フィギュア
この項目では、立体造形物について説明しています。アイススケートの競技については「フィギュアスケート」をご覧ください。 |
フィギュア(figure フィギア、フィギャー)は日本においては主に、キャラクターやロボットなどの立体造形物をさす言葉。本来の意味は「人の形をしたもの」。
目次
フィギュアという呼称
元来は英語圏で、人の形を模したものを指す一般的な言葉であり、必ずしも立体をさす言葉でも無かった。また人の形を模したものを、すべてフィギュアと呼ぶかと言えばそうではなく、西欧圏では日本で言うところのフィギュアは、等身大程度のものから比較的大きいものはスタチュー(立像)、小さいもの(ヴィネットを含む)はフィギュアリン(小立像)と呼称される。ただ、スタチューであっても彫刻によってつくられた像はスカルプチュアと呼ぶなど呼称は彩色の有無、素材の違い、技法の違いなどから非常に曖昧な区別をされる。商業上の理由からメーカーによって意図的に別称される場合もある。[1]一般的には彫刻・彫塑・立像などの分類から外れたものを指すことが多い。大航海時代の帆船が船首に取り付けていた像(多くは旅の安全を願うお守りで女神や妖精などの美女であることが多い)をフィギュア・ヘッドと呼ぶなど、西欧圏で一般化した言葉である。イスラム圏では人形文化そのものがほとんど発達していない。これは宗教上の理由(偶像崇拝の禁止)による。
模型文化においては、ミリタリーモデルやエアモデルの分野の一部で付属のパイロット人形などがブーム以前からフィギュアと呼称されていた。これは輸入キットやバーリンデン・プロダクツなどの影響による。
フィギュアとガレージキット
ガレージキットとは、アマチュアもしくはセミ・プロモデラーによって作られた、大量生産が難しい技法で生産されたキットを言う。フィギュアはその製作方法により容易にガレージキットへと転化できるため、多くの場合複製品として流通することが多い。もちろん複製をしないワンオフ物も存在する。昨今日本で主流となっている食品付属玩具(食玩)などは大手メーカーの大量生産品であるため、ガレージキットというよりもプラモデルに近い。またガレージキットも製作技術の進歩、素材の改良、大手の参入などがあり、1000個単位の流通も珍しくはなくなっている。
フィギュアの製作方法(ガレージキット・ワンオフ物・原型)
技法としては多くの方法が存在する。多くの場合は複数の素材と技法を混合する傾向にある。また技法は素材とも密接に関わる。
- ポリエステルパテを使用し、おおまかな形を盛り付けてから、硬化後に細工を施す。
- 無発泡ポリウレタン(レジン)を使用し、おおまかなブロック状の成形物をつくってから、削り出す。
- 石粉粘土など乾燥により硬化する粘土を用い、おおまかな形を盛り付けてから、硬化後に細工を施す。
- 焼成粘土など加熱により硬化する粘土を用い、おおまかな形を盛り付けてから、硬化後に細工を施す。
- FRPをガラスクロスに塗り付け、形を整え、硬化後に細工を施す。
ほとんどの場合、完成したフィギュアはそのままでは長期の保存、展示には向かない。ポリエステルパテは硬化剤との化学反応が硬化後も続くため、経時劣化により収縮する。石粉粘土などは強度が不足しているため、わずかな振動で破損する可能性がある。そのため完成したフィギュアを原型とし、シリコーンゴムと無発泡ポリウレタン(レジン)を用いて複製を行ない、複製したものを完成品として仕上げることが多い。
こうしたガレージキットフィギュアは、高価で組み立て・塗装に技術と労力を要する事から、購入層がもっぱら一部のマニアに限られていたが、近年では食玩フィギュアの製造ノウハウを応用して、中国などの工場で製造・塗装された精巧で安価な完成品フィギュアが流通するようになり、模型の範疇にとどまらずキャラクター商品のひとつとして認知されており、書籍・ゲームソフト・DVDソフトなどの付録や購入特典として付属するケースも多く見られる。
分類
- メタルフィギュア
- 金属製のフィギュアで、材質はピューター、ホワイトメタルなど加工しやすい柔らかな合金が用いられる。ミニチュアゲームの駒として古くから使われ、現代ではTRPGのプレイにも用いられる。ミリタリーモデルのディオラマ用、単体のヴィネット用も多い。欧米では広く普及しており、古い歴史と膨大な種類がある。メタルキャストによる複製が容易なので、ガレージキットの黎明期にはホワイトメタル製キットが一般的であった。
- 自販機フィギュア
- 模型屋や駄菓子屋の店頭に設置された自動販売機(通称:ガシャガシャ、ガチャポンなど)で販売されるフィギュア。カプセルに封入され単体で販売される。以前は素材も消しゴムと称された単色のゴム製のものが多く(怪獣消しゴム、キン消し)、大きくディフォルメされたものが多かった。現在では彩色済みで硬質の樹脂を用いた、コレクタブルなものになっている。また販売先がコンビニエンスストアに移行しつつあるので、自販機ではなく店頭売りされることも多くなった。
- 食玩フィギュア
- 食品付き玩具(食玩)の中でキャラクターフィギュアが付属しているもの。海洋堂の食玩から始まったフィギュアブームにより、動物や家具、食器などのミニチュアや鉄道模型、あるいは戦車や戦闘機などミリタリーモデルのカテゴリーに含まれるものまでも、一括してフィギュアと呼ばれるようになるが、本来はこれらはフィギュアと呼ぶにはふさわしくない。また一部の食玩では背景や複数の登場人物を組み合わせた、ディオラマ風のものも登場しているが、これもディオラマ、もしくはヴィネットと呼ぶべきである。
- アクションフィギュア
- 腕や肩など、関節の一部を限定的に動かせるようにしたもの。日本では関節の自由度が増えると、フルアクションフィギュアと呼称することが多い。
- ソフトビニール人形
- ポリ塩化ビニルを型抜きして中空成型したパーツを組み立ててある完成品のフィギュア。軟質素材なのでソフトビニール(さらに略してソフビ)と呼ばれる。児童向けの玩具で古くから存在していたが、マルサン商店がゴジラやウルトラQの怪獣を商品化し大ヒットした事から、大々的にキャラクター物のソフトビニール人形が作られるようになる。組み合わせた部分は「間着」と呼ばれそこで可動する為、アクションフィギュア程ではないがそこそこ可動する上に、丈夫で水遊びにも使える為、児童の玩具に適している反面、成型の都合上細いパーツの再現が難しい。だが近年ではバンダイの『ウルトラ怪獣シリーズ』や『ソフビ魂』、ハピネットの『動物大百科』など、金型成型したポリ塩化ビニル素材を併用し、シャープでリアルなソフトビニール人形が多い。
- ドール
- 西欧圏(主にヨーロッパ)における愛玩用もしくは玩具としての人形がドールと呼称されている。日本では主に植毛されている・可動部分を持つ・衣装の着せ替えを行なえる、といった特徴を持つフィギュアや人形の総称として「ドール」が使用される。スーパードルフィーをはじめとする人形を(狭義の)フィギュアと区別するために使い出された語だが、リカちゃん、ジェニーなどの女児用玩具も含めた着せ替え人形をも含む言葉に変化しつつあり、固定された観念ではない。フルアクションフィギュアとは異なるが、フルアクションフィギュアをドールとして紹介している例もあり、完全に別物とは言い切れない。またガレージキットのフィギュアにも植毛されたものが存在するなど、境界は曖昧である。
フィギュアメーカー
以下はフィギュアおよびガレージキットで著名なメーカー・レーベルである。アマチュアガレージキットメーカーや個人事業主のレーベル、過去に存在したものまで含めるときりがない。また、最近は1つの作品に対して複数のメーカー・レーベルが競合することも多い。
大手プラモデルメーカー、および出版社
ガレージキット・彩色済みフィギュア販売
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イベント
- ワンダーフェスティバル(ワンフェス)
- 1984年にゼネラルプロダクツ(現ガイナックス)の主催によって始められたガレージキットの展示即売会。1992年以降は海洋堂が主催している。年に2回、2月と8月に行なわれることが多い。2006年で20周年を迎えた。
- Cultural Convention of Caracters(C3)
- C3実行委員会によって開催されている。共催としてバンプレストがイベントに関与している事もあり、同じバンダイナムコグループであるサンライズ系の作品の版権が許可されやすい。
- ワールドホビーフェスティバル(WHF)
- エスイー株式会社主催で開催されていた。神戸や名古屋など東京以外でも開催されるのが特徴。2008年5月5日のWHF有明18FINALをもって終了。9年間に77回開催された。
- ホビーコンプレックス
- アート・ストームが主催するガレージキットや玩具類の総合イベントである。2007年9月9日に神戸国際展示場で第1回が開催された。
- トレジャーフェスタ
- ガレージキット、中古玩具の即売、コスプレの複合イベントである。2009年2月22日に幕張メッセで第1回が開催された。
- クリエイターズ・カーニバル
- 浅草の文具共和会館で開催されるイベント。電動ファイトというロボット等による無差別対戦型格闘イベントが併催される。
- TATCON
- 浜松町の東京都立産業貿易センターで開催される。
有名なシリーズ
脚注・出典
関連項目
参考文献
- いわた 『かわいい女の子フィギュアを作ろう!--フルスクラッチで作成するオリジナルフィギュア』 秀和システム、2005年12月。ISBN 4798012130
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