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鳥類(ちょうるい)は、生物の分類区分の1つであり、動物-脊椎動物の下位で鳥綱 (Aves) を構成するグループである。日常語では(とり)と呼ばれる。

主な特徴として、前足がに変化しており、後足で二本足歩行をするとともに、大半の種が飛翔能力をもつ。全身が羽毛に覆われる。例外なく卵生であり、胎生や卵胎生のものは知られていない。歯がなく、くちばしをもつ。

世界で約1万種弱が確認されており、生息地は熱帯温帯寒帯極地乾燥地帯、および海洋と、ほとんどすべての地域・環境に対応したが存在する。また、ハチドリなど最小体重数gの小型種から、ダチョウなど最大150kgの大型種まで、様々な大きさの種が存在する。ほとんどの恒温動物であるが、カッコウハチドリのように体温の日周変動幅が大きいもある。現生種ではCommon PoorwillPhalaenoptilus nuttallii)以外には冬眠・夏眠する種は知られていない。また,低気温時や食料欠乏時には半休眠状態になり活動が鈍るオオハシカッコウ類のような種も存在する.

形態

典型的な鳥類は、羽毛の生えた翼によって飛び、細くて歯が無いクチバシをもつ。前足(翼)は親指以外が退化し、表面に羽毛を生じる。後肢は歩脚型。尾骨はごく短い。全身の毛はいわゆる羽毛型になり、体表面を覆う。

体の構造について、詳しくは鳥類用語を参照。については風切羽も参照。

器官の特徴

飛翔に高度に適応している。体重に占める筋肉の割合が恒温動物中一番大きい。骨は中空になっており軽くて丈夫。外呼吸は気嚢システムを用いるため、他の脊椎動物より極めてガス交換効率がよい。羽は複数の羽毛の重なりで構成され、1枚の膜で構成される他の飛行動物(コウモリ、昆虫)の羽と比較し破損に強い。

視覚紫外線域も含む4原色色覚である。このため、ヒトの目(3原色色覚かつ紫外域は感知できない)にはオスとメスの区別がほとんどできない鳥でも、紫外線の反射率がオスとメスで大きな差があることもあり、鳥自身には両者の差は明瞭にみえている可能性がある。また、鳥類は一般に昼行性が多いが、フクロウゴイサギなど夜行性または薄明活動型(夕方に活動)の鳥類も少なくない。鳥類は全て鳥目と誤解されることが多いがニワトリなどを除いて夜間も視力をもつものが多い。

地磁気の方向を感じ方位を絶えず把握している(それを利用した鳥避けがある)器官がある。尾の付け根、背中側に尾脂線がありくちばしで全身の羽に防水のためにぬる。

生態

食性

摂食食物は通常丸呑みし、破砕は砂などの硬質小粒が入った筋肉質の砂嚢で行う。これはワニ類および恐竜類と共通の特徴である。口器はクチバシであり、咀嚼には適さない。食性は様々であるが、動物食もしくは種子果実食が多い。草食は地上性の走鳥類などわずかである。これは空を飛ぶためには体重を極力低く抑える必要があるため、草食に適した長大な消化器官をもたないからである。また、飛行はエネルギー消費量が大きいために高カロリーの摂取が必要なためでもあるとされる。

動物食としては、地上の昆虫類・魚類両生類爬虫類哺乳類・鳥類から水辺の節足動物軟体動物類など、体格・形態に合わせて、様々な環境において捕食者となっている。植物食としては、種子類・果実類を対象とするものが多い。その他、ライチョウ等のを食べるもの、淡水カモ等の水草海草を食べるもの等がいる。ダチョウ類は例外的に草食である。彼らは空を飛ぶことを放棄したため、体重の制限理由がなくなり、草食に適した消化器官をもつ。

繁殖

炭酸カルシウムを主成分とする堅い殻のあるを生む。雄と雌の一対(番・つがい)のペア繁殖をし、子育てを行うことが普通であるが、以下のようなパターンも認められる。

  1. 雄と雌が一対
  2. 一羽の雄に対して、雌が複数
  3. 逆に一羽の雌に対して、雄が複数
  4. 複数の雄と複数の雌(すなわち雑婚)

また、子育てにも様々なパターンがある。

  1. 雄親と雌親が協力して育てる(大型鳥類やスズメ目に多い)
  2. 雌親のみが育てる(カモ類など)
  3. 雄親のみが育てる(タマシギなど)
  4. 親のみならず、子を持たない兄弟・姉妹が子育てに参加する。
  5. 他の鳥類の巣に生みつける(カッコウ類・→托卵

営巣

鳥類は繁殖に営巣することが普通である。鳥類は巣作りに、そのエコリージョン(生態域)で使用できる様々な巣材を利用する。

代表的な巣材は、類・海草・自分自身の羽毛・他の鳥の羽毛・動物の・小石(チドリ)・泥(ツバメ)等々である。

都市空間で生活する鳥(カラス等)では、人工物を利用することもまれではない。

なお、巣作りをしない鳥類は極めて少ない。代表的例外は、他の鳥類に託卵するカッコウ類、また自分自身の足の上で卵をかえすコウテイペンギンなどである。

さえずり

鳥類でさえずり(囀)を行う種の大半は、スズメ目の鳥である。スズメ目の中でも鳴禽類のグループに集中している。鳴禽類のさえずりは、他の鳥類グループの鳴き声よりも複雑なものが多い。また、他の鳥類グループ、例えばカッコウなどは親鳥と離れて成長しても、その種の鳴き声を発することができるのに対して、鳴禽類の鳥では親鳥と切り離されて育てられるとうまくさえずりができない鳥が多い。すなわち、鳴禽類においては、さえずりを親鳥から学習していると推定されている。 また、鳥類が複雑なさえずりが可能なのは食物の破砕を砂嚢で行うため、口器が咀嚼から解放されたことも一因であるとする説がある。

真似をする鳥

キュウカンチョウオウム類などが人の声を真似することは広く知られている。

真似をする性質は、これらの鳥種に限ったことではなく多くの鳥でみられる。カケスモズホシムクドリヒバリヌマヨシキリズグロムシクイクロツグミマネシツグミ等々。

そのなかでも、チャンピオンといえる鳥が、コトドリである。鳥の鳴き声・人の声はもちろん、車のクラクション、チェンソーの起動音、カメラの連写ドライブ音などまで真似するという。

カラスも、時折人や動物の声を真似をすることがある。

人の声や物音を真似すること自体は、上記のさえずりを学習する習性が鳥の声以外にも起きていると説明でき、特別なことではない。発声器官の構造が、たまたま人間の発音できる音素に似た音を出せるようになっている鳥であれば、人の声を真似することができる。

鳥が人の声を真似していても、彼らが言語を理解しているわけではない。もっとも、声を真似することでおきる人間の反応を楽しんでいるような態度もみられるため、彼らがまったく無知性の存在だというわけでもない。カラスオウムなどは鳥類のなかで最も知性の高い鳥とされている。なかでもカラスは雑食性による余暇時間の拡大から、本来生命活動に不必要とされる遊びをすることが知られている。

渡り

多くの種は長距離の渡りをし、いくつかの生存圏を移動しながら活動している。(キョクアジサシなど)また、ワタリアホウドリなど種によってはほとんどを海で暮らすものもある。

飛ばない鳥

鳥類は元々空を飛ぶ翼を持つ生物であるが、さまざまな理由により、飛ぶ能力を放棄した鳥も少なくない。飛ぶことをやめ地上生活に特化したダチョウ類・キーウィ他と、飛ぶことをやめ海洋生活に特化したペンギン類等などがいる。飛ばなくなった鳥類は、ニュージーランドや孤島など、地上性の哺乳類のいなかった環境で進化したものに多い。捕食者の不在に加えて、競合する草食獣などが存在しなかったため、地上動物のニッチに収まることのできた鳥たちである。

しかし、ヒトが島に侵入した後、ヒトが持ち込んだ家畜、あるいはヒトの移動にまぎれて進入したヘビなどの帰化動物、そしてヒトそのものが彼等の脅威となっている。捕食者への対抗手段を持たない飛ばない鳥は攻撃を受けやすく、絶滅の危険がある種も多い。日本ヤンバルクイナはヒトがハブ退治のために持ち込んだマングースによって絶滅の危機に瀕している。すでに絶滅した飛ばない鳥類にはドードーオオウミガラスニュージーランドモアなどがある。

一方、家禽化の過程でほとんど飛ばなくなった鳥(アヒル)、あるいは全く飛ばなくなった鳥(ガチョウ)もいる。

進化

この項の主要記事:鳥の起源 (en:Origin of birds)

鳥類の進化上の起源は、時代によりさまざまに揺れ動いてきた。鳥類の恐竜起源説が最初に脚光を浴びたのは、進化論発表の直後に発見された始祖鳥の骨格が、小型恐竜のそれと酷似していたことから始まる。また以前は起源を爬虫類槽歯類 (Thecodont) などとされた時期もあったが、現在では、古生物学の発展から、恐竜獣脚類から進化したというのが定説となり、系統学的には鳥類は恐竜に含まれる。すなわち恐竜は絶滅せず、その一部が鳥類に進化して現在でも生きているという解釈である。

中生代の鳥類の化石は19世紀に発見されたジュラ紀始祖鳥(アーケオプテリクス)の他に、白亜紀の鳥と恐竜の双方の特徴をもつ、羽毛をもつ生物の化石が、1990年代以降、中国大陸など次々と発見されている。中でも空を飛んだミクロラプトルなどを含むドロマエオサウルス類は学者によっては鳥類に含めることもあるほど鳥類的であり、少なくとも鳥類の姉妹群であるとされている。ちなみに始祖鳥は現生鳥類の直接の祖先ではなく、進化の過程で分岐した古鳥類の一種である。

代表的な古鳥類は、ジュラ紀の始祖鳥の他、白亜紀のエナンティオルニス類ヘスペロルニスイクチオルニス孔子鳥など。現在の地球上で鳥類に最も近縁なのはワニ類である。

テンプレート:clade

非主流の仮説では、鳥類の恐竜起源に異論を唱える鳥類学者のアラン・フェドゥーシアが「鳥は、恐竜ではなく、ロンギスクアマ(小型の樹上性爬虫類)から進化した」という説を唱えている。フェドゥーシアと彼の支持者の主な反論をまとめると以下の通りである。

  • 鳥に近いとされているグループの恐竜は恐竜としては小型でも飛ぶには重過ぎる
  • 走行説、捕虫網説などの恐竜が飛行するにいたるまでを説明する仮説がいずれも空力学的に不適切
  • 鳥類も恐竜も発生途上で前肢の2本の指が退化するが、鳥類は親指と小指が退化するのに対し、恐竜は薬指と小指が退化する
  • 恐竜を起源とする説では保温のために羽毛が発達したとするが、走鳥類の羽毛が退化して毛のようになっているのに対して飛行した祖先を持たない恐竜達が飛ぶことに適した羽毛を持ったとするのは無理がある。

フェドゥーシアは、生物進化を研究する学者としては例外的に分岐学を受け入れない人物である。そのため、議論の共通基盤を持たない彼の説は鳥類関連の学界においても孤立している。

一方、最近中国で発見された、ジュラ紀中期の獣脚類リムサウルスの化石で、その前肢は一般の獣脚類とは異なり、退化で小指が消失しているが薬指を有し、親指を有しながらもその退化が進行しており、鳥類が獣脚類を起源とする説を改めて強化するものと考えられる[1]

系統

鳥類から新鳥類(現生鳥類)までは Chappe & Witmer 2002[2] より。絶滅鳥類の位置づけには異説もある。テンプレート:sname を新鳥類と訳すことがあるが、新鳥類 テンプレート:sname と紛らわしいので注意が必要である。

現生鳥類は、ダチョウ目シギダチョウ目からなる古顎類と、残りの全てからなる新顎類に分かれる。このことを明確に示し2つの系統に命名したのは W.P.Pycraft 1900 である。

分子系統学のかなり初期の段階で、新顎類はキジ目カモ目からなるキジカモ類と、残り全てを含む テンプレート:sname に分かれることがわかってきた。

そこから先の系統はなかなか解けなかったが、2000年代後半になってようやく、テンプレート:sname が全現生鳥類の約10%の種を含む テンプレート:sname と、約85%の種を含む テンプレート:sname に分かれること、また、それぞれがどのような系統を含むかがわかってきた[3][4]。しかし、既存の分類は判明した系統とかけ離れており(かなりの目が複数の系統にまたがる多系統である)、系統に応じた分類の再編はこれからの課題である。

分類

高位の分類

化石鳥類の分類は Bock 2002[2] より。系統的には不完全であり、異説も多い。

新鳥類を古顎上目と新顎上目に分けることでは、ほとんどの研究者の意見は一致する(ただし Bock 2002 は、通常は新顎類に含めるペンギン類を古顎上目・新顎上目と同等のペンギン上目 テンプレート:sname としている)。現生群だけを論ずるときは、鳥綱の下が直接、古顎上目・新顎上目になることもある。

古顎類・新顎類は通常上目とされ、目とのあいだに分類群をもうけることはない。

Sibley らは、古顎上目・新顎上目のかわりに古顎小綱 テンプレート:sname・新顎小綱 テンプレート:sname を使った(学名が異なる点に注意。古顎・新顎は正確な訳ではない)。しかし、現在では テンプレート:sname は新顎類の主要部分の名称に使うことが多く、この Sibley らの名称を使うことは少ない。

目への分類

古典的な分類

鳥類の分類は、現在流動的である。まず古典的な分類の一例を以下に示す。この分類では鳥類を、その器官の特徴に着目して分類する。たとえば、が全蹼足であればペリカン目とするなど。

※イギリス等ではタカ目をタカ目とハヤブサ目と分ける。一方、日本や北米等ではタカ目は単一の目としている。
ハチドリ類は、伝統的分類ではアマツバメ目に含めるが、最近は独立目とする例も多い。
※その他、伝統的分類でも各国あるいは学説ごとに少しずつ異なる部分があるので注意してほしい。

Sibley らの分類

テンプレート:鳥類分類 形態比較等によるこれら従来の系統方法は、各目の単系統性・目間の類縁関係など不明点が多く指摘されていた。

1990年代以降、分子生物学の進歩とともに、その手法により従来分類の課題を乗り越えんとする全く新しい分類体系が登場してきた。その先駆けとなった、Sibley-Ahlquist鳥類分類体系の目リストを以下に示す。(下位分類の詳細は各記事参照)

Sibley らの系統は、形態をほぼ無視していて、分子系統学的に見ても、現在から見れば萌芽期の技術であり、実際の系統を不完全にしか解明できていなかった。そのため彼らの分類は、部分的に見れば評価できる点も多いが、系統的に遠く離れた目を統合していた部分もある。しかし、鳥類分類をほぼ全面的にSibley らに従っている資料もある[5]

さらに詳しい説明は「Sibley-Ahlquist鳥類分類」という項目の後半を参照。

その後の分類

代表的なものでは、古典分類を踏襲した Clements や 形態による系統分類をした Livezey & Zusi が現れている。

ただし、Sibley et al.Livezey & Zusi による分類は方法論的には系統分類であったものの、Hackett et al. (2008) など現在の分子系統から見れば多くの多系統・側系統が含まれており、歴史的な意味でしか系統的とは言えなくなっているので注意を要する。

空想上の鳥

鳥は空を飛ぶことから、天や神からの使いとして神聖視されることがあった。下記はほんの一例である。

関連項目

テンプレート:Portal bird

テンプレート:鳥類関連リスト

注釈

  1. ナショナルジオグラフィック ニュース 2009年6月18日[1]
  2. 2.0 2.1 森岡弘之 (2006) 森岡弘之 [ バイオディバーシティ・シリーズ 7 脊椎動物の多様性と系統 ] 裳華房 2006 4785358300 283
  3. Ericson et al. (2006) EricsonPer G. P. et al. Diversification of Neoaves: integration of molecular sequence data and fossils Biol. Lett. 2 2006 543-547
  4. Hackett et al. (2008) HackettSJ. et al. [ A Phylogenomic Study of Birds Reveals Their Evolutionary History ] Science 320 2008 1763-1768
  5. ITISなど

外部リンク


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