定の標準軌新線(フル規格)の線路を走行する予定。在来線区間の駅名は、新幹線列車が停車する予定駅のみ示し、同じ線路・駅を共用している長崎本線・佐世保線の列車のみが停車の駅は省いている。
  • JRの路線名は、その駅に接続する予定の正式路線名のみを記す。
  • 実キロ数値は新幹線(標準軌新線)区間のみを記述。営業キロは推定。
駅名 実キロ 営業
キロ
接続路線 所在地
新鳥栖駅 0.0 九州新幹線(鹿児島ルート)・長崎本線 佐賀県 鳥栖市
佐賀駅 22.1 佐賀市
肥前山口駅 31.3 長崎本線 江北町
武雄温泉駅 0.0 45.0 佐世保線 武雄市
嬉野温泉駅
(仮称)
10.9 55.9   嬉野市
新大村駅
(仮称)
32.2 77.2 大村線大村駅とは別位置) 長崎県 大村市
諫早駅 44.8 89.8 長崎本線・大村線
島原鉄道線
諫早市
長崎駅 66.0 114.7 長崎本線
長崎電気軌道
長崎市

橋・トンネル等の構造物[編集]

脚注[編集]

  1. 長崎県公式サイトの九州新幹線西九州ルート(長崎ルート)によると「『整備新幹線の取扱いについて』(平成16年12月16日、政府・与党申合せ)では…(中略)…博多〜新鳥栖間は九州新幹線鹿児島ルートを共用する予定」とある。国土交通省鉄道局監修『数字で見る鉄道2005』(財団法人運輸政策研究機構、2005年)によると整備計画線のうち九州の博多 - 長崎間は備考で「筑紫平野で分岐」とあるものの、内訳として「新鳥栖〜武雄温泉」「武雄温泉〜長崎」と区間が書かれている。
  2. 2.0 2.1 2.2 長崎新幹線、フル規格「格上げ」で1分遅く? - 朝日新聞、2011年12月30日
  3. 週刊朝日2005年12月9日号 2700億円の長崎新幹線建設計画のウラにあの原子力船「むつ」の呪縛が… 自民党大物政治家の密約「念書」
  4. 4.0 4.1 4.2 整備新幹線「諫早-長崎」2012年春にも着工 開業22年度初めごろ - 西日本新聞 2011年12月6日
  5. 新鳥栖駅付近の連絡線の建設仕様については不明(鹿児島ルートの新鳥栖駅と、長崎本線は、ほぼ90度に直交している)。また、新鳥栖から博多までの所要時間は、フリーゲージの転換時間を含めた鹿児島ルート経由の場合と、長崎本線・鹿児島本線経由の場合とで大差が無い(数分 - 5分短縮 ※ただし在来線は既存の特急の所要時間を前提)。フリーゲージ導入については将来の長崎ルート高規格化と、山陽新幹線への乗り入れ(または、博多駅新幹線ホームでの対面乗換)を視野に入れている。
  6. 佐賀県:佐賀県九州新幹線ホームページ(佐賀県公式サイト内)
  7. 九州新幹線西九州ルート(長崎ルート)(長崎県公式サイト内)
  8. 「Q15 西九州ルートの建設は、佐世保線に影響を与えないの?」『新幹線Q&A』PDF 長崎新幹線建設期成会、pp.30-31.
  9. 現在の同区間は単線であるとともにかつ路盤強化も行われていないため最高速度も95km/hに抑えられている。
  10. 佐賀県:長崎本線Q&A:九州新幹線西九州ルート
  11. 山陽新幹線区間ではN700系を使用する「のぞみ」「みずほ」「さくら」など各駅停車「こだま」をのぞくと大半の列車が最高速度300km/hで走行しているにもかかわらず、現在開発中のフリーゲージトレインは最高速度270km/hにとどまる。また、300系が退役する2012年春以降は、山陽新幹線を走行するすべての車両の最高速度が最低でも285km/hとなる。
  12. フリーゲージトレインは台車構造が複雑になるため結果として車両重量が重くなり、線路の傷みが早くなり耐用年数も短くなる。
  13. 新幹線、山陽と長崎「直通困難」 会見でJR西社長 asahi.com 2008年11月28日
  14. 「整備新幹線の取扱について」平成16年12月16日 政府・与党申合せに基づく事項
  15. 長崎新幹線の着工決定-国交相認可 2018年開業目指す佐賀新聞 2008年3月27日
  16. JR長崎本線存続期成会 長崎本線の経営分離対象区間沿線の佐賀県鹿島市・江北町による期成会。2008年6月8日をもって同会のHPは閉鎖されたほか、2009年3月に鹿島市長(当時)の桑原允彦は同会を解散させると表明した。
  17. 長崎新幹線着工へ-在来線、JRが運行 - 佐賀新聞 2007年12月18日
  18. 平成19年12月17日知事臨時記者会見(佐賀県公式サイト)での記者との質疑応答より
  19. 九州新幹線:長崎ルート問題 合意案に疑問、民主が意見書 毎日新聞 2007年12月20日
  20. 三者合意の経営分離判断-政府、大串議員に答弁書 - 佐賀新聞 2007年12月29日
  21. 年度内着工認可を確認-財源確保策も論議 - 佐賀新聞 2008年1月24日
  22. ただし、関係者によれば資材費高騰等により総事業費は300億円程度増加する可能性があるという。整備新幹線812億円-15%増 異例の追加要求明記 佐賀新聞 2008年8月28日
  23. 知事「話し合い進める」-江北町長、着工見直しに期待 - 佐賀新聞 2008年2月26日
  24. 本格着工後は現実対応-江北町長、柔軟姿勢示す - 佐賀新聞 2008年3月14日
  25. 県民投票条例案 否決-市民グループ「反対運動続ける」 - 佐賀新聞 2008年3月13日
  26. 必要性 合意が必要ー長崎新幹線で市民ゼミ - 佐賀新聞 2008年3月30日
  27. 反対運動の終息宣言- 新幹線着工認可で鹿島市長 - 佐賀新聞 2008年3月28日
  28. 新幹線負担合意 在来線維持 長崎40億、佐賀20億円 長崎知事「誠意を具体化」 - 西日本新聞 2008年4月26日
  29. 振興策を地元協議会が県に要望 本県側在来線区間 - 長崎新聞 2008年9月9日
  30. 新幹線長崎ルート、費用対効果を過大評価 国交省 - 佐賀新聞 2011年4月28日
  31. 整備新幹線3区間の着工方針決定 北海道・北陸・九州 - 朝日新聞、2011年12月26日
  32. 長崎新幹線「ノーサンキュー」 在来線沿線住民、恨み節 - 朝日新聞 2012年6月30日

関連項目[編集]

外部リンク[編集]

日本の新幹線
現行路線
東北新幹線上越新幹線東北・上越新幹線)・北陸新幹線長野新幹線)・山形新幹線*
秋田新幹線*東海道新幹線山陽新幹線東海道・山陽新幹線)・九州新幹線
整備新幹線
北海道新幹線東北新幹線北陸新幹線九州新幹線
基本計画路線
北海道新幹線北海道南回り新幹線羽越新幹線三陸新幹線奥羽新幹線常磐新幹線中部横断新幹線中部新幹線白馬新幹線リニア中央新幹線中央新幹線北陸・中京新幹線
山陰新幹線中国横断新幹線中国新幹線四国新幹線四国横断新幹線東九州新幹線九州横断新幹線
未成線
成田新幹線