キー局

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日本においてキー局(キーきょく)とは、民放放送局の系列ネットワークの中心となる局のことである。日本には5つの主要局(日テレTBSフジテレビテレビ朝日テレビ東京)があるが、これらの本社は全て東京に集中しており、在京キー局とも呼ばれる。ラジオ放送ではキーステーションと言うこともある。

キー局は自ら報道番組や娯楽番組を製作し、ネットワーク系列から各ローカル局に卸売りを行っている。地方における放送局も番組製作を行っているが、キー局の割合は非常に大きく2002年度のテレビ番組総売り上げの55.7%はキー局のものである。さらに系列ネットワークはそれぞれの系列新聞社とも強く結び付いており、メディアにおける影響力が強い。このためしばしば批判されることがある。

なお、近年は、キー局子会社によるCS放送インターネット配信も発達して、直接全国に小売を行うようになり、キー局の定義はやや変遷している。

概説

地上波による放送を行う放送事業者NHK日経ラジオ社を除く)は自身の開設する放送局の放送対象地域(放送法第2条の2、第2項第2号の総務省令で定める放送の区分ごとの同一の放送番組の放送を同時に受信できることが相当と認められる一定の区域)が定められているため他の放送対象地域に放送局を開設する放送事業者とネットワークを組み、ニュースや放送番組の交換を行っている。このネットワークへ多くの放送番組を送り出す局がキー局である。

このため、東京都区部に所在し、全国向け(より正確には全国的な広範囲)に番組を送り出す放送局を、一般に「キー局」と呼ぶようになった(TOKYO MX東京都域放送独立UHF局)。

もともと、日本では放送局の歴史は名古屋などのほうが古い。しかし、番組製作にかかる莫大な資金やスポンサーの調達を一元化するため、東京にキー局を置いて番組製作・スポンサー集めを一括して行い、地方局へは「ネット保証金」を支払った上でCMも含めて放送するという形態を取るようになった。このような形態をネットワークセールス枠と呼んでおり、テレビではプライムタイムの殆どの番組がこれである。

準キー局

準キー局 も参照 近畿広域4局は、プライムタイムなどに番組供給枠を持ち、キー局に次いで番組を多く送り出している事から、準キー局とも呼ばれている。テレビ大阪は他の在阪局と異なり大阪府域局であり、自主制作番組の割合も10%程度で、全国放送する番組も少ないので準キー局として扱わないのが一般的である。また、準キー局はローカルセールス枠になると自社制作番組に差し替えることが多く(中にはネットワークセールス枠をCMのみネットして自社制作番組に差し替えることも)、自社制作以外のローカルセールス番組を独立UHF局に振り替えてネットするケースも見られる。

また、中京広域4局も大阪ほどではないものの自社制作番組を比較的多く持ち、自社制作またはキー局制作以外のローカルセールス番組を独立UHF局に振り替えてネットするケースも見られる。

キー局と準キー局を含めて、全国の主要都市に本社を置く放送局は基幹局と呼ばれている。

ローカル局

ローカル局 も参照 ローカルセールス枠は系列からネットワークからの番組を買い取り、地域独自のスポンサーによる広告をつけて放送する。ただスポンサーが見つからない(大手企業の少ない地方ほどこの可能性が高い)場合は買い取る費用も無いため、未ネットとなってしまう。

日本ではニュースの交換を目的としたニュース系列が一般のニュース番組の交換任務も担っており、キー局を通じて全国に配信している。ローカル局においても、地方独自のニュース番組を製作・報道している所もあるが総じて赤字であると言われている。

各系列のキー局及び準キー局

地上波テレビ放送
系列キー局(関東準キー局(近畿基幹局(中京備考
NNN日本テレビ放送網 (NTV) 讀賣テレビ放送 (ytv) 中京テレビ放送 (CTV) *1
JNN 東京放送 (TBS) 毎日放送 (MBS) 中部日本放送 (CBC) *2
FNNフジテレビジョン (CX) 関西テレビ放送 (KTV) 東海テレビ放送 (THK) *3
ANNテレビ朝日 (EX) 朝日放送 (ABC) 名古屋テレビ放送 (NBN)*2
TXNテレビ東京 (TX) テレビ大阪 (TVO) テレビ愛知 (TVA) *4
AMラジオ放送
JRN TBSラジオ&コミュニケーションズ (TBS R&C) 毎日放送 (MBS)
朝日放送 (ABC)
中部日本放送 (CBC) *5
NRN文化放送 (QR)
ニッポン放送 (LF)
毎日放送 (MBS)
朝日放送 (ABC)
ラジオ大阪(OBC)
東海ラジオ放送 (SF) *5
FMラジオ放送
JFNエフエム東京 (TOKYO FM) エフエム大阪 (fm osaka) エフエム愛知 (FM AICHI) *6
JFLJ-WAVEFM802ZIP-FM*7
MegaNet
エフエムインターウェーブ (InterFM) 関西インターメディア (FM COCOLO) 愛知国際放送 (RADIO-i) *8
*1 一般番組供給はNNSがある。
*2 1975年までJNNとANNの準キー局が互いに逆であった(ネットチェンジ 参照)。一般番組供給はJNNにはTBSネットワーク、ANNにはテレビ朝日ネットワークがある。
*3 一般番組供給はFNSがある。
*4 TVO・TVAは県域局。なお、TVOがプライムタイムに番組供給枠を有しているのは1番組(手紙バラエティ 三丁目のポスト)のみ。
*5 キー局が全てを取り仕切る一方通行方式である為、準キー局は厳密には存在しない。
*6 各局とも県域局。番組制作会社であるジャパンエフエムネットワーク (JFNC)はキー局に近い形態で、地方局に多数の番組を供給している。
*7 各局とも県域局。なおJFLはキー局を置いていない(事実上の幹事局はJ-WAVE)。また、ネットワークとして密なものでなく、情報交換や一部番組交換にとどまる。
*8 各局とも放送地域は、各広域圏内の外国語放送実施地域。ネットワークとして密なものでなく、情報交換や一部番組交換にとどまる。

上記の外、関東・中京・近畿の独立UHF放送13局による組織U13 (JAITS)があるが、基本的にニュースや放送番組の交換などが行われない為、ネットワーク組織として扱われていない(U13加盟局の一部が立ち上げた東名阪ネット6は将来の「6番目の系列作り」を念頭においた機構にするとしている)。

また、通常のネットワーク組織とは異なるが、教育放送番組の融通を行う機関として財団法人民間放送教育協会がある。

4大ネットワーク

上記に挙げた日本国内の民放テレビ局のキー局のうち、テレビ東京を除いて全国各地に多数のネット局を持つ日本テレビTBSフジテレビテレビ朝日の4局を『4大キー局(在京4大キー局)』、それらの系列局を合わせて『4大ネットワーク』と呼ぶ事もある。

放送番組の売り上げ順は2002年度の『日本民間放送年鑑』によるとフジ、日本テレビ、テレビ朝日、TBSの順である。

批判

  • ネットワークの代表である、キー局の番組を多数放送することで、ローカル局はその地域に密着した放送を行うことができなくなる。また、キー局にとっては配信した番組が、ローカル局において視聴率が乏しい深夜や昼間に放送されてしまう現状がある。そして、何よりキー局はその系列ネットワークの力を背景にローカル局を支配していると批判されている[1]

「放映上」のキー局

在京キー局に留まらず、在阪局や在名局、時にはそれ以外の主要地方局が制作もしくは主導で番組を放映する場合も、その制作もしくは放映主導を担当する局を「キー局」と指す場合がある。独立UHF局を中心に放映する番組の幹事局とは定義がまた異なる。

キー局の存在しない放送

これらの用語は民間放送(主に地上波)の場合にのみに用いられるものであり、一つの法人で日本全国を網羅し、放送法の規定で全国で受信できるようにすることが義務づけられているNHK、衛星放送CSの放送では用いられない。

なお、NHKではキー局という言葉は用いられないが、基幹放送局(放送センター及び7放送局)は用いられている。

脚注

  1. 吉野次郎【第7回】ネット進出より“おいしい”キー局と地方局の関係日経BP社、2006年5月15日。

関連項目

参考文献

  • 中野明 『最新放送業界の動向とカラクリがよ〜くわかる本』 秀和システム、2005年。ISBN 4798009873

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