Google Chrome
Google Chrome(グーグル・クローム)は、HTMLレンダリングエンジンにBlink(27以前はWebKit)を採用し、Googleが開発しているウェブブラウザである。
北米では 2008年9月2日、日本では 9月3日に Windows XP / Vista 向けのベータ版が公開され、12月12日に正式版が公開された[1]。最初のリリースの翌日、ブラウザ市場で実質 1% 以上のシェアを獲得し[2]、アメリカ合衆国では 1 週間のうちに 200 万人がダウンロードしたとされる[3]。2010年5月25日(日本時間5月26日)、Mac OS XとLinux向けの正式版が公開された[4]。
Google ChromeはChromiumと呼ばれるオープンソースプロジェクトで開発されたウェブブラウザをもとに開発されており、Chromiumにプロプライエタリなコンポーネント(ロゴなどGoogleの商標や動画再生機能、自動更新機能など)を追加したものである[5]。Google自身が開発したソースコードには BSDライセンスが適用されており、それ以外のコードについては、それぞれ異なるライセンスが適用されている。
目次
特徴[編集]
ユーザインタフェースはタブブラウザの形式を取っているが、タブそれぞれが独立したマルチプロセス・アーキテクチャを採用しており、タブページごと(実際はドメインごとに内部でグルーピングされる)に 1 つのプロセスが割り振られるようになっている。このため、ウィンドウプロセスとの通信は増えるが、個別タブのクラッシュや、メモリリークの影響が他のタブへ広がることはない。
JavaScriptエンジンには Google V8 JavaScript Engine (V8) を使用し、処理の高速化を図っている。
セキュリティ対策機能としては、個々のプロセスに対して保護を行い、問題が発生しても他に影響が出ないようにするサンドボックス機能、Google と関係ないページの閲覧履歴や Cookie データを残さない「シークレットウィンドウ」機能、Google の提供する危険サイト(フィッシング詐欺やマルウェアなど)のブラックリストをダウンロードして有害サイトアクセス時に警告を出す機能 (SafeBrowsing [6]) などが備えられている。
その他に、新規に開いたタブに最も閲覧数の多い 8 つのページをサムネイルで一覧表示させる機能や、何らかの原因で強制終了した際にシークレットウィンドウ以外の開いていたページを再度表示させる「復元」機能、フォームへの自動入力機能なども搭載されている。
また、Mac OS XやLinuxなどのマルチプラットフォームへの対応やテーマ機能、ユーザスクリプト機能(Mozilla FirefoxのGreasemonkeyスクリプトに当たる)、拡張機能などの追加実装が行われている。
開発の面ではMozilla Firefoxの開発に貢献した者が多く携わっている点も特徴である。Firefox開発に携わったベン・ゴダーやダリン・フィッシャーなどがGoogle Chrome開発チームの主要メンバーとして活動している[7]。
現在のChromeの総容量は140Mb前後で、ブラウザ戦争に関与したブラウザの中ではもっとも多いディスク容量を使用する。2013年にはIEを完全に引き離して大きくシェアを伸ばし、11月の時点でも普及率が40%前後と依然として人気が高い。
更新[編集]
強制アップグレードの仕組みがあり、古いバージョンを使っていると、特にメッセージも出さずに新しいバージョンへと更新される。たとえ、メジャーアップデートでも自動更新される。そのため、最新のバージョンがほぼ100%のシェアをもつ[8]。アップデートは古いバージョンを実行時にバックグラウンドで行われ、Chrome起動時に新しいバージョンへと差し替えられる。
Adobe Flash Playerプラグインと統合されており、Flash PlayerのアップデートもGoogle Chromeの自動アップデート機能を通じて自動的に行える[9]。
なお、PDFに関しても、Chrome PDF Reader として、統合されており、Chrome とともに、アップデートされる。
1 か月(4 週)周期でベータ版のリリース、3 か月(13 週)周期で安定版のリリースを目標に開発が進められていた[10]が、Ver. 6 以降は 6 週間ごとに安定版をリリース予定[11]。
Blink[編集]
2013年4月3日、Google はGoogle Chrome のレンダリングエンジンをバージョン 28以降、WebKitからフォークした新たな独自レンダリングエンジンBlinkに変更すると発表した[12][13][14]。ChromeはSafariなどWebKitを採用している他のブラウザと異なるマルチプロセス・アーキテクチャを根底においた仕組みのため、開発効率やイノベーションが低下傾向になり、それらの問題を解消するためとしている[12][13][14]。
モバイル版[編集]
2012年6月27日にAndroid版を正式リリースした。
2012年6月28日にiOS版をリリースした。アップルのアプリストアの規約・制限により、独自のエンジンは搭載せずに、UIWebViewにGoogle独自のユーザーインターフェイスをつけただけの物となっている。また、アップルの規制により、JavaScriptも低速な実行になっている[15]。
Google Chrome Frame[編集]
Google ChromeのブラウザエンジンをInternet Explorerに埋め込んで利用可能するプラグイン。2009年9月に初期バージョンがリリースされた[16]。Windows XP以降、IE6以降で動作する。高速なJavaScript処理機能や各種の新しい規格をIEで手軽に利用させることを目的としている。
ただしIEのブラウザ機能を完全に置き換えるものではなく、Webページ側にChrome Frameの使用を指示する情報がない限り自動的に動作することはない。
マイクロソフトはGoogle Chrome FrameをインストールすることでIEにセキュリティ上の懸念が発生するとして非難した[17]。
2014年1月をもって開発およびサポートを終了した[18]。
ログイン[編集]
Chrome にログインすると、事前に設定された項目が自動的に同期されるようになっている。同期される内容は、「アプリ」、「自動入力」、「ブックマーク」、「拡張機能」、「履歴」、「パスワード」、「テーマ」、「開いているタブ」、「設定」の9つ。 公共施設やネットカフェにあるパソコンでログインすると、同期する内容がログインしたパソコンに保存され、不特定多数の人に見られる可能性がある。万が一、ログインしてしまった場合は、そのログインユーザーを削除することで同期した内容を消すことができる。
チャンネル[編集]
Chromeには3種類のチャンネルとカナリアビルドがある[19]。下にいくほどより高頻度で更新している。基本的には異なるチャンネルを同時にインストールできない。
- 安定チャンネル - 一般ユーザー向け
- ベータチャンネル - 毎月更新
- 開発チャンネル - 毎週更新
- カナリアビルド - 上記のチャンネルとは別にインストールすることができる。開発者向け。
- (Chromium - 開発者向け。Chromeの基盤であるので厳密にはChromeではないが、更新頻度としてはこの場所に位置する。)
更新履歴[編集]
Google Chrome[編集]
Chrome Frame[編集]
基本的に、Google Chrome と同一バージョンで同一日にリリースされていた。
メジャーバージョン | リリース日 | 補足 |
---|---|---|
4.0.211.7 | 2009-09-22 | 最初の Beta リリース |
4.0.249.89 | 2010-01-26 | |
4.1.249.1064 | 2010-04-27 | |
5.0.375.127 | 2010-06-10 | |
6.0.472.63 | 2010-09-22 | |
7.0.517.44 | 2010-11-04 | |
8.0.552.224 | 2010-12-09 | |
9.0.597.19 | 2010-12-13 | |
10 |
||
11.0.696.77 |
||
12.0.742.122 | 2011-07-12 | |
13.0.782.220 | 2011-09-03 | |
14.0.835.202 | 2011-10-04 | |
15.0.874.106 | 2011-10-26 | |
16.0.912.63 | 2011-12-13 | |
17.0.963.46 | 2012-02-08 | |
18.0.1025.142 | 2012-03-28 | |
19.0.1084.36 | 2012-05-15 | |
20.0.1132.43 | 2012-06-27 | |
21.0.1180.60 | 2012-08-01 | |
23.0.1243.2 | 2012-08-24 | |
24.0.1312.52 | 2013-01-10 | |
25.0.1364.172 | 2013-03-12 | |
26.0.1410.43 | 2013-03-26 | |
27.0.1453.93 | 2013-05-21 | |
28.0.1500.71 | 2013-07-09 | |
29.0.1547.57 | 2013-08-20 | |
30.0.1599.66 | 2013-10-01 | |
31.0.1650.48 | 2013-11-12 | |
32.0.1700.76 | 2014-01-14 | 最終リリース |
市場シェア[編集]
バージョン別の市場シェア(Net Applications 社 2013年12月[20])
バージョン | シェア | 先月比 |
---|---|---|
Chrome 21.0 | 0.39 % | |
Chrome 26.0 | 0.15 % | |
Chrome 27.0 | 0.30 % | |
Chrome 28.0 | 0.45 % | |
Chrome 29.0 | 0.32 % | |
Chrome 30.0 | 0.45 % | |
Chrome 31.0 | 12.88 % | |
Chrome 32.0 | 0.30 % | |
Chrome 33.0 | 0.14 % | |
全てのバージョン | 16.22 % |
ウェブブラウザ全体でマイクロソフトの Internet Explorer に続き、2番目のシェアを獲得している。
Android版[編集]
AndroidはWebKitベースの標準ウェブブラウザを搭載しており、Chromeとは別に開発されている。2012年2月7日にAndroid版のβ版、2012年6月28日には正式版がリリースされた。[21]。Android 4.0以上のバージョンに対応している。
プリロードによってページの読み込みを高速化する機能や、予めGoogleのサーバー側でデータを圧縮することによってデータ使用量を節約する機能などがある。[22]
モバイル向けAdobe Flash Playerの開発が2012年初頭に終了したため、Android版ChromeはFlashが利用不可となった。Flashの代替としてHTML5へとシフトしている。[23]
iOS版[編集]
2012年6月28日にiOS版のChromeが発表され、App Store でリリースされた。[24]しかしアップルが設けているiOSアプリケーションの制限により、標準ブラウザのSafariと比較して実行速度が遅く、使い勝手も劣る部分がある[25]。
脚注[編集]
関連項目[編集]
外部リンク[編集]
- https://www.google.co.jp/chrome/
- Google Code上のChromiumプロジェクトページ (英語)
- Google Chrome Blog (英語)
- Google Chrome Releases (英語)
- Chrome ウェブストア
- テンプレート:外部リンク/Google Play Store
- Chrome for iOS - App Store
- Google Chrome - Google+(英語)
- Google Chrome Developers - Google+(英語)