ういんど 第3号
ういんど 第3号は、戸塚ヨットスクールを支援する会の機関紙「ういんど」の第3号を読みやすく編集したページである。1990年9月1日発行。
本部合宿所、改築完了[編集]
再生への足場強固に[編集]
戸塚ヨットスクールの本部合宿所(愛知県知多郡美浜町)の改築工事が完了しました。この工事は、帝国警備保障㈱のご支援により、天井や床から、内外装に至るまで文字通りの全面改築を施したもので、約半年間ぶりに完成したものです(施工・小野寺工務店)。また、この間に、ヨットやウィンドサーフィンなどの設備も拡充が進み、世界最大級のヨットスクールとして再生することができました。これで、
- 情緒障害教育と文明病克服のノウハウ
- 質・量ともに充実した設備
- 世間の無理解
という三拍子 (?) が揃ったことになります。
新装した合宿所では、従来通りに生徒を受け入れ、ヨット訓練も続けています。しかし、「体罰はもちろん、理由の如何によらず、訓練生に対する強制はダメ」という制約があるため、以前のような、短期・集中の訓練を行えずにいます。
この点について、村上コーチは「現在、合宿所は、戸塚校長と常駐のコーチ3名だけで運営されていますので、預かれる生徒数はせいぜい5,6人です。しかも、外出自由で、小遣いも制限付きながら渡しますから、訓練がイヤになればすぐに逃げ出せてしまいます。実際、5月の時点で生徒は6名だったのですが、6月に3名が脱走、一拳に半分になってしまいました。そのうち1人は戻ってきましたが、その後も逃げたり戻ったりを繰り返しています。一時的にでも拘束できれば、壁を越えさせてやることができるのですが、……。
こういう状態では、立ち直るまでの時間が長くなり、その分、本人にも父兄にも余計な負担がかかってしまいます。結局、関係のない世間を納得させるために、当事者が大変な苦労を強いられているわけで、残念でなりません」と言っています。
次々と目覚ましい成果[編集]
このような制約の中で行われている合宿訓練ですが、次のような目覚ましい成果が確認されています。
- A〔17才、男〕――89年12月入校
- 入校時に、神経症、肥満、脂肪肝などがあった。当初118㎏だった体重が78㎏に減少。「幻覚」などの神経症的行動も皆無となり、本来の積極性が出てきた。
- B〔28才、男〕――89年12月入校
- 家庭内暴力、肥満で入校。体重は85㎏から67㎏に減少した。表情が引き締まり、目に光が出てきた。時々逃げ出すが、逃げ方に工夫が見られず、まだ本物でない。
- C〔22才、男〕――90年5月入校
- 精神分裂症と言われていたが、訓練開始後数週間でほぼ正常に。6月に、本人が就職したいと言い出す。スクール側は「訓練から逃げ出すための口実でしかない」旨を父兄に説得したが、受け入れられず就職。入校前の状態を考えると、就職できたこと自体は驚くべき成果と言えるが、当然、仕事は1週間と続かず、7月に再入校。
問い合わせ電話続く[編集]
合宿所の訓練内容については、今でも誤解が多いようですが、あくまでも洋上でのヨット訓練やボードセーリングが主体です。即ち、朝食前の体力トレーニングとヨーガ、午前と午後に、各2時間程度の海上トレーニング――これだけです。体を動かし、生活のリズムを作るなかで、心身の健康が回復してくるのです。
「スクールはつぷれた」という一部のデマにも関わらず、入校に関する問い合わせは相変わらず続いています。特に、社会的事件の直後や学期の変わり目に、電話が急増する傾向があるようです。しかし、「強制的手段を一切禁止されていますので、非行タイプは預かれません。また、少人数・長期間という条件のため、保証金の額も高くなるなど、よほどの決意が必要なのが現実です」(村上コーチ)
――カビの生えた教条にしがみつく人々を後に、現実がずっと先に進んでしまった東欧社会のように、戸塚ヨットスクール問題の原点である情緒障害問題に対する「答え」はとっくに出ています。
ボードトレーニング、各地で展開[編集]
戸塚ヨットスクールでは、文明病の克服を目的とした「ボードトレーニング」を、東京、名古屋、京都、北九州の各地で行っています。
このトレーニングは、社会人の健康増進を目的として開発されたもので、ヨット訓練と同様な緊張感を、プールや海岸の浅瀬、湖などに浮かべたボートで体験できるようにしたものです。週に1度、正味20分程度のトレーニングを行うだけで、充分な健康管理を行うことができます。すでに、2年以上この訓練を続けている北九州地区では、パーキンソン、ボケ、膠原病などの症状消失が確認されているほか、東京地区でも、鼻づまり症状が消えた例があります(後文参照)。アトピー性皮膚炎、ぜんそく、自律神経失調、リウマチといった文明病も、トレーニングによる機能強化で克服されるはずです。
尚、ウィンドサーフィンの練習も行いますので、運動不足解消と心身のリフレッシュとして最適です。
参加、見学の申込は“支援する会”まで。
正見正語[編集]
20年ぶりの匂いの世界[編集]
S.A(23才、OL)
私は、平成元年6月から東京地区の脳幹トレーニングに参加し、約1年になります。
1年前、私は精神的にも、肉体的にも最悪で、外界がすべて灰色に染まっていました。生まれた時から20年間ずっと患っていた蓄膿症のため、いつも顔面がうっとうしく、毎日が憂鬱だったのです。また、小さい頃は自家中毒があり、末っ子で甘やかされたため、対人恐怖で社会にうまく適応できず、本当に人生を諦めていました。
そんな時、『文芸春秋』の戸塚校長と石原慎太郎氏の対談や、「戸塚ヨットスクールでは本当に難病が直る」という話を信頼している人から知りました。それで、勇気を出して、とにかく身も心も鍛えられたい、頭の中を真っ白にしたい、と思って入校しました。
半信半疑でイライラ[編集]
ところが、いざ入ってみると厳しい訓練は全くありませんでした。ボードトレーニングというのがあって、海の上に浮かべたプラスチック板みたいなものに数分間乗るだけなのです。ウィンドサーフィンの練習も、ほんの少しです。このトレーニングを月2回のペースで半年間ほどやりましたが、自分の体に何の変化もありませんでした。そのため、こんなことで本当に良くなるものだろうかと、半信半疑でイライラしていました。
しかし、今年になってから週1回のトレーニングを欠かさず参加するようにしたところ、少しづつ変化が出て来ました。私の蓄膿症は、今まで2回手術を受けても治らず、いつも鼻づまりで気が滅入る状態だったのですが、少しづつ「通り」が良くなってきたのです。そして、2月のある日、スパゲッティを食べていたら、突然“匂い”がしたのです。幼稚園の頃から全く無縁だった匂いの世界です。20年ぶりの体験でした。
その後、訓練を続けて休んで元に戻ってしまったこともあり、自分が本当に「人並みの健康状態になった」と思えるようになったのは、つい最近です。かつてのうつ病的落ち込みが全くなくなり、悩み事があっても“何とかなるさ”と思えるようになりました。これは、毎日が憂鬱で重苦しい忍耐の日々だった私にとって、本当にありがたいことでした。今は、自分の中に少し希望が湧き、夢が持てるようになりました。また、思ったことはどんどん実行していこうという積極性も出てきました。前向きになってきたのです。
生きることが楽しい[編集]
こうした変化はパッと出たものではありません。1年経った今、トレーニングを始める前の自分と今を比べてみると、気がつかないうちに丈夫になっていたという感じです。
このトレーニングは決して奇蹟的なものでなく、むしろとても原始的なもの、現代人に欠けているもの、人間が必要としているもの、そういうものを教えてくれるトレーニングだと思います。
だから自分が分かってくるし、無理もしなくなって、水が流れるように自分も自然の一部なんだと分かってきて、ムダな欲望もなくなってくるように思います。何が1番大事なのか、自分の身体で分かってくる気がします(もっとも、野心は時々出て来ますので、欲望がなくなるというのはウソかもしれません)。
ただ、とにかく言えるのは、「生きていることが楽しくなってきた」ということです。きれいなものはきれい、と思えるようになってきました。また、もっともっと他の人と仲良くなれるようになりたいと思います。人を怖がらないで、むしろ何かをしてあげられるようになっていきたいと思います。
ウィンドサーフィンの楽しさも分かって来ました。上達するには、やはり練習しかありません。それに、自分はまだ弱虫なので、もっともっと頑張っていこうと思っています。
あれから6年[編集]
コーチ 加藤 忠志
愛知県警から保釈された日、京都までついてきたマスコミをうまくまいたものの、貝塚の自宅に帰れば「また家の前で記者の出迎えか」と思うと帰る気になれず、貝塚を通り越し和歌山にある妻の実家へ向かった。
――あれから6年も過ぎたのか!裁判に行くと昨日のように思える。
貝塚の家に帰ってみると、やはり家は大変だった。すぐに仕事を探すが、良いと思った会社は、最後で“トツカ・ヨット・スクール”が邪魔をする。ある記者は「そのことで逆に興味を持って受け入れる会社もあるのでは」と言っていたが……。結局、6社ほど行ったがダメ。仕事を選ぶ余裕がなくなり、地元の小さい鉄工所に入社した。1週おきに夜勤があり、12時間勤務。それでも、金になると思えば入社時は大変な喜びだった。始まった仕事はきつく、裁判の事を思うと毎日が憂鬱だった。
模型ヨットで郵政大巨賞[編集]
かねてからの模型ヨット競技にまた熱を入れて気晴らしをする毎日。仕事は輸出向け中間加工品の製造だったが、円高で仕事量は半分以下となり、87年末のボーナスはついに出ずじまい。その後、仕事時間は6時間半に短縮され、給料も満足に出ないようになり、88年1月でついにやめ、趣味を生かせればと模型ヨットの製造販売を始めた。
88年9月に行われた国際マーブル・ヘッドクラスでは、2年連続9回目の優勝を果たし、郵政大臣賞を手にすることができた。この結果には大変満足しているが、模型ヨットの世界は日本ではまだまだ狭く、仕事量も少ない。これからも大変だと思うが、日本模型ヨット協会発展のためにも頑張らねばと思っている。
公正な裁判を[編集]
裁判を受けながらいつも思うことだが、警察・検察は、ヨットスクールの悪いことのみを集めるために手段を選ばず、ある面では違法と思われる取調べをし、想像もできない多数の人間を使って調書を作り上げた。それを金額にすればいくらになるのだろうか。悪口を言うことは誰でも簡単にできる。しかし、人の良いことを見つけ出すことは非常に難しい。それを少数の弁護団で、短時間で行わなければならない。これで裁判が成り立つのが不思議だ。
戸塚ヨットスクールの事件は、どれも人によって、白とも黒とも見える。警察、検察の調べにおいても、部分的にせよ白とする調べもあったはず。それが検察から全く出ないということは、どういうことだろう。そうした裁判そのものに不信感を持つのは私だけだろうか。国は弁護団に対しても、警察、検察に支払った金額と時間を与えて、初めて平等な裁判になるのではないだろうか。
司法改革への提言(冤罪を無くすために)[編集]
コーチ 東 秀一
人類の理想のはずだった共産主義も国民を犠牲にしたあげく、ついにペレストロイカ(改革)の時代です。我が日本も、弊害著しい「官主主義」にペレストロイカを迎えるべき時です。
リクルート事件の温床となった「官主利権体質」には行政改革が、教育荒廃を生んだ「官主教育」には教育改革が、それぞれ必要でしょう。そして、冤罪を生む「官主主義」の強固な牙城・司法界には、司法改革が是非とも必要です。
その具体的方法として、世界に誇る日本のハイテク技術とQCシステムを活用することを提言したいと思います。
ネジ曲げられる証言[編集]
私の場合、小川君の死亡事件で、朝の体操時に腕立て伏せをサボっているのを注意し、たったの1回、スポンジのビーチサンダルで背中を叩いたのが、彼の死に繋がったと起訴されたものがあります。
その調書では「スポンジのビーチ」が省略され、「連日サンダルで背中を数回以上、力まかせに殴りつけた」となっています。しかもそれは、当時近くで体操をしていたらしい少年院帰りの元訓練生が、事件後半年以上も経った、あのマスコミの馬鹿騒ぎの最中に取られたものです。私は本当にスポンジのサンダルで1回叩いただけなのに、検事の調書ではこうなってしまうのです。
これは、取り調べがあまりにも長く、正しい事を言っても書いてくれないのに根負けして、その上「君らの主張は裁判官が認めてくれます」といった騙しや脅しで自己崩壊した精神状態の中で、検・警のシナリオをオウム返しにしゃべらされて記録されるからです。
こうした冤罪作りの源である違法取り調べを無くすため、取り調べは必ず、弁護士立ち会いのもとでVTR録画すべきです。
欧米諸国では、検・警察が自分達のデュープロセス(公正な手続き)を証明するため、証拠にビデオ記録を行います。ところが、日本では拷問まがいの取り調べが当たり前ですから、それを隠すため、江戸時代から続く不正確な調書方式に固執します。
しかし、この拷問スタイルの調書方式では、誰でも犯人にされてしまいます。例えば、容疑者とされた場合、無実であってもアリバイを証明できない例はたくさんあります。1人で登山していた、誰もいない海を散歩していた、繁華街の雑踏を1人で歩いていた、1人で部屋にいた、などです。
それを主張すれば証拠を出せと言う。証拠など出せる訳がないし、それらの状況を述べても人により見方が違うので、検・警には無視されてしまうのです。
法廷にビデオを[編集]
さらに小川君事件の公判廷で、鑑定医の矢田教授の証言に、小川君の左大腿部のハレ内出血1~1.5㍑の証言があります。これは明らかにウソなのですが、それを誤魔化すために、円柱(腫れた足)から円錐(通常の足)を引くという計算式を証言し、あたかも真実であるかのように我々を欺きました。そして、円柱の高さや半径などを具体的に述べ、実際は50~60ccの出血量を、1~1.5㍑という致死量近くの数値にしてしまったのです。
ところがさらに驚くべきことは、その公判廷記録には、この計算式と具体的数字がすっぽり脱落して、結果の1~1.5㍑のみが記録されているのです。これは、ウラで何かが行われたとしか思えません。証言テープが残されていれば、記録されているはずです。しかも、次の公判廷で、弁護士がこの矛盾をつくと矢田教授の顔はサッと血の気が引き、「しまった」というように狼狽したのです。こうした事柄を後で検証できるようにする上でも、カメラ5~6台によるビデオ記録が必要です。
4つの権力にQCを[編集]
ところで、自由経済のQCシステムは、次のような仕組みになっていることが分かります。ちょうど軸受・ベアリングのように、中心に人や組織があり、それが目標(利益)達成のために行動することを示しています。
- ▽ 計画→実行→チェック→アクション
という4つからなるサイクルをぐるぐる回して目標が達成されます。
同じように、民主主義のシステムでも、中心に国民(個人)がいて、その外枠で、 ▽ 立法→行政→司法→マスコミ という4つの権力からなるサイクルが回っています。
ここで大切なのは、外枠と中心の間にはベアリングの玉コロに相当する「リスク」があることです。ベアリングは玉コロがあって初めて正常に動作するように、経済システムには損失・倒産というリスクが、民主主義システムには刑罰・損害というリスクがあるから、サイクルが円滑に機能するのです。
逆に、リスクがなければ人も組織も義務を忘れ、必要な行動さえしないという無茶苦茶なことになってしまいます。その無茶苦茶な状態こそ、4権力が癒着・一体化した日本の「官主主義」なのです。
冤罪を助長する第4権力・マスコミ[編集]
例えば、弱き民の味方であるマスコミの使命は、本来、政治の無策と権力の行き過ぎをチェックすることにあるはずです。ところが、日本のマスコミは、逆に三権、特に司法権力に迎合し、冤罪(=司法公務員の犯罪)の犠牲者に対して、人間として共通の痛みを感じようとしません。そのため、犯罪ニュースも単なる金儲けの手段でしかなく、虚実織り混ぜ、読者に予断と偏見を与える煽動的記事ばかりが流されるのです。この第4権力マスコミによる金儲け優先の煽動報道体質が世論を形勢し、裁判官に先入観を与え、冤罪づくりの空気を醸成するのです。
煽動マスコミには不買運動を[編集]
こうした権力におもねるバカマスコミには不買運動というリスクで実力行使します。煽動新聞は購読をやめ、白痴番組のスポンサー企業の製品は一切買わなければよいのです。これだけ文明が発展し、物と情報があふれているのですから、これらはすぐに実行できます。
また、マスコミに、「権力のチェックをしろ!」と声をあげなければなりません。
- 冤罪に関わった司法公務員をクビにする記事を載せろ!
- 彼らの顔写真を掲載せよ!
- 恩給、退職金を返却させよ!
- 犯罪報道は、検・警ご用達のニュースでなく事実だけを載せろ!
- 毎月初めに公判予定を報道せよ!
などと司法を白日の下に引き出す抗議を続けるのです。
リスクがなければ組織は滅びる[編集]
司法組織に罪はあっても、その構成員である司法公務員には罪はない――という国民を馬鹿にし、官(公務員)にのみ都合のよい思想があります。しかし、生物の体が、1つ1つの細胞の働きにより機能するように、司法組織における細胞である司法公務員1人1人にリスクがかからねば、本当のQCシステムは機能しません。ですから、冤罪も無くなりません。民主主義のQcシステムは、国民も公務貝も同等にリスクを受けて初めて機能するのだと思います。
編 集 後 記[編集]
▼かつて戸塚ヨットスクールを“狂気の暴力集団”と決めつけ、執劫に攻撃した毎日新聞に、ある企業が主催する登校拒否児のためのヨット訓練が大きく紹介されました(6月14日、「みんなの教育」)。曰く
- “海とヨット”によって青少年達の心身を育成することは、これまで大きな成果を生んでいる。
- 子供達が現状の生活環境から離れて、心理的にも、物理的にも一定の距離をおいた新しい生活をすることが前提となる。
- 自然が、ヨットが教室なんです。
といった調子で、戸塚ヨットスクールがかねて主張してきた通りのことが、随所で述べられています。一瞬、この新聞が戸塚擁護派に方針変更したのかと思ったほどです。
ところが、その戸塚ヨットスクールについては、「かつてヨットによる子育てで社会的事件があったが」と固有名詞を伏せて、曖昧に触れただけ。そして、「登校拒否を治すという考え方とは違う。本人の自己判断、自己決定などをできる力を身につけることが大切なんだ」と牽強附会に結んでいます。
木の存在は認めるわけにはいかないが、果実は欲しい――ということなのでしょう。けれど「天網恢々疎にして漏らさず」という言葉もあります。
▼連続幼女殺人事件の残虐性を考えると、犯人は当然“死刑”にすべきだという気になります。しかし、罪の意識を感じていないピンボケ人間を抹殺しておしまいにするのは、どうも納得がいきません。また、彼を死刑にしてみても、同じような人間が同じような犯罪を、また引き起こす可能性が厳としてあることは明らかです。
かと言って、あれだけ冷酷な手紙を書いている以上、「心神喪失による無罪」はありえないでしょう。それで、心神耗弱とすべきだという考えになるのですが、まだまだどこかすっきりしません。
仮に、法的には心神耗弱で処罰となったにせよ、服役段階で、彼に脳幹トレーニングによるリハビリテーションを施すべきなのではないでしょうか。なぜなら、トレーニングによって機能が正常化すれば、彼にも人間的な感情が働くようになり、「とんでもないことをした」という後悔の念が湧いてくるはずだからです。そして、彼が子供達に対し心底から懺悔し、祈りの中で刑に服すように変われば、被害者の家族にとってわずかでも救いとなることでしょう。それに、何より、彼のような人間でも、脳幹トレーニングで正常化できることが明らかになれば、同種の事件の再発を防ぐ道が開け、死んだ子供達に対するせめてもの手向けとなるはずです。
▼一人娘(当時中学生)の非行に悩む日々を父親が綴った「積木くずし」は、問題解決の具体策が示されているわけではないのに、実に300万部を越す大ベストセラーとなりました。テレビドラマや映画にもなり、俳優である著者が、教育評論家としてもてはやされたことはご承知のことと思います。
同じ頃、戸塚ヨットスクールは登校拒否や非行を直す具体的方法を提示し、数百人の更生実績を挙げていました。しかし、その先進的な訓練を、体罰→リンチ、精神的トレーニング→軍国主義、といった短絡思考でしか理解しようとしない一部マスコミに攻撃され、戸塚校長やコーチ達は3年余に渡る不当な拘置生活を余儀なくされたのでした。また、映画「スパルタの海」は、“文化人”らに上映を妨害され、いまだ未公開のままです。
7年後、22才になった「積木くずし」の主人公は、覚せい剤使用で逮捕。両親は離婚、私設の相談所とやらも雲散霧消しました。一方、戸塚ヨットスクールは、様々な困難に遭遇しながらも、歴史的成果を積み上げています。
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