金沢女性スイミングコーチ殺害事件
金沢女性スイミングコーチ殺害事件(かなざわじょせいスイミングコーチさつがいじけん)とは1992年9月30日に発生した殺人事件。
概要[編集]
1992年10月1日午前1時頃、石川県金沢市三十苅町でスイミングコーチの安実千穂さん(当時20歳)の絞殺体が勤務先のスイミングクラブの駐車場で自分の車(三菱ミラージュ・ファビオ黒色)の助手席で発見された。車は駐車スペースを区切る白い線を跨ぐ形で駐車されていた。車のエンジンは切れていたがキーは差し込まれたままで、FMラジオが流れたままだった。千穂さんの足は靴の片方しか履いていない状態であった。
死因は細い紐で首を絞められたことによる窒息死と判明。紐の跡はあごにもあったことから1度目はあごに引っかかって失敗し、首を絞め直したものと見られた。また、安実千穂さんの顔は青紫色に腫れ上がっており、特にまぶたの鬱血がひどかったことから長時間にわたって絞められたことが判明。
安実千穂さんのオーバーオールや下着の女性器付近はかみそりで切り裂かれており、上半身から犯人の遺留品とされる血液型B型の唾液と毛糸が検出された。毛糸は脱脂も着色もされていない特殊な製品で、富山県内の工場で製造された子どもの髪飾りに使われている毛糸に非常によく似ていた。
金沢大学医学部での司法解剖の結果、死亡推定時刻は9月30日午後8時前後とされた。衣服の泥や靴の片方が落ちていたことや頭髪にメタセコイアの葉が付いていたことから、殺害場所は死体発見現場である駐車場から約4キロ離れた白山市矢頃島町の県農業試験場果樹実証圃(現・県農業総合研究センター)と特定された。安実千穂さんは9月30日午後6時45分にスイミングクラブを退社し、午後7時25分に千穂さんが自家用車を運転して自宅方面とは逆の方に走ってゆくのを同僚が目撃している。午後8時40分に駐車場周辺で時速30キロ程度の低速運転をしていた千穂さんの車に関する証言がある。午後8時50分に駐車場で千穂さんの車が目撃されている。
以上のことから、犯人は殺害時刻である午後8時頃に県農業試験場果樹実証圃で安実千穂さんを絞殺し、車で千穂さんの死体を助手席に乗せたまま殺害現場から駐車場まで運転した可能性がある。
生前の安実千穂さんはスイミングクラブから誰かに電話をかけている様子をたびたび目撃されており、犯人は千穂さんと面識のある人物とみられたが、2007年9月30日、公訴時効が成立し、未解決事件となった。