日産・キャラバン
キャラバン (CARAVAN) は、日産自動車が販売している自動車である。生産は4代目までは日産車体で、5代目からは同社子会社の日産車体九州。
本項では5代目(現行)のNV350キャラバン(エヌブイ さんごうまる キャラバン)も述べる。
目次
概要
キャブオーバー型のバン(1・4ナンバー)とコーチと呼ばれるバス(2ナンバー)、ワゴン(3・5・7ナンバー)が販売されているほか、いすゞ自動車にコモとしてOEM供給されている。
E24型までは完全な1BOX型であったが、E25型からは衝突安全基準の見直しで、クラッシャブルゾーンを設けた1.2BOX型となった。
縦置きトーションバースプリングのダブルウィッシュボーン式フロントサスペンションと、リーフスプリングのリジッド式リアサスペンションをもち、ブレーキはフロント側がディスク式、リア側がドラム式である。
海外ではURVAN(アーヴァン)という名称で販売されており、香港、タイ、シンガポール、オーストラリア、ニュージーランド向けは日本から輸出され、フィリピン、マレーシア、アフリカ諸国では現地生産されている[1][2]。
歴史
初代(E20型 1973年-1980年)
スライドドアのレールを隠すためのボディーを一周するモ-ルが特徴。
ライバルの2代目ハイエースに比べ、ホイールベースがやや長く、リアオーバーハングが短い設計で、二社のこの思想の違いは次世代以降にも引き継がれることになる[3]。
- 1973年2月
- E20型を発表。標準ボデーとロングボデーの2種類。3/6人乗りのバン、9人乗りコーチ、15人乗りマイクロバスが設定された。エンジンは1500ccのJ15型と1600ccのJ16型の2種類。
- 1976年1月
- 車名のみを変更した日産・プリンス店(スカイライン販売会社、日産プリンス沖縄ではキャラバンを販売)向けのキャラバンの姉妹車として「ホーミー」が発売。なお、ホーミーは旧プリンス時代の1965年に初代が登場している。
バンとコーチはNAPSにより昭和50年排出ガス規制適合。J16型エンジンを廃止(J15型エンジン搭載車は79年まで継続)、H20型 2000ccガソリンエンジンへ変更される。
- 1977年3月
- コーチは昭和51年排出ガス規制(E21型)に適合。
- 1978年5月
- 初のマイナーチェンジ。外観ではフロントグリルを一新、室内ではスピードメーターが扇型から角型になり、同時にインパネのデザインも変更される。SD22型 2200ccディーゼルエンジンとハイエースに対抗したハイルーフのバンを追加。同時にマイクロバスはハイルーフ化。
- 1979年4月
- バンはガソリン・ディーゼル共に昭和54年排出ガスならびに騒音規制(E21型)に適合する。J16型ガソリンエンジンがJ15と代わるかたちで復活する。同時にコーチのガソリンエンジン搭載車は昭和53年排ガス規制適合(E22型)のZ20型(105馬力のシングルキャブレター仕様)に変更される。
2代目(E23型 1980年-1986年)
キープコンセプトのデザインを採った。フロントウインドシールド、フロントドアおよびドアガラスは後にデビューする「アトラス」と共通で、ドア裾のホイールアーチの大きさのみが異なる。ホーミーとの違いは横基調のラジエーターグリルのみ。
- 1980年8月
- E23型にモデルチェンジ。搭載エンジンは乗用モデルのコーチには直列4気筒SOHC・Z20型ガソリンエンジンと直列4気筒OHV・SD22型ディーゼルエンジンの2機種、バンには直列4気筒OHV・J16型およびH20型ガソリンエンジンとSD22型ディーゼルエンジンが設定された。SD22型ディーゼルエンジンは燃料噴射ポンプをE20系時代の列型から軽量、安価な分配型に変更し、特性も旧型より多少高速化している。バングレードにおいては、前列中央席の座面を跳ね上げると運転席から直接ラゲッジスペースへと移動できるというウォークスルー機構が採用された。このE23型になってディーゼル車はオーバードライブを持った5速ミッションに改められた。グリップと対転がり抵抗に優れるラジアルタイヤがオプション設定された。バンの最上級グレードであるGLには他者に先駆けてパワーステアリングがオプション設定され、加えてハイエースより遅れたものの、フロントベンチレーテッドディスクブレーキも設定されるようになった。コーチにはニッサンマチック(AT)、電動サンルーフ、パワーステアリング、回転対座シート、派手なデカールなどの設定があり、装備の充実を図ると共にRV化が進んでいった。この代からエアコンも従来の吊り下げ式クーラーからヒーター組み込み型のマルチエアコンになる。しかし、バングレードでは先代モデル末期に標準装備化されたELR機能付き3点式シートベルトがGL仕様のみの設定となる等の改悪もなされた。
- 1981年7月
- コーチSGL特別仕様車「シルクロード」発売。
- 1981年10月
- 第24回東京モーターショーに「キャラバン フレグラント」を参考出品。「ビジネスエリートのための動く専用室」とのコピーを与えられ、キックアップしたルーフにより室内高を拡大し、セカンドシート以後をソファーへ変更する。後の「ロイヤル」や「エルグランド ロイヤルライン」に通ずるコンセプトである。
- 1982年5月
- 一部変更で運転席ドアの三角窓(元々はめ殺しで開閉しないものだった)が廃止、メーターパネルのデザイン変更、バンのディーゼルエンジンはこの時、SD23型ディーゼルエンジンへ更新された。新たに設定されたSD23エンジンは、それまでのSD22型とはほとんどが別物(正確にはSD20型のボアアップ版であり、クランクシャフトが5ベアリング化される等大幅な設計変更がされた)でハイエースのL型ディーゼルと比較すると相変わらず低回転域のトルクを重視したものであったが、時代にあった性能に進化していた。ニッサンマチック(AT)も設定されたがオーバードライブを持たない旧式な3速式であった。バン系は一部のグレードを除いてラジアルタイヤが標準装備化された。コーチはAT/MT共にフロアシフト化。セカンドシートをキャプテンシートとし、7人乗りとした「シルクロードリムジン」を追加。コーチのディーゼル車はターボが付き、LD20Tに変更。その他モデルもディーゼル車の昭和57年排出ガス規制適合。バンのガソリン車は56年排出ガス規制適合と同時に、H20からZ18S / Z20Sに変更。Z型を名乗るが、商用車用ということで排ガス規制が緩く、シングルプラグ式のヘッドと、キャブレターの組み合わせである。
- 1983年4月
- マイナーチェンジでフロントグリルの変更。コーチSGL系は角形4灯ヘッドランプおよび大型バンパーを採用し、精悍な面持ちとなった。SGLシルクロードとGLの間に角形4灯ライトの「FL」を設定。「ロング10人乗りDX」を追加。
- 1985年1月
- バンに3/6/9人乗り追加及びバン、マイクロバスの時計、メーター、ディーゼルエンジンの予熱回路を変更。合わせて快適性に優れるパワーステアリング、経済性に優れるラジアルタイヤ、安全性に優れる運転席・助手席ELR機能付き3点式シートベルト、フロントベンチレーテッドディスクブレーキの拡大採用が行われ、商品性の向上に努めた。また、バンのガソリン車はオーバードライブを持つ5速MTに改められた。
- 1985年5月
- 8人乗りに「SGLシルクロードリミテッド」を追加設定。
3代目(E24型 1986年-2001年)
- 1986年9月
- E24型にモデルチェンジ。コーチ(乗用モデル)のキャッチコピーは「ROYAL1BOX CARAVAN」。当初は「シルクロードリムジン」が最上級グレードであり、デジタルメーターが装備された。搭載エンジンは、コーチがZ20型ガソリン、及びLD20T・II型のディーゼルターボ、バンがTD23型ディーゼルエンジン、Z20型ガソリンエンジンとなった。
- 同時に荷室左側の窓を大型化したエポックメイキングなモデル、「ビックリウインドウ」がロング平床バンDXに設定された。MT、AT車共にすべてフロアシフトになった。
- 1987年2月
- バンに全高を2,400mmにアップしたスーパーハイルーフを追加。
- 1987年10月
- TD27型ディーゼルエンジン搭載のパートタイム4WD車とリヤのオーバーハングを350mmストレッチしたスーパーロング(バンと15人乗りマイクロバス)を追加。既存モデルは一部変更。シルクロードにタコメーターを標準装備した。
- 1988年10月
- コーチにVG30Eガソリン(2WD)、TD27Tディーゼルターボ(2WD・4WD)を搭載した「GTシリーズ」(ガソリン車のみ3ナンバー登録)を追加発売。キャッチコピーは「1BOX INNOVATION」。グレードは「GTリムジン」「GT」の2つのみで同社のバネット・ラルゴに設定された「クルージング系」と共に、走行性能を意識した1BOXの登場といえるものであった。これにより「シルクロードリムジン」は廃止された。商用系のディーゼルエンジン車はTD27型に統一。
- 1989年8月
- 「GTクルーズ」を追加。
- 1990年10月
- マイナーチェンジ。コーチ系は「GTリムジン」と「GTクルーズ」に搭載されていたTD27TをTD27Ti(インタークーラーターボ)に変更するとともに(コーチのTD27T搭載車は「GT」のみ存続、5ナンバーのまま)、コーチはフロントグリルの形状変更(DX除く)やテールランプの大型化(DXとGL除く)が行われ、8人乗りモデルの最上級グレードとして「リムジン」とE23型以来の7人乗りモデルであり、コーチ系の最上級グレードであるロングボディでキャプテンシートを持つ「ロイヤル」がそれぞれ設定される。この2つのグレードには当時の1BOX車としては初めて本革シートがオプション設定された。また、バンはコーチ・シルクロードと同等の外装、装備を持った「VX」を追加した。
バンのガソリンエンジンがZ20からNA20Sに、コーチのLD20Tエンジン(2WD車)はTD27型(85馬力)にそれぞれ変更された。また、NA20S車にはロックアップつきのATが新設定された。 - 1993年5月
- 一部変更でTD27Tターボディーゼル搭載の「GT」が廃止/エアコンの代替フロン化/コーチのテールゲート中央に「NISSAN」のCIマークが付く[4]。
- 1994年11月
- コーチを一部変更。装備品の見直しで値段を下げたサンルーフ付の「GTクルーズS」とサンルーフなしの「GTクルーズS Limited」を追加し、オーテックジャパンの手による特別仕様車「フウライボウ」のベース車を「GTクルーズS」へ変更。「シルクロード・プラネタルーフ」は廃止。
- 1995年8月
- コーチを一部変更。ラジエータグリルの意匠変更のほか、ディーゼルターボエンジンをTD27Ti型からTD27ETi型へ変更。コーチのガソリン車はV6のみに集約。「GTクルーズSプラネタルーフ」を追加と同時に「シルクロード」は消滅。「フウライボウ」のベース車を「GTクルーズSプラネタルーフ」へ変更。全車運転席エアバッグを標準装備した。同月、いすゞ自動車へのOEM供給を開始。当初の名称は「いすゞ・ファーゴ」だった。搭載するエンジンはTD27ETi型(LS)、およびTD27型(LDロングボディー)の2機種。キャラバンとホーミーの外観の違いはラジエータグリルが異なる程度である。
- 1996年9月
- バンのAT車に新型ディーゼルエンジンのQD32型が追加された。TD27よりも黒煙排出量が激減した。ただしターボチャージャーが付いていないのでパワフルになったわけではない。
- 1997年5月
- 乗用専用モデル「キャラバン・エルグランド」「ホーミー・エルグランド」登場(1999年7月、車名を「エルグランド」に統一)。E24型乗用モデル(コーチ)は継続生産となったが、グレードの大幅縮小(GLとDXのみ)が行われた。またバンはVXを除きフロントフェイスを一新し、コーチの初期型に近いものとなり、内側にフォグランプが追加された異形ヘッドランプとなった。MT車のディーゼルエンジンもQD32へ変更された。さらにバンのテールゲート中央にも「NISSAN」のCIマークが付いた。ガソリンエンジンはNA20のまま。このマイナーチェンジで車種記号が日産共通の18桁化された。
- 1999年6月
- マイナーチェンジに伴いホーミーをキャラバンに統合。同時に乗用モデル「コーチ」設定廃止。商用及びマイクロバスのみの展開となる。搭載エンジンは直列4気筒DOHC KA20DE型、KA24DE型および直列4気筒OHVディーゼル QD32型の3機種。「2.0 TWINCAM」、「2.4 TWINCAM」、「3.2D」のエンジンを表すデカールがテールゲート下に貼られることになった。ガソリン車のATが4ATからE-ATになった。
- バンの2WDの平床仕様はサスペンションの改良とホイールの15インチ化で積載量を1250kgに増量。
- 1999年12月
- オーテックジャパンによる圧縮天然ガス仕様車「キャラバンCNGV」を追加。
発売当初のみ、キャラバンとホーミーのバンのロングボディー標準ルーフ平床DXに左側のクオーターウィンドウを745mm×1450mmという超大型の引き違い窓とした「ビックリウィンドウ」が設定されていた。荷役の他、対面販売や宣伝用途も考慮されたこの窓は荷室側面の雨といとスライドレールの間がほとんどガラス張りという大胆なスタイルであったが、車外からの施錠・開錠と開閉に対応する鍵穴と取っ手も備わっており、実用面での抜かりも無かった。ただ、中古車市場においても、街中においても見かけることは滅多にない様であり、販売台数は極端に少なかったものと予想される。この時期の日産社内ではパイクカー計画も進行中であり、デザインを統括していた前澤義雄の下、これ以降、商用車においても、エスカルゴやAD-MAX、アトラスロコといった、日本車離れしたスタイルのクルマを積極的に投入していく。ビックリウィンドウを含む平床車のリアタイヤは、205/60/R14.5という超扁平小径ワイドタイヤで、このサイズも国内初登場であった。
4代目(E25型 2001年-2012年)
- 2001年4月26日
- E25型発表。バン(1・4・8ナンバー)およびマイクロバス(2ナンバー)のみとなり、ロングボディとスーパーロングボディを設定。クラッシャブルゾーンを確保しつつも、ロングボディは4ナンバーサイズに収められている。搭載するエンジンは全て直列4気筒DOHCのKA24DE型、KA20DE型、およびZD30DD型直噴ディーゼルの3機種。当初GXとDXのエアバッグはオプション設定だったが後に標準装備となる。
- AT車は全車コラムシフト、MT車は全車フロアシフトの設定。(コラムシフト車の設定は、先々代のE23型以来である)
- クラッシャブルゾーンを確保した関係からマイクロバスは12人乗となり、乗車定員が減少した。
- 2001年5月14日
- E25型発売。いすゞへのOEMモデルは「いすゞ・コモ」に名称変更。
- 2001年10月25日
- サッカー日本代表チームのユニフォームと同じのジャパンブルーの車体色、「Japan national team」のステッカー等を装備した限定車「サッカー日本代表モデル」を50台限定で発売。
- 2001年11月20日
- 「10人乗りコーチ」(3ナンバー)追加。搭載するエンジンはKA24DE型。オーテックジャパンの手による「ジャンボタクシー」を設定。
- 2002年1月
- オーテックジャパンの手による5ナンバーサイズの幼児通園専用車を設定。
- 2002年9月30日
- 2WDのオートマチック全車に、ZD30DDTi型直噴ディーゼルターボエンジン搭載車を追加。4WD車はオーテックジャパンの手により設定。昨今の多くの4WD車がフルタイム式を採用する中、先代同様にパートタイム式を用いている。ZD30DDTi搭載車は、エンブレムの表記が以前の「3.0Di」から、「3.0Di INTERCOOLER」に変更。
- 2002年10月
- 第36回東京モーターショー(商用車)に「キャラバンデリバリーバージョン」、および「キャラバンCNG車」を出品。
- 2003年5月20日
- マイナーチェンジ。内外装を一部変更、仕様・装備を見直した他、8人乗りコーチ(乗用モデル)のシルクロードを追加。シルクロードは8年振りの復活である。
- 2003年7月11日
- 日産車体により、子会社であるオートワークス京都が販売している「キャラバン救急車」をベースとするSARS(重症急性呼吸器症候群)患者対応救急車を京都府に寄贈。
- 2003年10月2日
- オーテックジャパンの手により、バンにCNG車(圧縮天然ガス自動車)を設定。E24型のCNG車に対し、ガスタンクを小径とし、床下に複数搭載する方法に変更している。エンジンはKA20DE型をベースとしている。
- 2004年8月20日
- 一部改良。ディーゼルエンジンをZD30DDTi型のみとして出力向上。バンGXの内外装デザインを変更し、5ドア車を追加設定。
- 2004年10月
- 第38回東京モーターショー(商用車)に「キャラバン ボックス イン ボックス」を出展。
- 2005年12月26日
- マイナーチェンジ。フロントグリル、フロントバンパー、ヘッドランプのデザインを変更し、フロント部分のデザインを一新。同時にヘッドライトレベライザーを全車に標準装備した。
- 2007年8月31日
- 一部改良。ディーゼルエンジン搭載車の新長期排ガス規制適合に加え、ガソリンエンジン搭載車のエンジンをQR型に変更、5速オートマチック車の採用(ガソリン車)が行われた。タコメーターが全車標準装備となる。
- 2007年11月
- 特別仕様車「スーパーGX」を設定。シルクロード同様の分割スライドとリクライニングを採用したセカンドシート、カプロン加工等を装備。パーソナルユーズを意識したグレードとなった。
- 2009年1月28日
- 仕様向上。特別仕様車として発売されていた「スーパーGX」をカタログモデルに昇格し、「スーパーDX」を廃止。外装面では「DX」にカラードバンパーとフルホイールカバーを、バンとコーチの「GX」にカラードフィニッシャーをそれぞれ標準装備化し、「GX」と「スーパーGX」専用ボディカラーを追加。さらに、バン全車にはハイマウントストップランプを追加すると共に、バン「DX」は助手席SRSエアバッグシステムも標準装備化された。尚、これを機にシルクロードは廃止された。
- 2009年12月22日
- 特別仕様車「DX V-Limited」を設定(2010年1月15日発売)。バン「DX」をベースに、フロントグリル・バックドアアウターハンドル・電動格納式リモコン広角ミラーなどにメッキパーツを採用し、力強いエクステリアを採用すると共に、内装にもフロント・セカンドシートにスエード調トリコット生地を採用して質感を向上すると共に、助手席パワーウィンドウ、プライバシーガラスなどを装備し、機能性を高めた。2010年3月までの期間限定販売。ボディカラーは専用色の「ミスティックブラック」を含む4色を設定した。
- 2010年8月30日
- 仕様向上。バン「DX」の2列目シート機構を見直し、2列目シート乗車時でも6尺合板の積載を可能とした他、バン「GX」・「スーパーGX」のインパネをシルバー塗装に統一するなどの変更を行った。また、バンのQR20DE型エンジン搭載車は「平成27年度燃費基準」を達成したことで、環境対応車普及促進税制に適合した。同時にオーテックジャパン扱いの福祉車両「ライフケアビークル」にはコーチをベースに電動式スライドステップや乗降用大型手すり等を装備した「アンシャンテ 送迎タイプ」を新たに設定。「チェアキャブ」は車いす固定フックの形状を変更し、使い勝手を向上した。
- 2010年12月24日
- 新たにポスト新長期規制に対応したZD30DDTi型ディーゼルエンジン車を追加。合わせて、2010年1月に発売した特別仕様車「DX V-Limited」のバージョンアップ仕様である「DX V Limited II」を発売。基本的な装備内容は「DX V-Limited」と同等だが、ボディカラーに専用色の「ディープカシス」を追加した。
5代目(E26型 2012年-)
- 2011年11月8日
- 次期モデルとなる「NV350キャラバン」を第42回東京モーターショーに出展することを発表[5]。
- 2012年6月15日
- 11年ぶりとなるフルモデルチェンジを発表し、同日より販売開始(当初はガソリン車のロングボディ・標準ルーフ仕様のみ、ディーゼル車とスーパーロングボディ・ハイルーフ仕様は7月13日販売開始)。同時に車名を「NV350キャラバン」に改名した[6]。COOの志賀俊之は「小型商用車のトップブランド」と「クラス全体のシェア40%」を目指すべく、同クラスのトップセラーであり、長年のライバルでもあるハイエースを全ての面で圧倒するよう開発陣に指示した[7]。尚、チーフデザイナーはNV200バネット(NV200)も担当した倉岡亨一である[8]。
- ディーゼル車は「クリーンディーゼル・テクノロジー」を採用した新開発のYD25DDTi型を採用。ターボチャージャーの特性を変更したことで低回転からの過給を可能にしたことで余裕のあるトルクを発生。さらに、パイパス機能付きEGRクーラーによりNOxの発生を抑えるとともに、商用車初搭載となるリーンNOxトラップ触媒により発生したNOxを浄化することで排出ガスをクリーン化、パラレルポートシリンダーヘッドの採用により燃費も向上した。ガソリン車は先代同様にQR20DE型・QR25DE型を採用するが、オルタネーター回生制御やフリクションの低減、アイドル回転数を低く抑えることなどにより燃費を向上した。これらにより、5MT車の一部を除くバン全車で「平成27年度燃費基準」を達成[9]した。
- バン「プレミアムGX」とワゴン「GX」にはキャブオーバー商用車初となるインテリジェントキーとプッシュエンジンスターターを標準装備。使い勝手と左右への移動を考慮し、パーキングブレーキはAT車は足踏み式(MT車はステッキ式)に変更した。全車においては平均燃費・渡航可能距離などの情報を確認できる車両情報ディスプレイを採用(バン「プレミアムGX」とワゴン「GX」はカラータイプ)。
- グレード体系はバンは「DX」と「プレミアムGX(5ドア・ロングボディ・標準ルーフ・5AT・5人仕様のみ設定)」、ワゴンはロングボディ・標準ルーフ仕様の「DX」とスーパーロングボディ・ハイルーフ仕様の「GX」の各2グレードずつ設定する。
- 併せて、オーテックジャパン扱いのカスタムカー「ライダー」が登場(バン・ワゴンともに設定)。専用のフロントマスクを採用した。バン「ライダー プレミアムGX」には本革巻3本スポークステアリングや防水シート地などを装備した「インテリアパッケージ」を設定。
- 今回より円高下での競争力を高めるべく(=コスト上昇を最小限に食い止めるため)、立地条件の良い日産車体九州に生産拠点を移管し、近隣諸国からの部品調達比率を全体の約40%(うち、ルノー傘下であるルノーサムスン自動車のサプライヤーが集中する韓国が約半数)、九州内のサプライヤーからの部品調達比率を全体の約50%とした[10]。また、ディーゼル車は日産が展開するエンジン進化型エコカー「PURE DRIVE(ピュアドライブ)」の8車種目(商用車では初の車種)となるため、その証として、リア右下に「PURE DRIVE」エンブレムが装着される。
- 2012年7月10日
- 先代に引き続き、「いすゞコモ」も当代をベースにモデルチェンジ。但し、インテリジェントキーやホイールカバーが設定されないなど一部装備が異なる。
- 2012年12月7日
- 既存のスーパーロングボディをベースに、迫力のあるデザインと圧倒的な広さの室内空間を兼ね備えたワイドボディを追加発売。ワイドボディでは3人乗車時で8,400Lの荷室容積を確保したバンの他に、14人乗りのマイクロバスも設定。グレード体系はバンのワイドボディは「DX」のみ(4ドア・6人乗り・5AT・低床フロア仕様のみの設定)、マイクロバスは「DX」と「GX」を設定する。いずれのタイプにも2.5Lガソリン車(バンの「DX」ワイドボディは2WD車のみ)とディーゼル車を設定する。併せて、「プレミアムGX」及び「DX」ワイドボディには専用15インチアルミホイール、電動格納式リモコンメッキドアミラー、専用防水シート地、本革巻3本スポークステアリングを装備した「クロムギアパッケージ」を設定した(2013年1月23日販売開始)。
受賞歴
- 2012年12月12日
- タイガーアイブラウン(PM)#KBE(エクステリア)×ブラック×グレー(インテリア) の組み合わせがオートカラーアウォード2013企画部門賞(OYAKATA MIND賞)を受賞。[11]
車名の由来
車名の由来は、「隊商」の意味。5代目のNVは「日産(Nissan)のバン(Van)」、350は「車両総重量3,500kgクラス」を意味する。
尚、ダッジ・キャラバン(日本名・クライスラー・ボイジャー)とは一切関係ない。
派生車種
脚注
- ↑ アフリカでの生産拠点は南アフリカ共和国。
- ↑ フィリピンでは日産モータースフィリピンズでE24型が生産されている。
- ↑ ハイエースは、標準、ロング、スーパーロングの3種類のホイールベースを設定していたのに対し、キャラバン/ホーミーは標準とロングの2種類のみで、スーパーロングはリアオーバーハングを延長することで対処していた。現在はハイエース、キャラバン共に、ロングとスーパーロングの2種となっている。
- ↑ バンは旧ロゴのまま
- ↑ 日産|モーターショー|第42回東京モーターショー2011|NV350 CARAVAN(NV350キャラバン)
- ↑ 「NV350キャラバン」を発売 - 日産自動車 ニュースリリース 2012年6月15日
- ↑ 小型商用車のシェア奪回へ、日産が“異例”の発表会東洋経済オンライン 2012年6月19日
- ↑ 「NV350キャラバン」開発者インタビュー 〜プロダクトチーフデザイナー 倉岡亨一〜日産自動車 公式サイト内 2012年6月15日(2012年6月19日 閲覧)
- ↑ 仕様により、「平成27年度燃費基準+5%」、「平成27年度燃費基準+10%」を達成
- ↑ 【日産 NV350キャラバン 新型】輸入部品を4割採用…志賀COOLivedoorHOMME(Response.)2012年6月15日
- ↑ オートカラーアウォード2013各賞決定!!
関連項目
外部リンク
- 日産:NV350キャラバン ビジネスセダン/バン Webカタログ ホーム
- WEBカタログバックナンバー キャラバン(E24・後期型)
- WEBカタログバックナンバー キャラバン(E25・前期I型)
- WEBカタログバックナンバー キャラバン(E25・前期II型)
- WEBカタログバックナンバー キャラバン(E25・中期型)
- WEBカタログバックナンバー キャラバン(E25・後期型)
- WEBカタログバックナンバー キャラバンシルクロード(E25・前期型)
- WEBカタログバックナンバー キャラバンシルクロード(E25・中期I型)
- WEBカタログバックナンバー キャラバンシルクロード(E25・中期II型)