ホリプロ
株式会社ホリプロ(Horipro Inc.)は、日本の大手芸能事務所。1960年5月に有限会社堀プロダクションとして設立され、1963年1月に株式会社へ改組し、社名をホリプロダクション(略称:ホリプロ)に改称。1990年10月に株式会社ホリプロへと2度目の改称、それまでの略称名が正式社名となった。
代表取締役会長兼社長堀義貴。創業者の堀威夫は、一貴(ホリプロ・エンターテインメント・グループ・インク社長)・義貴兄弟の父親で、現・ファウンダー最高顧問。
歴史[編集]
- 社名に個人名を付けたのは、東洋企画の分裂劇で追われたため、自らの会社である事をアピールするためであったという(堀威夫の項目も参照)。現在でこそ女性タレントの活躍振りが目立つが、設立初期は「僕は泣いちっち」や「有難や節」でヒットした守屋浩(現在は同社スカウト部長)を売り出していた。ホリプロダクションに改名後は舟木一夫、ザ・スパイダース、ザ・ヴィレッジ・シンガーズ、オックスなどが活躍する一方で、また映画監督・CMディレクターの大林宣彦を起用して、丹頂(今のマンダム)が社運を賭けて発売したチャールズ・ブロンソンが出演したことで知られる「マンダム」のCMを制作するなど小規模ながらも芸能事務所として知られるようになっていった。
- 1970年代中頃から後半は、主に山口百恵や石川さゆり、森昌子らの活躍によって、堀威夫が目標とし、かつ最大のライバル事務所であると語っていた渡辺プロダクションに次ぐ勢力となった(堀の自伝によれば、ミュージシャン時代一時期ナベプロにマネージメントしてもらっていたが、やがて決裂したという因縁があったという)。特に東宝で公開された一連の山口主演映画はコンスタントに10億近くの配給収入を挙げ続けたが、これは物価換算や興行収入換算を加えれば今日の興行収入30億円近くにも相当し、比較的低予算であること、単独製作であること(東宝は配給だけで、撮影所すら安い日活を使った)からも同社の財政基盤を飛躍的に向上させた。また社名を冠した「ホリプロタレントスカウトキャラバン」からは榊原郁恵が輩出し、事務所名が茶の間に知れ渡った。その後も女性タレントを中心とした育成・養成に力を入れる一方、お笑いにも進出した。この当時は雲の上の存在的な所属者ばかりの渡辺プロダクションとは対照的に、一貫した庶民派路線が時代の多様化に呼応し成功を収めたと言える。
- 1997年、中学生以下のタレント育成を目的とした「ホリプロ・インプルーブメント・アカデミー」を設立。
- 経営においては「会社の売上を1人のタレントに25%以上偏らせないようにする」というルールを自らに課しており、その経営方針のため芸能人のマネージメントの他にも、TV番組・音楽・映画・テレビCM・舞台公演・ネットコンテンツなどの自社制作やキャラクター版権管理も行っている。いずれの部門も、企画開発から制作・完成までを一貫して自社で行える体制となっている。
- スポーツコメンテーターや元スポーツ選手のマネジメントも多く行っており、武田修宏、岩本勉、大林素子、水内猛、宮下純一などが在籍している。近年は現役スポーツ選手のマネジメントにも領域を広げ、また、「ホリプロ・キャスティング・ネットワーク」としてホリプロ所属に限らず各業界著名人の出演依頼も行っている。
- 「芸能プロを一企業として社会に認知させたい」との思いから経営の健全化を進め、1989年に業界初の株式公開を果たし、1997年には東証2部上場、2002年9月には東証1部上場を果たした。
- 2004年の『新選組!』のヒロインを優香、2005年の『義経』と2009年の『坂の上の雲』のヒロインを石原さとみ、2009年の『天地人』の主演を妻夫木聡、2012年の『平清盛』の主演を松山ケンイチ、同ヒロインを深田恭子、2013年の『八重の桜』の主演を綾瀬はるかなど、近年は所属者が大河ドラマの主演・ヒロインを務める機会が多くなった。
特徴[編集]
自社企画の新人発掘イベントを幾つか主催しており、中でも「ホリプロタレントスカウトキャラバン」は女性アイドルの登竜門として有名で、多くの人気タレントを輩出している。
同社の広告・ポスター等で所属芸能人の名前を書くときは、現在は必ずと言って良いほど和田アキ子が一番上に来る(先輩であり創業時より在籍する守屋浩などが一番上に来ることもある)。
専属するタレント側が自身のマネジメントを所属事務所に委任する契約を結んでいる他の芸能事務所とは異なり、基本的には給料制であり、事務所がタレントを雇用する形態を取っている。和田アキ子でさえ長者番付(現在廃止)に載らないくらいともいわれている。浮き沈みが極めて不安定な芸能界において固定給制度のせいか、長期間同社に在籍するタレントが多く、逝去前まで四十年以上在籍した鈴木ヒロミツや三十年以上在籍した和田の他にも、長年所属しているタレントが同業他社と比較し多いのが特徴である。業界に於けるホリプロの影響力は非常に強く、給料制であることを差し引いても所属タレントには様々なメリットがあると言われている。どんぶり勘定も少なくない芸能事務所において、会計歳入歳出の管理に非常に厳格である事で知られている。なお若手女性タレントの恋愛そのものに関して寛容であり(ただし自己責任で済ます様厳しく注意されるという)、「恋人の一人も作れないほど魅力のないタレントが、皆の支持など得られるはずがない」などという方針が一部にある。
お笑い育成[編集]
1990年初頭、お笑いブームの影響とアイドルの衰退の影響があったこともあり、お笑い芸人の育成を強化するために、お笑い勉強会を開設した。事前のオーディションで合格すると、無料で週一回のホリプロの勉強会に参加できるようになる。
勉強会では、まず最初にネタ帳の提出をしなければならない。その後、ホリプロのお笑い担当の幹部にネタ見せをする。上層部のOKが出ればその中で何組かがライブへ出られる。
勉強会はお笑い養成所の中でトップクラスの厳しさを誇る。参加者に対して「帰れ!」「辞めてしまえ!」など厳しい怒声が飛ぶことは日常茶飯事で、ときにはネタ帳を破り捨てられたりすることもあったという(おぎやはぎが『ごきげんよう』で暴露)。礼儀にも厳しく、遅刻すればネタを見せられないという罰則がある。
2002年4月には、ホリプロのお笑い芸人養成学校として「目黒笑売塾」が開校された。
関連プロダクション[編集]
- ホリプロ・ブッキング・エージェンシー - 俳優中心のマネージメントを行う。
- ホリプロコム - 2003年設立。ホリプロ本体所属のお笑い芸人を、移籍したM2カンパニー所属のお笑い芸人とともに当該会社に統合する。
- 新音楽協会
- ホリエージェンシー - モデルエージェンシーとして設立。現在は通常の芸能プロとしての営業がメインとなっている。
- ホリプロ・エンターテイメントグループ(HoriPro Entertainment Group, Inc.) - 海外の音楽版権ビジネスを中心に行っている。
- ホリックス(HORIX) - 映像製作会社。劇場映画・テレビドラマの企画・製作を行っている。旧ホリ企画制作。
- ブース
- プロダクション・パオ
- Depeche(デペッシュ)資本業務提携
関連項目[編集]
- HiP
- HOP CLUB(大阪支社所属のアイドルユニット)
- NITRO(1ヵ月間の期間限定のアイドルユニット)
- Licca(リカちゃん人形生誕35周年を記念して結成されたアイドルユニット)
- ホリプロタレントスカウトキャラバン(ホリプロ主催の新人発掘オーディション、夏のお嬢さんコンテスト等も記述)
- ホリプロの人物一覧
- ホリプロの制作番組一覧
その他[編集]
- 千葉商科大学サービス創造学部の公式サポーター企業
参考文献[編集]
- 「ホリプロの法則。」
- 「ホリプロマネージャー物語。」
- 「いつだって青春ホリプロとともに三十年。」堀威夫著。