タイツ
タイツ(英語:Tights)は、一般的にはストレッチサテン地、ナイロン地など伸縮性を持たせた布地で縫製されたフィット性のある衣服(ズボン)のことである。
一般的に保温を目的とした衣類の一種で腰から足のつま先までを覆うパンティストッキング(以下は「パンスト」とする)型状の製品が多いが、衣類の分類的にはタイツは衣服であり、靴下ではない。
タイツは19世紀のフランスで舞台衣裳として発明され広まった。日本では戦前、戦後はウール糸で編まれた厚手の「バルキータイツ」が流通していた。体温を保ちながらも、脚線美を作り出すというメリットを持つ。近代においては多くは女性向けに作られているが、男性器用に前開きの有る男性用の防寒用タイツも販売されている。サテン地の男性用タイツは、その伸縮性から男子バレエダンサーに着用される事も多く、欠かせないものである。
またスポーツ競技やパフォーマンス等で使用することを目的とした全身タイツと言う頭部まで覆う衣類が存在する。通称「ゼンタイ」と呼び、日本が発祥地である。海外でも「ZENTAI」と言う発音で通じる。全身タイツはレオタードからの派生である。着用感をさしてタイツの名を冠すると思われる。タイツはストッキングと比べて伝線による破損が起りにくい為、丈夫で経済的である。エアロビクス用やレースクィーン用のサポート力の強いタイツもある。またバレエ用のファンデーション(インナーウェア)として上半身部分のストラップ付のトップと下半身部分のタイツが一体となったボディタイツもある。
また、1990年代前半からは一部の女子中学生・高校生たちが履いていたが、2000年代以降はタイツを履く機会や関心が戻ってきて、多くの女子中学生・高校生たちの間で流行して履かれるようになった。理由は女子中学生・高校生たち曰く、「女の色気があるから」、「色っぽく見せるため」、「防寒用で履く」、「冠婚葬祭などでも履ける」、「いくらお腹が空いていても履いているだけでお腹が空いていたのが治る」などである。欠点は通気性タイプの上履きを履いている時にパンストやタイツを履くと、あまりの生地の薄さのせいで、逆に脚が冷えることである。
さらに、2007年秋季から2008年冬季にかけてタイツ・ブームとなり(タイツの他にニーソックスもブームだった)、これ以降は毎年タイツ・ブームが訪れている。しかし、一年をトータルしても70年代から90年代の勢いには及ばない。なお、網タイツはタイツと呼ばれているが、どちらかと言えばパンストに近い衣料である。
日本において、ナイロンとポリウレタン糸を主な材料として使ったタイツより織りが細かく薄手なものをパンストとよんでいるが、これは靴下に分類される。また、海外では一般的に両者を区別せず、タイツはイギリスでの統一した呼び方で、アメリカではパンティホースと統一的に呼ばれている。
単位[編集]
パンストとの比較[編集]
メリット[編集]
- 耐久性が優れている。
- 体温を保ちながらも脚線美を作り出し易く伝線しにくい。
- 保温性の効果が高く、冷え性の予防効果につながる。
- 下着が透けにくい(タイツ+短パンまたはジャージを組み合わせて着用することにより、下着の透けを防止することが可能。)。
デメリット[編集]
時代の変化[編集]
かつては衣類の衣替え同様、冬にストッキングからタイツへ、春にタイツからストッキングへ替えることが多かったが、2008年頃から冬に限らず、夏でも冷え性対策としてタイツを着用する若い女性が急増している。2005年以降、着用色別の売り上げは黒色が大多数を占めるが、カラータイツと呼ばれる派手な色のタイツを着用する者もいる。2010年代以降の売上は橙色、黄色、桃色系が上位を占める。また
- マチを多くとってあるものや、迷わない様に前後の識別がついている
- パイル、ダイヤ、リブ、アーガイル、ドット、ボーダー、アラベスク、ヒョウ柄以外の柄の搭載(ニーソックス感覚の『ニースト』や前述の網タイツ調の格子柄が入ったり、刺繍柄のものや、ワンポイントの模様(特に足首、踝やアキレス腱部分)が入ったものなど)
- 股間が蒸れない様にガーターに倣ったスタイルの、所々の生地が抜いてあるもの
- 膝下~踝部分までの丈のレギンス感覚(長さは多種ある)のもの
- グレープフルーツなどの香りをつけたもの
- 靴下の大成功に倣い、以前では考えられない5本指に分かれたもの。
- つま先、パンティーハウスをメッシュ編みしたもの
- クール・ビズ、ウォーム・ビズに対応した温湿度調整機能が施されたもの
- ミュール、サンダル着用時に足底が滑って脱げるのを防ぐ目的として、足底部に滑り止めを編み込んだりプリントしたもの
なども人気が上昇している。
1963年、アメリカで世界初のパンティストッキングが開発され、発売された。これは全米の女性の間で大ブームとなったものの、日本では輸入品だったため、希少かつ高価で庶民には広まらなかった。その後、厚木ナイロン工業(現アツギ)の創業者である堀禄助がアメリカから取り寄せたパンティストッキングを元に開発を進め、1968年に初の国産品の製造に着手する。 タイツは1990年代前半まで、女子中学生・高校生にとっての身近なファッションとして愛用されていたが、それ以降の生脚ブームの到来によって社会人女性や一部の学校の制服、冠婚葬祭の場面でしか着用する機会や関心がない時代が続いた。しかし、近年のパンスト・タイツブームによって再び中学生・高校生から社会人女性のタイツを履く機会や関心が戻って来た。社会人女性の通年の防寒用靴下としてや、女子学生制服の冬の防寒対策として用いられている。
歴史的服飾[編集]
歴史的には中世欧州でhose(ホーズ)と呼ばれる下半身を包む股引状の衣服が男性用に広く着用された。これは乗馬や運動のし易さや防寒性の必要からの形状であり、現代のタイツの元祖といえるものだが、階層によって様々な形状のものが着用された。農民階級には左右が縫い合わせられておらず、通常は紐で腰に結んでおき、労働時には畳んで長靴下状にして激しい運動を行うというもの、商人・都市住民用につま先がないもの等さまざまな形状のホーズが存在し、素材も絹、毛織物から、より粗末な素材と多岐に渡った。
伸縮性を持つ素材がほとんど存在しなかったため、今日のタイツ同様、下半身を一体で包む形状のものは、着用者の体格に合わせて織り上げる高価なものであり、結果的に経済力に余裕のある王族・貴族やギルドの幹部など一部富豪しか着用できなかった。
英国イングランドのヘンリー8世の時代には、ホーズのふくらはぎ部分に詰め物をして、足を美しく見せるといった流行もあった。
タイツの画像[編集]
備考[編集]
- 2000年代に入ってからは生足ブームが起こり、冬季でもストッキング未着用の女性が増えたが、2006年頃からタイツ・ブームとなり、相乗効果でパンティーストッキングの着用も増えた。
- そして昨今、パッケージエアコンと並びファッションモデルたちの身近な普段着となっている。
- なお、女子学生の校則で冬季の防寒用として、黒、若しくはナチュラルカラーのタイツ、ストッキングの着用を義務づけている学校も少なからず存在する。
- 動物園では、職員がフラミンゴなどの大型鳥類を移動させる時、羽根を保護させる為にパンティストッキングに鳥自体を入れて移動させる。(「トリビアの泉 〜素晴らしきムダ知識〜」(フジテレビ)2006年3月15日放送分より)
- 継ぎ目のないタイツ、ストッキングを「シームレスタイツ」・「シームレスストッキング」と言う。
- ジャコに登場した。ドラゴンボールのブルマの姉として登場した
関連項目[編集]
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靴下 | |
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ひざ上(ストッキング) : | ボディストッキング - タイツ - パンティストッキング - ストッキング - サイハイソックス - オーバーザニー |
ひざ下(ハイソックス) : | ハイソックス - スリークォーターソックス - ブーツソックス - クルーソックス |
足首(ソックス) : | ソックス - アンクレット - スニーカーソックス |
その他(レギンス等) : | トレンカー - スパッツ - ルーズソックス - 紺ハイ - レッグウォーマー - ガーター |
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