ドルーピー
ドルーピー(Droopy Dog)は、アメリカ合衆国の映画製作会社メトロ・ゴールドウィン・メイヤー(MGM)社に所属していたアニメーター、テックス・アヴェリー作成の短編カートゥーンの著名な主人公である犬。
目次
ドルーピーと他のキャラクター[編集]
- ドルーピー(Droopy Dog)
- 常に少し眠そうな表情をした犬(バセットハウンド)。作品によって警察犬である場合と普通の犬の時がある。
- 警察犬である場合は狼を追いかける。なぜかどこへ行ってもそこにいるのが特徴。
- 普通の犬である場合は、色々な役を演じ、よくスパイクと絡むことが多い(結局ドルーピーの方が強い)。
- スパイクが仕掛けた絵に入ることができる。
- 「ドルーピー(Droopy Dog)」というキャラクター名は、正確には「チャンピオン誕生(1949年)」以降に付けられたもので、初期の作品ではその都度異なる名前であり、日本名ではむっつりワンくんかワンくんとも呼ばれていた。
- アヴェリー作品では犬らしい歩行をする時も少なくなかったが、ラーが監督する作品では常時二足歩行となる。
- ドリーピー(Drippy)
- ドルーピーの双子の弟。怪力が特徴。スパイクがドルーピーと間違え、屋敷から投げ飛ばされて追い出されることもある。
- 旧地上波版では兄。国内DVD版などの吹き替えでは弟という設定になっている。
- スパイク(Spike)
- ブルドッグ。ドルーピーと絡む事が多いが、スパイクだけが登場する(ドルーピーが出てこない)作品もある。ラーの監督作品ではブッチ(Butch)に改名される。
- 初登場は「財産を狙え(1949年)」で、アヴェリー作品の中では比較的新しいキャラクターである。後期のアヴェリー作品を代表するキャラクターのひとつでもあり、トムとジェリーに登場するブルドッグと同名である。
- よく悪巧みを思いついて悪さをするが、間抜けで、最終的にはドルーピーに上手くやられてしまい、負けてしまう(極まれに負けない時もある)。発狂して保健所に収容されるオチもある。
- オペラ歌手であったり、刑務所に収監の身となったりもする。
- 当初の作品では犬小屋に入り、通常の歩行で歩くなど犬らしさを残していたが、後の作品では風貌や図柄が変わり、常時二足歩行の擬人的なキャラクターになる。
- オオカミ
- ドルーピー作品に当初から登場するキャラクター。スパイク同様に間抜けな敵役。当初から常時二足歩行で、擬人的なキャラクターである。
- 初期の作品では牢屋から逃げ出してドルーピーに追いかけ回され抜群の機動力を発揮するも、結局再度捕まるか、上から岩を落とされて御用となるオチもある。また、西部のならず者役で美女を巡りドルーピーと対決するものもある。
- スパイク同様に単独で登場する作品もある。赤ずきんと絡む作品や都会と田舎のオオカミなどがある。
- チャンピオン誕生(1949年)以降の後期作品でもキャラクターは踏襲され、西部のならず者やメキシコの闘牛士としてドルーピーと対決したり、絡んだりする。
- 後に南部訛りのお人好しでクールなキャラクターも登場する。口笛で吹いている曲(Kingdom Coming)が代名詞で、ラーの監督作品にも登場している。
- 黒猫
- ドルーピーとは絡むことはないが、スパイクと絡む作品が2作品ある。
- 登場作品は全6作品。名前は特にない。
- 腹をすかせており、民家に忍び入って飼ってある鳥を失敬しようとするが、いつも邪魔が入る。ほか人間にいじめられたり、最後は時計の鳥と格闘してあえない結末となる可愛そうなキャラクターでもある。
- 時には正義の味方であったり、悪戯好きでもある。
作品リスト[編集]
括弧内は原題と初出年
ドルーピー作品の主要なキャラクターでもあるブルドッグのスパイクやオオカミが単独で登場する作品は、正確にはドルーピー作品の範疇に含まれないが、ここでは参考のために記すものとする。また、「腹ペコ野良猫」及び「腹話術は楽し」に登場した黒猫のみが登場する作品についても、参考のために掲載。
- 「つかまるのはごめん」「むっつりワン君のお手柄」(Dumb Hounded 、1943)
- 「アラスカの拳銃使い」( Shooting Of Dan McGoo 、1945)
- 「迷探偵ドルーピー西部の早射ち」「早うちワン君」(Wild And Wolfy 、1945)
- 「迷探偵ドルーピーの大追跡」「むっつりワン君の早業」(Northwest Hounded Police 、1946)
- 「チャンピオン誕生」 (Señor Droopy 、1949)
- 「財産をねらえ」 (Wags To Riches 、1949)
- 「いかさま狐狩り」 (Out-Foxed 、1949)
- 「スポーツの王様」 (The Chump Champ 、1950)
- 「ドルーピー君サーカスへ行く」 (Dare-devil Droopy 、1951)
- 「最優秀ボーイスカウト」 (Droopy's Good Deed 、1951)
- 「双児騒動」 (Droopy's Double Trouble 、1951)
- 「メキシコ良いとこ」 (Caballero Droopy 、1952)※この作品のみディック・ランディーが演出担当
- 「勝利はいただき」 (Three Little Pups 、1953)
- 「西部の大決闘」 (Drag-Along Droopy 、1954)
- 「西部開拓史」 (Homesteader Droopy 、1954)
- 「デキシーランド犬」 (Dixieland Droopy 、1954)
- 「呼べど叫べど」 (Deputy Droopy 、1955)
- 「お金と友情」 (Grin And Share It 、1957)
- 「いたずら教室」 (Blackboard Jumble 、1957)
- 「竜退治」 (One Droopy Knight 、1957)
- 「まぬけなオオカミ」 (Sheep Wrecked 、1958)
- 「スピード狂」 (Mutts About Racing 、1958)
- 「幸福を呼ぶ小人」 (Droopy Leprechaun 、1958)
スパイクのみ登場する作品[編集]
- 「腹ペコ野良猫」(Counterfeit Cat:1949)
- 「いたずらモグラ」(GARDEN GOPHER 1950年9月30日)
- 「腹話術は楽し」(Ventriloquist Cat:1950)
- 「ブルさんはおねむ」(Cock-a-doodle Dog:1951)
- 「へんてこなオペラ」(Magical Maestro、1952年2月9日)
- スパイクはプッチーニ(Poochini)の名前で登場。
- 「冬眠中はお静かに」(Rock-a-Bye Bear:1952)
- 「逃げてはみたけど」(Cellebound、1955年11月25日)
オオカミのみ登場する作品[編集]
- 「おかしな赤頭巾」 (Red Hot Riding Hood:1943)
- 「狼とシンデレラ」 (Swing Shift Cinderella:1945)
- 「田舎狼と都会狼」(Little Rural Riding Hood、1949年9月17日)
- 「何でもウメェー」(Billy Boy、1954年5月8日)
黒猫のみ登場する作品[編集]
- 「太りっこ競争」(King Size Canary、1947年12月6日)
- 「月へ行った猫」(The Cat That Hated People、1948年11月20日)
- 「呪いの黒猫」(Bad Luck Blackie、1949年1月22日)
- 「恐怖よさらば」(The Cuckoo Clock、1950年6月10日)
その他の作品[編集]
以下の作品はドルーピーがメインの作品ではないがドルーピーが登場する作品
- 「トムとジェリー大行進」 (The Tom and Jerry Comedy Show、1980年)
- 「ロジャー・ラビット」 (Who Framed Roger Rabbit、1988年)
- 「トムとジェリーキッズ」 (Tom and Jerry Kids Show、1990年)
- 「トムとジェリーの大冒険」 (Tom and Jerry: The Movie、1993年)
- 「トムとジェリー魔法の指輪」 (Tom and Jerry: The Magic Ring、2001年)
- 「トムとジェリー テイルズ」 (Tom and Jerry Tales、2006年~)
定番のギャグ[編集]
- 「(木が)倒れるぞ~!」
- スパイクが大木や柱を切り倒し、敵役を下敷きにしようとするが、逆に自分のところへ落ちてきて下敷きとなり、顔が木を貫通して出てしまう。「倒れるぞ~!」と最後まで言えず、「倒れ…」と言った所で木の下敷きになり「…たぞ〜!」と続ける場合もある。また原語でそのまま「Look out!(気をつけろ!)」と叫ぶものもある。これはディック・ランディー監督のクマのバーニーでもみられる。
- 「道路を横断…」
- 「ダイナマイト」
- スパイクなどが敵役を倒すことを目的に使用。食品の形に加工したり、袋の中に入れたりして用いるが、なぜがすぐには破裂せず敵役をやっつけることができないため、不審に思って顔を近づけたところで爆発し、逆にやられてしまう。ディック・ランディーによるクマのバーニー作品でもみられる。
- 「絵のはずが…」
- スパイクなどがドルーピーを出し抜き、もしくは暗殺するために使用。レース等の際に行き止まりの壁面に道やトンネルの絵を描いたり、テニスコートを一面青く塗り替えてプールに偽装したりするが、ドルーピーはなぜか平気で通過したり泳いだりしてみせる。驚愕したスパイクがそれなら自分もと挑戦してみるとうまくいかず激突してぺしゃんこあるいは陶器のように粉々に砕けてしまう。
日本でのTV放映[編集]
TBS系で放送された「トムとジェリー」の短編に挟まれる形で放映されることが多かった。(詳細は「トムとジェリー」の項を参照のこと)
2007年現在、カートゥーンネットワークで放送中のCartoon Classicsの中で放映されることがある。
声の出演[編集]
現在発売中のDVDなどの声の出演[編集]
なお、ドルーピー役の中尾隆聖は、弟のドリーピーの吹き替えも担当している他「トムとジェリー」の新作でドルーピーがゲスト出演際も中尾が引き続き吹き替えを担当している。
原語版[編集]
DVD[編集]
ワーナー・ホーム・ビデオから発売中の「トムとジェリー」DVDの第1から第10巻に1話ずつ収録されている。また他にも「迷探偵ドルーピーの大追跡」と「ドルーピー君サーカスへ行く」の2巻がドルーピーのみのDVDとして発売されている。いまのところテックス・アヴェリーの作品がDVD化されているのはこの作品のみである。尚、本国アメリカではドルーピー全作品を収録したDVDが発売されている。
※映画「上流社会」のDVD特典付録に、「MILLIONAIRE DROOPY」と題された、財産相続暗殺ネタの一篇が収録されている。上記リストにない原題だが、ガス爆発を狙ってスパイクが自爆する、テニスコートをプールに偽装したスパイクが転落して陶器のように割れるギャグなど「トム&ジェリー」全盛期の短編スペック、監督もテックス・アヴェリーがクレジット。「財産をねらえ」 (Wags To Riches 、1949) のシネマスコープリメイク作品である。