ペン入れ
ペン入れは漫画の執筆に関する用語で、鉛筆などで描かれた下書きの描線を、インクや墨汁などでなぞって引き直すこと。かつては製図に用いる用語であったが、CADによる製図が一般的になったため、現在ではこの意味では死語化している。
漫画の原稿は、先に鉛筆で下書きを作成しておき、それが終了してからペンによって本番の線を描く(鉛筆で描いた線はインクが乾いた後に消しゴムをかけて消す)のが普通である。この「ペンで線を入れる」工程が、そのままペン入れと呼ばれるようになった。
インクなどが乾くまで時間がかかるため、締め切りを迫られている漫画家にとっては辛い工程ともいえる。実際に、「サザエさん」「意地悪バアさん」などで知られる長谷川町子が生前締め切りに迫られていたとき、早くインクが乾くようコンロであぶった、という逸話がある(長谷川町子「うちあけばなし」より)。現在では、ドライヤーをかけてインクを乾かす漫画家も多い。
伝統的にペン先・ペン軸を組み合わせた普通のペン(Gペン、丸ペンなど)によって行うのが主流だが、油性のコミックペンも普及し始めている。ロットリングやミリペンを使うケースも見られる。ここでどのペン先を選ぶか、あるいはどの筆記具を使うかによって絵のタッチ(質感)が変わってくるので、その選択はプロ・アマ問わず漫画家にとって重要なものとなる。宮崎駿のようにペン入れせず、鉛筆の線のまま印刷することもある。敢えて鉛筆のかすれなどのタッチを生かすためという目的だが、場合によっては締切が迫って下書きのまま入稿する者も少なからず存在する。
Gペンはおもに、人物・動植物など生物を描く際に用いられる。筆圧の調節によって、線の太さを自在に変えられる。
タマペンやスクールペン、丸ペンは、線の細さから人物・動植物以外の物体に用いられる。
このページはウィキペディア日本語版のコンテンツ・ペン入れを利用して作成されています。変更履歴はこちらです。 |