落雷

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落雷(らくらい)とは、(帯電した積乱雲)が地上物に対し放電をすることである。

概要[編集]

落雷は、雷による放電を被る事であるが、一般には災害天災)と認識される。時に人、建造物等に被害をもたらし、火災の原因ともなる。なお、この際の電圧は200万~10億ボルト電流は1千~20万アンペアにも達する。プラズマが発生するほどのジュール熱)が主な被害を発生させる要因であるが、この熱によって発生する水蒸気爆発や、送電設備の損傷により発生する停電に伴う被害などが落雷による被害に挙げられる。

なおこの電力を人間が利用できる電源としてみなすことは困難で、北朝鮮では過去に電力を取り出そうと試みたが失敗している。これは落雷によって得られる電力は瞬間的には大きいものの、落下位置が精密には予測できないことや、あまりに瞬間的過ぎて二次電池コンデンサなどに蓄電させることが出来ないといった技術的問題が存在するためである。

世界では毎秒約100もの落雷が起こっていると推定される。日本では年間約20人、世界では約千人が雷で死亡している。

落雷の生じ方 [編集]

落雷とは、の中の氷の粒が雲中の対流等によりぶつかり合い摩擦を生じ、それによって静電気同様に帯電して、溜りに溜まった電荷がその状態解消のために、地面・水面及び地上物に対して電荷の放出=放電を行う状態である。なお雲の中や他の雲との間で放電が行われる場合は「雲中放電」と呼ばれる。

放電する程に電荷が蓄積するには雲中の対流運動等が激しい必要があるため、積乱雲の直下や温暖前線寒冷前線の通過時などに落雷が発生することが多い。こと黒くみえる雲が出たときは、密度と厚さの大きい雲で活動が活発であることが予測されるため、要注意である。

こういった点に気をつければ、落雷がありうるかどうかの危険性は予測できる。諺「青天(晴天)の霹靂」の霹靂とは落雷のことだが、こういった予測が出来るからこそ、逆に前触れの無い突拍子も無い事の例えになったと言える。

落雷の時、稲妻は約100万分の1秒間進み、10万分の1秒休止する。これを繰り返しながら進むため稲妻はギザギザに進む。これは古くから経験的に知られている現象で、マンガ表現に限らず「雷文」と呼ばれる文様(モチーフ)でも、雷の表現として直線と急激に折れ曲がった角の連続が見られる。

落雷による被害[編集]

  • 人体への被害
人に直接当たる被害はほとんど無いが、ゴルフ場のような平坦な土地の場合、人に直接当たる確率は高くなる。その場合感電すると、死にいたるケースも多い。直接人体へ落ちなくても至近に落ちた場合、ショックで失神等を起こす可能性がある。また、心臓が弱い人やペースメーカー使用の人にとっては、そうでない人に比べ影響がかなり大きい。
  • 自然災害
森などに落ちた場合は山火事となるケースもある。
  • 電気機器への被害
一般家庭への引き込み電線、アンテナなどに落雷した場合、家庭電化製品へ電流が流れ、修理が不能になるほどのダメージを受ける場合がある。また直接電線に落雷しなくても雷サージ電流が配電線に乗り、広域な一般家庭にも影響を及ぼす場合がある。特にパソコンなどの電子機器はこれに弱い。
落雷の影響から保護するためのブレーカーが備えつけられていた場合、ブレーカーの動作により突如停電することになる。これが変電所・配電所で起きれば広域な停電となる。

落雷に対する防御方法[編集]

雷は基本的に周囲で最も高いところに落ちる。これは雷は最も導電しやすいルートを通るが、空気の絶縁抵抗が極めて高く、それは構造物などの電気の通しやすさの差異よりかなり大きいので、雷が最も空気を通らなくて済むルートを通るため。ただし構造物などの内部でどういうルートを通るかは、その内部の電気の通りやすいルート次第である。ちなみに人体内部はかなり電気を通しやすい部類に入る。

  • 上記の理由により、高いものの近くで人体に落雷する危険は低いが、その影響範囲はそれほど大きくは無く、周囲というのも電荷が蓄積した雷雲を中心としての範囲であるため、過信は禁物である。
  • 鉄筋コンクリート建築物・戸建て住宅などの本格的木造建築物に避難する。
電気の本流が外壁を伝っていくため安全である。ただし、以下の事項に注意する必要がある。壁・柱・天井などから1メートル程度距離を置く。アンテナのような屋外の被雷しやすいものにつながっているテレビなどからは離れたほうがよい(2メートル以上)。電気機器・有線の電話なども同様に1メートル程度はなれたほうがよい(電話をかける必要があるときは、携帯電話や子機を使用するのが安全)。雷の電気が水道管・ガス管を伝う可能性もあるので、なるべくこれらを使用せず近寄らない。
  • 自動車・電車など周囲が金属で囲まれた乗り物に避難する。
自家用車車内など乗り物の内部は比較的安全である。全周を金属で囲われている格好となり、落雷してもこの金属部分を通るため内部への影響は少ない。ただし、ハンドル、車体、電装機器には触れないほうが無難である。また、落雷の電気エネルギーによって火災が発生する可能性はあるし、運転中であればショックで事故等を起こす可能性もあるので過信は禁物である。
  • 傘はなるべく差さない。自分の頭より高い位置に何かを掲げない。
雷はより高いところに落ちやすいため、傘を差す差さないのほんのわずかな高さの違いが生死を分ける可能性もある。釣竿、ピッケルなども同様である。
  • 「高い木の下にいれば安全」は俗説で、かえって危険である。
木よりも人体の方が電気を通しやすいので、幹付近で立っていると木に落ちた雷が幹を通らず人体の方を通って地面に落ちる(側撃という)。その上、高い木は避雷針同様に落雷しやすいため、余計に危険性が増すことになる。したがって、木のそばに避難することは自殺行為に等しい。ただしこの点を理解し、木の高さの影響圏内で幹から離れて伏せるなどを行えば、危険性は減る。木の枝葉を含めて自分に最も近い先端部分から4メートル以上離れ、木の先端を45度の角度で見上げる範囲が比較的安全とされる。
  • 「金属を身につけていると落ちやすい」も誤った俗説であり、落雷に遭う確率に差はない。
人体の電気が通るのは主に人体内部であり、表面に少量の金属があっても通りやすさに影響は無い。そもそも、物体の伝導性の違いは被雷する確率にまったく影響を与えない。前述の通り、高さのほうが重要である(ただし背の高低程度では大きな差異にはならない)。そのため、体から金属類をはずすことに気を払うのではなく、一刻も早く安全な場所に避難することが重要である。また、金属製品を身につけている場合は、落雷時に人体より電気の流れやすい金属周辺の皮膚に軽度のやけどは負うが、雷の電流の多くが金属に流れる分、人体を流れる電流が減り、むしろ生存確率は上がることもある。
  • ゴム長靴、ビニール製のレインコートを身に着けても全く安全ではない。
前述のとおり、伝導性の違いは被雷する確率にまったく影響を与えない。また、被雷しても身を守るほどの絶縁性も持たない。
  • 電化製品は電源を切る。出来ればコンセントを抜く。
停電や雷サージの危険があり、なんらかの作業中に突如中断され、中途半端な状態になることで発生する不具合の他、待機状態であっても衝撃的な電圧が悪影響を与える可能性がある。稀だが内部の細い電線や絶縁部などを破壊する可能性もある。ただし最近はメーカーの技術の向上により、落雷による電圧から電化製品を守るコンセントも販売されている。
  • 落雷の被害から建物や人を守る器具として避雷針がある。詳しくは避雷針の項目を参照。雷雲の発達・接近を警告する携帯型の雷警報機も市販されている。また、レーザーにより、大気を電離させ電気の通りやすい道を作り、落雷を誘導する研究(レーザー誘雷)もなされている。


関連項目[編集]