田中秀明

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田中 秀明(たなか ひであき)とは、出会い系サイトで知り合った女子大生を恐喝する、京都府警の49歳警部補である。

女子大生との関係、49歳「警部補」を「恐喝犯」へと狂わせた“未練”[編集]

「まじめを絵に描いたような男」。

同僚たちがこう語る49歳の警部補の“裏の顔”は、年齢と職業を偽って出会い系サイトにアクセスし、交際した女子大生から現金を脅し取る不良警官だった。

2014年3月1日大阪府警に恐喝容疑で逮捕された京都府警亀岡署の元警部補・田中秀明(49)=起訴、懲戒免職=は、いったんは関係が“自然消滅”した女子大生に、出会い系サイトをきっかけに知り合ったことを逆手に取り、「親にばらす」と脅迫。調べに対し「よりを戻したかった」と動機を供述しながら、巻き上げた金は出会い系サイトで知り合った他の複数の女性との交際費につぎ込んでいた。

田中が女子大生と“交際”を始めたのは平成23年夏。田中は出会い系サイトで本名こそ名乗ったものの、現職の警察官と明かすわけはなく、職業は「京都在住の不動産業」。羽振りが良さそうなイメージの職業を選んだとみられ、年齢もかなりさばをよんでいた。

「本当はこんな年齢だけど、いいかな?」。

女子大生と初めて会った田中被告がこう尋ねると、女子大生は交際を承諾。以降、たびたびデートに誘い、会うたびに「お小遣い」も渡していた。出会い系サイトで出会った者同士、お互いの仕事やプライベートには深く踏み込まないことは「暗黙の了解」。結局、そんな“軽い関係”は10月ごろに自然消滅した。女子大生にとって、もう終わった出来事だった。

「誰ですか?」に激高

女子大生に悪夢が訪れたのは平成24年2月。田中が何を思ったのか、突然、「また会いたい」と携帯電話にメールを送ってきたのだ。困った女子大生は思わずこう返信した。

「誰ですか?」

田中はこの女子大生の“知らないふり”に激高した。「知らないと言うなら、裁判を起こして証言を求める。出会い系サイトを利用していることや、年齢の離れた者と男女関係を持ったことが明らかになる」

最初はよりを戻したいだけだったという田中だが、これをきっかけに、女子大生に対する執拗な恐喝が始まる。

「裁判を取り消すには弁護士に20万円を支払わなければならない」

「とりあえず5万円振り込んでください」

恐怖におびえた女子大生は要求通り、指定された銀行口座に5万円を振り込んでしまう。これがさらなる地獄の始まりだった。

「裁判の取り消し費用がかかる。100万円を負担してください」

「弁護士がきっちり決着をつけるべきだと言っている。勝てる裁判を起こし、報酬が欲しいようだ」

「弁護士への取り消し料の200万円は毎月10万円の約束で私が返しています」

訴訟をでっち上げ、取り消し費用がかかるという内容のメールとともに、交際を親にばらすと脅迫を繰り返す田中。女子大生はアルバイトで稼いだ貯金を取り崩し、要求されるままに金を振り込んだ。時には会うことを強制されて現金を手渡したという。それほど、田中との交際が親にばれることを極度に恐れていた。それは「後ろめたさ」が理由だった。

出会い系サイトを利用していたこと、30歳の年の差がある既婚男性と交際したこと、「小遣い」をもらっていたこと…。こんな後ろめたさから、田中に「無関係」を装ったメールを送ったことが付け入られる隙になってしまった。

結局、女子大生が脅し取られたのは、同年12月までに11回、計80万円にのぼった。

田中には、女子大生の金が尽きれば、復縁の求めに応じるだろうという算段があった。「金は払えないから、よりを戻せると思った」と供述した。だが、こんな思惑は大きく外れる。

止む気配のない恐喝に絶えかねた女子大生はついに親に相談。地元の大阪府警に被害を届け出た。最初の恐喝メールから1年がたとうとしていた今年1月のことだった。

大阪府警の捜査はスムーズに進んだ。田中は、金を振り込ませていた銀行口座を本人名義で開設し、女子大生にも本名を名乗っていたことが決め手になった。さらにメールアドレスも変更していないなど、女子大生が被害を警察に届けることを一切想定していない無警戒ぶりだった。

3月1日、大阪府警の捜査員は田中の勤務先である京都府警亀岡署に出向いて逮捕状を執行した。当直明けの田中は「はい、分かりました」と応じ、観念したような表情を見せたという。

逮捕容疑の被害額は平成24年12月に脅し取ったとされる5万円だったが、田中は取り調べにすべてを打ち明け、大阪地検3月21日、女子大生が渡した80万円全額について恐喝罪で一括起訴した。京都府警の調査によると、職場から恐喝メールを送ったこともあったという。

田中は昭和62年に京都府警に採用。関係者によると、生活安全部門などを経て、平成24年3月から亀岡署警務課に配属され、警務係長として署員の福利厚生などを担当していた。

仕事ぶりはまじめで知られ、田中を知る京都府警関係者は「とにかくまじめを絵に描いたような人だった」と口をそろえる。同じ職場で勤務したという幹部も「恐喝と聞いて、最初は被害者になったと思ったくらい」と話した。

新人時代の田中を知る京都府警幹部は「『人のために何かしたい』と心から思って警察官になったような男だと思っていた。逮捕なんて考えられない」と驚いた様子だった。

大阪府警によると、田中の銀行口座はほかに不審な金の出入りはなく、恐喝の被害にあったのは女子大生だけだった。しかし、女子大生から巻き上げた金は、出会い系サイトを通じて知り合った複数の女性との交際費に流用されていたとみられる。

大阪府警の幹部は「職場ではまじめであっても、同僚や家族も知らなかった顔を持っていたということ。同じ警察官として情けなくなる」とあきれた様子で話す。女子大生が田中の本当の職業を知ったのは逮捕後だったという。