シンデレラ
この項目では、シンデレラについて説明しています。その他の用法については「シンデレラ (曖昧さ回避)」をご覧ください。 |
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『シンデレラ』 (英語 Cinderella) は、童話の一つ。また、その主人公。『灰かぶり姫』(はいかぶりひめ)・『灰かぶり』・『サンドリヨン』(フランス語 Cendrillon)ともいう。
グリム兄弟 (Brüder Grimm) によるもの(グリム童話 No.21 Aschenputtel)、シャルル・ペロー (Charles Perrault) によるものが知られているが、より古い形態を残していると考えられている作品としてジャンバティスタ・バジーレの『ペンタメローネ』に採録された「灰かぶり猫」(Cenerentola)が挙げられる。中国にも楊貴妃がモデルと言われる「掃灰娘」という類話があるなど、古くから広い地域に伝わる民間伝承である。日本ではペロー版が有名である。
児童向け作品として絵本・アニメなど様々な形で公表されている。
目次
起源[編集]
世界中にシンデレラのバリエーションといえる話が残っている。 現在知られている中でもっとも古い記録の一つに、ギリシャの歴史家が紀元前一世紀に記録したロードピスの話がある。それは以下のような話である。
エジプトのお屋敷に、美しい女奴隷ロードピスが住んでいた。主人は優しい人だったが多くの召使いに十分目が届かず、肌が白く外国人のロードピスは周りの女召使いからよくいじめられていた。 あるとき、ロードピスが上手に踊るのを見た主人はロードピスに美しいバラの飾りのついたサンダルをプレゼントした。すると他の女召使いたちは、ロードピスを嫉妬して一層彼女につらく当たるのだった。 その後、エジプトの王様が民衆を首都に招き大きなお祭りを催した。女召使いたちはそのお祭りに出かけていったが、ロードピスにはそのお祭りにいけないようにたくさんの仕事をいいつけた。仕方なくいいつけ通りオルモク川で服を洗っていると、ばらのサンダルを誤って濡らしてしまう。そこでそれを岩の上で乾かしているとハヤブサが持っていってしまい、それをメンフィスにいるファラオの足元に落としていった。そのハヤブサがホルス神の使いと考えた王様は、国中からそのサンダルに合う足の娘を探し、見つかったら結婚すると宣言した。 王様の船がロードピスの住むお屋敷にやってくると、ロードピスははじめ隠れてしまったが、サンダルを試させるとぴったりあった。またロードピスが残していた失われたサンダルのかたわれも見つかり、王は宣言どおり、ロードピスと結婚した。[1]
あらすじ[編集]
細部は異なるものの、大筋としては以下の通りである。
- シンデレラは、継母とその連れ子である姉達に日々虐められていた。
- ある時、城で舞踏会が開かれ、姉たちは着飾って出ていくが、シンデレラにはドレスがなかった。
- 舞踏会に行きたがるシンデレラを、不可思議な力(魔法使い、仙女、ネズミ、母親の形見の木、白鳩など)が助け、準備を整えるが、12時には魔法が解けるので帰ってくるようにと警告される。
- シンデレラは、城で王子に見初められる。
- 12時の鐘の音に焦ったシンデレラは階段に靴を落としてしまう。
- 王子は、靴を手がかりにシンデレラを捜す。
- 姉二人も含め、シンデレラの落とした靴は、シンデレラ以外に誰にも合わなかった。
- シンデレラは王子に見出され、后として迎えられる。
ペローによる『サンドリヨン』[編集]
原題は、"Cendrillon ou La Petite pantoufle de verre"。ガラスの靴を履かせ、カボチャの馬車に乗せるというモチーフを付け加えたのが、フランスの文学者シャルル・ペローであるといわれている。
なお、「サンドリヨンは本来、毛皮の靴を履いていた」とする説があるが、ポール・ドラリュの研究によると「ガラスの靴」が原型であり、ペロー は説話を正確に記録したとされる。
グリムによる『灰かぶり姫』[編集]
原題は、"Aschenputtel"(KHM21)。グリム童話はペローの影響を強く受けているといわれるが、この物語に関してはペローのものよりも原話により近いのではないかといわれている。
ペローとの違いとして主に
- 魔法使いが登場しない(当然カボチャの馬車も登場せず、代わりに白鳩が主人公を助ける)。
- 美しいドレスと靴を持ってくるのは、母親の墓のそばに生えたハシバミの木にくる白い小鳥。
- ガラスの靴ではなく、一晩目は銀、二晩目は金の靴である。
- シンデレラが靴を階段に残したのは偶然脱げたのではなく、王子があらかじめピッチを塗って靴が絡め取られたから。
- 王子が靴を手がかりにシンデレラを捜す際、連れ子の姉たちは靴に合わせる為にナイフで足(長女が爪先、次女は踵)を切り落とす。しかしストッキングに血が滲んで見抜かれる。
- 物語の終わり、シンデレラの結婚式で姉二人はへつらって両脇に座るが、シンデレラの両肩に止まった白鳩に復讐としてチェスト(目潰し)されたところで物語が終わる。
などが挙げられる。
(これらの要素は初版から7つのヴァージョンを経る間に表れたり削られたりと一定ではないので、本格的に調べる上では注意が必要である)
バジーレによる『灰かぶり猫』[編集]
ペローやグリムよりも以前の17世紀の南イタリアで書かれた『灰かぶり猫』(原題は、"Cenerentola"(1日目第6話))は、ペローやグリムよりも古い形と考えられ、両者と異なる部分がある[2]。
- 主人公のゼゾッラ(シンデレラにあたる)と継母(当初は裁縫の先生)は実は同志で、ゼゾッラと不仲であった最初の継母を殺害して、継母と父の大公を再婚させるが、後に継母が6人の実娘を迎えるとゼゾッラを裏切って冷遇する。
- その後、父の大公が旅行中に継母の娘には豪華なお土産の約束をするが、ゼゾッラはただ妖精の鳩がくれる物が欲しいとだけ答え、その後大公が妖精から授かったナツメの木の苗を土産として与えられたゼゾッラはその木を大切に育てる。
- ナツメの木は実は魔法の木で彼女は木の魔法によって綺麗に着飾ってお祭りに参加して国王の注目を集める。
- 国王の従者に追いかけられたゼゾッラは履いていたピァネッレ(17世紀のイタリアで履かれていた木靴)を落としてしまう。
- 斎日に国王が国中全ての娘を召しだして靴を履かせた結果、ゼゾッラだけが靴に合致して王妃に迎えられる。継母の6人の娘はその時の屈辱を母親に伝えたところで幕が閉じる。
バジーレの作品の最大の特徴は最初にゼゾッラ(シンデレラ)が最初の継母を衣装箱に挟んで首を折って殺害する場面があることである。このシーンはグリム童話の1つである「ねずの木」と共通する側面を有している。
二次作品[編集]
映画[編集]
- 「シンデレラ」(1950年2月15日、ディズニー、アイリーン・ウッズ主演)で、作品はミュージカル映画化され、「ビビディ・バビディ・ブー」や「夢はひそかに」「これが恋かしら」などの名曲を生んだ。初公開時のタイトルは「シンデレラ姫」。
- 「エバーアフター」 (1998年、20世紀フォックス)ではグリム兄弟を映画中に登場させ、貴族の老女(シンデレラの玄孫)が語るフランスの王妃の物語として兄弟に聞かせる形で描かれている。ドリュー・バリモア主演。アンディ・テナント監督。
この他にも作品は世界中で映画化、映像化されている。
作品でなくても、これをモチーフにしたいわゆる「シンデレラストーリー」(後述)も多い。
音楽[編集]
- 死の舞踏〜a romance of “Cendrillon”〜 MALICE MIZER インディーズ時代のアルバムVoyageに収録。歌詞にCendrillon、舞踏会、硝子の靴などシンデレラをイメージする言葉が含まれる。
オペラ[編集]
詳細はチェネレントラを参照
ロッシーニ作曲のオペラ・ブッファ。1817年にローマで初演される。この歌劇ではシンデレラを虐める継母は義父に変更されている。更に魔法使いの替わりに王子の家庭教師がシンデレラにドレスなどを与え、そして決定的な小道具となるガラスの靴は腕輪に替わっている。 全体的におとぎ話ではなく、大人向けの人情喜劇に仕立てられていることが最大の特徴である。イタリア語では「チェネレントラ」。
バレエ[編集]
ミュージカル[編集]
1957年 CBSによって放映された、テレビによるミュージカルで、ロジャース&ハマースタインによってジュリー・アンドリュースの主演で製作された。 全米で一億人以上の人が観たと言われる大ヒットとなり、数度にわたるリメイクや舞台化も行われた。代表的な歌は 『イン・マイ・オウン・リトル・コーナー』 (In My Own Little Corner) 。
日本でも何度か上演されている。
1995年8月 新宿コマ劇場にて上演 シンデレラ:酒井法子、王子:石井一孝、妖精:久野綾希子
1996年8月 新宿コマ劇場にて上演 シンデレラ:麻乃佳世、王子:石井一孝、妖精:久野綾希子
1997年8月 新宿コマ劇場にて上演 シンデレラ:麻乃佳世、王子:沖田浩之、妖精:久野綾希子
2002年8月 新宿コマ劇場にて上演 シンデレラ::遠野あすか(宝塚歌劇団)、王子:樹里咲穂(宝塚歌劇団)、妖精:鳳蘭
2003年12月 梅田コマ劇場にて上演 シンデレラ:遠野あすか(宝塚歌劇団)、王子:真飛聖(宝塚歌劇団)、妖精の女王:鳳蘭、王様:榛名由梨、女王様:初風諄、継母:瀬戸内美八、義姉:高汐巴、峰さを理 他
2008年8月 モーニング娘。が宝塚歌劇団の専科及び卒業生を共演に迎え、新宿コマ劇場にて上演。なお、モー娘。ファン及び宝塚サイドが「リボンの騎士 ザ・ミュージカル」をやったことを機会に「面白かったのでまた別の話でやってみたい。」という熱烈な要望が出たことから実現した。
テレビアニメーション[編集]
1996年にNHK衛星第2テレビで『シンデレラ物語』(全26話)が放映された。詳細は、シンデレラ物語を参照。
派生語[編集]
シンデレラ・ストーリー[編集]
シンデレラの話を元に、惨めな境遇から、ちょっとしたことがきっかけで成功をつかんだ人(特に女性)を「シンデレラ」や「シンデレラ・ストーリー」と呼ぶようになった。
シンデレラ・エクスプレス[編集]
松任谷由実の歌『シンデレラ・エクスプレス』は、遠距離恋愛のカップルが週末を共にすごした後、最終列車(特に、東海道新幹線の東京駅21時0分発新大阪駅行の最終列車「ひかり289号」(1987年当時)、2008年現在は21時20分発「のぞみ161号」)に乗って去る側と残る側に別れる様を、深夜24時までしかいられない華やかな舞踏会の場に例えたもの。なおJR東海は発足直後からしばらくこれをキャンペーンで使用したが、本来同列車は旧型の0系車両が使われるところ、日曜夜の同列車だけはそのCM通り当時新型の100系車両を使うなど、用意周到な配慮がなされていた。シンデレラ・エクスプレス (CM)も参照。
シンデレラコンプレックス[編集]
シンデレラコンプレックスは、シンデレラの童話を元に名付けられた、自分で努力をせず、いつか王子様がくると願うだけの女性のこと。
カクテル[編集]
ノンアルコールカクテルの一つ。「シンデレラ(サンドリヨ(オ)ン)」
- 標準的なレシピ
- 作り方
- シェイカーに材料を全て入れる。
- シェイクし、丸底のカクテルグラスに注ぐ。
- 氷を入れ、パイン・スライス、オレンジ・スライス、レモン・スライスを飾る場合もある。
脚注[編集]
- ↑ "The Egyptian Cinderella"
- ↑ 杉山洋子・三宅忠明 訳『ペンタメローネ 五日物語 上』(ちくま文庫、2005年)P94-105。
参考文献[編集]
- 今野 一雄 訳『ペローの昔ばなし』(白水社 1984)ISBN 4-560-04225-x
関連項目[編集]
- 落窪物語 - 日本の古典文学。シンデレラに似た継子いじめの物語。
- 森は生きている - スラブの民話をもとにロシア人の書いた戯曲。
- シンデレラ・マジック
外部リンク[編集]
- Disney Princess Cinderella
- 『シンデレラ ―ガラスのくつのものがたり―』大久保 ゆう訳:新字新仮名(青空文庫)
- 『シンデレラ』水谷まさる翻案:新字新仮名(青空文庫)
- 『灰だらけ姫』(サンドリヨン)楠山正雄訳:新字新仮名(青空文庫)
- 『シンデレラ』文・白川千鶴子(いずみ書房)
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