コークロア
コークロア(英語:Cokelore)とは、コーラにまつわる都市伝説を指す造語。Coke(コカ・コーラの愛称)+Folklore(伝承)のかばん語である。
コーラは世界中の人々に親しまれているが、その製法などが謎に包まれたままコカ・コーラ社自体も100年以上の歴史を積み重ねているために、様々な憶測が広まるうち、いつしか都市伝説として成立したものである。 1976年にコロラド大学の英語言語学教授 L・マイケル・ベル[1] の Western Forklore誌に掲載された論文 [2] の中で提唱され、その後都市伝説を提唱したジャン・ハロルド・ブルンヴァンに引用され広く知られるようになった。
目次
具体例[編集]
コカ・コーラに関する都市伝説は数多い。民間伝承(フォークロア)とひっかけて、コカ・コーラに関する都市伝説を諧謔的にコークロアと呼ぶ(ブルンヴァン等)。
多くの都市伝説が根も葉もない噂なのに対し、コカ・コーラの場合そのほとんどが部分的に真実を含むのが特徴である。以下、代表的なコカ・コーラ伝説を解説する。
ネズミが入っていたコーラ[編集]
ネズミないしその一部がコーラに入っているという都市伝説[3]。 ブルンヴァンがはじめて知ったときには、それはペプシコーラであるとされていた[3]。
この話は他の都市伝説と同じく、何ら根拠の無い話だと思われていたが、民俗学者達は、実際にコーラにネズミが入って裁判沙汰・新聞沙汰になった例が複数ある事を突き止めている。 例えばジョージ・カレイが突き止めたところによれば、1971年2月31日づけの「ワシントンポスト」に「自動販売機で買ったコーラにネズミの後ろ足と尻尾が入っていた為にコカコーラ社が二万ドルの損害賠償を支払った」という趣旨の記事が載った事がある[3]。 ファインはこうした事例を複数収集したが、その中で最も古いのは1914年にミシシッピ州で起こった事例であった[3]。
コカ・コーラの瓶は女性のボディーラインを参考にした[編集]
テンプレート:double image コカ・コーラの独特の「くびれ」のある瓶(コンツアー・ボトル)は、女性のボディーライン、または、この当時流行したスカートを参考にデザインされたものと言われているが、この話は事実ではない。
くびれを作った理由は、暗闇でも触ってすぐわかるようにするためと、1900年代初めにアメリカでは1,000種類以上の偽物が出回ったので、その類似品対策として、複雑な形の瓶にしたものである。
アメリカン・スポーツカーのひとつ、シボレー・コルベットの3代目(1970年代)モデルは、大胆に膨らんだ前後フェンダーとくびれたように見えるボディ中央部がコーラのビンを連想させたことからコークボトルというニックネームがある。
また、自動車レースフォーミュラ1のレーシングカーは、空気抵抗を減らすために後輪周辺のボディの形状がちょうどコーラのビンを連想させる絞り込まれた形であるため、これもまたコークボトルと称される。レーシングカーデザイナー、ジョン・バーナードが1983年のマクラーレンMP4/1で採用すると、またたく間にその形状は他のチームにコピーされ、現代においてはすべてのフォーミュラ1レーシングカーはコークボトル形状である。
ちなみに、ヴァージン・コーラのペットボトルのデザインは、女優パメラ・アンダーソンのボディラインを模して作られている。
コカ・コーラには辛口と甘口がある[編集]
コカ・コーラのガラス製瓶には、側面下部に四角型または丸型のへこみが刻印されていた。刻印が四角型の瓶は炭酸の強い「辛口」であり、刻印が丸形の瓶は炭酸の弱い「甘口」であるとする都市伝説がかつて存在した。
実際には、瓶の製造工場ごとに異なる刻印がなされていただけであり、コカ・コーラはリターナブル瓶であったため、ボトラーによる回収再使用過程において、刻印の異なる瓶が混ぜられて出荷されたものであった。この刻印は瓶表面にコーラのデザインをプリントするときに瓶成形金型の割り痕の上にプリント部がこないように方向を規制する為に使われていたものである。瓶製造メーカーの工場設備によって丸型・四角型のほうが固定しやすいといった違いがあったためである。ちなみに丸型が石塚硝子製、四角型が日本山村硝子製となっている。
サンタクロースが赤い服を着ているのはコカ・コーラのCMが元祖[編集]
この都市伝説によれば、サンタクロースはもともとの伝承では緑の服を着ていたが、コカ・コーラ社がCM(看板)でコカ・コーラのシンボルカラーである赤い色の服を着たサンタクロースを登場させたため、赤い服のサンタクロースが広まったことになっている。
しかし、現在のサンタクロースのイメージの元となったとされる、ニューヨークの画家、トーマス・ナストが19世紀に描いた聖ニコラウス像において、ニコラウスは赤いマントを羽織っており、このマントが変化してサンタクロースの赤い服になったのだという[4]。
また、1914年の日本の児童雑誌『子供之友』には、現代のサンタクロースと全く同じイメージの、大人の背丈で白髭に赤い服を着たサンタクロースが描かれている。さらに当時の輸出用クリスマス用品のサンタクロース人形もこの姿でもあった(当時の日本は、第一次世界大戦で疲弊した欧州に代わって、世界一のクリスマス用品生産国となっていた)。従って遠く日本にも伝わるほど定番となっていた赤い服のサンタクロースの姿を、1931年になってからコカコーラ社が広告に採用した、ということが事実である[5][6]。
コカ・コーラは民主党、ペプシコーラは共和党[編集]
コカ・コーラ社は民主党と親しく、ペプシコーラ社は共和党と親しいため、「米大統領が交代すると、ホワイトハウス内のコーラも代わる」とする都市伝説があるが、現実には共和党出身の大統領だったドワイト・D・アイゼンハワーと親しかったりするなど共和党とも無縁と言うことは無く、あくまで噂の範囲を出ない。ちなみにコカ・コーラの筆頭株主であるバークシャー・ハサウェイ社を率いるウォーレン・バフェットは民主党支持者としても有名である。
コカ・コーラの成分に関する都市伝説[編集]
コカ・コーラ社が香料のレシピを公開していないことから、原材料に関しても様々な都市伝説が生まれている。
そのひとつに、コカ・コーラのレシピを知っているのは2人の重役だけというのがある。2人である理由は1人が突然事故などで死んでももう1人が知っているので存続できるからである。それ故この2人が同じ飛行機に搭乗することはないという。[7]。
ブタの血が材料に含まれているという噂が流れたときには、ブタの食用を禁じるイスラム教徒への売り上げが激減したという[8]。
月面のコカ・コーラの瓶[編集]
オーストラリアのバーク地方のみに流布されている都市伝説である。アポロ計画で月から中継された映像で、宇宙飛行士がコカ・コーラの瓶を蹴っていたというものである。月着陸10周年記念に放送されたオーストラリアのラジオ番組内でのギャグから広まったものと見られている[9]。
その他[編集]
- 性交後、すぐに子宮をコカ・コーラで洗浄すると妊娠しない
- コカコーラの原液に誤って落ちた作業員が骨も残さず溶けて出した。[10]
参照[編集]
- ↑ L.Michael Bell Department of English University of Colorado Faculty
- ↑ Cokelore L. Michael Bell Western Folklore, Vol. 35, No. 1 (Jan., 1976), pp. 59-65 doi:10.2307/1499155
- ↑ 3.0 3.1 3.2 3.3 ハロルド・ブルンヴァン「消えるヒッチハイカー」p132以降。
- ↑ 「サンタは赤い服を着ていなかった?」 日本テレビ『世界一受けたい授業』公式サイト
- ↑ 『クリスマス~どうやって日本に定着したか』(クラウス・クラハト、克美・タテノクラハト、1999年、角川書店、ISBN 4-04-883598-X)
- ↑ 都市伝説in米国
- ↑ Urban Legends Reference Pages: Cokelore
- ↑ 引用エラー: 無効な
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タグです。 「daihimitsu
」という名前の引用句に対するテキストが指定されていません - ↑ 山本弘、植木不等式、江藤巌、志水一夫、皆神龍太郎『と学会レポート 人類の月面着陸はあったんだ論』楽工社、2005年、pp.129-131
- ↑ 松山ひろし『3本足のリカちゃん』p131