道化師

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道化師(どうけし)または道化とは滑稽な格好、行動、言動などをして他人を楽しませる者。サーカスのクラウン (clown) や中世ヨーロッパの宮廷道化師 (jester) がそれにあたる。

特徴[編集]

派手な衣装と化粧をし、サーカスなどで玉乗りや司会を行う人のことを日本などではピエロ、諸外国ではクラウンとよぶ。こうしたもののステレオタイプ的な例は、マクドナルドの イメージキャラクターや、バットマンのジョーカーなどにみることができる。本来のピエロは、コメディア・デラルテに登場する、顔は真っ白で哀愁を漂わせ、好きな人を殺してしまうことでしか愛情表現できないキャラクターが起源とされる。

その他[編集]

奇抜な風貌の為に、ピエロに対して極端な恐怖心を持つ『道化恐怖症(ピエロ恐怖症)』も近年注目されつつある。スティーヴン・キング原作の小説・映画「IT イット」に登場する殺人鬼は道化師に扮しており、ピエロに恐怖を抱く少年の姿が描写されている。

歴史[編集]

西欧[編集]

道化師の歴史は古代エジプトまで遡ることができる。中世ヨーロッパなどでは、特権階級にある人物が城内に道化としての従者を雇っていたことが確認されており宮廷道化師と呼ばれている。宮廷道化師の仕事はその名の通りの主人または周囲の人物達を楽しませる役割の他、王のスパイとして主に城内の反逆の恐れのある人物などの様子を探る諜報活動も行っていた。また、宮廷道化師達は小人症などの肉体的障害を持っているものが多く、笑い物としての対象にされていた。しかし、君主に向かって無礼なことでも自由にものを言うことができる唯一の存在でもあった。尚、宮廷道化師達の肖像は犬と一緒に描かれることが多く、彼らが犬と同様に王の持ち物とされていたことを裏付けている。シェイクスピアの戯曲などにもしばしば登場し、重要な役を担う。

日本[編集]

歌舞伎には道外方または道化方いう役どころがあるが、これが最も古い時期に成立した役柄の一つといわれる。やはり物真似や滑稽な口上で人を笑わせたが、西欧の道化師との大きな違いはそれが純然とした芝居の役どころとして発達したことにある。元禄歌舞伎では、演目の構成上特に重要な一場面を担当することが多く、それもただ滑稽な演技で観客を笑わせるだけではなく、司会役としての役割を兼ねた役どころだった。しかしその後の歌舞伎が物語性を追求したものになっていったこと、そして通し狂言がほとんどなくなり今日のような見取り狂言じたてになったことで、道外方の役割はしだいになくなり、天明歌舞伎のころまでには衰退してしまった。

なお当時の芝居小屋に掛けられる看板には、まず一枚目に一座の看板役者を、続く二枚目には人気の若衆方を、そして三枚目にこの道外方を書いて掲げていたが、これが面白可笑しい者のことを指す「三枚目」の語源の一つと考えられている。

関連項目[編集]

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