神戸市須磨区リンチ事件
神戸市須磨区リンチ事件とは、2010年10月29日に神戸市須磨区南落合で発生した殺傷事件。松田 智毅と鳶職の少年らにより、釜谷圭祐さんが死亡、榊原諒さんが重傷を負った。
目次
事件発生[編集]
2010年10月29日午前5時15分頃、神戸市須磨区南落合3で、路上に停車中の乗用車内に頭から血を流している男性2人がいるのを通行人が見つけ、119番通報した。
兵庫県警によると、いずれも19歳の男性で、頭の骨を折っており、2人とも意識不明の重体。2人に殴られたような傷があることから、兵庫県警捜査一課と須磨警察署は何者かに襲われたとみて、殺人未遂容疑などで捜査を始めた。
兵庫県警によると、男性は、釜谷 圭祐さん(19、神戸市垂水区桃山台7、アルバイト)と、榊原 諒さん(19、明石市東山町、専門学校生)。
乗用車は釜谷の父親の所有とみられるRV車。後部座席で釜谷が倒れ、荷台部分で榊原が座るような状態で見つかった。2人とも頭部を中心に鈍器で殴られたような傷があるという。発見時、車のエンジンはかかっておらず、キーはささったままだった。
捜査関係者によると、「午前5時ごろ、暴走族のような男20人ぐらいが車を囲んでいた」という目撃情報があり、兵庫県警捜査一課などが暴行などがなかったかの関連を調べている。
兵庫県警などによると、10月29日午前3時30分と3時40分頃の2回、現場から西に約6~7km離れた神戸市西区池上と神戸市西区前開南町のコンビニエンスストア2店から、男性の声で携帯電話の110番があった。通報したのは釜谷さんとみられ、「男に殴られた。トイレから電話しているが、外に男がいて出られない」「誰かが自分の車に乗っていった」などと話したという。
神戸西警察署員が2店に駆け付けたが通報者は見当たらず、店長からの聞き取りなどでトラブルは確認できなかった。しかし、両店の防犯ビデオには釜谷さんが歩く姿が映っていたが、トラブルに巻き込まれているような様子はなかったという。
現場は、神戸市営地下鉄西神山手線名谷駅の南東約500mにある神戸市立南落合小学校前。
直前に新聞配達員が現場で、RV車を取り囲む十数人の少年やミニバイク十数台を目撃しており、兵庫県警須磨警察署は、2人が少年らとトラブルになって襲われたとみて殺人未遂容疑で捜査している。発表では、釜谷が後部座席、榊原がその後ろの荷台部分に倒れていた。後部左側のドアと荷台のドアが、いずれも開いたままだった。十数人の少年らは暴走族風という。
神戸須磨南落合殺人未遂。1人が死亡[編集]
神戸市須磨区南落合3の路上で早朝、乗用車内で19歳の男性2人が頭から血を流して倒れ、意識不明になっていた事件で、兵庫県警は10月29日午後、2人のうち釜谷さんが死亡したと発表した。
また、2人はいずれも車外で暴行され、車内に放置されたとみられることが兵庫県警への取材で分かった。
榊原さんは依然、意識不明の重体。兵庫県警捜査一課と須磨警察署などは、2人に頭の骨が折れるなどの傷があることから、殺人・殺人未遂事件として須磨警察署に捜査本部を設置した。
犯行当時、現場の路上には釜谷さんのRV車を囲むように、十数人の若い男が目撃され、数人が暴行に加わった可能性がある。捜査本部は現場にいたとみられる男ら数人から事情を聴いている。
また、RV車の周辺の路上で携帯電話3台と、釜谷さんのサンダルが見つかっており、揉み合うなどした際に落ちたとみられる。血痕は車内のシート部分などの他、周辺の路上にも散っており、2人は車外で暴行を受けた後、車内に放置されたとみられる。
兵庫県警は、2人は店を出た後、襲われたとみており、事件直前まで一緒にいたという少女2人(いずれも16)と女性(20)からも当時の状況を聞いている。
釜谷さんの知人女性の兄・松田智毅を殺人容疑で逮捕[編集]
兵庫県警須磨警察署捜査本部は10月30日、殺人と殺人未遂の疑いで、松田智毅(22、神戸市須磨区南落合、無職)を逮捕した。
松田は事件が起きた29日未明、釜谷さんら2人と一緒にいた女性(20、専門学校生)の兄。松田は「妹が連れ回されていると思い腹が立った。数人で殴ったり蹴ったりした」と供述しているという。捜査本部は現場にいたとみられる他の男数人から事情聴取する方針。
松田は29日20時20分頃、母親に付き添われ須磨警察署に出頭。「ニュースを見て、大変なことをしてしまったと思った」と話したという。
釜谷さんと榊原さんは28日8夜から、松田の妹ら知人女性3人と、釜谷さんのRV車に乗って行動。松田は知人男性2人とともに妹の行方を探し、明石市内で見つけて合流。神戸市西区内のコンビニ2店に立ち寄った後、現場に移動したとみられる。
事件当時、現場に松田の知人男性2人を含む十数人の若者がいたことを把握。関係者から事情聴取し、他に暴行に加わった人物がいないかや、暴行に至った詳しい経緯を調べる。
当初から暴行計画か[編集]
殺人と殺人未遂容疑で逮捕された松田智毅(22、神戸市須磨区南落合)が「(被害者らを見つけた)明石市内の繁華街で殴ったが、人目につくと思い、場所を変えた」と供述している。
松田は事件前、専門学校生の妹(20)が明石市内で男性2人と遊んでいるのを発見。調べに「妹が連れ回されたと思い、腹が立った」と供述しており、兵庫県警須磨警察署捜査本部は、松田が当初から男性2人を暴行する目的で、南落合の事件現場に移動した可能性があるとみて調べる。
司法解剖の結果、釜谷さんの死因は頭部を拳などで殴られたことによる外傷性脳クモ膜下出血と分かった。
松田は28日夜、母親(46)から「妹が外出したまま戻ってこない」と連絡を受け、知人男性(20)や鳶職の少年(19)と妹を捜し始めた。29日午前2~3時ごろ、妹と釜谷さんら5人が明石市内でカラオケをしているのを見つけて合流。初めて会った釜谷に暴行した。
その後、松田は知人男性に釜谷さんの乗用車を運転させ、松田の車と2台に分乗して移動。最終的に、南落合の自宅から約200mの路上で車を止め、車外で釜谷さんと榊原さんに暴行を加えた。
「暴行現場まで車で先導」松田が主導的役割[編集]
殺人と殺人未遂の疑いで逮捕された松田智毅(22、神戸市須磨区南落合)が「明石市内で2人を見つけた後、車2台に分乗し、暴行現場まで自分の乗用車で先導した」と供述している。兵庫県警須磨警察署捜査本部は松田が中心となり、2人を現場に連れ出したとみて詳しい経緯を調べている。
被害者男性2人は29日午前2~3時ごろ、松田の妹(20)ら女性3人と明石市内でカラオケなどで遊んでいたところ、母親の依頼で妹を捜していた松田に発見された。その後、男性2人と女性3人を連れて、釜谷さんのRV車に松田の知人男性(20)が乗り込み、松田が運転する乗用車に続いて移動を始めた。
3時30分前後には、神戸市西区のコンビニ2店に釜谷さんや女性らが出入りする姿が防犯カメラに写っており、捜査本部はその後、暴行現場の須磨区南落合に向かったとみている。
松田は調べに「妹が連れ回されていると思い、腹が立った」と供述。一方、捜査本部によると、妹は男性2人とは以前から遊び仲間だったという。
新たに鳶職の少年を逮捕(2010年11月4日)[編集]
兵庫県警須磨警察署捜査本部は、殺人と殺人未遂の疑いで、新たに鳶職の少年(18、神戸市垂水区)を逮捕した。11月3日夜に出頭した鳶職の少年は2人への暴行を認めているが、「殺すつもりはなかった」と殺意を否認している。
鳶職の少年は、10月29日午前3~5時ごろ、神戸市須磨区南落合3の路上で、殺人と殺人未遂の疑いで逮捕されている松田智毅(22、神戸市須磨区南落合)と共謀し、男性2人に対し、頭や顔を殴るなどの暴行を加え、釜谷さんを殺害し、榊原さんに重傷を負わせた。
鳶職の少年は捜査本部の調べに対し、「いつかは見つかると思い怖くなって出頭した」と供述しているという。松田とは直接の面識はなかったという。
新たに男3人逮捕。監禁容疑など(2010年11月10日)[編集]
2人を乗用車に乗せて暴行現場まで移動したとして、兵庫県警須磨警察署捜査本部は監禁の疑いで前川勇太(20、神戸市須磨区南落合、会社員)を逮捕した。
また捜査本部は同日、男子生徒B(19、神戸市須磨区、私立高校3年)と少年C(18、神戸市垂水区、無職)を、暴行を受けて倒れた榊原さんから財布と靴を奪ったとして窃盗容疑で逮捕。
前川と少年Cは容疑を大筋で認め、生徒Bは認めているといい、暴行への関与についても調べる。この事件での逮捕者は計5人となった。
前川の逮捕容疑は、殺人と殺人未遂の疑いで逮捕された知人の松田智毅(22、神戸市須磨区南落合)と共謀。釜谷さんと榊原さんを乗用車に乗せて運転し、JR明石駅南側ロータリーから神戸市須磨区南落合3の路上まで監禁した疑い。男子生徒Bらは松田と共謀し、榊原さんの財布と靴を盗んだとされる。
松田の逮捕直後、神戸新聞の取材に応じた前川は「(松田と)最後に会ったのは事件の2週間前。当日、連絡もなかった」と話していた。
捜査本部は、松田の妹(20)が釜谷らに連れ回されたと思いこんだ松田が、一連の監禁や暴行を主導したとみて捜査。松田を監禁と窃盗の容疑で追送検する方針。
送検・起訴[編集]
松田を追送検(2010年11月18日)[編集]
兵庫県警須磨警察署捜査本部は松田智毅(22、神戸市須磨区南落合、殺人と殺人未遂容疑で逮捕)を監禁と窃盗の疑いで追送検する。
また、捜査本部は暴行にかかわったのは松田と少年A(19、神戸市垂水区、鳶職、殺人と殺人未遂容疑で逮捕)の2人と判断。他に監禁、窃盗容疑で3人が逮捕されており、事件当時、現場には15人くらいがいたとみられるが、この5人の他は関与が薄いとして立件しない方針を決めた。
松田を起訴(2010年11月19日)[編集]
神戸地検は傷害致死などの罪で、松田智毅(22、神戸市須磨区南落合)を起訴した。起訴内容を認めているという。
起訴状によると、松田は神戸市須磨区南落合などで、釜谷さんと榊原さんに対し顔や頭を蹴るなどの暴行を加え、釜谷さんを死亡させ、榊原さんに重傷を負わせた。兵庫県警は松田を殺人などの疑いで逮捕したが、神戸地検は「殺意は認められない」としている。
また、2人を車に乗せて暴行現場まで移動したとして、監禁の疑いで逮捕された前川勇太(20、神戸市須磨区、会社員)は2010/11/19、起訴猶予処分となった。
また、兵庫県警須磨警察署捜査本部は、松田に頼まれ、事件現場から明石市内まで無免許運転した疑いで、少年(19、神戸市須磨区、無職)を新たに逮捕した。
鳶職の少年を検察官送致(2010年12月20日)[編集]
神戸家裁)生熊正子裁判官)は、傷害致死容疑で送致された鳶職の少年(19、神戸市垂水区)の検察官送致(逆送)を決めた。
生熊裁判官は決定理由で「成人共犯者の主導の下とはいえ、積極的に犯行に加わった。結果も重大で成人と同様の責任を取らせるべき」とした。
鳶職の少年を起訴(2010年12月28日)[編集]
神戸地検は傷害致死罪で、検察官送致(逆送)されていた鳶職の少年(19、神戸市垂水区)を起訴した。神戸地検によると、起訴内容をほぼ認めているという。
公判[編集]
鳶職の少年に懲役3~4年6月の不定期刑(2011年4月26日)[編集]
傷害致死罪に問われた鳶職の少年(当時18、神戸市垂水区)の裁判員裁判の判決が神戸地裁であり、岡田信裁判長は懲役3年以上4年6月以下の不定期刑(求刑懲役4年以上6年以下の不定期刑)を言い渡した。
岡田裁判長は「鳶職の少年は4、5回蹴ったにとどまり、共犯者の執拗で激しい暴行と比較すると圧倒的な差異がある」としながらも「被害者に対する以前からの悪感情を晴らすという動機から、積極的に暴行に加わった」と指摘した。
須磨2少年殺傷初公判。弁護側「心神耗弱状態」主張(2013年1月31日)[編集]
傷害致死罪などに問われた松田智毅(24)に対する裁判員裁判の初公判が神戸地裁(奥田哲也裁判長)で開かれた。弁護側は起訴内容について大筋で認めたものの、「事件当時は幻聴があり、心神耗弱状態にあった」と責任能力を争う姿勢を見せた。
検察側は冒頭陳述で、松田は「以前から妹と遊んでいる男性に暴力を振るうことがあった」と主張。事件当日も「妹と一緒にいた釜谷さんに危害を加えようとして、友人らを通してJR明石駅前に呼び出し暴行した」と述べた。
これに対し、弁護側は「(釜谷さんらを)『許すな』『殴れ』という幻聴が聞こえ、われを忘れた」と強調。その上で「主に暴行したのは一緒にいた少年(当時18、不定期刑が確定)らだった」などと主張した。
公判後、会見した父親(47)は「松田が一度も目を合わせようとせず、どこまで反省しているのか見えない」と語った。
松田に求刑通り懲役14年判決。神戸地裁(2013年2月15日)[編集]
傷害致死罪などに問われた松田智毅(24)の裁判員裁判の判決公判が神戸地裁で開かれた。
奥田哲也裁判長は「無抵抗の被害者に執拗かつ危険な暴行を加え、死亡させた。遺族の悲しみは察するに余りある」として求刑通り懲役14年を言い渡した。
弁護側は「幻聴に支配されていた」と心神耗弱を主張していたが、奥田裁判長は「犯行後、仲間に申し訳なさそうな態度を示しており、善悪の判断はできた」と退けた。
判決によると、松田は、釜谷さんら2人が妹を連れ回していると思い込み、須磨区南落合の路上などで、鳶職少年(21、懲役3年以上4年6月以下の不定期刑確定)とともに釜谷らに殴る蹴るの暴行を加えて死傷させた。
実行されぬ「賠償」、救われぬ「遺族」。犯罪被害者遺族は泣き寝入りするしかないのか[編集]
神戸市須磨区で平成22年10月、元専門学校生の釜谷圭祐さん=当時19歳=ら2人が暴行され、釜谷さんが死亡、もう1人が重傷を負う事件があった。
この事件で、傷害致死傷罪に問われた主犯格の松田智毅(26)には平成25年2月、神戸地裁が懲役14年の実刑判決を言い渡し、上告棄却後の11月に確定した。
損害賠償を求めた民事訴訟も含めて一連の裁判は終わったが、この男からの遺族への賠償は今も実行されていない。釜谷さんの母、美佳さん(48)は「被害者は泣き寝入りするしかないのかもしれない」と悲嘆に暮れる。犯罪被害者や遺族への賠償が進まない現状に、専門家からは「以前から存在するものの解決が難しい問題。国が責任を持って対応しないといけない」との声も上がる。
この事件は、松田智毅の仲間らが取り囲む中で起きていたことなどから、当時は「集団リンチ事件」とも呼ばれた。ただ、きっかけは松田智毅の勘違いだった。
松田智毅は平成22年10月29日未明、妹と一緒に遊んでいた釜谷さんら2人が妹を“連れ回している”と思い込み、激怒。仲間などを集め、集団で釜谷さんらに暴力をふるって逃げた。松田智毅の暴力は神戸地裁判決で「無抵抗の被害者に執拗かつ危険な暴行を加え、死亡させた。遺族の悲しみは察するに余りある」とされたほどで、釜谷さんは顔が判別できないほど殴られ、その日の内に死亡した。
事件を巡っては、松田智毅のほかに、同罪に問われた当時少年だった男に懲役3年以上4年6月以下の不定期刑などが確定している。
民事裁判では、神戸地裁から松田智毅らにそれぞれ約8000万円の賠償命令が出たが、美佳さんには賠償金は一切支払われていない。そこで美佳さんは実情を把握しようと、兵庫県弁護士会の「犯罪被害者・加害者対話センター」を利用し2014年6月、男の母親から直接話を聞いたが、その言葉に愕然とした。
「私たちは自己破産して払えない。息子には払わせる」
謝罪もなく、ただ、金銭の話を切り出されたのだ。「お金が欲しいわけじゃない。謝罪の気持ちを見せてほしかったのに」。悔しさだけが募った。
「圭祐のことを、事件のことを忘れないでほしい」
そんな思いから、美佳さんは事件現場に居合わせ、松田智毅と知り合いだった男性5人に調停を申し込んだ。5人は釜谷さんの靴や財布を盗むなどしたが、このうち1人は連絡がなく、調停の場にも現れなかった。
調停の際、美佳さんは集まった4人に「本当は現場にいた全員に来て、話し合ってもらいたかった。自分たちで賠償額を決めてほしい」と諭した。2014年6月、4人が出した“答え”は、最も賠償額が高いケースでも、2年間毎月1万円を支払うというもの。賠償に加え、釜谷さんの命日に美佳さんに毎年、手紙を出すという内容で調停は終了した。
「あのとき1人でも通報してくれれば、圭祐は助かったかもしれないのに。ばかにしているのだろうか。ことの重大性をわかっているのだろうか」。男性らの認識の低さに悲しさがこみ上げた。
それでも、最初の支払いとなった7月分は4人から入金があったという。美佳さんは「お金を払うことが罪の意識を持ち続けるきっかけになると思う。だからこそ、気持ちとして払ってほしい」と訴える。一方で「もし『支払えない』と言われたら、一般市民が取り立てることもできない。そのときは、泣き寝入りするしかないのかもしれない」と懸念する。
被害者学の第一人者で、常磐大大学院の諸沢英道教授によると、諸沢教授が犯罪被害者の遺族約240人を調査した結果、遺族に一部賠償がなされた例はわずか十数%に止まり、全額支払われた例はなかった。諸沢教授は「被害者の刑事裁判の参加を認めるなど支援制度はできてきたが、被害者への賠償に関する問題は立ち止まったままだ」と指摘。「国や自治体が責任を持って救済措置を作らなくてはならない」と訴える。
ただ、こうした現状に歯止めをかけようと動き出した自治体もある。
兵庫県明石市が2014年4月、犯罪被害者支援条例を改正し、全国で初めて賠償金の一部を立て替える制度を開始した。
同市市民相談室によると、市内の犯罪被害者の声を受けた条例改正で、一般世帯が最低限1年間暮らせる金額として最大300万円を立て替えられる。市が遺族から加害者に対する300万円分の求償権を譲り受け、加害者の財産を差し押さえて徴収していくという。
まだ利用者はいないというが、同室の担当者は「使う機会がないことが一番良いが、もし何か起きたときに市民をしっかりと支えてあげたい」と語る。
諸沢教授は、被害者が取り立てる場合、弁護士費用や訴訟費用など金銭面の負担が多きくなると説明し、「もっと、明石市のような制度を他の自治体も制定していく必要がある」と話している。