ジョルノ・ジョバァーナ
ジョルノ・ジョバァーナ (Giorno Giovanna) は、荒木飛呂彦の漫画作品『ジョジョの奇妙な冒険』に登場する架空の人物。
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人物[編集]
1985年4月16日生まれの15歳。身長172cm。AB型。好きな音楽:ジェフ・ベック。好きな物語:「レ・ミゼラブル」。好きな食べ物:チョコレート、プリン、タコのサラダ。嫌いな食べ物:鳥肉(特に鴨の肉)。ヒーロー:幼い頃出会った名も知らぬマフィアの男
イギリス人のディオと日本人女性との間に生まれる。この時のディオは首から下がジョナサン・ジョースターの肉体を乗っ取ったものであり、結果としてジョースター家の遺伝子を受け継いでいる[1]。名前が不明のイタリア人の養父がおり、ジョルノも国籍上はイタリア人である。本名は「汐華初流乃」(しおばな はるの)だが、イタリアで生活する関係からジョルノ・ジョバァーナ (Giorno Giovanna) を名乗っている。
ジョースター家の血を引く歴代主人公と同じく、勇敢で正義感が強く、咄嗟の機転と行動力を持ち合わせる。常に冷静沈着で、仲間であっても丁寧に接し、物静かで感情的になることはほとんどない。彼が劇中で怒りを露にしたのは、無関係の老人の命を侮辱(殺害)したポルポ、自らの快楽のためだけに無差別殺戮をしたチョコラータ、そして仲間たちの命を次々と奪っていったディアボロの3人だけだが、一度怒りを見せると徹底して容赦せずに報復を貫徹するなど、父であるディオのような冷酷冷徹さを見せることもある(対ブチャラティ戦、対チョコラータ戦での台詞から)。それまでの主人公と違い、スタンド能力がサポートに適していることや、メンバー内のスタンド能力が直接攻撃型ということもあって、直接戦闘をした回数は少ない。しかし、非常に豊富な各種科学知識や鋭い洞察力で突破口を見つける、自身の傷を厭わずにチームのために奮闘するなどの活躍と、控えめな性格もあってメンバーの信頼を勝ち得ていった。歴代主人公で唯一、一度も「ジョジョ」と呼ばれたことがなく、またジョースター家の存在も知らない。
ディオの首から下がジョナサン・ジョースターの肉体だったため、ジョースターの血統の人間にみられる星型の痣が首筋にある。また、ジョルノ自身は人間であるために吸血鬼の身体的特徴は受け継がれていないが、前述の通り性格の一部や、ある年齢でスタンド能力に目覚めた途端に髪の色が黒から金になる[2]、ラッシュ時には「無駄無駄」と叫ぶ、ヒートアップすると「WRYYYYYY」という咆哮をあげるなどのディオとの共通点がいくつか見られる。
作中当初、自分の耳を自分の耳の穴に入れたり、刑務所の看守に全く気付かれないまま、看守の持ち物を抜き取り、さらに気づかれないまま返すという特技を見せたことがある。
劇中での活躍[編集]
Part5『黄金の風』[編集]
幼少のころは母親の愛をほとんど受けず、義父からは虐待を受け、さらに近所の子供達からもイジメられるなど悲惨な生活を送っていたため、心の捻じ曲がった人間になりかけていた。しかしある日偶然マフィアの男を助け、その男がジョルノに対し、一人の人間として対等に接してくれたその姿から「人を信じる」ことを初めて学び、彼の姿に生きる目的を見出して「ギャングスター」を目指すようになる。その後は不幸に見舞われることはなくなったが、親との折り合いもつかない所為もあり、作中当初はネアポリス地区のハイスクールの寮で生活し、空港などでマフィアに許可を得ずに白タクシーの運転手など行っていた(そのさい、置き引き等の犯罪行為も行っていたが、警察官には賄賂を渡していたので、犯罪や違反行為は警察から黙認されていた様子)。ハイスクールでは同年代の女生徒達からの人気が高く、かなりモテていたが、ジョルノ自身は全く相手にしなかった。
物語序盤に不可抗力とはいえ涙目のルカというチンピラを再起不能にしたことから、その報復としてギャング組織「パッショーネ」の刺客ブチャラティに襲われる。当初は殺すしかないと覚悟を決めていたが、ブチャラティの人間性を「いい人である」と判断したことから戦闘を中断し、組織を乗っとり麻薬で汚染された街を変えるという自らの夢を語り、それに共鳴したブチャラティと和解、組織に入団して彼の部下の一人となる。中盤でチームリーダーのブチャラティとともに組織のボスであるディアボロを裏切り、次々と仲間を失いながらもローマのコロッセオにてディアボロと対決し、「矢」によって自らのスタンドを進化させ打倒する。その後日、ボス亡き後の「パッショーネ」を掌握したと見受けられる場面にて第5部は幕を閉じる。
VS JOJO『恥知らずのパープルヘイズ』[編集]
ディアボロとの死闘を経てパッショーネを掌握、新たなボスとなっている。しかし「その幼さ故にいらぬ反感を買うことを警戒して素性を隠していたが、組織に裏切り者が出てボスの正体を探ろうとし、無関係の娘を巻き込んだ抗争に発展しかけたことから、もはや正体を隠す理由がなくなったと判断し、正々堂々と姿を見せることにした」という建前で、以前よりボスであったように振る舞っている。SPW財団とも手を結び、組織をさらに拡大しており、その力はイタリアの表社会ですらたやすく動かせるほど。亡きブチャラティの意思を受け継ぎ、裏社会と町の浄化を開始。その一環として、かつてブチャラティが組織を裏切った際、ただ一人チームから離脱したパンナコッタ・フーゴに麻薬チームの討伐を命じる。
原作では歴代主人公の中で唯一「ジョジョ」と一度も呼ばれなかったが、ノベライズである本作の終盤で、決意を新たに忠誠を誓ったフーゴから初めて「ジョジョ」と呼ばれた。
ゴールド・エクスペリエンス(黄金体験)[編集]
【破壊力 - C / スピード - A / 射程 - E(2m) / 持続力 - D / 精密動作性 - C / 成長性 - A】
テントウムシをモチーフにした人型の近距離パワー型のスタンドで、殴るか触れるかした物質に生命を与え、地球上に存在する動物や植物に変える能力を持つ。生み出す生命の種類はジョルノが認識・理解している限り無限(絶滅種や空想上の生物は無効)で、この能力で生まれた命は、ジョルノの意思で成長や死が自在であり、瞬時に生み出したり時間差で遅く生み出したりすることができ、命を失うと再び元の物体に戻る。また、持ち主のところへ戻っていく習性がある。元々生命を持っているものに対してこの能力を使い、生命エネルギーを与え続けることで老化を加速させ一気にその命を終わらせるという芸当も可能。ただし、生命が物理的に生育しえない環境下(劇中ではホワイトアルバムによる超低温)では物体に生命エネルギーを与えても物体は生物へと変化しない。猛毒下など、生物の進化による適応次第では生育可能な環境下なら、それに適応した状態で生まれる。劇中中盤ではこの能力を応用し、人体の部品を生成して負傷した箇所に移植、外傷の治療を行うこともできるようになる。ただし、Part4のクレイジー・ダイヤモンドのように「治す」能力ではないため、傷にはめ込むという性質上治療には痛みが伴う他、瀕死の者は治療しても助からないことがある。ただし、クレイジー・ダイヤモンドと違い自分の治療や、消滅してしまった部位も作り出せる。part5のその後を書いた小説『恥知らずのパープルヘイズ』では治療能力がさらに向上しており、満身創痍のフーゴの体を本人に全く気付かれずに治癒している。
死者を蘇生させることはできないが、ブチャラティが死亡した際にゴールド・エクスペリエンスの生命エネルギーによって、数日間、肉体が死亡した状態のまま活動することができた。ただしジョルノ自身は、この現象を認識していなかった。またアバッキオ・ナランチャには同じことは起こっておらず、再現性の確認されていない能力である。
幼少期にも無意識のうちに能力の片鱗を現したことがある[3]。 登場初期は「生み出した生物は受けた攻撃を相手に反射する」「元々生命を持っている者に過剰に生命を与えることで、相手の感覚だけを暴走させる」という設定があったが、中盤以降は全く見られなくなった。なお、上記のスタンド能力評価は、登場初期の頃に発表されたものである。
ゴールド・エクスペリエンス・レクイエム[編集]
【破壊力 - なし / スピード - なし / 射程 - なし / 持続力 - なし / 精密動作性 - なし / 成長性 - なし】
作中、最強と評される無敵のスタンド。ゴールド・エクスペリエンスが「矢」に貫かれたことによって進化した、スタンドを超えたスタンド『鎮魂歌(レクイエム)』。ゴールド・エクスペリエンス内部から脱皮するように現れた。デザインも進化前から変化しており、ゴールド・エクスペリエンスの手首から内部へ進入した「矢」の矢尻部分が額にある。進化直後に、生み出したサソリをディアボロにも視認出来ない程の速さで飛ばし攻撃する場面があり、その際攻撃をダメージは受けつつも予知によってガードすることには成功したディアボロからは「ゴールド・エクスペリエンスのパワーがアップしただけの存在」と認識されていた。
しかし実際は進化前の「生命を与える」能力に加え、「動作や意思の力をゼロにする」という究極の能力が備わっている。そのため、発動中はジョルノへの干渉は彼に届く前に無効化され、干渉前の状態に戻される。それはキング・クリムゾンが時間の消し飛んだ世界で仕掛けた攻撃や、100%の未来予知で見た「未来=絶対に起こる真実」さえも例外ではない。また、このスタンドの前に立つ者は「どんな能力を持っていようともどこへも向かうことはなく、永遠に真実に到達することは決してない[4]」とされ、この力で殴られた者は「死んだこと」さえも「ゼロ」に戻ってしまうため、「死ぬ」という真実に”さえ”到達できず、色々な場所に飛ばされては何度でも繰り返し永遠に「死」に続ける。その状態に陥るとスタンドを出す事すら出来ずに死に続けるため、永遠に死の苦しみと痛みを受け続け、死への恐怖に脅かされ続けることになる。本体であるジョルノはこの能力を自覚していないが、心に確信はある。彼曰く「終わりのないのが『終わり』 それがゴールド・E・レクイエム」[5]。
ゴールド・エクスペリエンスのときとは異なり、スタンド自体が明確な自我を持っている。
なお、スタンド評価では全ての項目が「なし」となっているが、これは能力が低いということではなく、測定不能であることを表現している。
参考[編集]
- 名前のジョルノ(Giorno)とはイタリア語で日を意味する。
- 外見のモデルはミケランジェロのダビデ像。作者の荒木はこのことについて「あれは未来から来る敵を見据えている像で、それが第5部の主人公にピッタリだった。」[6]と回答している。また、単行本62巻の表紙イラストの構図もそのイメージで描かれている[7]。
- Part6では、ジョルノの異母兄弟であるDIOの3人の息子たちが登場している。ジョルノと異なり、3人は成長過程において良い影響を与える人物に出会わず、悲惨な生活を送っていたため、悪い性格となっている。この3人は運命に導かれてエンリコ・プッチの元に集まったが、単行本において作者により「作中に現れなかっただけでジョルノも(Part6の舞台であった)フロリダのどこかには来ていたのかもしれない」と補足されている。
- ジョルノの母親が健在であることについて荒木は「承太郎がDIOを倒したから生き残ったんでしょう」と語っている[7]。