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対戦型格闘ゲーム(たいせんがたかくとうゲーム)とは、プレイヤーとコンピュータ、あるいはプレイヤー同士が操作するキャラクターが、主に1対1の格闘技(もしくはそれに類する形式)で戦う対戦型コンピュータゲームである。コンピュータゲームのジャンルにおいてはアクションゲームの1種として分類できる。格ゲーと略される。
プレイヤーはキャラクターを1人(もしくは複数)選び、互いに体術や武器術、あるいは必殺技などで攻撃しあう。攻撃されたほうは体力が減り、先に体力[1]が尽きたほうが敗北(相手をKOしたほうが勝利)となるシステムが一般的である。タイトルによっては、相手をリングの外に追い出し、リングアウトさせることで勝利となるルールが併用されるものもある。
なおキャラクターが格闘技で戦ってさえいればそれで格闘ゲームかと言えば、必ずしもそうではなくボクシングゲームやプロレスゲームという呼び方でスポーツゲームの一種であるとされる場合もある。はっきりした定義があるわけではないが:
- 異種格闘技戦の要素が無い。
- 荒唐無稽な技が少ない、あるいは無い。
- 各スポーツのルールやそのスポーツならではの醍醐味の部分の、再現度・重要度が高い。
こういった特徴の多い作品ほどスポーツゲームと判断されがちなようである。
歴史[編集]
1984年の任天堂の『アーバンチャンピオン』、セガの『アッポー』、1985年のコナミの『イー・アル・カンフー』、1987年のカプコンの『ストリートファイター』など格闘技を題材とする格闘ゲームの嚆矢とされる作品は1980年代から存在したが、1991年のカプコンの『ストリートファイターII』により複雑な駆け引きのできる対戦を前提としたゲームシステムが完成。この作品の爆発的なヒットにより、1990年代に対戦格闘ゲームはブームを巻き起こした。数々の亜流ゲームが作られた以外に、格闘ゲームを原作とする実写映画やアニメが何本も作られ、1993年に始まったK-1など現実の格闘技人気にも大きく寄与した。また、アーケードゲームとして人気だった格闘ゲームは家庭用ゲーム機に移植され、キラーソフトとして家庭用ゲーム機の普及に大きく貢献した。
対戦格闘ゲームは当初は爆発的ブームであったが、各シリーズの新作とともにシステムも複雑化し、ポリゴン技術による3D化を除いて革新がなかったことも手伝い、徐々にマニア向けなジャンルとなっていった。近年ではカードシステムによる戦績データの閲覧や、アイテムによるプレイヤーキャラクターのカスタマイズなどの蓄積要素を取り入れた。
2D対戦格闘ゲーム[編集]
1991年に日本においてカプコンの『ストリートファイターII』がアーケードゲームとして登場し、ジャンプやしゃがみなどの基本行動、攻撃やガード、コマンド入力方式の必殺技などを駆使する形式がジャンルとして確立し、他の対戦格闘ゲームにも踏襲された。CPUとの対戦に加え、プレイヤー同士の対戦による駆け引きが人気を呼び、媒体となるマザーボードの改良やゲージ蓄積による必殺技、連続技やカウンター攻撃、隠しキャラクターやチームバトルなどゲームシステムの変更も行われ、各地で大会なども開かれ日本以外でも流行となった。
3D対戦格闘ゲーム[編集]
1993年にセガの『バーチャファイター』がアーケードに登場して以降は、ポリゴンで描かれたキャラクターを使用して3次元空間での戦いを表現した3D対戦型格闘ゲームが増加した。それに伴い、スプライトで描かれた2Dグラフィックのゲームは「2D対戦型格闘ゲーム」と呼ばれ区別されるようになった。バーチャファイターが独特なシステムを数多く持っていたためか、それ以降の3D対戦格闘ゲームでもバーチャファイターを踏襲したと思われる要素を持つものが多い。その最たるものが、しゃがみガードができない中段攻撃の導入(後述)である。中段攻撃自体はバーチャファイターの発明ではないが、大抵の3D対戦格闘ゲームでは、ほとんどのキャラクターに基本技として中段攻撃を持つ。そのため2D対戦型格闘ゲームでありがちな「しゃがみガードをしていれば安定して相手の攻撃を防ぐことができるため、相手の攻撃を凌ぎながらスキを見て反撃する」という待ち状態がなくなったことが大きい。中段攻撃の存在により、状況に応じての立ちガードとしゃがみガードの使い分けや通常技の連携を重視した対戦となり、必殺技を重視したそれまでの2D対戦型格闘ゲームとは全く違うゲーム性となった。ただ3Dグラフィックでも従来の2Dグラフィックのゲームシステムをそのまま踏襲した作品もある。ネットワーク対応及びカードシステムの普及により、近年の作品では海外展開がされなくなったタイトルもある。
キャラクター[編集]
各ゲームには個性豊かなキャラクターが登場し、それを操作することが格闘ゲームの大きな魅力ともなっている。
ゲームによっては、人間以外のモンスターやロボットも登場する。
また、漫画原作のキャラクターが登場する作品もあり、逆にゲームの人気から漫画化やアニメーション化されることもある。
多くの場合、これらのキャラクターたちには身長、体重、国籍などのプロフィールが公式に設定されている。特に綿密な考証に基づいて設定されるわけではないので、体格の割に体重が軽すぎるといった粗が見つかることもあり、『ストリートファイターII』でのサガットがその最たる例である(身長226cm、体重78kg)。
近年の格闘ゲームにおいては中級者を中心にキャラ間の性能の格差を不満に思うプレイヤーも多くいるが、あくまでキャラ差は実力が同程度の場合に顕著に現れるものである。逆を言えば、実力が同程度の相手と対戦をする時にはキャラクターの性能差は確かなものとして存在するため、使用キャラの性能の低さを感じた時にキャラクターを変更するかどうかはプレイヤー次第と言える。
キャラクター設定には業界全体を通して傾向が見られる。あるゲームで持ち込んだ設定がヒットした事がライバル社に影響をもたらしているためとされている。以下はその一例である。
- 暴走キャラ
- 体内に封印された禍々しい能力(多くは呪われた血統に起因するもの)が覚醒し、自己制御の効かずに暴走した状態で戦うキャラクター。新キャラクターではなく既存のキャラクターの派生として登場する事が多い。暴走していることを受けてか、通常の状態よりも攻撃力が高い、移動スピードが速いなど、攻め能力に特化している事が多い。
- <例>デビル一八(『鉄拳シリーズ』)、ツキノヨルオロチノチニクルフイオリ(『ザ・キング・オブ・ファイターズ』)、殺意の波動に目覚めたリュウ(『ストリートファイターZERO』)など
- 最弱キャラ
- ゲーム中盤頃に大見得を切って乱入してくるが、あっさりと負けるキャラクター。意図的に性能を低く設定されている。技は主人公の技をデチューンしたもの(飛び道具の飛距離や威力など)である事が多く、グラフィックも主人公のものを流用したものが多い。
- <例>火引弾(『ストリートファイターZERO』)、矢吹真吾(『ザ・キング・オブ・ファイターズ』)など
操作系[編集]
アーケードゲームの場合は、8方向レバーと3~6個のボタンで入力を行う。レバーでキャラクターを移動させ、ボタンで攻撃を行う。まれに、2本のレバーを使用し、攻撃もレバーで行うようなタイトルもある。
移動[編集]
基本的には左右方向で前後に移動し、下方向でしゃがみ、上方向でジャンプする。しゃがむことで相手の打点の高い攻撃を避けることができる。ジャンプすることで打点の低い攻撃を避けることができるが、相手が動ける場合は打点の高い技の的となってしまう。
ジャンプは2D格闘ゲームでは相手の攻撃を避けたり、相手に近づく手段として使用頻度は高いが、3D格闘ゲームではジャンプの軌道がゆるやかで飛距離も極端に高いか低いのどちらかであり、またジャンプ中の攻撃が強力なものは少ないため、あくまで回避手段として用いられることが多い。
進行方向に素早く2回入力することで、ダッシュが可能なゲームも多い。大きく踏み込む(ステップ)タイプと、相手に駆け寄る(ラン)タイプが典型である。これを備えるゲームは、進行方向逆に2回入力すると後方に飛び退く(バックステップ)機能を同時に備えることがほとんど。バックステップのみで、無敵時間が設定されているゲームもある(餓狼伝説SPECIALなど。ただし、空中投げに対しては無力)。3D対戦格闘ゲームではレバー入力に応じた自然な足の動きを再現することが難しく、キャラクターによっては通常の移動が極めて遅い者もいるため、素早く移動するには大抵このダッシュを使うことになる(但し、本当に意図的に通常移動を極めて遅く設定されているキャラクターは、特別にダッシュ動作を禁止されていることが多い。北斗の拳におけるハート様などがその例)。
また、例外として『サイキックフォース』のように360度全方位に移動できるものもある。
3D対戦型格闘ゲームでの軸移動[編集]
3Dでは上下左右のほかに奥・手前(キャラクターにとって左右)の概念が付加される。この方向への移動は主に軸移動と呼ばれる。キャラクター同士の中心点を結ぶ直線を軸と呼び、この軸が移動するためである。
一般にレバーを下方向ないし上方向に素早く2回入力することで行なえ、直線的な攻撃を回避することができる。しかし、内部処理の方法は多種多様であり、『バーチャファイター』では直線攻撃(縦攻撃)と回転攻撃(横攻撃)を明確に分け、直線攻撃に対してのみ有効な無敵時間を用い時間的に回避の成否を決定している。一方、『鉄拳シリーズ』や『ソウルキャリバー』では当たり判定を動かし、相対的な位置で回避の成否を決定している。そのため、タイミングや位置が良ければ回転攻撃でも回避することができるし、システム上直線攻撃であっても回避しきれない場合も出てくる。
特殊な例として、『ソウルキャリバー』では通常のレバー操作で、俯瞰視点における前後左右の動作が行なえ、ジャンプやしゃがみはガードボタンとレバーを同時に用いて行なう。
攻撃[編集]
ボタンを押すとパンチやキックなどの攻撃を行う。ボタン一つで発生する行動は、複雑な操作の要る必殺技に対して、通常技と呼ばれる。例えば弱パンチはジャブ等、威力はないが隙が小さい技が、強パンチはストレートやアッパーカット等、強力だが隙が大きい技がそれぞれ発生する。
2D対戦型格闘ゲームでのボタン操作[編集]
2D対戦型格闘ゲームの最大手だったカプコンが制作したゲームの多くは『ストリートファイターII』に代表される6ボタン入力系を採用している(もともとは、前作『ストリートファイター』の汎用筐体向けのコンパネ仕様である)。上段の3つを左から順に弱、中、強威力のパンチに、下段の3つを同様にキックに割り当てている。この入力体系をカプコンとアリカ製のゲーム以外で採用したゲームは『カイザーナックル』、『ファイターズヒストリー』など『ストリートファイターII』ブームに乗る形で出したゲームが多い。
2D対戦型格闘ゲームで同じく多く使用されたのは4ボタン入力系である。これは格闘ゲームを多く送り出したネオジオで使用できる最大ボタン数が4までだったこともある。4ボタンと一括してもその使用法はバリエーションが多く、中攻撃を削除し、パンチ、キックの弱、強に割り当てるもの(『餓狼伝説スペシャル』、『ザ・キング・オブ・ファイターズ』など)、弱・中に割り当てて強攻撃を弱、中のボタンを同時に押すことで発生させるもの(『サムライスピリッツ』、『ワールドヒーローズパーフェクト』など)、3ボタンを攻撃に割き(弱、中、強、パンチ、キック、強攻撃、弱攻撃など)、4ボタン目を何らかの特殊行動に割り当てるもの(『サムライスピリッツ 斬紅郎無双剣』、『龍虎の拳』、『ジョジョの奇妙な冒険』、『MELTY BLOOD』、『GUILTY GEAR』など)、等々、様々なものが存在する。
同時押しで強攻撃を発生させるタイプの場合、ゲームセンター側で5、6ボタン目を取り付けて弱、中ボタンの同時押しになるように改造し、6ボタン入力仕様にした筐体も散見された。また、4ボタンでは特殊動作をする際に同時押しを要求されることも多く、『餓狼伝説3』など格闘ゲームが進化していくにつれ直感的に分かりづらい煩雑な同時押しを要求されることも多かった。近年では、北斗の拳のように攻撃ボタンの4ボタンに加え、特殊動作に1ボタンを加え5ボタンにした作品も多い。
全ての対戦格闘ゲームの元祖『ストリートファイター』では、感圧式のボタンが使用されていたが、これにならったのか、『ワールドヒーローズ』や『龍虎の拳2』など、ボタンの押し具合によって強弱を使い分ける方式もある。
上段及び下段のパンチ、キックと、それらの中央にガードボタンを配置したもの(『モータルコンバット』)、3ボタンの構成がパンチ、キック、ジャンプとなっているもの(『ナックルヘッズ』)等がある。
3D対戦型格闘ゲームでのボタン操作[編集]
『バーチャファイター』に代表される3D対戦型格闘ゲームは、ガード・パンチ・キックの3ボタンで構成されるものが多い。パンチ・キックは1種類ずつしかないが、ボタンを特定の順番・タイミングで押す、特定の組み合わせで同時に押す、レバー入力と組み合わせる等の操作で様々な技に派生させられる。「キックの威力はパンチの2倍」に従ってか、全体的にキックのほうが威力は高い。ガードボタン単体では攻撃には関わらないが、ボタンを攻撃のバリエーションとして使用することもある。
これの操作系をアレンジしたものとして、ドリームファクトリー製のゲームはパンチ・キックの代わりに上段攻撃・下段攻撃とし(上下同時押しで中段攻撃)、技の属性が直感的に分かりやすいようになっている。
その他特徴的なものに、左右の手足に4つのボタンを割り当てたもの(『鉄拳シリーズ』)、キャラクターが武器を持ち、縦横の武器を振る方向で構成されたもの(『ソウルキャリバー』、『スターグラディエイター』等)、前・後のボタンで移動、レバーで攻撃の『武力 ~BURIKI ONE~』がある。
ガード[編集]
ガードは相手の攻撃を防御し、ダメージを完全に防ぐか最小限の被害に留める防御行動である。技による攻撃と同じぐらい重要な行動である。
2D対戦型格闘ゲームでのガード[編集]
2D対戦型格闘ゲームのほとんどと3D対戦型格闘ゲームの一部は、進行方向の逆にレバーを入力することでガードする。例えばキャラクターが右を向いている場合、左に入力するとガードになる。また、足下を狙う攻撃には左を入れてガードすることはできず(下段技)、左下を入力してガードする。また、ジャンプ中の攻撃は左下の入力ではガードできず、左を入れてガードする。
2D対戦型格闘ゲームにおいてはしゃがみ技に強力なものが多く、立ち技も下段ガード可能でジャンプ攻撃は下段ガード不能だが切り替えは比較的容易なため、しゃがみガードが防御の基本となる。地上での中段技(後述)を持っているキャラもいるが、そのほとんどがガード崩しのバリエーションにすぎないため、相手の動きに応じて中段技を意識はしつつ、ガードはしゃがみガードを中心とすれば基本的には安全である。だが、キャラクターが空中で機敏に動けるゲームではジャンプ攻撃が擬似的な中段技として機能することもあるため、一概にそうとは言い切れない。
3D対戦型格闘ゲームでのガード[編集]
3D対戦型格闘ゲームのほとんどは、レバー入力方向に応じず地上にいるときガードボタンを押すことでガードする。立っている時にガードボタンを押すと立ちガードになり、しゃがんでいる時にガードボタンを押すとしゃがみガードになる。但し、鉄拳シリーズではレバーでガード動作を行う。
2D格闘ゲームと異なる点は、しゃがみガードできない「中段技」と呼ばれる技が多くあること(この中段技の元祖は2D格闘ゲームの龍虎の拳)で、それに比べしゃがみ攻撃は弱く、下段技も中段技に比べるとリスクやリターンでは劣っているものが多いため、3D格闘ゲームでは立ちガードが基本となる。しかし、隙の少ない上段攻撃はしゃがみで避けることができ、下段技も多用できる性能のため、2D格闘ゲームに比べて相手の動きに合わせて立ちとしゃがみを使い分ける機会は遥かに多い。また、先述のように2D格闘ゲームでもこのボタンガードを採用しているゲームもある。
投げ[編集]
投げは近くにいる相手をつかみ、名前の通り投げ飛ばしたり至近距離からの打撃をあたえる攻撃行動である。
2D対戦型格闘ゲームでの投げ[編集]
通常投げ、コマンド投げ、移動投げ、対空投げ、空中投げ、打撃投げなどが存在する。
最大の特長はほとんどの投げ技が条件が成立していれば即可能で、通常の攻撃より出が早く前述のガードを無効化できる点であるが、相手との距離がきわめて近くないと投げられない、相手が攻撃を受けているモーション中は投げられないなどの条件が存在する。これは2D対戦格闘では攻撃することのリスクは低く、なんらかの技を出している・移動中の状態が多いため、密着状態にすること自体のリスクが高いからである。即ち、2D対戦型格闘での投げはガードを崩す裏の選択肢といえる。ただし、いわゆる投げキャラは打撃技等がイマイチな反面、コマンド投げが大ダメージであったりするため、主流の選択肢となる。
投げられる条件を満たさないまま投げ技の入力をしたり、入力から実際につかむまでに条件が解けたりすると、別の技が出たり投げ失敗のモーションになり、隙をさらす事になるゲームも多い。
1990年代後半に「投げ抜け」という投げられたタイミングに特定の入力をする事で投げ掴みを捌く事ができるシステムが導入され始め、昨今の格闘ゲームのほとんどに採用されている。2D格闘ゲームの場合、相手が使用したの投げのコマンドと似たボタン入力が求められる事が多い。([P投げ]に対して[P]、[→K投げ]に対して[→K]など) また、一部のコマンド投げや通常投げ以外を「投げ抜け不可」としている格闘ゲームも多く存在する。
3D対戦型格闘ゲームでの投げ[編集]
3D対戦格闘における投げは、ガードは無効化できるが、打撃技と比較しても早い部類と同等程度で、ダメージも単発としては高めな程度でしかない。しかし打撃技が、ある程度接近しないとヒットさせられず、ガードされると基本的には不利である。このガードに対する存在として、投げが存在する。そしてその投げも攻撃技とかち合うと一方的に潰される羽目になる。すなわち、打撃<ガード<投げ<打撃…という基本の「三すくみ」を構成する、重要な要素・選択肢といえる。
更に立ち・しゃがみガードの使い分けから、立ち状態を投げる立ち投げ、しゃがみ状態を投げるしゃがみ投げを区分。これを含めて細分化すると、中段攻撃<立ちガード<立ち投げの主流の3すくみに、更に下段攻撃<しゃがみガード<しゃがみ投げ・中段攻撃、更に立ち投げ<しゃがみガード、しゃがみ投げ<立ちガード等という複雑なすくみ関係のループが構成されている(ただ、基本的にしゃがみ投げを持つキャラは少ない。出の速い中段技でもしゃがみガード崩しは十分出来るためである)。
これにより、どの行為にも有利・不利の相性があり、少なくないメリットとリスクがあるようになるため、相手がどう行動するのかの読みに勝つことが重要となるのである。 これらは開祖であるバーチャファイターが基本形を構築しており、後のゲームも大きな影響を受けている。
稀に、打撃技の出がかりをも投げられる「キャッチ投げ」があったり、投げをしゃがみ・立ち状態共通にするゲームも存在する。
投げ抜けに関しては、投げの殆どがコマンド投げであるため、すべて出来るようにしているのが一般的。ただし対応する投げ抜けコマンド(相手投げコマンドの最後の方向と同じレバー+投げなど)でなければ抜けられないという制限を課し、ここにも読み合いの要素を入れていることがある。 また投げ失敗モーションがあるゲームも一般的。これは読みの失敗を明確にする効果もある。これもバーチャファイター2において、投げ失敗がなくコマンドの重複が可能だったため、いわゆる「自動二択」(投げられなければ、自動で中段攻撃が出る)がリスクが非常に低く強かったことの反省から導入されている。
レバーとボタンの組み合わせ[編集]
2D対戦型格闘ゲームのほとんどと3D対戦型格闘ゲームの一部は、特定のレバー操作(コマンド入力と呼ぶ)をした後ボタンを押すことで必殺技を発動させられる。必殺技はガードすると体力がわずかに減少する(削り)。特定の操作とは、例えばボタンの連打、レバーを下から右方向に4分の1回転させた後パンチボタンを押す(波動拳コマンド)、といったもの。比較的簡単なものから、レバーを1回転させるような難しいものまで様々なものが存在する。
後に必殺技を越える必殺技である超必殺技が登場した。性能は必殺技よりも高いものの、残り体力やゲージなど、一定の条件を満たす必要がある。さらに必殺技以上にコマンドが複雑なものが多く、1990年代中盤までは複雑化の一途をたどり、出せること自体が能力となっていた面もあったが、その後は単純なものへと回帰していった。これは格闘ゲーム自体がマニアックになりすぎ、プレイヤーの新規参入を阻んだ事への反動と言われる。
レバーを前方や後方などに入れながらボタンを押すことで、通常とは違う攻撃を出せる場合もある。例えばレバーを進行方向に入れながら中パンチボタンを押すと、通常はフックが出るところ上から振り下ろすようなパンチに変化する、といったもの(『スーパーストリートファイターIIX』、リュウ:鎖骨割り)。これらは通常技ではないが必殺技と言うほど特別ではない、という意味で特殊技、もしくは単にレバー入れ技、等と呼ばれる。
レバーを下方向に入れた場合の攻撃はしゃがんだ状態の通常技と見なされ、特殊技とはされない。同様に上方向に入れた場合も、ジャンプ中の通常技と見なされる。ただし、例えば進行方向斜め下にレバーを入れた場合のみ技が変化する場合は特殊技とされる。
3D対戦型格闘ゲームについては、前述の通りボタン入力とレバー入力の組み合わせで様々な技に派生する。2D対戦型格闘ゲームでは一つのボタンでは状態によって決まった一つの通常技しか出なかったが、3D対戦型格闘ゲームは通常パンチボタンを押した際に出るジャブの他に、レバーを前に倒しながらボタンを押すことで全く異なる技の肘打ちを出すことができる。このように2D格闘ゲームのようなボタンの違いによる使い分けではなく、ボタンとレバーとの組み合わせで技を使い分けるようになっている。また「パンチ・パンチ・パンチ・キック」のように順にボタンを押していくことで固有のコンビネーション技を出すことが出来るキャラクターも多い。また、2D格闘ゲームのように必殺技のようなコマンド入力を要求されることもある(レバーを←←→と倒してパンチとキックを同時押しなど)。
このレバーとボタンの組み合わせによる技の入力は、非常に簡便で使い分けやすいが、一方で人気シリーズでは新作を重ねると共に技は追加され続け、結果的にはその技の多さが複雑さを招くこととなった。
必殺技コマンドの例[編集]
代表的なコマンドと通称を以下に挙げる。以下の例はキャラクターが右を向いているとき(左側にいるとき)の場合(左向きの場合は逆になる)。
- 波動拳コマンド - ↓ ↘ → + ボタン
- 『ストリートファイターシリーズ』のリュウの必殺技、波動拳に由来する。波動拳と同様に、なんらかの飛び道具を放つ技にこのコマンドが割り当てられることが多い。
- 「波動コマンド」、「波動」とも。英語圏ではQCF(Quarter Circle Front)と呼ばれる。
- 昇龍拳コマンド - → ↓ ↘ + ボタン
- 同じくリュウの必殺技、昇龍拳に由来する。昇龍拳と同様に、上昇しつつ攻撃を放つ技にこのコマンドが割り当てられることが多い。波動拳に比べやや難しい。「昇龍コマンド」、「昇龍」とも。
- 竜巻旋風脚コマンド - ↓ ↙ ← + ボタン
- 同じくリュウの必殺技、竜巻旋風脚に由来する。竜巻旋風脚と同様に、相手に向かって突進する技にこのコマンドが割り当てられることが多い。
- 「竜巻コマンド」、「竜巻」、「逆波動」とも。英語圏ではQCB(Quarter Circle Back)と呼ばれる。
- ため技 - レバーを←方向にしばらく入れ、→ + ボタン
- 『ストII』のインストカードで「ためる」という表現をしていたためこう呼ばれる。ためる時間はゲームや必殺技によって様々だが、多くは1秒前後。『ストII』のガイルの必殺技、ソニックブームが代表的。
- ほとんどは「←にためて→」か、「↓にためて↑」だが、変則的なものも存在する。
- ヨガフレイムコマンド - ← ↙ ↓ ↘ → + ボタン
- 『ストII』のダルシムの必殺技、ヨガフレイムに由来する。
- 省略して「ヨガ」「前半回転」とも。英語圏ではHCF(Half Circle Front)と呼ばれる。バーチャファイターなどの3D対戦型格闘ゲームでは強力な投げ技(ジャイアントスイングなど)で用いられることが多い。
- この逆に、前方から後方に半回転させる場合(→ ↘ ↓ ↙ ←)は「逆ヨガ」、「後ろ半回転」と呼ばれる。英語圏ではHCB(Half Circle Back)となる。ヨガフレイムのコマンド自体は後に「逆ヨガ」に変更されたが、用語としての「ヨガフレイムコマンド」の指す意味は変わらずにいる。
これらのコマンドは2D対戦型格闘ゲームの典型となっており、他のゲームやキャラクターのコマンドを説明する際にも用語として用いられることが多い。例えば『餓狼伝説』のテリーの必殺技「パワーウェーブ」は「波動 + A」、『ストリートファイターZERO』の豪鬼の「滅殺豪波動」は「逆ヨガ×2 + P」等と説明できる。
なお、プレイヤー層やゲームによって呼び方が異なる場合がある。例えば「→ ← ↙ ↓ ↘ → + ボタン」というコマンドを、主にSNK系の格闘ゲームに親しむものは「覇王コマンド」(『龍虎の拳』の超必殺技「覇王翔吼拳」に由来)と呼ぶが、主にカプコン系の格闘ゲームに親しむものは「前 + ヨガ」等と呼ぶ。
コマンドの表記法[編集]
各ゲームのインストカードや、アーケードゲーム誌『ゲーメスト』等では、上記のようにレバー入力方向を矢印で表記している。また、末期のカプコンのゲーム等ではレバーの軌跡(昇龍拳コマンドではレバーをZ字状に動かすなど)を図示したものがある。
パソコン通信のフォーラムやウェブページ・電子掲示板等ではコマンドを「623 + P」のように表記することが多い(この例は昇龍拳コマンド)。これは、キーボードのテンキーまたは電卓の数字をレバーに見立て、1を左下、2を真下、3を右下、4を左……のように表現したもの。斜め方向の矢印がJIS X 0208に含まれず、表現しにくい理由から生み出された。 慣れるまでは分かりづらいが、文字ベースで簡潔に表現できるという利点がある。但し、携帯電話の普及により、電卓ではなく電話のテンキー表記(上下が逆)と勘違いされることも多くなったため(例えば、咲桜拳コマンドを623Pと表記した場合に、右・上・右上・Pと解釈されるなど。もちろん咲桜拳など出ず、ジャンプ攻撃が出る)、近年では使われなくなりつつある。
その他、斜め方向の入力を全角スラッシュ(/)及びバックスラッシュ(\)で表現する方法もあるが、左下と右上、右下と左上の区別が付かないという欠点のため主流ではない。昇龍拳コマンドなら「→↓\ + P」のように表記し、ヨガフレイムコマンドなら「←/↓\→」のように表記する。 Unicode対応ウェブブラウザの普及によって斜め方向の矢印も表示可能になっているが(例:↘ - ↘)、入力の手間がかかることなどからこれもあまり使われない。
駆け引き[編集]
この節を書こうとした人は途中で寝てしまいました。後は適当に頑張って下さい。 |
三すくみ[編集]
2D格闘ゲームにおける基本的に攻撃行動は以下の三種類に分けられ、これらは三すくみの関係が成立する。
- ジャンプ
- ジャンプによる飛び込み攻撃。牽制に強く、対空に弱い。
- 牽制
- 地上の敵を狙って当てる攻撃。特にしゃがみ攻撃など低い攻撃がそれにあたる。対空に強く、ジャンプに弱い。
- 対空
- 空中の敵を落とす攻撃。基本的にジャンプを見てから対空技を使う。ジャンプに強く、牽制に弱い。
無論、例外は存在し、生半可な対空技に逆に勝つジャンプ技や、状況次第で牽制にも対空にもなる技、空中対空中で威力を発揮するジャンプ中牽制技、いずれにも当てはまりにくい技などが存在する。
3D格闘ゲームにおける基本的な三すくみは、打撃・ガード・投げ。
- 打撃技
- 地上における攻撃全般。ガードされると基本的に不利。大技だと反撃が確定。投げ技はつぶす事ができる。
- ガード
- 打撃技を無効化する。投げには無防備。
- 投げ
- ガード状態を無視して攻撃できる。打撃技とかち合うと一方的に潰される。
更にしゃがみガードを無効化する中段技や小技へのレンジ外からの大技、立ちガード不能な強上段技、上段技を無効化するしゃがみ状態、軸ずらしを潰す回転系打撃技など、すくみ関係の広がりはかなりある。ただ、技が違ってもすくみ関係はその属性でほぼ同じため覚えやすい。
差し合い[編集]
広義的には地上における牽制による駆け引きのことを指す。相手が技を出したところに判定の強い技で対応しカウンターヒットを狙ったり、間合いを調整して相手が技を空振りした所を攻撃するのが代表的。
択一攻撃[編集]
相手がなんらかの行動(主にガード)を取ることを前提に、対処法の異なる複数の攻撃のどれかを選んで攻撃する。例としては「下段攻撃と中段攻撃のどちらかを選んで攻撃する二択攻撃」など。この場合、大雑把に言えば二分の一の確率で打撃がヒットすることになる。攻撃側が選択肢を3択・4択と増やせばヒット確率はさらに三分の二・四分の三と増加していく。想定外の行動(いわゆる「暴れ」や「逃げ」など)に対しては案外弱かったりする場合もある。
起き攻め[編集]
ダウンさせられた側は、起き上がり時の相手の出方に対処する必要がある。相手は通常の攻めと同じだけの選択肢があるが、ダウンさせられた側はとれる行動が非常に限定されたものとなるため、立ち状態のときよりも非常に不利な状態と言える。ダウンを取った攻め側は相手に択一攻撃を仕掛けたり、長く硬直する技を当てるなどして有利な状況を生かした攻撃を仕掛けるのがベター。逆に守り側は起き上がり中に出せる攻撃を出すか、防御行動をとって相手の起き攻めを回避するかを選択する必要がある(ゲームによっては、「何もしない」という選択が無敵時間などの関係上有効な場合もある。起き上がりモーション中は無敵だが何らかの行動をとった瞬間に無敵が解けるなど)。
駆け引きからの逸脱[編集]
ゲームによっては、正常な、もしくは全く駆け引きが発生しない状況が発生する。例えばハメがそれである。正常の駆け引きが発生しない状況から異なる駆け引きが発生することもある(先にハメの始動技を決めたほうが勝ちが了解として通じる)が、アーケードにおいてこうなった場合は大抵新規ユーザーが介入することができなくなる。
用語[編集]
対戦型格闘ゲームにはプレイヤーの間で使われる用語が存在する。これらは格闘ゲームにとどまらず、派生して他のジャンルで使われることもある。用語は数多く存在するが、その中でも代表的なもののみ以下に挙げる。
- 当身(当て身)
- 格闘ゲームでは概ね『相手の攻撃を受け止め自動で反撃する技』の総称として使用されている。餓狼伝説のギース・ハワードの必殺技「当て身投げ」をゲーメストが省略してこう呼んだことに由来する。
- 実際の「当身」とは、打撃、打突技(すなわち突きや蹴り)の総称であり、格闘ゲームで使用される同語とは意味が全く違うため、真性の当身技と格闘ゲーム中の当身技を混同しないように注意が必要。
- 最近ではこの混同、及び反撃が投げに限られない点を考慮し「返し技」という呼称が主に用いられているが、当て身もプレイヤー間などで根強く使われている。
- キャンセル
- 元々はバグだったが、これが存在することによりよりゲームが面白くなると言うことで正式にシステムとして使われることになった。2D対戦格闘ゲーム全般において、暗黙の了解とも言えるほど導入されているシステム。行動の後に必ず起こる隙をなくし、次の行動の入力が完成された時点から即座に次の行動に移ることを指す。
- キャンセルは無条件で出来ることはまず無く、相手に当たらないと出来ない、通常技→必殺技は可だが逆は不可、ゲージ使用技のみ可能などの制限がかかっていることが多い。
- また、特殊なキャンセルにはスーパーキャンセル、ロマンキャンセルなど、名前が付いている場合も多い。
- コンボ(combo)
- 連続技の意、英俗語でCombinationの略。英語圏では当初からコンボと呼ばれていたが、日本では『スーパーストリートファイターII』で「3 HIT COMBO」のように画面表示がされるようになってから急速に一般化した。格闘ゲームだけでなく、後年シューティングゲームや『ビートマニア』などの音楽ゲームにも使われるようになっている。ゲーム用語としては、元々はピンボールで使われていた用語。
- 相手に攻撃を当てると、のけぞって短時間行動不能状態となるが、そこへさらに攻撃を当てることでコンボとなる。コンボを決めた際の爽快さを好むプレイヤーは多く、メーカーも需要を受けてコンボを楽しませるためのシステムを次々に導入した。一方でコンボに偏重した結果マニアックになり過ぎ、コンボを上手く決められないライトユーザー層を遠ざける一因ともなっている。中にはA→B→C→A(A~Cはそれぞれ違う攻撃)の様に特定の攻撃がループで繋がってしまう物もあり、これは「永久コンボ(永久パターンから永パ)」と呼ばれるハメになるが、意図して入れられた物は少ない。
- また似た物に「即死コンボ」というものがあり、これは名前のとおり体力が最大だったとしても一回のコンボで体力が0になってしまうコンボで、永久コンボと同じで対戦で使うのはマナー違反と見られる場合が多い。
- 初期はコンボにより一瞬で勝負が付いてしまうこともあったが、後年の格闘ゲームの多くはヒット数が増えるほど1発あたりのダメージが低くなるよう補正し、ゲームバランスを調整するような設定がなされるようになった。また、ゲームによってはコンボ数に制限が設けられ、制限に達した場合その時点で無敵状態を伴うダウンとなり、強制的にコンボを終了させることもある。
- 複雑なコンボを考案し収録・編集したコンボムービーは、対戦の様子を収録したムービーと並んで人気が高く、プレイヤーによるものが多数作成されている。
- CPU
- 原義はコンピュータの中央処理装置(Central Processing Unit)の略称であるが、格闘ゲームではコンピュータがプログラムに従い操作するノンプレイヤーキャラクターのことを呼ぶ。プレイヤーが操作するキャラクターとの対人戦に対して、「対CPU戦」のように呼ばれる。
- コンピュータの反応速度は人間のそれを遙かに上回るので、注意深くプログラムを設計しないと、出した技にことごとく反撃されてしまうような理不尽なゲームになってしまう(例えば、入力の結果の行動ではなく、入力そのものを読み取って反応するようなプログラムは超反応と呼ばれる)。また人間がプレイした際の制限を無視した行動(タメ無し、コマンド入力時間ほぼゼロなど)を行うと、不平不満感を増大させることになる。逆に一部のゲームでは、高次面において1対2(プレイヤー1人に対してCPU2人)の対戦をさせるなどの方法でCPUの弱さを補完する場合もある(モータルコンバット、ナックルヘッズ、ピットファイターなど)。
- ハメ
- 一方が特定の行動をとり続けることで、もう一方を脱出不可能、または脱出が非常に困難な状況に追い込むことで、一方的な展開で相手が倒れるまで継続すること。特にデバッグで取り除けなかったバグを利用するケースが多い。狭義には脱出不可能なもののみを指す。「投げハメ」が代表的で、弱パンチ等隙の少ない攻撃をガードさせてから即座に投げるというもの。
- 多用することでゲームとして面白くない一方的な試合になってしまい、使われた側が苛立つなどして口論や殴り合いを含む喧嘩に発展することもままある。『ストII』稼働当初のゲームセンターにはまだ「不良のたまり場」的な側面が残っており、ハメを使った側がカツアゲに合うといった事件も頻発したと言われる。
- 後述の「待ち」と併せて非難の対象になりやすく、特に投げハメは後期のゲームほど成立しづらいゲームデザイン(ガード成立後投げられ判定が一定時間消失するなど)がなされる傾向にある。また、待ち以上にプレイヤーの立場は様々であり、完全否定する者、ザンギエフの「スクリューハメ(詳細はザンギエフの項を参照)」のような"その状況に持って行くのが困難なもの"のみ許容する者、狭義のハメのみを否定する者、完全肯定する者などがいる。
- ピヨる
- 短時間にダメージを連続して受け、気絶してしまう・朦朧とした状態になること。この間キャラクターは無防備なため非常に危険な状態である(通常入らない、「技を見てからガードや回避が間に合うほど隙の大きい攻撃」を決められる可能性があるなど)。名前の由来は『ストII』で、気絶したときに頭の上をひよこがピヨピヨ回る様から。ひよこ以外に星などが回る場合もこう呼ぶ。表現としてはディズニー作品などで古くから用いられているが、『ストII』を境に似た表現を使用するゲームが増加した(『ロマンシング サ・ガ』など)。無防備なだけでなく、この状態で攻撃を受けた場合にすべて「カウンターヒット」扱いとされて通常よりも大きなダメージを受ける様なゲームもある。
- 待ち
- 自分からは行動を起こさず、近づいてきた相手の行動に対応して攻撃する、といういわゆるカウンター的な戦い方。『ストII』のガイルが有名で、歩いて近づいてきた相手はリーチの長い下段キックで追い払い、ジャンプで跳び込んできた相手は対空必殺技で迎撃するというスタイルは「待ちガイル」と呼ばれる。
- 自分から攻めてダメージを与えるよりも楽な戦法で、ゲームによっては一方的な展開になることもあるなど、しばしば安易で卑怯な戦法であるとして非難の対象になる。このためか、後年に発表されたタイトルほど待ちが成立しにくいようなゲームデザインがなされる傾向にある(『ストZERO3』ガードゲージの導入、『GGX』ネガティブペナルティ導入など)。一方で、ゲーム内で取れる行動を制限すべきでないとする立場から、待ちを積極的あるいは消極的に認める者もいる。
- めくり
- ガードは「自分の後ろ側にレバー入力」であるゲームで、これを逆に利用し、前方ジャンプなどで相手を飛び越えて、相手が向きを変えるまで、またはガードコマンドを再入力するまでのタイムラグを利用して攻撃をヒットさせること。ガード方向が通常のものとは反対向きになるため、幻惑効果もある。ゲームによっては見た目は通常なのに前・後判定の内部処理(セルフディレクション)上では逆状態などもある。当然ボタン式のガードを採用するゲームや手動で振り向きを行うゲーム(背後方向からの攻撃に完全に無防備なゲームを除く)では成立しない。
- 呼称の由来はゲーメストが相手が向きを変える様をページやカードなどをめくる様に例えた事に由来する。システムとしてはストIIからあったが、スタッフが意図して入れたものではなかった。プレイヤーの研究によって発見され、以降のゲームでは特にジャンプからの攻めを重視したゲームで意図して入れられることが多くなっている。
待ち・ハメ論争[編集]
前述の待ち・ハメに関しては、古くは雑誌の投稿欄から、パソコン通信・電子掲示板などに渡って現在でも論争が繰り返されている。大まかに言って、待ち・ハメ否定派は「相手と戦いあうこと」を至上とし、「人にされて嫌だと思うことはするべきでない」「バグを利用するのは制作者の意図するものではない」との立場から主張し、待ち・ハメ肯定派は「自らが勝利すること」を至上とし、「ルールの範囲内で最善を尽くすのは当然である」「バグではない仕様であれば、制作者の意図したものだから、問題ない」とする立場から、それぞれ主張している。前提が違うままに主張し合うので議論がかみ合わず、不毛な論争になりがちである。(最終的には、円滑な運営のためにはゲームセンター運営者の裁定を以ってハウスルールとするのが最も無難である)
興味深い点として、ブームが去りプレイヤーが減少し、マニア層の声が相対的に大きくなった2000年代中盤では、肯定する立場の意見が優勢であり、バグを利用したハメまで肯定される傾向が強くなりつつある。なぜなら、もともと待ちやハメ行為を問題として、極端なまでのバランス調整を要求していたのはマニア層であり、立場が逆転しているからである。インターネット掲示板などではモラルの問題として自主規制する向き(待ち・ハメプレイヤーを嘲笑するなども含む)であるが、これも強制力を持たないものであるため、各プレイヤーやローカルレベルで周知・規制されている程ではない(この変化は、社会全般に競争原理とそれに伴う脱法行為を是とする風潮が広まり、他者への思いやりやマナーが失われたのと、時期を一つにしている要出典)
3D対戦格闘ゲームの場合は、攻めのリスクは低くなく、守りは必ず崩す手段があるため、守りも攻めも極端なバランスにはなっておらず、「待ちを崩せない方が悪い」という考え方が一般的である。試合内容に関しても、待ちやハメに対しての是非を問うよりも、いかに面白い読み合いができたか、読みあいのやり取りが出来る相手だったかどうかで語られることが多い。そういう意味では、ハメは論外としても、一方的な試合内容になりがちな対戦スタイル、同じ行動ばかり取るスタイルは、読み合いになっていないため敬遠される傾向にある。
メーカー側としては、初心者狩りによる対戦人口の減少・不公平感の増大・対戦が陳腐化するという待ち・ハメの害悪を重視し、ゲージを消費するが無敵の切り返し技を全キャラ装備させる、受身など取れる行動の選択肢を増やす、技を待ち・ハメが成立しないような性能にするなど、最初から出来ないようにする方向で進んでいる。しかし、調整しすぎると、爽快感やキャラクターの特色などがなくなってしまうので、製作側には難しいさじ加減が要求される所である。
衰退[編集]
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1990年代後半当たりまで、格闘ゲームはアーケードでは主役だった。しかしその数は次第に減少していく事になった。
他ジャンルの『ぷよぷよ』シリーズ、『電脳戦機バーチャロン』シリーズ、『頭文字D ARCADE STAGE』では「乱入する・乱入しない」「乱入を歓迎・乱入を拒否」というオプションを設けている(店舗側でオフにすることも出来る)が、アーケードの格闘ゲームにおいては乱入の拒否が不可能な設定とされているため、初心者狩りの対象になることもしばしばある。逆に、乱入せずに最初からプレイすることも不可能となっており、プレイヤーがクレジットを投入すると否応なしに乱入するプレイしかできない。
また、近年登場した『クイズマジックアカデミー』をはじめとしたカードゲーム等の作品は、各地の筐体をブロードバンドで結び、同レベルの対戦相手を選べるなどのシステムを導入している。さらに最近では、データの保存ができるカードで、キャラクターの服装等をカスタマイズ出来るといった要素を導入されている。しかしこれらの対策も、マニア層の引き留め以上の効果は得られておらず、ユーザー離れが続いている。
この「最初は売れていても続編がどんどんマニア向けになって一般客が離れ、最後にはマニアもついていけなくなって別ジャンルに流れてしまう」という傾向は、1980年代前半のボードウォー・シミュレーションゲーム以来、対人を目的とした玩具全般が繰り返してきた歴史を踏襲するものであり、対戦格闘もこれらと同様に衰退の道を歩んでいると言える。
現在では、対戦格闘ゲームと並んでアーケードゲームの花形ジャンルであったシューティングゲームも同様に衰退しているジャンルの代表として挙げられる。任天堂の岩田聡社長は、この2ジャンルを東京ゲームショウ2003の講演で「普通の人が遊べない、重厚長大化して飽和してしまった」と述べた。
主な対戦型格闘ゲーム[編集]
2D対戦型格闘ゲーム[編集]
- ストリートファイターシリーズ
- ヴァンパイアシリーズ
- VS.シリーズ
- 餓狼伝説シリーズ
- サムライスピリッツシリーズ
- 龍虎の拳シリーズ
- ザ・キング・オブ・ファイターズシリーズ
- ワールドヒーローズシリーズ
- ファイターズヒストリーシリーズ
- 豪血寺一族シリーズ
- GUILTY GEARシリーズ
- MELTY BLOODシリーズ
- モータルコンバットシリーズ
- アルカナハートシリーズ
3D対戦型格闘ゲーム[編集]
関連項目[編集]
脚注[編集]
- ↑ 但し、『ストリートファイターII』では、インストカードのルール説明で「精神力」と表記されていた。