ダビング10
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ダビング10(「ダビングテン」と統一的に呼ぶ)とは総務省の情報通信審議会で提案されたデジタル放送の私的利用に関する運用ルールに対して電子情報技術産業協会(JEITA)が定めた統一呼称であり、2007年12月20日に正式に公表された。またダビング10の機能表示や言葉の使い方はコピー9回+ムーブ1回(ダビング10)、ダビング10(コピー9回+ムーブ1回)、またはダビング10とすることが推奨されている[1]。デジタル放送推進協会から地デジ放送では2008年6月2日4時からダビング10に対応した放送が運用される予定とアナウンスされたが延期となり(後述)、改めて2008年7月4日4時から運用の見通しとなった[2][3]。
概要
旧来、放送局が放送しデジタル録画したものはムーブ(Move:移動)1回のみしかできないコピー・ワンスの運用ルールとなっている。これではムーブに失敗した場合に録画内容が失われてしまうことがある。このコピー・ワンス緩和の暫定措置[4][5]として、ダビング10の運用ルールが予定されている。
デジタルチューナーを搭載するHDDレコーダーなどハードディスクを内蔵する録画機が対象で地上デジタル放送を収録後、DVDなどに「9回のコピー」と「1回のムーブ」を可能にする運用ルールである。コピー回数の制限は「録画機内蔵のDVDやメモリーカードへのコピー」と「i.LINKなどのデジタル接続での他の機器へのコピー」に対して行われ、10回目はムーブ(Move:移動)される。なおダビング10ではコピー・ワンスの場合と異なり、HDDレコーダーからD端子、コンポジット端子、S端子などのアナログ映像出力を経由して行うコピーは回数制限なく行うことができる。ただし、デジタル接続であれアナログ接続であれコピーしたDVD等から孫コピーを作成することはできない[6]。このルールが適用されるのは、放送局がダビング10の制御信号入りの番組を放送しダビング10に対応した録画機で録画する場合のみである。
旧式のDVDレコーダーなどダビング10に対応していない録画機では機器外部への信号出力を含めてこれまでどおりコピー・ワンスの運用となるため、ハードディスク装置(HDD)に録画した番組を2枚のDVDにコピーして1枚を視聴用、もう1枚をバックアップ用と使い分けることはできない。
既に販売されているハードディスク内蔵録画機はダビング10に対応していないが、メーカや機種によってはソフトウェアのアップデートで対応する予定である。例えば、次のような製品が対応する予定である。
- ソニー - スゴ録最終モデルと第2世代以降のBDレコーダー[7]
- 松下電器産業 - 2006年秋モデル以降の「DIGA」[8]、HDD内蔵CATVデジタルSTB[9]
- シャープ - 2007年春モデル以降[10]
ダビング10の迷走 メーカーと著作権団体の対立
ダビング10のめどが立たなくなったきっかけは、著作権者への私的録音録画補償金制度をめぐる議論からである。補償金制度は著作権法に基づき、デジタルの録音・録画機器の価格に著作権料の上乗せをするものである。
2008年5月8日、文化庁の文化審議会でダビング10の実行にともない制度の対象をハードディスク内蔵型DVD録画機に拡大する案を示す。これは、著作権団体側の「回数が増える以上、適切な対価を支払うべきだ」(椎名和夫・日本芸能実演家団体協議会常任理事)との主張を受けたものである。著作権団体側にとっては補償金の対象の拡大は、補償金総額の減少に歯止めをかけるというメリットもある。これに対し、メーカー側は「補償金制度の際限ない拡大につながる」「制限が残る以上、補償金を支払う必要はない」と反発している。これはデジタル放送にこの様な制限を設けているのは日本だけで、この様な制限を設けているのは著作権者団体へのメーカー側の特別扱いである。海外よりも遥かに特別扱いされているにもかかわらず著作権者団体側がさらに過大な要求を突きつけてきたことに対しメーカー側の関係者の間では「日本の著作権者団体を特別扱いしてあげたらかえって図に乗ってきた」と反発する意見も出てきており、「いっそのこと外国と同じく一切の複製防止機能搭載をやめ、補償金額は裁判で争うべきだ」という意見によるものであるとも考えられる。要出典また補償金は価格に転嫁しにくく、自社で負担せざるを得ない。なお、ソニーは文化庁案に反発するメーカー側で唯一柔軟な姿勢を示している。これはソニーのグループ内に映画・音楽事業があり、著作権者としての立場もあるからである。
さらに放送局は総務省、著作権問題は文部科学省、メーカーは経済産業省が担当しておりこの3省内での調節が十分になされなかったことも原因の一つとなっている。
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ダビング10の動作例
出力先 | 主な保護方式 | 出力時のCCIステータス |
---|---|---|
アナログ映像(D端子など) | CGMS-A マクロヴィジョン | COG APS値継承 但し、接続機器によってはCCIが消失もしくは作動せず |
HDMI | HDCP | 視聴のみ可 視聴機器にのみ出力限定 |
DVI | HDCP | 視聴のみ可 視聴機器にのみ出力限定 |
アナログRGB | なし | なし |
光デジタル音声 | SCMS | COG |
Bluetooth(音声) | SCMS-T | COG |
アナログ音声 | なし | なし |
IEEE 1394 | DTCP | NMC(通常出力) Move-mode(コピー) |
IP | DTCP | NMC(通常出力) Move-mode(コピー) |
内蔵リムーバブルメディア | 種々 | 記録先でNMC |
- 参考資料
平成19年8月1日
デジタル・コンテンツの流通の促進等に関する検討委員会
資料2
21世紀におけるインターネット政策の在り方
<平成13年諮問第3号 第4次中間答申>
地上デジタル放送の利活用の在り方と普及に向けて行政の果たすべき役割
<平成16年諮問第8号 第4次中間答申>
〜デジタル・コンテンツの流通の促進に向けて〜(案)49ページより
参考文献
- 毎日新聞 2008年6月19日 「ダビング10 7月5日軸に調整 総務省検討委で開始合意」[1]
- 読売新聞 2008年6月11日 11頁(経済面) 「ダビング10 めど立たず ~補償金論争 埋まらぬ溝~」より(「ダビング10の迷走 メーカーと著作権団体の対立」の大部分を占める)[2]
脚注
- ↑ ダビング10(ダビングテンと呼ぶ)
- ↑ ダビング10の運用開始日時の確定について デジタル放送推進協会
- ↑ 「ダビング10」、7月導入=保証金問題切り離しで合意-情報専門委
- ↑ 「四方一両損」を目指した議論は何故、ねじれたのか(2/4)
- ↑ 「JEITAはコピーワンス緩和合意を破棄するのか」権利者団体が公開質問状
- ↑ テレビ録画界の“憲法改正”!? 「ダビング10」で録画ライフはこう変わる
- ↑ ブルーレイディスクレコーダー、DVDレコーダーの「ダビング10」への対応についてのお知らせ
- ↑ 新ルール「ダビング10」に関するお知らせ
- ↑ 松下、HDD内蔵STBを「ダビング10」対応など大幅に機能アップ
- ↑ 弊社製ブルーレイディスクレコーダー/ハイビジョンレコーダーの「ダビング10」対応について
関連項目
外部リンク
- 「ダビング10」に関するARIB技術資料改定案をDpa技術委員会で策定
- AV Watch 「ダビング10」対応状況リンク集
- 経済産業省と文部科学省による「ダビング10の早期実施に向けた環境整備」に係るJEITAの見解について(PDFファイル)
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