少女地獄

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少女地獄』(しょうじょじごく)は、夢野久作が発表した短編連作である。

概要[編集]

「何んでも無い」「殺人リレー」「火星の女」の3篇からなる。いずれも若い女性の悲劇を主題としており、夢野得意の「全編・書簡体形式」を用いている。

夢野の死後、1936年に、黒白書房から『かきおろし探偵傑作叢書』第一巻として刊行された。ただし「殺人リレー」は、『新青年』1934年10月号で、先に発表されていた。

各作品内容[編集]

何んでも無い
天才的な嘘つきの看護婦・姫草ユリ子が主人公。耳鼻科医で働き始めてから、正体が周囲にバレて人知れず去っていくまでの出来事を、彼女を雇っていた院長の手紙文という形式で綴る。
登場人物
姫草ユリ子 - 十九歳の可憐な少女。看護の腕は抜群で、患者間での評判は高い。が、病的な虚言癖がある。
臼杵利平 - 彼女を雇った院長。手紙の送り主。
松子 - 利平の妻。ユリ子の正体に一番早く気付いた。
白鷹秀麿 - K大学時代の、利平の先輩。かつてユリ子がK大病院に勤めていた経緯から、ユリ子を通じて、利平と秀麿のあいだで親交が深まる。手紙の受取主。
曼陀羅院長 - ユリ子が利平の病院を辞めた後に、子宮内膜炎のために入院していた病院の医師。彼女の自殺体を発見し、遺書を利平に届けにきた。なんでこんな変な名前なの?というのは読者全員が感じる共通の謎。
おそらく「少女地獄」3作品のうち、最も有名か。NHK『Jブンガク』で取上げられたこともある。
ユリ子が自殺したという話も怪しい。彼女は月始めになると集中して嘘をつく癖があり、遺書が書かれたのは月初めの12月3日である。曼陀羅院長というのが、本当にユリ子に騙された人なのか、何らかの協力者なのかは、読者の想像に任されるところであろう。(ユリ子の性格からすれば、安易に協力者を作るとは思えないが。)
殺人リレー
新高竜夫は、バスガールと次々関係をもち、不要になると事故に見せかけて殺す、色魔の運転手である。トミ子は、自分の友人が同じ手によって殺されたと知り、彼に近づき、復讐を試みる。彼女の書いた6篇の手紙から本文は成る。
登場人物
友成トミ子 - 手紙の送り主。バスガール。
山下 智恵子 - 手紙の受取主。トミ子の昔からの親友と思われる。百姓生活をしており、バスガールに憧れているが、トミ子からバスガールになろうとなど思ってはいけない、と手紙で釘を刺される。純粋なる話の聞き手であり、本筋には関係してこない。
新高 竜夫 - 一見身持ちの堅い真面目な運転手だが、よからぬ噂がある。
月川 艶子 - トミ子の小学校の同級生。同じ会社でバスガールを務めていたが、行方不明になった。竜夫に殺されたと思われる。
火星の女
県立女子高で起きた奇怪な焼死事件を発端に、聖職者たちの暗部を描く。複数の新聞記事と、「火星の女」こと甘川歌枝の遺書から成る。
登場人物
森栖礼造 - 地域から尊敬される名校長。事件後、失踪し、大阪で精神錯乱しているところ発見された。
虎丸トラ子 - 42歳の女教師。事件後、学校のトイレで首を吊って自殺した。
川村英明 - 51歳の書記係。公金拐帯し、一家ともに失踪した。
甘川歌枝 - 「火星の女」というあだ名で呼ばれる生徒。スポーツ万能だが、それ以外では省みられず、孤独な学生生活を送っている。
殿宮アイ子 - 歌枝の友人で、容姿端麗な才媛。

映画[編集]

外部リンク[編集]

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