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2017年8月26日 (土) 01:32時点における最新版
自転車(じてんしゃ)とは、乗り手自身の人力を主たる動力源として車輪を駆動することで推進力を得て、乗り手の任意による進路で地上を走行する乗り物である。
概要[編集]
自転車を英語訳する際に当てられる単語bicycleおよびその略語であるbike(バイク)は、ラテン語で「2」を表す接頭辞"bi"と「輪」を意味する"Circlo"に由来しており、2本の車輪を前後に並べた形態のものを指す。三輪のものはTricycle、四輪のものはQuadracycleなどと呼び分けるが、日本語の「自転車」は二輪以上であれば車輪の数は問わない。ただし自転車全体に占める個体数の割合において二輪車が圧倒的に多数であるため、実用上単に「自転車」と呼ぶ場合は二輪車を指すことが多い。
自動車などと比較して、移動距離当たりのエネルギーが少なく、有害な排出ガスが発生しない。また維持にかかる費用が安く、整備が容易である。メタボリックシンドロームの予防や解消をはじめとする健康増進効果への期待や、大気汚染や地球温暖化問題が叫ばれる現在は環境への負荷の少ない移動手段として、自転車通勤や自転車通学が見直されている。
自転車の歴史[編集]
自転車の歴史、特に黎明期の記録については現在もヨーロッパ各国を中心に資料の発掘と検証が続けられており、長らく定説とされてきたものを覆す研究も提示されている。また二輪の自転車よりも三輪以上の自転車がより早く製作されていたと考えられている。
安全型自転車の出現まで[編集]
自転車の祖先に当たる乗り物、またその着想についてはこれまでもさまざまな説が浮上しては否定されてきた。現在ではドライジーネ が、実際に製作されたことが確認できる二輪自転車の祖先とされる。これは、1817年にドイツのカール・フォン・ドライスによって発明された木製の乗り物で、前輪の向きを変えることができるハンドルと、前後同じ直径の二つの車輪を備えている。クランクやペダル、チェーンといった駆動装置はなく、足で直接地面を蹴って走るものであった。この乗り物は間もなくデニス・ジョンソンによってイギリスで改良され、ホビーホースなどと呼ばれた。
1861年にフランスでミショー型が発売された。これは現在の小児用の三輪車と同じようにペダルを前輪に直接取り付けたものであった。ピエール・ミショーがオリビエ兄弟より出資を受けて製造販売を始めたもので、これは初めて工業製品として量産された自転車でもある。なお、ミショー型については、ミショーの元で雇用されていたピエール・ラルマンが「自分こそがペダル付き二輪車の発明者であり、ミショーにそのアイデアを盗用された」と主張し、1866年にアメリカにて特許を取得している。
1870年頃、英国のジェームズ・スターレーが、スピードを追求するために前輪を巨大化させたペニー・ファージング型自転車を発売し好評を博したため、多くのメーカーが追随。前輪は拡大を続け、直径が1.5メートルを超えるものも出現した。当時盛んに行われたレースなどスポーツ用に特化したもので、長距離のクロスカントリーライドまで行われた。しかし極端に重心位置が高いため安定性が悪く、乗車中は乗員の足がまったく地面に届かないことなどにより日常用としては運用が困難であり、転倒すれば高所より頭から落ちるような危険な乗り物であった。日本ではだるま車などと呼ばれた。
1879年に英国人ヘンリー・ジョン・ローソンにより後輪をチェーンで駆動し、座席(サドル)の高さが低いため重心が低く、乗員の足が容易に地面に届く物が製作され、ビシクレット(二つの小輪)と名付けられた。これが英語の Bicycle の元となった。
1884年スターレー・アンド・サットン (Starley & Sutton)、ハンバー、マキャモン (McCammon)、BSAなどがビシクレットに改良を加えた自転車を発売する。
1885年にジェームズ・スターレーの甥ジョン・ケンプ・スターレーが「ローバー安全型自転車 (Rover Safety Bicycle)」の販売を開始する。側面から見て菱形のシルエットを持つダイヤモンド型のフレームを持ち、現在の自転車に近い姿になった。
1888年にジョン・ボイド・ダンロップが空気入りタイヤを実用化。その後フリーホイール機構が普及し、自転車の基本がほぼ完成された。
構造[編集]
骨幹部分[編集]
フレーム[編集]
フレームは自転車を構成する各部品が組み付けられる車台ある。自転車のフレームは伝統的にフロントフォークとセットで製造され、流通してきた歴史があり、公的な強度・耐久性試験もフレームとフロントフォークを組み付けた状態で行われるため、フレームにはフロントフォークを含む。これをフレームセットという。しかし近年は競技用の特殊な自転車において、フロントフォークを含まないフレームが販売されることもある。フレームは一般的に金属パイプと管継手をろう付けして構成されている。
フロントフォーク[編集]
前車輪を保持する部分。フロントフォークとフレーム体は転がり軸受けを介して結合される。これを中心として回転することで、操舵を可能としている。
車輪[編集]
ホイールを含む、自転車の「車」の部分。車体と乗員の重量を支えるのに充分な強度を持ち、同時に人力という脆弱な動力を無駄なく利用するために、抵抗なく滑らかに回転し、重量が軽いことが求められる。また走行の安全のために、スリップすることなく確実に路面をとらえる必要があり、快適性のために振動や衝撃を吸収することも期待される。
車輪に関しては駆動部分も兼ねているので下記の駆動部分の項目で詳述する。
接点部分[編集]
人間の身体が自転車と接触する部分はペダル、サドル、ハンドルの3点である。この3点は日本では「三つのル」と呼ばれ、特に長時間連続して走行する自転車において快適性に大きく影響する部分である。
ハンドルバー[編集]
操縦操作を行うとともに乗員の体を支え安定させるためのハンドル。用途によってさまざまな形態がある。
サドル[編集]
人の臀部を乗せる部分で、乗り手の体重の多くをここで受け止める。
ペダル[編集]
人の脚力を自転車へと入力するための部分。同時に運転操作を行う際の足場でもある。ペダルに関しては駆動部分も兼ねているので次項目の駆動部分でも触れる。
駆動部分[編集]
人間の筋力を推進力へと変化させる部分。 駆動系の部品は
の順で動力が伝わる。
この間に、
のような動力の効率を高める装置が組み込まれる場合がある。
動力伝達部分[編集]
- ペダル
- 最初に動力を受け、クランクへと伝える部分。競技用車両などのペダルには脚や靴をクリップ(トウクリップとトウストラップ)や専用の留め具(クリート)で固定するもの(ビンディングペダル)もある。
- クランク
- 人間の足の上下往復運動を回転運動に変化させる、フレームのハンガー部を中心に回転する部分。クランクはボトムブラケット(BBと略記する場合が多い)という軸受けを介してフレームに接続される。
- クランクが長いほど漕ぐ力が小さく済むが、一回転する間の足の上下動が大きく漕ぎにくくなるほか、カーブで車体が傾いたときにペダルが地面に当たりやすくなる。
- 一般に車体右側のクランクには歯車が組み付けられ、ここにチェーンを掛けることで後輪に回転を伝える。この歯車は機械工学的にはスプロケットと呼ばれるものであるが、自転車においては車輪側に取り付けられるスプロケットとの混同を防ぐためにチェーンホイールと呼んで区別する。
- チェーン
- クランクからの動力を後輪に伝達する重要な役割をする。自転車用には19世紀末の安全型自転車になってようやく登場し、それまでは前輪の軸がクランクと直結していた。なお、初期の自転車用チェーンはブロックチェーン (block chain) というもので、現在用いられているローラーチェーンとは構造が異なる。
- スプロケット
- 別名コグ。クランクからの動力をチェーンを介して車輪に伝える歯車。自転車以外ではチェーンと噛み合う歯車全般をスプロケットと呼ぶが、上述の通り自転車では後輪ハブに取り付けられるものに限定してスプロケットと呼んでいる。
- 一般にスプロケットの近傍または内部にはフリーホイール機構(略称 : フリー)が組み込まれており、これによって走行中に足を止めて惰性で走り続けることができる。この機構は安全型自転車の後期になって普及したもので、それ以前は走行中にペダル上で足を止めて休むことはできなかった。現代でもトラック自転車競技や室内自転車競技では、前者は車両規定によって、後者は競技の性質からフリーホイールを用いておらず、こういったものは固定ギヤまたはフィクストギヤ (Fixed Gear) などと呼ばれている。
- スプロケットには一つしかないもの(シングルスピード)の他、外装変速機を構成する要素として、大小のスプロケットが重ね合わさったもの(マルチスピード)がある。後者の中でフリーホイール機構がスプロケットに一体に組み込まれているものにフラッシュフリーとボスフリーがあり、フリーホイール機構からスプロケットのみを分離、交換できるものをカセットスプロケットと呼ぶ。ハブ側にフリーホイール機構が組み込まれており、カセットスプロケットを直接組み付けることができるハブがフリーハブである。
- ホイール(車輪)
- 中心部のハブ、そこから伸びるスポーク、環状のリム、リムを固定しているニップルからなる。
- 前輪 : フロントフォークの先端に軸が固定され、旋回時の速度と半径に適した舵角を得る。
- 後輪 : フレーム体後端に軸が固定され、動力を受けて推進力を発生させる。
- 上記の役割が決まったのは安全型自転車の登場以来で、それ以前のベロシペードおよびペニー・ファージングまでは動力の駆動と操舵双方を前輪で行っていた。現在ではリカンベントの一部などにこの方式が僅かに見られる。
- ハブ
- 内蔵された転がり軸受けを介して車軸が通されており、これを中心に滑らかに回転する。車軸はフレームおよびフロントフォークのエンド部に固定される。
- ハブには前輪用、後輪用と2種類あり、細部の寸法と形状が異なるため、ごく一部の例外を除いて前後のホイールを入れ替えて使用することはできない。
- スポーク
- ハブとリムとつなぐ棒状のものであり、ハブ本体とリムをつなぐ役割を果たす。
- スポークの一端は、一般にハブのフランジ部に引っ掛ける形で固定するために曲がっており、先端は釘の頭のように潰されている。もう片一方の先端にはねじ山が切られていて、ハブが正確にリムの中心にくるように調整するのに使われる。
- リム
- 正確にはホイール・リムという。車輪の円周部分。スポークに対応する数の穴が空いており、ここにスポーク・ニップルという特殊な形状のナットでスポークの端部が止められ、ハブとの位置関係が固定される。またリムがタイヤをつなぎとめる役割も果たしている。つなぎとめる方法はタイヤの種類によって変わる(自転車用タイヤを参照)
- タイヤ
- 動力を路面に伝える部品。ここでペダルより与えられた動力は推進力となる。走行効率、快適性において非常に重要な役割を担う。
- 大多数の自転車用タイヤは、内部に圧縮された空気を充填した空気入りタイヤである。空気入りタイヤは軽量で振動が少なく、転がり抵抗の少なさと接地力(グリップ力)を併せ持つたいへん優れたタイヤであるが、パンクなどのトラブルの可能性が避けられない。そのため様々なパンク回避技術の開発が行われているが、走行性能とパンク回避の完全な両立はなされていない。
変速部分[編集]
自転車のギヤ比を変える装置のこと。自転車には必ずしも不可欠な機能ではないが、人力という限られた動力を効率よく利用できるようになるので、長距離を高負荷で走行する目的の自転車にはほとんど取り付けられている。また低速でのふらつきを抑え安定性を高める効果も得られるため、短距離を低負荷で走行する目的の自転車にも装備されることがある。
大まかな分類としては外装式と内装式がある。内装変速機は一般に後輪のハブに内蔵されるものが多いため、ハブギヤとも呼ばれる。遊星歯車機構の原理によりギヤ比を変更する。外装式のものは特にディレーラーと呼ぶことがあるが、ディレーラーは本来、外装変速機を構成する一部分に過ぎない。ただ最も象徴的な部分であるため、「ディレーラー付き=外装変速機付き」と認識されてきた。
制動部分[編集]
ブレーキ[編集]
速度を減ずる装置で、自転車の安全性を司る極めて重要な部分である。これを前後両輪に備えない自転車は、日本の公道を走行することが法的に許されない。
その重要性故に、古くから幾多の改良工夫が繰り返されており、さまざまな形式が存在する。
その他[編集]
走行機能とは関係のない装備。自転車本来の機能とは関係はないが、安全面から装着することが法令で義務付けられているものもある。
部品・素材の進化[編集]
- フレームの素材
- 車輪の変化
- ブレーキ
- サスペンション
- タイヤ・チューブ
自転車の利用[編集]
日本国外の状況[編集]
自転車利用は各国それぞれに固有の特徴がある。
ヨーロッパ諸国では自転車の利用が非常に盛んな国が多い。オランダは常に吹く強い風で、ドイツは市街地路面が石畳で、また路面が雪や氷で覆われることの多い国々で、一見悪条件の中で、自転車利用が促進されている。単に自転車に乗ることに優しい自然環境があるからではなく、交通政策や観光政策等、自転車を利用しようとする人々の努力がそこにあり、これにより交通手段としての自転車利用が促進される。
オランダ、デンマーク、スウェーデン、ドイツなど多くの国で自転車交通教育の推進によって自転車交通が促進されている。通行規則は自動車やバスなど同じ道路を走る他の車両の規則と一体として整備され、全ての車両の運転者に等しく、車道での安全走行が、規則として徹底される。自転車または二輪車のための専用レーン整備が進められる一方で、それがない場合でも、自転車が車道を走行する車両交通規則として実施されている。
オランダやデンマークでは通勤利用者に対する購入時の金銭的補助がある。スイスでは山岳地帯であるにもかかわらず、自転車観光ルートを充実させ、ルートガイドを徹底することにより、自転車による観光が推進されている。ドイツ、オランダ、サンフランシスコなど、鉄道車両などの公共交通機関に折りたたみや分解などをすることなくそのままの状態で自転車を持ち込むことができる場所も多い。これにより自転車で最終目的地に到達できる可能性が増す。
近年、共有自転車(コミュニティサイクル、バイシクルシェアリング)を都市内で大規模に導入する動きもみられ、パリのヴェリブはその中でも代表例で、利用者・台数が多い。
欧州諸国では、1990年代以降自転車が環境や健康にもたらす効果を重視し、自転車を都市交通の重要な担い手と位置づけている。
北米(アメリカ合衆国・カナダ)は典型的な車社会でニューヨーク・サンフランシスコなどの一部の都市を除きレジャー・スポーツでの自転車利用が中心である。土地に余裕があるので都市部には自転車レーンが設けられている道路が多く、趣味としてのサイクリングが広く楽しまれている。
南アメリカのコロンビアの首都ボゴタは、市長提唱による自転車交通推進によって短期間に欧州的な自転車都市となった。
中華人民共和国では1990年代に自転車交通の混沌がいわれていたが、2000年代になると車道における自転車レーン整備が促進されるようになった。(電動アシストではない)電動自転車が自転車としての位置づけでかなり普及し活況を呈している。
インドでも自転車は多く利用されている。インドは自転車生産でも世界有数の国となっている。
日本の状況[編集]
日本の自転車普及率は世界的に見ても非常に高い。保有台数は8481万台(2000年)で、人口1.5人あたり1台にのぼる。これは西欧で特に自転車利用が多いオランダ、デンマーク、ドイツ、ノルウェー、スウェーデンに次ぐ水準であり、アメリカ、中国、イギリス、フランス、イタリアといった国々を大幅に上回る。前掲した普及率の高い西欧諸国が自動車やバスと同等の車両という認識であるのに対し、日本においては歩道を通行し限られた短距離の移動に利用する歩行者の延長線上のものという認識が一般にはなされている(当然ながら法律上は車両と定義されている)。都市部では公共交通機関が発達している一方、自動車交通中心の交通政策が貫かれ自転車が交通手段として明確に位置づけられていないなど日本独特の環境によるものではあるが、車両という認識の欠如により無謀運転や交通違反、深刻な事故などが社会問題となり、2000年代中ごろから法令改正や取締り強化、啓発などが行われている。
- 日本の自転車利用は日本の自転車#自転車の利用
- 問題点の詳細は日本の自転車#自転車にかかわる問題
自転車と職業[編集]
自転車を使う職業の代表は郵便配達だが、英国では1880年に自転車による郵便配達が始められ、現在でも約3万7000人の配達員が自転車を利用している。自転車便など、都市部における輸送手段として利用されることもある。新聞配達や出前などといった職業上の利用もある。
英国の警察は1896年から自転車によるパトロールを始めた。日本の警察は自動車とオートバイによるパトロールに切り替えているが、交通渋滞の激しい都心部では自転車の機動性を鑑みてあえて自転車によるパトロールを行っている場合もある。国によっては交通渋滞の多い都市で自転車パトロールを復活させるところもある(アメリカではニューヨーク、ロサンゼルス、サンフランシスコの各市警に「バイシクルユニット」という専従のチームがあり、「POLICE」のマーキングを入れた警察専用のMTBも製造されている)。
自転車と軍隊[編集]
自転車が戦争に利用されたのはボーア戦争が始まりで、英軍・ボーア軍ともに斥候に自転車を使った。第一次世界大戦ではドイツ軍、フランス軍が兵の移動に自転車を利用した。第二次世界大戦ではイギリス陸軍空挺部隊が輸送機内でかさばらない折り畳み自転車を使用していた。大日本帝国陸軍は日中戦争で5万人の自転車歩兵を動員。マレー半島攻略作戦など南方作戦の働きから「銀輪部隊」と呼ばれるようになった。スイス陸軍では1891年から2001年にわたって自転車部隊を存続させた。
現在では北朝鮮当局が自転車部隊の存在を明らかにしており韓国陸軍も38度線の休戦ラインの監視部隊が徒歩より機動性があり、エンジン音がしないため接近に気づかれにくいMTBをパトロールに使用している。日本では航空自衛隊航空救難団が救難活動現場で使用するために民生用折り畳み自転車を保有している。
スポーツとしての自転車[編集]
- 競技
- 競走に使用できる乗り物が発明されるとそれによる競技が行われるようになるが、自転車もさまざまな形態の競技が実施されている。また各競技に最適化される形で自転車の構造も細分化されてきている。
- 競技でないもの
- 一般人が公道を時間を競わず制限時間内に完走することを目指すブルベ、センチュリーライドなどのサイクリングイベントも、数多く開催されている。
自転車と観光[編集]
自転車を用いて短いコースをゆっくり探索するポタリングは観光地において人気がある。数十キロ、数百キロといった都市間、さらに国から国へと移動する長距離の自転車旅行も行われている。
自転車の車種[編集]
用途に応じて、さまざまな種類の自転車が作られている。
一般用[編集]
日常用途のための自転車。
競技用[編集]
自転車競技に使われる車種。それぞれの競技に最適化して、特有の機能を盛り込んでいる。
スポーツ用[編集]
競技以外のスポーツ用に使われる車種。主にサイクリングを楽しむことを主眼において設計され、走行性能が高くなっている。競技用車両とは違い、走行には関係のない二次的な要素(快適性、積載能力など)が加味されて設計されている。
特殊な自転車[編集]
性能[編集]
エネルギー効率[編集]
自転車による移動は生物と機械の両方の中で、その移動に要するエネルギーの量に関して突出して効率的であり、人間がある距離をある速度で移動するのに必要なエネルギーの量で比べると自転車は徒歩の5分の1に過ぎないという定説がある。1950年代の中期に、現在の「財団法人自転車産業振興協会自転車技術研究所」の前身にあたる「自転車生産技術開放研究室」がまとめた研究により、この数値はおおむね正しいことが確認された。この際には、被験者の呼気に含まれる二酸化炭素の量から消費カロリーを推算する手法が用いられた。ただし、これは平坦な舗装道路を前提とするという自転車にとって有利な条件での比較である。
こうした数値を基に、一般的な自転車で1kgの物体(車体を含む)を1km移動させるのに必要なカロリーは、おおよそ自動車の6分の1、ジャンボジェット機の4分の1程度しか必要ないとの試算もある。
速度記録[編集]
平地での単独走行での最高到達速度記録はカナダのサム・ウィッティンガムが2008年にカウリング(風防)をつけたストリームライナーで達成した時速82.3マイル(時速132.5キロメートル)で、自身が保持していた時速81.02マイル(時速130.4キロメートル)の世界記録を6年ぶりに更新した。これは人力駆動の乗り物による自力最高速度記録でもある。
下り勾配での重力加速度を利用したケースでは2007年8月にオーストリアのマルクス・シュテックルがマウンテンバイクで達成した210km/hが記録されている。
平地での公式最高速度記録は1995年10月3日にオランダのフレート・ロンペルベルフが記録した268km/hである。これは、一時的に自転車が高速鉄道に匹敵する速度に達したということを示す。ただし、この記録達成に当たっては、前方に風よけ板を付けた車を走らせ、スリップストリームに入り込んで走るという策が用いられたため、自転車単独での純粋な能力を示す記録とは言い難い。なおこの種の挑戦は19世紀後期以来、幾度も記録更新が繰り返されてきた伝統的なものである。初期の例として、1899年にアメリカのチャールズ・ミンソーン・マーフィーによるが知られる。
関連項目[編集]
- 補助輪 - 空気入れ
- ローラー台 - サイクルウェア
- 日本の自転車 - 普通自転車 - 軽車両 - 道路交通法
- ダイナモ - 夜間点灯
- 自転車タクシー - ベロタクシー
- レンタサイクル
- サイクリング - 自転車道 - サイクリングターミナル
- サイクルトレイン - 輪行
- 駐輪場 - 放置自転車 - 自転車盗
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