デルフィニア戦記
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デルフィニア戦記(デルフィニアせんき)は、茅田砂胡作の長編冒険ファンタジー小説。
物語の概要[編集]
前国王の妾の子であったために、国内の貴族の陰謀によって王位と命を狙われて城を脱出し、追っ手の者たちと単身で戦う若き国王ウォルの前に、異世界から落ちてきたという謎の少女リィが現れ、助太刀をするところから物語は始まる。
王位の奪還、隣国との争い、謎の暗殺集団(ファロット)との戦いなどを通して、ウォルとリィを中心とした多くの魅力的な人物が活躍する姿を描き出した一大英雄譚である。
主な登場人物[編集]
デルフィニア[編集]
- リィ(グリンディエタ・ラーデン)
- 非常な美貌を持つ、かがやく金髪と緑の瞳の少女。物語の当初は13歳、終了時には19歳になっていた。瞳と同じ緑の宝石をはめ込んだ銀環を常に頭に載せている。また、「相棒にもらった」という変幻自在の剣を持っている。超絶的な戦闘力を持つ剣士で、愛馬は「ロアの黒主」である大きな黒馬、グライア。後にデルフィニア王女、王妃となる。生まれてから黒い狼の義父に育てられ、自分を狼だと信じていた。そのため一般的な人間とは異なった倫理観をもっており、実際に獣を連想させるような行動をとることもある。「グリンディエタ」はボンジュイの世界で「白い太陽」の意味。恐ろしく口が悪い。様々な戦い、事件を通じてウォルとは「同盟者」として硬い絆で結ばれてゆく。最後にウォルを祝福し、「勝利の女神」として天界(自分の元いた異世界)へと帰って行った。本来の姿は少年である。
- ウォル(ウォル・グリーク・ロウ・デルフィン、ウォリー)
- 先代デルフィニア国王ドゥルーワの妾腹の息子。父親譲りの堂々たる体格と黒髪・黒い瞳を持つ。辺境スーシャの山奥でフェルナン伯爵の子息として育てられる。しかし、ドゥルーワ王が死に、直系の王子王女が次々と不慮の死(何人かはファロットによる暗殺)を遂げたことから、フェルナン伯爵の説得を受け、嫌々とデルフィニア国王として即位。田舎出らしい好ましい人柄でありながら、大陸随一の剣士であり、その政治的手腕も確かなもの。様々な戦い、事件を通じてリィとは「同盟者」として硬い絆で結ばれてゆく。その体格や性格から昼寝している牛とか駄熊とか呼ばれる。彼の膝はリィのお気に入りで、よく膝枕にされる。
- シェラ(シェラ・ファロット)
- 王妃付き女官だが、本当の性別は男。美しい銀髪と紫の瞳の持ち主。元ファロットの暗殺者。初めはリィを殺すためリィの侍女役をしていたが、最後にはリィを心から信頼し、また頼りにされる従者となる。「銀の月」といわれる。ヴァンツァーを殺すが、本当は殺したくなかったらしい。後にファロット一族の族長になるが、一言で一族を滅亡に追いやる。最後には、リィに着いてリィの元いた世界に行った。
- バルロ(ノラ・バルロ・デル・サヴォア)
- ウォルの従弟で、次期国王の最有力候補と見なされていたが、父を通して国王を見ているうちに独特の価値観を持っていたため、王冠を固辞し続けていた頑固者。ウォル同様、堂々たる体格の持ち主で、国内随一の力をもつサヴォア公爵にしてティレドン騎士団団長。非常に派手な女性関係をもっているが、その火を消すことも上手く後腐れは残さない。“狸寝入りの虎さん”とルウから言われる。
- ナシアス・ジャンペール
- ラモナ騎士団団長であり、バルロの親友でもあると同時に剣の師匠でもある。鮮やかな剣術を誇る。親友のバルロとは異なり、とある事情から女性には奥手である。穏やかな物腰で騙されがちだが、頭の回転は速い。肩にかかる金髪と薄い水色の瞳という端麗な容姿の持ち主で、ルウからは“戦うお花さん”と言われる。アランナという妹(フリーセアの男性と結婚して2児の母になっている)がいる。
- ドラ将軍(エミール・ドラ)
- 正式には伯爵の位を持つが、その実績から将軍と称されるロアの領主。ウォルの義父フェルナン伯爵の親友であり、その歴戦の経歴は前国王であるドゥルーワでさえ目線を同じくして話したと言われるほどである。デルフィニア一の頑固者で、ウォルやリィはその振る舞いからよく雷を落とされる。一人娘のシャーミアンには少々甘い様子。イヴンのことは、最初は「山賊風情の男」だと思っていたが、中盤で見直し、娘と結婚して伯爵家を継ぐことを望む。
- アヌア侯爵
- デルフィニア近衛兵団司令官。ペールゼン侯爵によるクーデターと、その後の経緯の中で一時的に大隊長だったサングに司令官の座を奪われたが、司令官としての人望は非常に厚く、その後ヘンドリック伯爵が就いたのちに再び司令官となる。
- ヘンドリック伯爵
- デルフィニアの有力貴族。槍を取らせての騎馬戦は天下一品の腕前で、内乱当時で既に齢50を越えているにもかかわらずその名声は衰えを知らない。アヌア侯爵とは親交が深く、一時的に近衛兵団の司令官も務める。
- フェルナン伯爵
- ウォルの義父。デルフィニア北部のスーシャの領主であったが、ウォルの国王就任に当たって後見人となった。その後、ペールゼンの謀略にあい、投獄。獄中での拷問が元で死亡する。ウォルが先王の遺児であることを明かしてからは、臣下としての礼節を崩さなかったが、死の間際にその胸中をウォルとリィに明かした。ドラ将軍が閉口するほどの頑固者だが、妙な愛嬌を持っていた人。かなり大柄な人物であったらしい。
- ルカナン
- 近衛兵団第一軍第二連隊大隊長。だったが、ペールゼンの内乱後は連隊長に出世した。若い頃に北の塔に勤務したことがあり、それが原因でリィとシャーミアンと共に北の塔に囚われたフェルナン伯爵の救出に参加することとなった。
- ブルクス
- ドゥルーワ先王の代からその地位にあるデルフィニアの名宰相。宰相としての手腕もさることながらリィやジルのような正体の知れない人物でも、その人格を認めて接する好人物である。めったに態度を崩さないが、リィがファロットに狙われていると聞かされたとき、腰を抜かした。
- カリン
- デルフィニア王室の女官長。ブルクスとともにドゥルーワ先王の時代から奥の間を仕切ってきた。ウォルの実母、ポーラとは友人関係にあった。かなり気丈な婦人である。料理の腕もかなりの物。
- ラティーナ・ペス(エンドーヴァー子爵夫人。後にジャンベール姓に変わる)
- ウォルの元愛妾。ウォルがスーシャにいた頃、婚約していたこともあったが、ウォルの女心の鈍さもあって破綻となる。今は二人とも“昔の事”と割り切っており、親しい友人同士でもある。後にナシアスと結婚し、彼の子どもを生む。子どもは男児で、名前はエルウィン。
- イヴン(イヴ)
- ウォルの幼なじみで、タウ山脈の自由民。後にデルフィニア国王親衛隊隊長兼、独立騎兵隊長となる。ルウに“蜂蜜色のお兄さん”と呼ばれる。スーシャのゲオルグの息子として育ってきたが、実はジルの息子である。ウォルの陰謀によりシャーミアンと婚約する。貴族の名を嫌う彼としては不本意なことでしかなかったが、スケニアの先住民族との戦いの中で人質として敵陣に赴くシャーミアンに求婚し、結婚することになる。
- ロザモンド・シリル・ベルミンスター
- ベルミンスター公爵。男装の麗人であり、女性からの人気をバルロと二分している。後にバルロの妻となり、男女の双子の母親となる。双子の名前は男の子がユーリー・ウルディス、女の子がセーラ・グウィネスという。
- シャーミアン
- ドラ伯爵家の一人娘。ロアの者らしく乗馬・剣術・弓術に優れ、いっぱしの騎士として戦場にも赴く。後にイヴンと結婚する。
- ポーラ・ダルシニ
- 下級貴族の娘。とある晩餐会に一族の代理として参加し、国王ウォルと出会ったのがきっかけで、すったもんだの末にウォルの愛妾となる。よく栗鼠や小犬に喩えられる。リィのお気に入り。本編終了間際で懐妊する。生まれた子どもは男児で、名前はフェルナン。
- キャリガン・ダルシニ
- ポーラ・ダルシニの弟で、ティレドン騎士団の騎士見習い。団長であるバルロを尊敬している。直情的な性格で、いつも何かに飛び込んでは良くも悪くも失敗する。バルロの庶子であり、後輩に当たるブレイスとは境遇が似ていることもあり、何かとよく面倒をみる。
- ルウ(ルーファス・ラヴィー、ルーファセルミィ・ラーデン)
- 本作品の途中から登場する、リィの相棒。黒髪に碧瞳で、リィの剣の師匠。「ルーファセルミィ」は「光と影」の意味。太陽とバランスをとる闇。リィの身に何か起きたときは遠く離れていても感知できる。
タウ[編集]
- ジル
- タウの自由民。べノアの村の頭目。実は、大貴族ベリンジャー家の長男ジョルダン・クレイス・ベリンジャー。ロザモンドの従兄にあたる。貴族であった過去を捨てており、それに言及されることを好まない。タンガ・パラストとの戦の後、名義上はタウの領主となる。
- イヴンを高く評価しており、後継者として考えているらしい。彼の実父でもあることが終盤で判明する。後にロムの村のアビーを妻に迎える。
- ベネッサ
- タウの自由民。ロムの村をまとめる女頭目。アビーという名の娘がいる。自分の眼鏡にかなうタウの男をアビーの婿にし、ロムの村を継がせるのが夢。
- マーカス
- タウの自由民。東峰にあるソベリンの村の頭目。60歳を過ぎているが絶大な影響力を持つ名頭目。
- パジャン
- タウの自由民。東峰にあるアデルフォの村の頭目。マーカスと同じく60歳を過ぎているが絶大な影響力を持つ。
- ブラン
- タウの自由民。ツールの村で「組頭」と呼ばれる役職についている。内乱時に、イヴンとともに国王親衛隊として国王軍に合流したメンバーの1人。イヴンよりもずいぶん年上だが、彼を尊敬し従っている。のちにツールの村の頭目となる。
タンガ[編集]
- ゾラタス(ゾラタス・ミンゲ)
- 隣国タンガの国王。峻烈な戦上手。やせている自分の国土では満足できず、金銀山があるタウを持つデルフィニアを狙う。ルウに騙され腹に穴をあけられ、リィに槍で貫かれ死亡。ルウ曰く「いい男」
- ナジェック(ナジェック・ユンク)
- ゾラタスの嫡子。リィに痛い目に合わされ、それを深く恨んでいる。勇猛な騎士だが、自己中心的な性格で、考えも足りず、度々デルフィニアに翻弄される。その気性から父であるゾラタスには大して期待されていないが、本人はそれが何故だかわかっていない。リィを辱めようとするが、リィの逆鱗に触れ首をはねられた。かなりの女好き。
- ビーパス
- ナジェックの弟。後のタンガ国王。若いが、しっかりした考えを持つ聡明な少年。が戦を嫌う故に周囲からはうつけ者扱いされていた。
パラスト[編集]
- オーロン
- 隣国パラストの国王。大狸、と喩えられる。策を弄するのがうまい。タンガと同じくデルフィニアを狙う。
- ボーシェンク公
- オーロンの弟。非常に残忍な性格で、捕虜となったウォルを拷問にかけ、処刑しようとする。デルフィニアの怒りを鎮めるために処刑される。
サンセベリア[編集]
- オルテス
- パラストの隣国サンセベリアの王子。不甲斐ない兄王にかわって国王になる。その際、ウォルに後ろ盾となってくれるよう依頼した。
- リリア
- サンセベリア王妃。王国の重鎮、ハイオン公爵家の令嬢であり、深窓の佳人。おとなしくおっとりとした性格で、夫である国王オルテスをとても信頼している。年下のリィのことを「グリンディエタ王妃さま」と呼び、他国の王妃として以上に敬意を払っている。
- ホーリー・ダルトン
- サンセベリアの騎士。オルテスの側近。傭兵あがりのためか、飄々とした性格のためか、一国の王や王妃(リィ)に対しても不遜とも言える態度で接している。ちなみに「デルフィニアの姫将軍」にも出演していた。
キルタンサス[編集]
- カルロス
- キルタンサスの総督を務める男。海賊で、一時期流れ者として暮らしていたイヴンの面倒を見たことがある。デルフィニア周辺では賞金首だったりもする。
- アンジェリカ
- キルタンサス総督の妻で女海賊。海賊時代のイヴンにモーションをかけた過去があり、当人同士の間では既に笑い話になっている。
ファロット[編集]
- レティシア(レティー、レット)
- ファロット一族一の腕利き。女性名で小柄だがれっきとした美青年。金茶の髪に飴色のくっきりした眼。本当は一族のものではなく、子供のときに拾われたらしい。リィと互角に勝負できる唯一の人物。「黒い太陽」と呼ばれる。痛みを感じる神経が麻痺しているらしく、狼に噛まれたときに「ありゃ」の一言で済ませてしまった。その病気のせいか、時々全く動けなくなる。その時に他のファロットから悪意はなくつつき回され、「殺そうとしたのと変わらない」と全員を殺した。また、重傷をおった人間を殺す(安楽死させる)など、人の命を奪う事を何とも思っていない節がある。よく麝香猫に例えられる。リィと何度も命がけの戦いを繰り広げるが、最終的にリィに殺される。が、その体はリィに取り込まれ、リィと共に異世界へと行く。
- ヴァンツァー(ヴァッツ)
- ファロット一族の腕利き。黒髪に藍色の瞳。レティシアを理解している可能性のある唯一のファロット。シェラと同じ境遇(里を失ったが自殺せずにいる)にあるも、ファロットの呪縛を解くことができずにいる。それゆえに、シェラがファロットの呪縛をとく存在であるのかどうか試すため、彼を狙っていた。ペンツェの村はずれで、シェラの手で殺され、木の下に埋められる。「新月」と呼ばれる。フリーセアのレガに所属していた際、当時、セレーザの家に嫁いできたアランナ(ナシアスの妹)やセレーザの家長と面識がある。その魂はシェラに取り込まれ、共に異世界へと向かう。
- ファロット伯爵
- スケニアの貴族にしてファロット一族の族長。銀髪に銀にも見える灰色の瞳を持つ。シェラの父親だが、暗殺者として育てるために里に赤ん坊のシェラを預けたらしい。
国名・地名[編集]
アベルドルン大陸[編集]
この作品の舞台となっている大陸で、北の大部分を大国スケニア他少数の小国が、中央を大華三国と呼ばれるタンガ、デルフィニア、パラストが、南部をサンセベリア等の多数の小国家群が支配している。そして北部と南部の間には死の海と呼ばれる海があり、大陸を分けていて、南北は中央と呼ばれる地帯でつながっている。主にタンガとパラスト等の大国が勢力拡大を狙い戦火が絶えなかったが、最終的にウォル王率いるデルフィニアが両国を制圧し(国自体は滅んでいない)中央は平和を迎えた。
死の海[編集]
アベルドルン大陸を南北に分けている内海。名前の由来は岸に近いところならばよい漁場となっているが、沖に出ると難破しやすいため。
デルフィニア王国[編集]
「大華三国」の中央に位置する大国。三国中、もっとも肥沃な土壌に恵まれ、ポリシア平原という広大な穀倉地帯を持つ(本来の領主はベリンジャー家だが、諸事情でベルミンスター公爵家が治めている)。また首都コーラルは貿易港としても有数で経済力は豊か。国全体が広い平野となっているため、「ラモナ騎士団」「ティレドン騎士団」をはじめとした強力な騎馬軍団を持つ。しかしその反面 、海上戦の経験が浅く、海軍自体も国王直属の軍しかいない。
タウ[編集]
大華三国にまたがる山丘地帯周辺を指す。各地で罪を犯した者や故郷を捨てた者が集まり、「自由民(アーザート)」と自らを呼び山中にいくつもの村を作って暮らしている。王を持たず、三国のいずれにも属さずに独自の統治形態(共和制に近い)を取っていて、全体としての団結力も強い。そのような経緯から「タウ」という言葉は地名にとどまらず、そこに住む自由民たちを指す場合もある。タンガ・パラスト両軍との戦争後、自由を守るため、表向きはデルフィニアの臣下となる(実質の関係は同盟者である)。山中には金鉱脈や銀鉱脈が点在する。
タンガ王国[編集]
「大華三国」の一つでデルフィニアの東に位置する。首都はケイファード。国土の多くが山岳地帯で農業に向いておらず、政情も不安定だったが歴代の王の中でももっとも剛毅であろうゾラタスが王位についた後は一つにまとまり、デルフィニアの肥沃な領地をもぎ取らんと狙っている。
パラスト王国[編集]
「大華三国」の一つでデルフィニアの西に位置する。首都はアヴィヨン。多くの属国を抱え、交易も盛んであるため経済的には安定しているが、国王オーロンは満足せず、デルフィニアの弱体化を図り、戦の機をうかがっている。
スケニア王国[編集]
大陸の最北に位置し、寒気が厳しい。蛮風の国だといわれているが、中央ではあまり知られていない。金剛石が主に産出されるが、南国で採れる真珠や紅玉などに比べると価値は低い。中央のような華やかな暮らしをする者たちと、部族ごとにまとまって戦闘員などの仕事で暮らしている者たちの2種類がいるらしい。首都に住む上流階級の人間は金にあかせてペンタスから様々な最高級品の物品を買い求めたりするなど、その羽振りの良すぎる財力は謎に包まれている。イヴンの育ての親であるゲオルグは部族側の出身。首都はラグラン。
サンセベリア王国[編集]
パラストの隣にあり、表面上は独立国家であるが実際にはパラストの属国扱い。首都はヨーク。
ペンタス[編集]
デルフィニアとパラストの国境であるテバ河の、河口付近にある島。金細工などの交易で発展してきた小国。元は大陸を支配していたことを誇りにしている。船で出入りする門は2箇所あり、内部には歌姫や舞姫を頂点とする公営の遊郭も存在する。
キルタンサス[編集]
交易品などの積荷を載せた船を襲っては資金にしていた海賊集団が、寄り集まって群島域に興った島国。前身が海賊なだけに上層部などには指名手配されている者が少なからずいる。また、船の扱いもずば抜けてうまい。普段はものすごく口が悪い者が多いのも特徴。イヴンが一時期所属していた海賊団のリーダーが総督を務める。
ランタナ[編集]
フリーセア[編集]
クラン[編集]
トルーディア[編集]
マランタ[編集]
組織[編集]
ファロット一族[編集]
金をもらい殺人を請け負う暗殺集団。ファロットとは「死神」の意味でもある。国としてまとまっているわけではなく、世界各地に主に実行部隊が拠点とする「里」が存在し、全体を掌握する司令塔としてスケニアにファロット伯爵家がある。「里」の者は一部を除いて自分たち以外の存在も、また自分たちが「ファロット」の一員であることも知らされていない。
魔法街[編集]
デルフィニア国内にある呪術師・占い師達が寄り集まって出来た街。表と裏があり、表には貴族達が頼りにするような(裏の者に言わせれば「半端な実力を持つ」)呪術師達が住んでいるが、裏には「本物の魔法街」と呼ばれるように、とてつもない能力を秘めた者たちがひっそりと暮らしており、骸骨の案内人がいる。裏の魔法街への入り口はめったに現れないが、リィはその一角に住む老婆の下への自由な出入りを許されている。
リィの世界にある神話[編集]
むかし昔。今世界を掌握しているラー一族(ラーデンガー)がまだ、古い神とこの世界の支配権を奪い合っていたころ。 戦いの末、古い神を倒したラーは、敵の総大将である王と王子と姫以外を殺してしまった。 王は闇と呼ばれており、漆黒の髪に紺碧の眼だった。王子と姫は、それぞれ太陽と月と呼ばれていた。 太陽は黄金の髪に翠緑の眼。月は銀の髪に紫水晶の眼。 本来第一に殺すべきであるこの3柱を生かしたのには理由があった。 闇の神だけが唯一、命を産む…つまり世界を作れる神で、そのためには太陽と月が必要だったからだ。 ラーは、命の保証はするから世界を作ってくれ、と言った。 王子と姫を助けるなら、と王は納得した。 しかし、ラーは王を騙した。 愛し合う王子と姫をむごたらしく殺したのだ。 王は怒り狂い、自分の体を自ら爆発させ、「我は死ぬ。我は滅びる。だが、いずれ必ず蘇り、お前たちを残らず滅ぼす」といいながら死んでいった。ラーは今でも王たちの復活を恐れて生きている。王が爆発したときの余波でラーの大半が消滅したからだ。 王の爆発した亡骸が、その歪んだ怒りが、この不完全な世界となった。
作品リスト[編集]
- デルフィニアの姫将軍(大陸書房)
- グランディスの白騎士(大陸書房)
- デルフィニア戦記 全18巻(C★NOVELS)
- 放浪の戦士
- 黄金の戦女神
- 白亜宮の陰影
- 空漠の玉座
- 異郷の煌姫
- 獅子の胎動
- コーラルの嵐
- 風塵の群雄
- 動乱の序章
- 憂愁の妃将軍
- 妖雲の舞曲
- ファロットの誘惑
- 闘神達の祝宴
- 紅の喪章
- 勝利への誘い
- 伝説の終焉
- 遥かなる星(トキ)の流れに 上
- 遥かなる星(トキ)の流れに 下
- 外伝「ポーラの休日」(「デルフィニア戦記画集」に収録)
- 外伝「大鷲の誓い」(2006年3月25日、C★NOVELS)
- 外伝「がんばれ、ブレイスくん!」(「C★N25」に収録)
- 王女グリンダ(C★NOVELS、上記『デルフィニアの姫将軍』、『グランディスの白騎士』を合本、再刊したもの)
- デルフィニア戦記(中公文庫、上記C★NOVELS版『デルフィニア戦記』を文庫化したもの)
- デルフィニア戦記 第I部 放浪の戦士 全4巻
- デルフィニア戦記 第II部 異郷の煌姫 全3巻
- デルフィニア戦記 第III部 動乱の序章 全5巻
- デルフィニア戦記 第IV部 伝説の終焉 全6巻
デルフィニア戦記の登場人物の一部は、暁の天使たちへと継承されている。暁の天使たちに登場する他の人物をより深く理解するためには、スカーレット・ウィザードを読むことが推奨される。
大陸書房版とC★NOVELS版の関係[編集]
処女作『デルフィニアの姫将軍』と『グランディスの白騎士』は大陸書房から出版されたが、出版社の倒産により未完のまま打ち切られた。後に中央公論社のC★NOVELSで再開されるにあたり、時をさかのぼって新たに書き始められたが、大陸書房版のストーリーとの食い違いが発生している。
作者は大陸書房版は過去の作品であると主張し、再販はしないと宣言していたが、既に絶版で入手困難となっており、それでも読みたいという読者の要望にこたえる形で『王女グリンダ』としてC★NOVELSから再販された。
- 『王女グリンダ』と『デルフィニア戦記』との主な違い
- 『王女グリンダ』(以下『王女』)は『デルフィニア戦記』(以下『戦記』)の4巻までのストーリーは物語が開始する前の出来事となっている。その為、過去から書き始めた『戦記』は『王女』に該当する5巻以降の話がそれと変わっている。
- 『王女』の主役がリィではなくシェラ。
- ファロットの設定が違う。
- 一部の登場人物の基礎設定が異なっている。
- ウォルの性格が違う。
- リィの王女としての振る舞いが違う。比較して『戦記』よりも怪我をしやすい。
- リィが正式に軍人をやっている。