岩石
岩石(がんせき)は、マグマが冷えたり、堆積物が続成作用を受けて固結したり、あるいは既存の岩石が変成作用を受けたもので、地殻とマントルを構成する主要な物質の存在様式である。われわれが目にすることができる岩石は、地殻のごく表面にあるもので、岩石は地殻の一部あるいは破片ということもできる。
一般には「石」、「岩」とほぼ同義に使われ、石は小さな岩石片であり、岩は大きな岩石塊のことを指す。また、石や岩よりも学術的な表現をしたいときは主に「岩石」が用いられる事が多い。
岩石と鉱物、鉱石
岩石と鉱物はよく「石」としてひとまとめに扱われるが、別物である。鉱物は結晶構造を持ち、化学式で表すことができる。これに対して岩石は、鉱物や岩石の破片、ガラス(結晶でないもの)、化石、生物由来の有機物などの集合体(混合物)である。学術的には、岩石は「〜岩」、鉱物は「〜石」「〜鉱」という名前をつけて区別するが、そういう分類が確立する前に名称が定着してしまった大理石・黒曜石などは、岩石であっても「〜石」の名前で呼ぶ(最近では結晶質石灰岩・黒曜岩と呼んでいる)。
岩石の種類
岩石の一覧 を参照
岩石は、その成因により以下の3種類に大別できる。
- 火成岩
- マグマが冷え固まったり、火山活動で他の岩石などと混ざって固まったもの。
- 堆積岩
- 水底や陸上に堆積したものが固結したもの(続成作用)。
- 変成岩
- いったんできた岩石が熱や圧力をうけて構成鉱物や内部構造が変化したもの(変成作用)。
この他に、岩石が熱水などにより変質作用を受けて出来た変質岩もある。
以上の岩石はさらに詳しい成因、あるいは化学組成や構造などにより、より詳細に分類される。しかし、生物や鉱物と違って、岩石の特徴は連続的に変化しているため、分類の境界は人為的なものである。しかも、分類の定義はいくつもあり、どの定義を採用するかによって、同じ岩石に別の名前がつけられることは珍しいことではない。国際地質科学連合(IUGS)による命名案がまとめられているが、完全には定着していない。
移り変わり
岩石は基本的には火成岩として生まれる。堆積岩は既存の岩石が地表で浸食、風化したものが再び固まったものである。変成岩は既存の岩石が変成作用を受けて生まれる。なお、より強い高熱にさらされ、完全に溶けた場合、冷えれば火成岩となる。このように、長い時間の間に岩石やそれを構成する物質は互いに移り変わると考えられる。
天体における岩石
地球を含む地球型惑星の外側、月や小惑星は岩石からなっている。太陽系外縁天体などは氷と岩石からできていると考えられる。
最古の岩石
地球最古の岩石は、カナダ北西部で発見された40億3000万年前のものが最古とみられてきたが、同じカナダの東部で2億5000万年さかのぼる42億8000万年前ものが発見された。地球が誕生したのは約46億年前とされるが、発見された岩石は冷えて形成されたばかりの地殻の可能性があり、地殻が形成された時期に関する学説にも影響する発見とされる[1][2][3][4]。
日本列島最古の岩石は岐阜県の飛騨山脈にある地質時代でいうとオルドビス紀(4.9億 - 4.4億年前)の地層のものとされてきたが、カンブリア紀(5.4億 - 4.9億年前)という一つ前の時代に属する約5億610万年前に形成された火成岩「日立変成岩」が茨城県日立市北部の山地で発見された[5]。
脚注
- ↑ Jonathan O'Neil, Richard W. Carlson, Don Francis, Ross K. Stevenson “Neodymium-142 Evidence for Hadean Mafic Crust”サイエンス 26 September 2008:Vol. 321. no. 5897, pp. 1828 - 1831
- ↑ ナショナルジオグラフィック日本語『地球最古の地殻を発見か』2008年9月25日
- ↑ 共同通信『世界最古、42億年前の岩石発見 カナダ東部』2008年9月25日
- ↑ 毎日新聞『岩石:43億年前の岩石、カナダで発見 地球初期の地殻か--世界最古』2008年9月25日
- ↑ 毎日新聞『日立変成岩:日本最古…カンブリア紀の地層 茨城・日立』2008年9月17日
関連項目
参考文献
- 都城秋穂・久城育夫 『岩石学II - 岩石の性質と分類』 共立出版〈共立全書〉、1975年。ISBN 4-320-00205-9。
外部リンク
- Composition of rocks - Encyclopedia of Earth
- 岩石の種類 - 海洋研究開発機構
- 岩石の分類・岩石や地層のでき方 - - 産業技術総合研究所