法学部
法学部(ほうがくぶ)とは、日本や外国の大学において、法律学を専門的に教授する学部である。政治学科を有する大学においては法学部内で政治学を研究・教授の対象とする。
概要[編集]
法律学科と政治学科を併せ持つのが通例であるが、法律学科のみを有していたり、政治学科を別の学部に所属させていたりする大学もある。後者の例として、早稲田大学、明治大学など。なお政治学科を有しない法学部をもつ大学で、なおかつ法学部において政治学を教授する大学では、学科名を「法律学科」ではなく「法学科」としている所が多い。この例としては多くの国立大学の法学部が挙げられる。
日本では医学部や商学部と並んで優秀な学部とされている。裁判官、弁護士、政治家、官僚などは、たいてい法学部の出身である。多くの大学の法学部には、卒業論文がない。
アメリカ合衆国では、法曹の養成は高等専門学校で行われるため、法学部は発達していない。他方、ドイツでは発達している。
コース[編集]
法律学科は、六法を中心に法律学の専門家を養成する法曹コース、法律に造詣の深い会社員を養成する商事法コース、国家公務員や地方公務員を養成する行政法コース、外国法と国際法に詳しい人々を養成する国際法コース、法律家ではなくジャーナリストを養成する基礎法学コースに分かれていることが多い。また、政治学を教授するにもかかわらず政治学科を有しない大学の法律学科・法学科では上記のコースに加え政治学コース或いは政治コースを有することがある。政治学科を有する法学部の法律学科では、当然のことながら政治学コースや政治コースは有しない。なお政治学科や法律学科政治学コース、法律学科政治コースは、政治家(国会議員、地方議会議員、都道府県知事、市町村長)、政治家の秘書、行政職の公務員(高級官僚も含む)、ジャーナリスト、中学校の社会科教員、及び高等学校の公民科・地歴科教員を養成する。
カリキュラム[編集]
以下では概括的なカリキュラムを示す。詳細は当然ながら大学によって異なる。
- 民法総則
- 物権法
- 債権法・契約法
- 親族法・相続法
- 不法行為論
- 刑法総論
- 刑法各論
- 憲法人権
- 憲法統治
- 行政作用法・行政救済法
- 行政組織法
- 情報公開法・個人情報保護法
- 民事訴訟法
- 民事執行法・民事保全法
- 刑事訴訟法
- 少年法
- 刑事政策・犯罪学
- 商法総則・商行為法
- 会社法
- 手形法・小切手法
- 労働法
- 経済法 :特に独占禁止法
- 租税法
- 社会保障法
- 知的財産法
- 登記法・供託法
- 医事法
- 国際法
- 国際私法
- アメリカ法
- イギリス法
- ドイツ法
- フランス法
- 中国法
- イスラム法
- ローマ法
- 法哲学
- 法社会学
- 日本法制史
- 東洋法制史
- 西洋法制史
- 法思想史
- 立法学
政治学科を有する法学部や、政治学科が独立していなくても政治学を教授する法学部では、以下の政治学系科目もカリキュラムとして用意されている。
- 政治学入門
- 日本政治論
- 日本政治史
- ヨーロッパ政治史
- 行政学
- 地方自治論
- 現代政治理論
- 政治学原論
- 政治過程論
- 政治行動論
- 国際政治学
- 安全保障論
- 政治学史
- 政治哲学
- 西洋政治思想史
- 日本政治思想史
- 比較政治学
- アメリカ政治
- アジア政治
- 社会主義諸国における政治
- 発展途上国における政治
- 先進国における政治
また、法律学に属しながら、法学部の法律学系科目では教授されることが少ない分野には、以下のようなものがある。
- 特別刑法:断片的に刑法各論で言及される。
- 国会法・公職選挙法:政治と結びつきの強い法律であるため政治学系科目の日本政治論で言及される。また、法律学系科目でも断片的に憲法統治で言及される。
- 民事調停法・仲裁法
- 裁判所法・弁護士法・非訟事件手続法
- 家事審判法・人事訴訟法:家族法の講義では実体法の解説が中心を占め、手続法については言及されない。
- 業法 :稀に経済法の講義で触れられるが、例外である。
- 海洋法・水法
- 法学史