超巨大編成の音楽
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超巨大編成の音楽は、主に管弦楽で、通常の一管、二管、三管、四管編成を大きく越えた作品のことをあらわす。経済的な理由であるが演奏不可能の作品とも密接に関係していて典型的な芸術音楽の特徴ともなっていて初演さえもされないものもある。
歴史的に巨大編成とされた代表的作品[編集]
主に小編成の室内楽か、または数十人の演奏家によるオペラが中心となっているバロック音楽に慣れ親しんだ人から見れば、古典派の作曲家ハイドンやモーツァルトらがオペラ並の規模の二管編成管弦楽のために作曲した交響曲はかなり大編成に見えたに違いない。当時のマンハイムの宮廷管弦楽団は世界初の完全な二管編成を誇りかつ世界トップの実力を貯えモーツァルトを絶賛させた。
ベートーヴェンの交響曲第9番や、ベルリオーズの幻想交響曲は、ここからさらに拡大し、この時代における最大の編成を示す。
一般には四管編成以上になれば十分大編成だとみなされるがそれ以上のが多数存在する。ソラブジのように演奏に多額の費用がかかり傑作といえどもコンサートにかからないのが大半である。
現在、巨大編成とされる代表的作品[編集]
現在では、五管編成以上になれば間違いなく巨大編成として扱われうる。(現代曲ではたいてい編成が変則的だが、このような場合は、パートの総数を楽器の大まかな種類で割った平均値によって分類することにする。)
五管編成[編集]
五管編成の曲は数が多い。多くは曲名だけを記す。
- ベルリオーズ
- 死者のための大ミサ曲 - 基本的に4管編成だが意見が分かれる。バスーンが8でこれを木管楽器で平均すると5管編成分の規模となるが、多くはユニゾン扱いである。しかし打楽器が非常に多く、大規模なバンダも必要である。
- 交響曲第8番 - 初演に1000人の演奏家を擁した。
テンプレート:管弦楽編成 ただし作曲者の意志を尊重するとスコアにピッコロとE♭クラリネット、2ハープ、マンドリン、バンダの第1トランペットはmehrfach, mindestens zeifach besetztと書かれているので倍以上が望ましい。
- ブライアン
- 交響曲第2番ホ短調 - 基本的に四管編成だが、ホルンが16人と平均的に五管編成に近い。
- 交響曲第3番嬰ハ短調 - 木管が6455-の変則編成で平均的に五管編成。
- ソラブジ
- ピアノと大管弦楽、合唱とオルガンのための交響曲第一番KSS30、(1922)
- 6 5 5 5/8 5 4 1/tym prc 2rp pno org/SATB/strs
- ピアノ協奏曲第4番 KSS18、(1918)
- piano/2+3, 3+1+bss obo, pic clt+3+1, 3+1+cbs sar/8 5 4 1/tym prc 2hrp/strs
- ピアノと大管弦楽、合唱とオルガンのための交響曲第一番KSS30、(1922)
- カール・オルフ
- 導入曲(Entrata):6422・6,11,4,2・11P、2Hp,2Cel,4Pf,Org,Str:starkと指定、は管楽器の総数を8で割ると4.625、四捨五入して五管編成(20型)の弦に匹敵すると思われる。
- ケージ
- 108(指揮者無しのチェロ協奏曲:4555・7551-)
- シュトックハウゼン
- Nr.6「グルッペン」(全体は3つの群に分かれる。総編成で記す:5542sax.3-8671/12perc., 1 glockenspl., 1 cel., 1 pf., 1 gtr., 2 hp./26.10.8.6)
- リーム
- 無題I-III
- アブラハムセン
- 管弦楽のための4つの小品 - 基本的に四管編成だが、クラリネットが6とがファゴットが6とで平均的に五管編成に近い。(アルヤン・オミドの提供)
- 4(4pic).4(ca).6(Ebcl)(3bcl).4+2cbn/8.4.4.2/2timp.4perc/2hp/pf/cel/gtr/man/str(16.14.12.10. 113 players. (composed in 2004),
- 管弦楽のための4つの小品 - 基本的に四管編成だが、クラリネットが6とがファゴットが6とで平均的に五管編成に近い。(アルヤン・オミドの提供)
- バルツ・テュリューピー
- ヘリオス交響曲 (1990-1996)for soli (SABar) choir and large orchestra
- (5.5.5.5.2sx/8.6.4.1/timp.6perc/2hp.cel.pf/14.12.10.12.8)Duration: 95 minutes
- ヘリオス交響曲 (1990-1996)for soli (SABar) choir and large orchestra
六管編成[編集]
- リヒャルト・シュトラウス
- 「タイユフェ」作品52、ソプラノ・テナー・バス独唱・混声合唱と管弦楽の為のバラード
- 2 Picc.・4・4・2 Engl.Hr.・6・Bassklar.・4・Kfg. - 8・6・4・2 - 4 P.S. (Trgl.・Beck.・2.kl. Mil.-Tr.・2 gr. Rührtr.・gr.Tr.・Glspl.) - Str. (24・24・16・14・12) ルートヴィッヒ・ウーラントの詩による
- 「タイユフェ」作品52、ソプラノ・テナー・バス独唱・混声合唱と管弦楽の為のバラード
- ブライアン
- 交響曲第4番「勝利の歌」(以下国際ブライアン協会提供)
- Soprano solo, double SATB chorus,6 flutes (2 also picc, 1 also alto fl), 2 oboes, 2 oboi d’amore, 2 cors anglais, bass oboe, Eb clarinet, 4 Bb clarinets, 2 basset horns, 2 bass clarinet, pedal clarinet, 4 bassoons, 2 contra bassoons, 8 horns, 4 trumpets, 5 trombones, 2 tubas, 2 sets timpani, gong, cymbals, bass drum, 3 side drums, tambourine, triangle, bell, 2 harps, glockenspiel, xylophone, organ, celeste, strings to match
- 交響曲第4番「勝利の歌」(以下国際ブライアン協会提供)
- ピアノ協奏曲第8番KSS45 Piano Concerto No. 8 (1928),
- piano/6 6 6 6/8 6 4 4/4tym prc 2hrp/strs
- ピアノ協奏曲第8番KSS45 Piano Concerto No. 8 (1928),
- オプス・クラヴィシンフォニクムOpus clavisymphonicum (1959) KSS80,
- piano/6 6 6 6/8 6 4 2/tym prc 2hrp/strs
- オプス・クラヴィシンフォニクムOpus clavisymphonicum (1959) KSS80,
- ピアノと管弦楽のための交響変奏曲KSS78 Symphonic variations for piano and orchestra, **:piano/6 6 6 6/8 5 4 2/4tym prc 2hrp/strs
- メシアン
- アッシジの聖フランシスコ
- 7474・6443・5P/3オンドマルトノ・16/16/14/12/10,7soloistes
- アッシジの聖フランシスコ
- ベルリオーズ
- カンタータ「帝国」(L'Impérial) 作品26
- 6668-8、12、8、5-3Timp、5Tbr。2組の混声合唱、弦は36・34・28・25・25
- 作曲者が要求した人数。カーマス社の全集版による。総譜は各楽器2声部ユニゾンで書かれ、2管編成でも演奏可能な総譜がブライトコプフ社から出ている。しかしここではあくまで作曲家の意志を尊重して記す。
- 6668-8、12、8、5-3Timp、5Tbr。2組の混声合唱、弦は36・34・28・25・25
- カンタータ「帝国」(L'Impérial) 作品26
七管編成[編集]
- シェーンベルク
- グレの歌 - トランペットとトロンボーンも7本ずつなので、グレの歌はここにいれるが、絶対的ではない。
- 8575―10・771―7P, 4 Hf, Cel, Str: 10―9―8―6―5 Pult
- グレの歌 - トランペットとトロンボーンも7本ずつなので、グレの歌はここにいれるが、絶対的ではない。
- ソラブジ
- 交響曲第3番「ジャーミー」(1951)
- 2+4+alt flt, 4+1+bss obo, 2Eflat clt+4+1+cbs clt, 4+1+cbs sar/8 6 4 2/4tym prc 4hrp pno org/bar SSAATTB and 92 strings [24,24,16,16,12](イギリスの音楽学者アルヤン・オミドの提供)
- 交響曲第3番「ジャーミー」(1951)
- ヴァレーズ
- 「アメリカ」1922年版 (初稿)
- 8・6・7・6-8・10・8・3、ハープ2、ティンパニ2セット、打楽器20種、16-16-14-10-10
- 「アメリカ」1922年版 (初稿)
- メシアン
- 彼方の閃光
- 10・4・10・4―6533・10P+5 鍵盤打楽器―16/16/24/12/10
- 彼方の閃光
八管編成[編集]
- ブライアン
- 交響曲第1番「ゴシック」(以下国際ブライアン協会提供)
- Soprano, alto, tenor, bass soloists, large children’s choir, 2 large mixed double choruses [in practice 4 large SATB choirs]orchestra: 2 piccolos (1 also flute), 6 flutes (1 also alto flute), 6 oboes (1 also oboe d’amore, 1 also bass oboe), 2 cors anglais, 2 Eb clarinets (1 also Bb clarinet), 4 Bb clarinets, 2 basset horns, 2 bass clarinets, contrabass clarinet, 3 bassoons, 2 contrabassoons, 8 horns, 2 Eb cornets, 4 trumpets in F, bass trumpet, 3 tenor trombones, bass trombone, contrabass trombone, 2 euphoniums, 2 tubas, 2 sets (min 3 [in practice 4] drums) timpani, min 18 percussion: glockenspiel, xylophone, 2 bass drums, 3 side drums, long drum, 2 tambourines, 6 pairs cymbals, gong, thunder machine [not thunder sheet], tubular bells, chimes, chains, 2 triangles, birdscare, 2 harps, organ, celesta; strings (20.20.16.14.12), 4 off stage groups: each containing 2 horns, 2 trumpets, 2 tenor trombones, set (min 3 drums) of timpani(in summary: 32 wind, 24 on stage brass, 24 off stage brass, 2 timpanists, 4 off stage timpanists, 18 percussion, 2 keyboards and 2 harps, 82 strings - total orchestra c190 players, plus adult choir of min 500 [assumes largely professionals], children’s choir of 100, 4 soloists = c800): 8-8-11-5, 8-7-5-4-20P-2H, 2K-20-20-16-14-12; off stage 28(アルヤン・オミドの提供)
- 交響曲第1番「ゴシック」(以下国際ブライアン協会提供)
- ジークフリート・マトュス
- ゲヴァントハウス交響曲(1993): 当時世界でも最大級の楽員数を誇ったライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団の全楽員の同時出演を考慮したもの。1989年頃のドイツ統一前は200名を遥かに超えていたが、現在の楽員数は後の財政難のため少し減らされて185名となっている。
- (woodwinds: 8.8.8.8, brass: 12,8,8,2, 2timpani,6percussion,2hp, git, cemb, org, and strings to match: 32,28,24,20,16, N.B.弦は四管編成の倍を充てた。Soprano, 女声合唱、少年合唱、(ブライトコプフ・ウント・ヘルテル社とアルヤン・オミドの提供)
- ゲヴァントハウス交響曲(1993): 当時世界でも最大級の楽員数を誇ったライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団の全楽員の同時出演を考慮したもの。1989年頃のドイツ統一前は200名を遥かに超えていたが、現在の楽員数は後の財政難のため少し減らされて185名となっている。
九管編成[編集]
- ベルリオーズ
- 葬送と勝利の大交響曲 作品15
- 9・5・33・9-12・12・11・6(オフィクレイド)-14Percussions-弦はアド・リブで20・20・15・15・10 (Eulenburg Edition)
- いわゆる吹奏楽にアド・リブの弦を付け足しただけの編成で異論はあるが、ここでは最大限の詳しさを第一モットーとして挙げた。管楽器はいつものようにユニゾンで書かれ、トランペットとコルネットはいつものように合計して入れてある。オイレンブルク版により小編成でも演奏は充分可能である。打楽器は楽器の数ではなくて、あくまでも奏者の数で示してある。
- 9・5・33・9-12・12・11・6(オフィクレイド)-14Percussions-弦はアド・リブで20・20・15・15・10 (Eulenburg Edition)
- 葬送と勝利の大交響曲 作品15
番付外[編集]
余りにも変則的なので一概に何管編成と言えないものやその他未完成作品など。
- オルフ
- プロメテウス:6600・0660・15P、8Pf,20rg,4Hp,4Tbj,00009
- 時の終わりの劇:De Temporum Fine Comedia: 6061・6861・10P.3Hp,Cel,3Pf,20rg,00008
- ヘンデル
- 王宮の花火の音楽:初演に使われたとする楽器の数、オーボエ24(3パート)、ファゴット12(2パート)、トランペット9(3パート)ホルン9(3パート)テインパニ-3(各2個の1パート)、通奏低音、それに匹敵する弦だが現在生で聞くことの出来るエルフ・ニクエ指揮のル・コンセール・スピリテゥエルの編成は10-8-6-6-4程度を充てている。
なおシェーンベルクの「ヤコブの梯子」の元の構想は木管が各20人と金管が各10人の「二十管編成」相当であったが、経済的に実現不可能のため四管編成に改められ、更に未完成のまま残された。
スケッチのままで未完成に終ったアイヴスの「宇宙交響曲」はもし完成していたならば合唱付きで4,500人の演奏者が必要とされる。現在は打楽器の部分だけが時折演奏されるのみである。
ソラブジのピアノと大管弦楽、オルガン、コーラスのための交響曲第二番KSS51はおそらくピアノ譜のスケッチのみに終わった楽曲である。これを再生・完成させると第一番が5管編成、第二番が7管編成なのでおそらく6管編成で完成したと思われる。