ジャイアント・キリング
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ジャイアント・キリング(英:giant killing)(直訳:巨人殺し)とは、「大物食い」に当たるスポーツ用語である。スポーツ競技において、実力が格下の選手・チームが格上の相手から勝利を挙げる場合に使用される。日本語で言えば元々相撲用語である「金星(をあげる)」の意味に近い。
ジャイアント・キリングが起きる要因[編集]
- サッカー競技は、スポーツの中でもっともジャイアント・キリングが起こりやすい、と言われる。これは、他の団体競技と比べて得点しにくいため点差が開くことが少なく(よって1点の価値が高い)、また時の運も点が入る要素として加わることが少なくないことが理由である。そのため日本では、「ジャイアント・キリング」という用語自体がサッカーの専門用語である、と捉える向きも少なくない。
- 一般に、「ジャイアント・キリング」という言葉は、カップ戦にて下位リーグに所属するクラブが上位リーグに所属するクラブに勝利した時に使用される。リーグ戦で使われることはあまり無い。実際、サッカーは実力差が開いた相手ほどやりづらい(双方のモチベーションが違ったり、下馬評の低いチーム側が守備固めに走ることが多いためと思われる)と言われ、ジャイアント・キリングを期待するのもカップ戦でしか味わえない楽しみ方のひとつと言える。
- 海外では、サッカーの母国イングランドで行われる世界最古のカップ戦であるFAカップで比較的頻繁に起きる。FAカップはイングランドサッカー界においても格段のステータスを持ち、下位クラブにとってもモチベーションは十分であること、開催スタジアムもその都度決められ下位クラブのホームゲームとなりうることなどが原因と考えられる。
- FIFAワールドカップにおいて、FIFAランキングにおける格下国が世界的強豪国を破った時にこの表現が使われることもある。史上最大のジャイアント・キリングは、1966年イングランド大会の一次リーグで北朝鮮がイタリアを1-0で破った試合といわれる。イタリアははるか格下の北朝鮮に負けて一次リーグ敗退が決定、失意のまま自国に帰った選手達に対して、空港で怒ったサポーターから腐ったトマトが投げつけられるまでの事態となった。
- 日本でジャイアント・キリングが起こりうるのは天皇杯全日本サッカー選手権大会といわれていた。理由として、J1・J2所属クラブがリーグ戦終了後、もしくはリーグ戦開催中に平行して行われる天皇杯で格下(JFLなど)のアマチュアチームなどと対戦する場合、長丁場のリーグ戦の影響から来る疲労・怪我人の存在、モチベーションの低下、戦力外通告を受けた選手の出場などの要素が重なり、クラブにマイナスに作用してしまうことが挙げられる。かつてはヤマザキナビスコ杯でも見られたが、参加資格をJ1クラブのみに限定した2002年大会からは見られなくなっている。
- しかし実際には他の競技でもオープン大会であれば発生しうることである。
日本で起きた主なジャイアント・キリング[編集]
- 2009年10月11日に長野県松本市の松本平広域公園総合球技場で行われた第89回サッカー天皇杯2回戦の松本山雅FCvs浦和レッズ戦で、北信越フットボールリーグ所属(当時)の松本山雅FCが、J1所属の浦和レッズを2-0で破った。浦和レッズは日本代表招集選手の2名(闘莉王、阿部勇樹)を除き、ポンテ、田中達也らを含むほぼベストメンバーで戦ったが、2点を奪われ敗戦した。日本サッカー界のピラミッドでは4部に相当する地域リーグ所属のチームがJ1所属のチームに勝利したのは、天皇杯史上初めてである。敗れた浦和のサポーターは浦和の選手にブーイングと罵声を浴びせ、ペットボトルを投げつけた人やそれに入っていた水を撒き散らした人もいた。その後も一部のサポーターは1時間30分以上も居残り続け、信藤健仁チームダイレクター(当時)に敗戦の説明を求めるなどした。
- 2010年3月5日に行なわれた第77回全日本アイスホッケー選手権大会準決勝の中央大学vs日光アイスバックス戦にて、関東大学リーグ4位の中央大学がアジアリーグアイスホッケー6位のアイスバックスを5-1で破った。アイスバックスは日本唯一のプロアイスホッケーチームであり、プロが大学生に負けた事例である。中央大学は準決勝、3位決定戦でアジアリーグのチームに敗れ4位に終わった。学生チームが社会人チームを破った事例は、平成4年の明治大学vs雪印戦でも起きている。
関連項目[編集]
- 番狂わせ
- 金星 (相撲)
- GIANT KILLING - 同用語をタイトルに冠したサッカー漫画・アニメ