前園泰徳

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テンプレート:Infobox scientist 前園 泰徳(まえぞの やすのり)は、日本教育者環境学者生態学環境教育)。学位博士(農学)東京大学)。福井県勝山市環境保全推進コーディネーター、福井大学大学院教育学研究科特命准教授

2015年3月14日に教え子で大学院生の女性を殺害したとして福井県警が殺人容疑で逮捕した。県警によると3月12日早朝、東邦大大学院生を、同市内の路上の軽乗用車内で首を絞めて殺害した疑いが持たれている。

概要[編集]

日本環境学者としての一面を持つ教育者であり、生態学環境教育を専門とする。もともと生態学の研究者であったが、のちに環境教育を手掛ける教育者となる[1][2]鹿児島県大島郡龍郷町の職員となり、環境教育を専門とする教員として勤務した[1]。この環境教育を専門とする教員は、日本国内では初めて設置された職である[1]。その後、福井県勝山市にて、環境保全推進コーディネーターを務めた[1][2][3]。また、日本の夏季における赤蜻蛉平地から山地への移動を、史上初めて実証した人物としても知られている[4]

来歴[編集]

東京大学大学院に進学し、農学生命科学研究科博士課程を修了した[3]。それにともない、博士(農学)学位を取得した[1][3]。その後、九州大学京都大学の大学院にて勤務した[1][3]。しかし、研究のため訪れた奄美大島にて自然が失われていく様子を目にしたことから、奄美大島の地方公共団体に奉職することを志した[1]鹿児島県大島郡龍郷町の職員として採用され、環境教育を担当する教員として勤務した[1]。その後、福井県勝山市に奉職し、環境保全推進コーディネーターとなり[1][2][3]、産官学民連携なども担当した[1][5]。また、東邦大学理学部においては、講師非常勤で兼任した[1][5]。その後、福井大学においても、大学院の教育学研究科にて特命准教授を兼任した[1][2]。教育学研究科においては、主として教職開発専攻(いわゆる教職大学院)の講義を担当した[2]

教育・研究[編集]

当初は、他人と関わることを好まないため、それを理由に人より自然を相手にしたいと考え、生態学の研究者となった[2]。ところが、研究のために訪れた奄美大島にて自然が失われていくところを目の当たりにし、住民に対して自分の思いを伝えたいと考えるようなった[2]。その結果、「何かを変えたり、守ったりするには、人との関わりが不可欠」[2]と痛感し、今度は生徒らに対して自然の貴重さを伝える教育者を志し[2]、再び人を相手にする職に就くようになった。鹿児島県大島郡龍郷町においては、環境教育を専門とする教員として環境教育プロジェクト「DEEP AMAMI」を担当した[1]。この環境教育を専門とする教員としては、前園が日本で第一号である[1]。「DEEP AMAMI」の代表に就任し、龍郷町出身である実業家渡伸一郎コーンズ社長などを歴任)が創設した「龍郷町環境教育基金」を原資に[6]小説家鳥飼否宇生物学者藤崎憲治らとともに活動を展開した[7]。それにともない、月刊誌婦人之友』に前園を取り上げた特集記事が掲載されるなど[8]、前園自身とその活動はマスコミなどからも多く取り上げられた。

また、福井県勝山市においては、環境保全推進コーディネーターと同時に産官学民連携をも担当し[1][2]持続可能な発展を目指す教育を推進するなど、自然環境の保全と地域の持続的発展の両立、調和を図った[1]。具体的には、赤蜻蛉の調査など勝山市の小学校中学校の全校の環境教育を手掛けており、これらを通じた生徒の学力向上や、地元に住み続けたいと考える生徒の増加といった波及効果が表れ始めている[2]。赤蜻蛉の研究においては、アキアカネが夏になると平地から山間部に移動して過ごしていることを初めて実証したことでも知られている[4]。先行研究によりアキアカネが秋に山間部から平地に移動することは実証されていたものの、羽化したアキアカネが夏に平地から山間部に移動することは確認されておらず、あくまで推測に過ぎなかった[4]。しかし、前園らは史上初めて平地から山間部に移動することを実証し、平地と山間部との双方向の移動の全容が明らかになった[4]。なお、これらの業績が評価され、2014年9月には勝山市特別功労賞が授与されている。

さらに、身近な生物を取り上げた図鑑を上梓するなど[9][10][11][12]、環境教育にかかわりの深い児童向けの著作も多数著している。編集者前田信二メイツ出版社長などを歴任)は、前園の著書『日本のいきもの図鑑』シリーズの編集を担当したことから、前園の思想に傾倒したとしている[13]。前園に感化された前田は、前園がかつて著した『千葉いきもの図鑑』と類似の図鑑を上梓するとともに[13]、さらに類似の書籍を多数上梓するようになった[14]学術団体としては、地域環境学ネットワークなどに所属している[5]

人物[編集]

写真の腕も高く、勝山左義長を撮影した作品「雪と炎」にて、勝山左義長まつりフォトコンテストの最優秀賞を受賞している[15][16]

賞歴[編集]

著作[編集]

単著[編集]

主要な論文、寄稿、講演録等[編集]

  • Yasunori Maezono and Tadashi Miyashita, "Folsomia candida (Collembola:Isotomidae) Living in the Nest Cell of a Cicada Graptopsaltria nigrofuscata Underground", Edaphologia, Vol.66, Japanese Society of Soil Zoology, August 31, 2000, pp.51-57. ISSN 03891445
  • 前園泰徳稿「環境教育が人の心と地球を救う――奄美大島龍郷町からの挑戦」『バイオメディカル・ファジィ・システム学会大会講演論文集』22号、バイオメディカル・ファジィ・システム学会、2009年10月10日、155-158頁。
  • 神戸嘉一ほか稿「Mc1r変異に基づくクマネズミ外来系統の日本列島における移入と浸透交雑の把握」『哺乳類科学』53巻2号、日本哺乳類学会2013年、289-299頁。ISSN 0385437X
  • 前園泰徳稿「子どもたちの里山復興――『何もない』から『自慢の宝物』へ」『ビオシティ』59号、ブックエンド、2014年、 69-73頁。
  • 前園泰徳稿「学校教育に環境教育を浸透させるには?――環境教育コーディネーターによる学校拠点方式の教師教育に関する検討」『教師教育研究』7巻、福井大学、2014年6月21日、323-332頁。

脚注[編集]

  1. 1.00 1.01 1.02 1.03 1.04 1.05 1.06 1.07 1.08 1.09 1.10 1.11 1.12 1.13 1.14 1.15 「プロフィール」『会員リスト|詳細科学技術振興機構社会技術研究開発センター。(アーカイブ
  2. 2.00 2.01 2.02 2.03 2.04 2.05 2.06 2.07 2.08 2.09 2.10 前園泰徳「地域の魅力を見出し美しい故郷を未来へ残す」『教員紹介 - 受験生サイト - 福井大学 University of Fukui福井大学
  3. 3.0 3.1 3.2 3.3 3.4 「自己紹介文」『プロフィールニフティ
  4. 4.0 4.1 4.2 4.3 森上需「赤トンボの避暑地への移動 国内初確認――東邦大学理学部生命圏環境科学科野外実習において」『赤トンボの避暑地への移動 国内初確認~東邦大学理学部生命圏環境科学科 野外実習において~|プレスリリース|学校法人東邦大学東邦大学2011年9月23日
  5. 5.0 5.1 5.2 「私たちは地域環境学ネットワークの会員です」『会員リスト | 地域環境学ネットワークとは | 地域環境学ネットワーク科学技術振興機構社会技術研究開発センター2013年1月21日
  6. 前園泰徳「DEEPが目指すもの」『DEEP AMAMI:代表からのメッセージ』DEEP AMAMI。(アーカイブ
  7. 「メンバー紹介」『DEEP AMAMI:メンバー紹介』DEEP AMAMI。(アーカイブ
  8. 「この人と――生きる力と誇りを育てる――前園泰徳さん」『婦人之友』104巻6号、婦人之友社2010年6月、10-14頁。
  9. 前園泰徳『千葉いきもの図鑑』丸善メイツ1999年
  10. 前園泰徳『日本のいきもの図鑑』都会編、メイツ出版2003年
  11. 前園泰徳『日本のいきもの図鑑』郊外編、メイツ出版2003年
  12. 前園泰徳『知識をひろげるまなぶっく図鑑――昆虫』メイツ出版2005年
  13. 13.0 13.1 前田信二『千葉いきもの図鑑――A Field Guide to the Plants and Animals of Chiba』メイツ出版2013年
  14. 前田信二『埼玉いきもの図鑑――A Field Guide to the Plants and Animals of Chiba』メイツ出版2012年
  15. 平成24年度勝山左義長まつりフォトコンテスト入賞一覧』。
  16. 「勝山左義長まつりフォトコンテスト入賞作品展」『広報かつやま』703号、福井県勝山市2013年6月、14頁。

関連人物[編集]

関連項目[編集]

外部リンク[編集]

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