桑木阮咸

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桑木阮咸(くわきのげんかん)は正倉院御物で、木製の4弦琵琶である。同時代の阮咸は世界に2面だけである。

概要[編集]

円形の共鳴胴に長い竿をつけた四弦の撥弦楽器である[1]。撥が当たる部分には 松の下で囲碁を楽しむ文人たちが描かれる。胴の後に「東大寺」と書かれている。

琵琶と同一か[編集]

『通典』巻第一百四十四楽四・絲五の阮咸の条には「阮咸、亦秦琵琶也」と書かれている。しかし牛龍菲氏や外村中氏は秦漢子と阮咸が別の楽器であると主張している(牛1991、外村2001)。『通典』琵琶の条で「秦漢子」が「圓體修頸而小。疑是弦鼗之遺制。傳玄云體圓柄直、柱有十二」とあるのに対し、阮咸は「而項長過於今制、列十有三柱」となっている 。『通典』の記載からすると、外村が主張するように、柱数が異なり、両者を区別すべきとする[2]


構造[編集]

桑などの材料で作られている。琵琶とは構造が異なっており、胴と棹が分かれている。胴の形状が円形である。中央の捍撥に革が貼られ赤色花文の地文様の中央部に、花びら8枚の花を背景に、山中で三人の隠者が囲碁を楽しむ情景が描かれる。総長102.0㎝、胴径38.2㎝。

用途[編集]

桑木阮咸は東大寺の法要で用いられたと推測されている[3]


[編集]

  1. 桑木阮咸東京国立博物館
  2. 高橋 照彦(2012)「唐代の琵琶とその遡源」待兼山論叢 (46), pp.1-26
  3. 第54回 正倉院展奈良国立博物館