土木事業
土木事業(どぼくじぎょう)建設事業のうち、建築事業以外の事業の呼称。都市計画事業・都市建設事業のうち、土木分野の事業もいう。 また、建設業の事業内容、ゼネコン・建設会社における建築以外の建設事業。
主な種類に道路整備、各種トンネル構築、港湾築港や改築、鉄道敷設、運河造成、河川・海岸・治山・治水・砂防などの事業やダム事業・河川総合開発事業、水田開発、疏水事業、管材土木事業、電源開発事業、川の流路変更(治水事業)、堤防建設、水路建設・修復、海浜・海岸埋め立てや山野の開墾、干拓、ため池の築造や補修などがあるが、震災復興事業の大半は土木事業が占める。歴史的にもイェータ運河、難波の堀江やマクペラの洞穴などの例があり、仁徳天皇古墳築造や茨田堤の築造は、日本最初の大規模土木事業だったとされる。
その他、農林水産業の分野では、農業分野のルーラル・エンジニアリング事業は農業土木事業と呼ばれ、関連団体に農業土木事業協会がある。林業分野ではわかやま森林と緑の公社などや森林コンサルタントなどが行う森林に関するエンジニアリング事業は森林土木事業と呼ばれる。水産分野では水産資源の移植、海洋種苗移植技術、漁業者による磯焼け対策、藻礁開発、海藻の着生、藻場分布調査、沖合漁場整備、増殖場・核藻場造成、礁開発・人工動揺基質開発、漁場改善、などは水産土木事業として行われ、関連学会に日本水産工学会などがある。
土木学会の目的は、「土木工学の進歩および土木事業の発達ならびに土木技術者の資質向上を図り」とし、名誉会員は、土木工学又は土木事業に関する功績が特に顕著である会員に贈られる称号である。建設コンサルタントに関する昭和34年1月、建設省事務次官通達は、「土木事業に係わる設計業務などを委託する場合の契約方式等について」としている。土木事業の代表例は国土交通省・地方整備局の直轄土木工事の施工や管轄府県土木工事などの公共事業で、江戸時代には土木事業を普請、建築事業を作事と読んでいた。
土木事業費とは、土木事業を行う費用をいう。土木計画学では土木事業計画という分野がある。
人物
- 角倉素庵-江戸時代初期の土木事業家
- 津田永忠
- クフ
- 稲葉信通
- 閻立本
- 相良頼福
- 煬帝-揚州八怪など大規模な土木事業を
- 萩御殿
- 砂村新左衛門
- 道昭-各地で土木事業を行ったとされる
- 高碕達之助-大型重機を使う工事はその後の土木事業に大きな影響を与えた
- 景徳王-寺の修築など鎮護国家のため、土木事業を大いに行なったことが伝えられている
- ウィリアム・ペティ-貧民対策として公共土木事業に労働者を投入すべきことを提言。小さな政府
- 谷正倫-水利建設や農・林・牧業振興、土木事業を展開
例
- 救済土木事業
- 会津三方道路などの土木分野の公共事業
- 時局匡救事業
- 前橋市#土木事業
- 野中兼山#土木事業
- 始皇帝#始皇帝の大土木事業
- 太田川#軍事都市・広島の河川事業
- 農業土木分野の救農土木事業
- 客土#土木事業
関連項目
- 共同企業体(JV) - 土木事業協同組合とも呼ぶ
- 日本ウエルポイント協会 - ウェルポイント技術の研究・向上を目的にした土木事業者による団体である
- アイ・エイチ・アイ・マリン - 「海洋土木事業」と「陸上土木事業」とに
- みらい建設工業 - 日東大都工業株式会社の子会社で土木事業部門の会社
- 中川根町-中川根町土木事業施行要綱(昭和44年中川根町告示第12号)
- ミルウォーキー市 - 公共土木事業局がある
- バリューエンジニアリング-土木事業で行われる
参考文献
- 『昭和初期の富山都市圏における土木事業と三人の土木技師』都市計画 55(4), 94, 2006年8月25日号
- 『加藤清正の川づくり・まちづくり』加藤清正土木事業とりまとめ委員会(建設省熊本工事事務所)1995年
- 『アメリカの潅漑土木事業, (海外農業生産性視察報告 ; 45) 』農林水産業生産性向上会議 1962
- 『えひめの土木事業. 昭和60年度』愛媛県土木部, 〔1985〕
- 『大分県土木事業の概要. 昭和51年度』大分県土木部. - 大分県土木部, 〔1977〕
- 渡辺栄『郷土に歴史的土木事業を訪ねる』山海堂, 1996.8
- 石川忠晴『公共土木事業を題材とした小学校環境教育に関する基礎的研究』 東京工業大学. 1995-1996
- 加瀬和俊『公共土木事業の就労者構成と労働市場政策-昭和恐慌期の失業問題・農村問題との関連』東京大学. 1992-1993
- 『森林土木事業における木材利用事例集』 岩手県林業水産部[他]. 岩手県治山林道協会, 1989.3 (木材利用拡大事例シリーズ ; no.3)
- 『森林土木事業における木製構造物の計画と設計』 林業土木コンサルタンツ技術研究所. 林業土木コンサルタンツ, 2004.10
- 中村隆英『戦間期の日本経済分析』 山川出版社, 1981.2
- 加瀬和俊『戦前日本の失業対策』 日本経済評論社, 1998.2
- 『朝鮮土木事業誌. 昭和3年度迄』 朝鮮総督府, 1937
- 『東北地方における土木事業近代化の先覚者像』 史料編纂委員会. 東北建設協会, 1996.9
- 黒田勝彦『土木事業の文明に果たす役割に関する史的研究』京都大学. 1986-1988
- 『名古屋市の土木事業概要』名古屋市. 昭和60年
- 『農業土木事業投入調査結果』 農林水産大臣官房調査課, 1982.4. (昭和55年産業連関表作成資料 ; no.4)
- 高橋和雄『農業土木事業におけるコンクリートの強度に及ぼす施工・養生条件の影響に関する研究』 1979.2-1980.2
- 國武昌人『農業土木事業における低品質骨材の利用開発に関する研究』宮崎大学. 1991-1992
- 中谷三男『農業土木事業における土構造物の変形と沈下を考慮した施工法に関する研究』 1978.3
- 『農林・土木事業関係遺跡』 山形県教育委員会, 1982.3. (山形県埋蔵文化財調査報告書 ; 第52集)
- 『三重県土木事業概要 〔昭和55年〕』三重県土木部, 1980.4
- 『明治以降土木事業統計抄録』 建設省大臣官房調査統計課, 1957