西武グループ
西武グループ(せいぶグループ)は、西武ホールディングスを持株会社とし、西武鉄道およびプリンスホテルを中心とする企業グループである。
目次
概要[編集]
堤康次郎が創業した西武グループが前身。康次郎の死後、後継ぎ争いによりグループは分裂し、三男・堤義明が西武鉄道を中心とする西武鉄道グループを引き継いだ。一方、西武百貨店を引き継いだ次男・堤清二は、同社を核として西武流通グループ(後のセゾングループ)を形成した。
上場会社の西武鉄道株式を非上場で堤家が支配するコクドが所有することで、堤義明の意向による経営が可能だった。このトップダウン経営により事業を拡大、バブル期に義明は世界長者番付で世界一となる。しかし2004年にコクドと西武鉄道をめぐる不正会計が明るみとなり失脚。同時に同族経営(=ファミリー企業)から脱却し、後藤高志を中心としてグループの再編が行われた。
「西武グループ」という呼び名は、鉄道・流通両グループ形成前のグループの名称、またはその後の西武鉄道グループとセゾングループの両グループの総称としても使われることもある。分裂後も時折同一のグループとして混同されることもある。なお、義明が失脚し、西武ホールディングスが発足した後は「西武ホールディングスを中心としたグループ」の意味で使うことが多い。
コーポレート・スローガンは「でかける人を、ほほえむ人へ。」。
2011年現在、西武グループの純粋持株会社である西武ホールディングス社長は後藤高志である。
西武ホールディングスなどが登記上の本店を置いている東京都豊島区南池袋1丁目16番15号(旧西武鉄道本社ビル。1986年に移転)は、2011年9月まで光通信本社がメインテナントで「光センタービル」名称だったが、同社が2011年10月に移転した上にビル自体も老朽化が目立っていたため、2012年7月に同ビルを高層テナントオフィスビルへ建替計画が発表された。予定では2014年度着工、2016年度の完成を見込んでいる[1]。
主要グループ企業[編集]
西武グループは、西武ホールディングス傘下の事業会社である西武鉄道とプリンスホテル、その子会社と孫会社により構成されている。西武鉄道系は、地方鉄道の近江鉄道・伊豆箱根鉄道およびその子会社を除き、原則的に企業名の先頭に「西武」が付く。鉄道系以外では例外は豊島園と武蔵野地所である。
事業名称 | 設立 | 業態 |
---|---|---|
プリンスホテル | 2006年 | 西武グループのホテル・リゾート事業の運営・統括会社 |
川奈ホテル(子会社) | 2002年(新旧分離による) | 「川奈ホテル」の経営 |
広島プリンスホテル(子会社) | 「グランドプリンスホテル広島」の経営 | |
横浜八景島(子会社) | 1990年 | 水族館複合型遊園地運営 |
男鹿水族館(第三セクター) | 2003年 | 水族館運営 |
事業名称 | 設立 | 業態 |
---|---|---|
西武鉄道 | 1894年 | 鉄道事業者 |
近江鉄道 | 1896年 | 鉄道事業者 |
近江観光 | グランドプリンスホテル京都・大津プリンスホテルの運営、旅行代理業 近江鉄道子会社(西武鉄道は間接所有) | |
伊豆箱根鉄道 | 1916年 | 鉄道事業者 |
伊豆箱根バス | 1928年 | バス事業会社。伊豆箱根鉄道子会社 (西武鉄道は間接所有) |
西武バス | 1932年 | バス事業会社 |
西武建設 | 1941年 | 建設会社 |
西武ゴルフ | 1974年 | 西武鉄道運営のゴルフ場。2011年10月1日、プリンスホテルとの合併により消滅。 |
西武プロパティーズ | 1974年 | 西武鉄道が開発した商業施設の運営および分譲地の不動産販売 ※西武商事と西武不動産(旧西武不動産販売)が2009年7月1日経営統合 |
西武不動産流通 | 2005年 | 西武線沿線地域を拠点とした不動産仲介業。西武不動産販売から会社分割する形で設立するも2009年に解散し事業撤退。 |
西武トラベル | 1970年 | 旅行代理業。西武鉄道の直営旅行代理店窓口である「西武観光」(2011年11月事業廃止)とは別。 |
西武ハイヤー | 1967年 | タクシー・ハイヤー事業会社 |
豊島園 (旧インターベストトレーディング) |
XXXX年 (新旧分離を実施) |
遊園地「としまえん」・日帰り入浴施設「庭の湯」運営 |
武蔵野地所(旧:豊島園) | 1963年 | 豊島園関係の不動産所有。西武鉄道に吸収合併され消滅。 |
西武ライオンズ | 1950年 | プロ野球興行運営会社。設立は西鉄野球としての設立年(設立登記日は同年1月28日)。1978年10月25日、中村長芳が経営する福岡野球(太平洋クラブライオンズ→クラウンライターライオンズ)を買収し傘下入り。同年より西武ライオンズとなり2008年に"埼玉"が球団名に付き、埼玉西武ライオンズとなった。なお、球団名に埼玉が付いた後も運営会社名は「西武ライオンズ」のままである。 |
西武レクリエーション | 1997年 | 西武鉄道所有のアミューズメント施設(BIG BOX・西武園【西武球場・狭山スキー場・西武園ゆうえんちなど】・東伏見アイスアリーナ・秩父ミューズパークなど)の運営受託) |
西武車両 | 1996年 | 鉄道車両保守整備会社。西武鉄道に吸収合併され消滅。 |
西武鉄道の持分法適用会社[編集]
事業名称 | 設立 | 業態 |
---|---|---|
池袋ショッピングパーク (筆頭株主はセブン&アイ・ホールディングス) |
1959年 | 同所の商業施設・駐車場経営 |
廃止された主な事業等[編集]
- 伸縮型のメニューとして掲載。右にある[表示]をクリックすると展開表示される。
- 西武軌道杉並線
- 岳南鉄道
- 岳南鉄道バス(→富士急静岡バス)
- 江戸川乗合自動車商会・ダット自動車バス事業
- 関東乗合自動車・中野乗合自動車(バス共同運行)
- 青梅自動車
- 伊豆下田バス
- 新座市シャトルバス
- 西武バス練馬営業所(初代 - 豊玉北6丁目→移転→練馬電話局→ドコモショップ→しゃぶしゃぶ料理店)
- 西武バス所沢営業所(初代→2009年5月→移転)
- 西武バス清瀬営業所(→西武バス新座営業所に移転)
- 西武バス田無営業所(→西武バス滝山営業所に統合、車庫機能は同西原車庫へ移転)
- 西武バス上石神井駅案内所・飯能駅案内所
- 西武バス豊島園ターミナル(→ユナイテッド・シネマ)
- 西武バス練馬車庫 - 豊玉北5丁目(→駐車場)
- 西武バス光が丘3丁目折返場(→借受終了→練馬区立「夏の雲公園」)
- 大島航路
- 初島航路
- 浜名湖観光汽船
- 箱根早雲山自動車道路(→神奈川県道)
- 帝都百貨店・武蔵野食糧
- 日本復興計画(休眠→西武ストアーを合併→2011年現在は合同会社西友)
- バーガーキング(後にロッテリアが買収)
- 新宿園孔雀館・白鳥座・庭園劇場
- 大洋球団
- 東京セネタース・翼軍
- 西武飯能ボウル
- 池袋マンモスプール・池袋スケートセンター(跡地は豊島清掃工場)
- 朝日工業
- 東京護謨・愛知ゴム工業
- 西武ポリマ化成・丸東産業
- 高田農商銀行(のちの東都銀行。三井銀行などを経て現在の三井住友銀行。東都銀行支店時代に東京大空襲を受け、それ以来記録は残っていない。2011年現在西武鉄道線駅構内としては小竹向原駅内出張所のみ展開。)
- 旧西武不動産(1998年に西武不動産流通へ新旧分離のうえ清算)
- 伊豆箱根鉄道西伊豆航路(高速船「こばるとあろー」)廃止
- 運営会社としての旧豊島園(2004年にインターベストトレーディングへ継承させる新旧分離を実施後、清算)
- 2004年策定の西武グループ再建計画以降
- 伊豆箱根鉄道
- 客船 スカンジナビア売却
- ホテル事業の撤退(沼津ホテルを解体し土地売却、大仁ホテル・下田PH・松崎PHは施設ごと売却)
- コクド本社ビル(渋谷区神宮前)の解体・土地売却
- コクド・西武鉄道が所有している不採算のプリンスホテル・スキー場を売却・閉鎖
- コクド - 2006年2月1日にプリンスホテルへ吸収合併。2月3日に設立した西武ホールディングスへ株式移転。
- ユネスコ村大恐竜探検館の無期限休館(→アッハの森)
- Seibu Alaska,inc.(アリエスカプリンスホテル、アリエスカリゾート)の解散
- 西武運輸をセイノーホールディングスへ売却
- 西武造船を新来島どっくへ売却
- 宇品マリーナを新来島どっくへ売却
- 西武観光(西武鉄道直営の旅行部門)を2011年11月末をもって事業廃止
SEIBUプリンスカード[編集]
2006年9月には新生西武グループの象徴として旧セゾングループのクレディセゾンとともにPASMO対応のクレジットカード「SEIBUプリンスカード」の発行を開始した。このカードのイメージキャラクターに傘下プリンスホテル所属のフィギュアスケート選手荒川静香を起用している。
このカードは、西武グループのペペ(西武新宿・本川越・飯能・入間・軽井沢)や、ステーションビル(狭山・武蔵関)にある店舗で提示すると、税抜100円につき1ポイントが加算される。そして、軽井沢を除く各ペペと西武狭山ステーションビルの地下1階にある、食鮮市で毎週土曜日に利用すれば、ポイントは2倍となる。また、食鮮市では、「エコ・スタンプカード」というものがあり、このカードにスタンプが20個揃うとプリンスカードに20ポイントが加算される。そして、毎月25日には、ペペ全館がポイント2倍となる。
そのほかに、BIG BOX 高田馬場、プリンスホテル、西武不動産、一部の駅売店で利用できる。また、西武園ゆうえんちや豊島園で提示すれば入場料が割引される。
住宅地開発[編集]
(おもな開発分譲地) 西武沿線を中心に、大規模分譲地と小規模な遊休社有地の造成販売をおこなってきたが、2010年から西武鉄道は不動産販売業に関しては、西武プロパティーズと連携して行っている。下記の他の分譲地は西武不動産を参照。
- 1950年代末 西鎌倉・神奈川県鎌倉市初沢・赤羽一帯、西武鉄道から後年西武鉄道グループの西武不動産販売が管理を引継ぐ - 施行面積:75.0ha
- 1966年(昭和41年)~1972年(昭和47年) 西武グリーンハイツ・神奈川県 逗子市 - 施行面積:62.0ha、計画戸数:1757戸、計画人口:5200人
- 1967年(昭和42年)~1968年(昭和43年) 鎌倉七里ヶ浜・神奈川県 鎌倉市 -
- 1968年 羽根尾別荘地・群馬県長野原町 - 750区画
- 1969年 金沢文庫住宅地・神奈川県横浜市 - 1,350戸
- 1969年 西武園住宅地・東京都東村山市、254戸
- 1970年(昭和45年)~1992年(平成4年) 西武打越・東京都八王子市、旧住宅地造成事業に関する法律による許可 - 施行面積:90.0ha、計画戸数:1912戸、計画人口:6692人
- 1966年(昭和41年)~1971年(昭和46年) 鎌倉逗子ハイランド・神奈川県鎌倉市・逗子市 - 施行面積:85.3ha、計画戸数:1849戸
- 1971年 西武百草園・東京都日野市 - 511戸
- 1971年 百草園団地・東京都日野市、マンション分譲130戸
- 1971年 入間武蔵台・埼玉県入間市 - 289戸
- 1972年 彦根ニュータウン・滋賀県彦根市 - 853戸
- 1974年 逗子グリーンヒル・神奈川県逗子市 - 473戸
- 1975年 西武狭山台・埼玉県狭山市 - 239戸
- 1975年 瀬田川グリーンハイツ・滋賀県大津市 - 646戸
- 1976年 西武ヴィラ苗場・新潟県湯沢町 - 2,143戸
- 1976年 湘南鷹取台マンション分譲・神奈川県横須賀市 - 611戸
- 1976年 西武八王子滝山台・東京都八王子市 - 404戸
- 1980年 草津グリーンハイツ・滋賀県草津市 - 346戸
- 1980年 西武拝島ハイツ・東京都昭島市、マンション分譲573戸
- 1982年 彦根グリーンハイツ・滋賀県彦根市 - 196戸
- 1985年 三島大場分譲地・静岡県三島市 - 950戸
- 1990年 クリスタル1号館・新潟県湯沢町 - 533戸
- 1997年 彦根グリーンハイツII・滋賀県彦根市 - 93戸
- 1999年 大津グリーンハイツ・滋賀県大津市 - 363戸
- 2003年 ビッグヒルズ飯能美杉台・埼玉県飯能市 - 350戸
- 2007年 木更津ベイサイドヒル西武港南台・千葉県木更津市 - 2,000戸
(マンション)
- ひばりが丘駅南口にあった都営亦六団地跡地の土地を西武不動産販売が取得、事業主のオリックス不動産とともに、33階建ての高層マンション「HIBARI TOWER」(総戸数322戸)を建設。
- 西武鉄道と三井不動産が共同事業で小手指駅駅前にて小手指タワーズ(374戸)の事業化を実現。
西武グループと関係のない企業・団体[編集]
「西武」という名称が、武蔵国の西部を意味するため、このエリアにある企業にはグループ外でも名乗る例はしばしば見受けられる。また、旧セゾングループも元々は西武グループだったため、「西武」を冠する企業が多く、西武グループ・セゾングループの混同の元になっている(以下のリストは旧セゾングループを除く)。
- 西武信用金庫(中野区の信用金庫)
- 西武交通興業(練馬区のタクシー会社)
- 西武開発(所沢市の不動産会社)
- 西武クリエイト(不動産会社)
- 西武興産(不動産会社)
- 西武ハウス(不動産会社)
- 西武ガス(飯能市の都市ガス会社)
- 西武ガス興産(立川市のプロパンガス会社)
- 西武商事(狭山市の自動販売機オペレーター会社)
- 西武葬儀社有限会社(西東京市の保谷駅前にある葬祭業)
- 西武土地建設株式会社(花小金井駅北口にある別の建設業)
- 学校法人文理佐藤学園が設置する学校
- 西武文理大学附属調理師専門学校(埼玉県ふじみ野市)
- 西武学園文理小学校(埼玉県狭山市)
- 西武学園文理中学校・高等学校(埼玉県狭山市)
- 西武調理師専門学校(埼玉県所沢市)
- 西武学園医学技術専門学校(埼玉県所沢市)
- 西武文理大学(埼玉県狭山市)
- 西武台新座中学校・西武台高等学校(埼玉県新座市、武陽学園が設置)
- 西武台千葉中学校・高等学校(千葉県野田市、千葉武陽学園が設置)
- 入間市立西武小学校(埼玉県入間市)
- 西武町(埼玉県入間市)
- 西武郵便局(埼玉県入間市)
- 西武銀行(埼玉県入間市→さいたま市)
- セイブ開発
- セイブ(茨城県水戸市に本社がある、スーパーマーケット)
- 株式会社西武調剤センター(日本調剤の関連会社)
- 松清西武ストア
- 西武通信工業
- 西武通運
- 西武通信
- 西武通信社
- 西武林業
- 西武地所
- 西武企画
- アビコ西武観光(千葉県我孫子市の観光バス会社。ただし我孫子市は旧下総国)
- ビジネスホテル西武(武蔵野市、三鷹駅北口→業態変更)
- 西武パソコンプラザ(かつて存在した企業日本インコムが運営していたパソコンショップ→現在は閉店)
- 西武牛乳
- 西武ストア
- 西武珈琲
- 西武ゴルフサービス
- ゴルフショップ西武
- マイタウン西武
- 西武プロセス
- 西武クリーニング
- 西武エースプランニング
脚注[編集]
- ↑ 池袋旧本社ビル建替え計画における基本方針について - 西武ホールディングス・2012年7月25日
関連項目[編集]
- 堤義明
- ライオンズカラー
- レオ (埼玉西武ライオンズ)
- サーベラス・キャピタル・マネジメント
- そごう・西武
- セゾングループ
- セゾンコーポレーション
- 箱根山戦争
- 能勢電鉄 - 能勢電気軌道時代の1960年代後半に買収する計画があったが頓挫。
- 西武スペシャル - 当時の日本テレビやTBSが企画・制作したドラマスペシャル。西武鉄道グループとのスポンサー関係ではなく、「西武流通グループ」(のちセゾングループ)が提供した番組。詳細はセゾングループの映画事業を参照。
- 西武互助会 - 西武関係の互助会の集まりで西武グループや現行の西武ホールディングスとの関係は不明。