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ランドクルーザープラド(LAND CRUISER PRADO)はトヨタ自動車が製造する4輪駆動車(SUV)である。
目次
概要[編集]
ランドクルーザー 70系の派生車種として登場。
日本国内では「プラド」と略称で呼ばれることが多い。
初代は、乗用車のコンポーネンツを大幅に流用した利益率の高い三菱・パジェロの対抗策として企画された。ランドクルーザー70系の足まわりを軽量化し、ハイラックスサーフやブリザードと共通のパワートレインを載せ、乗用車化したモデルであった。当初は仕向け地によって「ランドクルーザーワゴン」、「ランドクルーザーII」、「バンデラ」の呼び名を使い分けていた。本流であるヘビーデューティーな70バン系との区別のため、トヨタでは、バンを「70ヘビー系」、ワゴンを「70ライト系」と呼ぶ。
貨物登録である70ヘビー系とくらべると、高価な割りに非力さばかりが目立つ結果となり、ヘビー系と殆ど変わらない無骨な外観であることや2ドアモデルのみであったことなどが災いし、日本国内での販売台数は伸びなかった。
一方、日本国外向けにはガソリンエンジンやターボ無しのディーゼルエンジンに簡素な装備を組み合わせたグレードも多く存在し、パジェロやいすゞ・ビッグホーンに伍して、廉価で軽量なランクルとして支持を得た。
国内での局面が変わったのは1990年4月のマイナーチェンジ以降で、セミロングホイールベースの4ドアモデルの投入に加え、大幅なフェイスリフトや電子制御式燃料噴射ポンプによるエンジンでパワーアップを図り、さらに「プラド」のサブネームを掲げたことで、一気に人気モデルの仲間入りを果たした。
2代目では、さらにフレームやサスペンションにいたるまでハイラックス / タコマグループとの共有化が進んだ。脱業務用途的なスタイリングをはじめ、ランドクルーザーシリーズのなかでは欧州向けSUVの性格が強まり、当時、大人気を誇っていたパジェロのシェアを奪うほどの大成功を収めた。しかし、あまりにも標的であるパジェロに外観や車両構成などを似せたことは、今でもトヨタの販売手法の悪しき典型として例にのぼることがある。
ショートホイールベースの3ドアと、ロングホイールベースの5ドアがあるが、ショートホイールベースはハイラックスサーフには存在しない。ソフトトップ(幌モデル)は2代目から廃止された。
駆動方式は、全車2速のトランスファーと、ボッシュ(旧ゼクセル・現ジェイテクト)のトルセンギアを用いた、センターデフ式フルタイム4WDを採用しており、ドライブトレインを共有するハイラックスサーフやFJクルーザーに見られる2WDモデルは無い。
歴史[編集]
70系ワゴン(1984年 - 1990年)[編集]
- 1984年11月、ランドクルーザー70系のライトデューティー版として発表される。長大な直列6気筒エンジンを搭載する70ヘビー系とは異なり、乗用車・ライトトラック系の直列4気筒専用のボディーとなることから、ボンネットは短くされ、同時に幅を広げられ、作業車臭を薄めるフェンダーとの段差が目立たないデザインとされた。ヘビー系と並ぶとその違いは一目瞭然であるが、単体ではランドクルーザー70系のイメージそのものである。エンジンが小さいことから、結果的にフロントミッドシップとなっている。
- ホイールベースはショートのみ、ボディーはソフトトップ(幌)とハードトップ(メタルトップ)の2種類。
- 仕向け地別に、「ランドクルーザーワゴン」(日本国内)、「ランドクルーザー」、「ランドクルーザー II 」、「バンデラ」の車名を使い分ける。
- 70ヘビー系のフレームを軽量化したものに、ハイラックスサーフと共通のパワートレインと、日本のクロスカントリー車では初となる、前、後ともコイルスプリングと3リンクリジッドアクスルの組み合わせによるサスペンションを装備する。
- エンジンは、ガソリンエンジンは2.4Lの22R型、ディーゼルエンジンは2.4Lの2L型と2L-T型で、乗用車系の直列4気筒のみ(日本国内は2L-T型のみ)。
- トランスミッションも、ガソリンエンジン車はG52型、ディーゼルエンジン車はR150F、151F型と、ハイラックスグループと共通である(日本国内はR150F型のみ)。
- オーバーフェンダー、ワイドタイヤ、ハーダースプリングを装備し、派手なグラフィックのデカールで飾り立てた、シティーオフローダーの「バンデラ」を設定(ソフト&ハードトップ・日本国内は設定無し)。
- 1985年10月、ランドクルーザー60系・70ヘビー系のターボ化に合わせ、初の5ナンバー(乗用登録)となる「ランドクルーザーワゴン」として日本国内導入開始。日本国内の70系にはソフトトップとガソリンエンジンの設定は無く、ハードトップの2.4Lディーゼルターボのみであった。
70系プラド(1990年 - 1996年)[編集]
- 1989年10月、東京モーターショーで80系ランドクルーザーと共に、4ドアセミロングの70ライト系ワゴンが初披露される。フロントグリル、フロントフェンダー、エンジンフードを新デザインのものに変更、ヘッドランプも丸型2灯から規格型の角型2灯に変わり、より乗用車テイストへと大きく印象を変える。
- この時点までに、熱的に商品としての成立が難しい3L型エンジンのターボ化はキャンセルされ、新エンジンの設計が開始されている。
- 1990年4月、発表・発売。同時に「プラド」のサブネームがつけられるが、仕向け地によっては、ランドクルーザー、ランドクルーザーII も引き続き使用される。
- ガソリンエンジンは22R型から22R-E型へ、ディーゼルエンジンに2.8Lの3L型と、電子制御化された2.4Lターボの2L-TE型が追加される。日本国内は2L-TEのみの設定。
- エンジン出力の向上に伴い、2ドアミドルのソフトトップとFRPトップ、4ドアモデルが新設される。それぞれ、バルクヘッド以後のボディーはヘビー系との共用。
- 日本国内には、2ドアショートのメタルトップ5人乗りと4ドアセミロングの8人乗りが設定される。
- 駆動系では、リアデフに電動デフロックが設定された。
- 1991年8月、ワイドフェンダー仕様の3ナンバー車が追加される(海外向けにはモデル当初の1984年から設定あり)。
- 1993年5月、ガソリンエンジンは22R-E型から3RZ-FE型に変更、ディーゼルエンジンはアルミヘッドを持つ、3.0Lターボの1KZ-TE型が追加される。日本国内はこの1KZ-TE型のみとなり、同時にダッシュボードの意匠変更を行い、丸みを帯びたフェイシアで鉄板の露出部を極力隠すことでトラック臭を払拭した。外観では、フロントバンパーとサイドターンシグナルランプの形状が変更されている。なお、リアエンブレムはこれまでは現在のトヨタマークと「TOYOTA」のローマ字が併用されていたが、この一部改良以降、「TOYOTA」のエンブレムが外され、トヨタマークのみとなった。
- Toyota Land Cruiser Prado 70 003.JPG
後期型 2ドア
3.0DT SXワイド
(KZJ71G) - Toyota Land Cruiser Prado 70 004.JPG
後期型 2ドア
3.0DT SXワイド
(KZJ71G)リア
90系(1996年 - 2002年)[編集]
- エンジンは3RZ-FE型 直列4気筒 2.7L(日本国内は1997年から追加)と、5VZ-FE型 V型6気筒 3.4L、ディーゼルエンジンは、5L型 3.0Lと、1KZ-TE型直列4気筒3.0Lディーゼルターボ(国内ディーゼルは1KZ-FEのみ)。
- サスペンションとスプリングの形式は前がダブルウイッシュボーン+コイルスプリングの独立懸架、後ろは5リンクのリジッドアクスル+コイルスプリングである。
- 3ドア車のみ、日本国外向け同様の縦基調ラジエターグリルと丸型ヘッドランプを採用していた(1999年横グリル+異型ランプに変更となる)。
- この代から、リアだけではなくフロントグリルやステアリングにも現在のトヨタマークが採用された。
- 1999年6月、マイナーチェンジ。法改正に伴い、バンパー内にフォグランプが装備される。
- 2000年7月、マイナーチェンジに伴い、ディーゼルエンジンを3.0L DOHC 直噴 電子制御コモンレール式の1KD-FTV型へ変更。
- Toyota Land Cruiser Prado 90 007.JPG
前期型
3ドア 3.0DT RX - 1996 Toyota Land Cruiser-Prado 01.jpg
前期型
5ドア - Toyota Land Cruiser Prado 90 005.JPG
後期型
3ドア 3.4 RZ
- Toyota Land Cruiser Prado (second generation) (front), Serdang.jpg
日本国外向け 前期型
5ドア
(縦基調グリル) - Toyota Land Cruiser Prado (second generation) (rear), Serdang.jpg
日本国外向け 前期型
5ドア
(リア) - Toyota Geneva police 4110.JPG
日本国外向け 後期型
5ドア(リア)
120系(2002年 - 2009年)[編集]
欧州をメインマーケットとするため、トヨタヨーロッパのデザイン拠点である、ED2(イーディースクウェア)のデザイン案が採用された。
- 2002年登場。ホイールベースはショートとロングの二種、それぞれが3ドアと5ドアのボディーを纏う。日本国内の月間目標台数は2500台。国内のラインナップからMT車が廃止される(海外向けには5MT/6MTの設定がある)。
- ガソリンエンジンは、日本国内向けが引き続きV6の5VZ-FE型と4気筒2,700ccの2TR-FE型の2種、海外向けには3RZ-FEも引き継がれるが、欧州向けのみに、新世代V6のトップを切る形で4,000ccの1GR-FE型が当初から設定された点が特筆される。ディーゼルエンジンは4気筒3,000ccのコモンレール式直噴ターボの1KD-FTV型の他、海外向けに従来からの1KZ-TE型と5L-E型も設定される。国内のディーゼル車は「自動車NOx・PM法」に適合していないため、規制地域内では登録できない。
- 駆動方式は、全車2速のトランスファーと、ボッシュ(旧ゼクセル・現ジェイテクト)のトルセンギアを用いた、センターデフ式フルタイム4WDを採用し、全車にセンターデフロック、オプションでリアデフロックが設定される。
- 日本国外向けの一部(欧州、豪州、中国等)には、同時発表となった新世代V6である1GR-FE型が採用された。
- 高級SUVの盗難が相次ぐ中、プラドにもイモビライザーが採用された。
- 2004年8月、2.7Lガソリンエンジンを3RZ-FEから、新開発の2TR-FEに変更。
- 2005年7月、V6ガソリンエンジンを3.4Lの5VZ-FEから、4.0Lの1GR-FEへ変更。5速ATが同時に設定された。
- その当時、厳しい排出ガス規制により、各社がディーゼル乗用車の販売から撤退する中、当時新車で購入でき、かつ、規制地域を除き乗用登録できた最後の国産ディーゼル車であったが、2007年7月に国内販売を終了した(2008年9月に日産・エクストレイルで国産ディーゼル乗用車が復活)。 ただし、ATのみの設定となり、MTモデルは存在しない(日本国外モデルには5MTと6MTが存在する。)。
- 欧州諸国の多くでは「ランドクルーザー」の車名で販売され、併売となる100系は「ランドクルーザー100」、「ランドクルーザー・アマゾン」、200系は「ランドクルーザーV8」などのサブネーム付きの名称となる。
- 北米向け(アメリカ、カナダ)には、120系の4ドアモデルにV8 4.7Lの2UZ-FEエンジンを搭載したモデルが、レクサス GX470として導入されている。
- 海外向けには、プラドに限らず全クラスのランクルで伝統的にSTD(スタンダード)をはじめとするロワーグレードの設定が多く、120系では、国内モデルには存在しない旧世代の1KZ-TE(3.0Lディーゼル、96KW/135ps)及び、5L-E(3.0Lディーゼル、70KW/95ps)エンジン搭載車、エアバッグ表記のレス仕様(主に中東地区向。エアバッグ機能有)、ABS無し(LSPVは装備)、サイドステップ無し、オーバーフェンダー無しのナローボディー、ビニール内装、フロントベンチシート、荷室向かい合わせシート(ショート7人 / ロング10人乗り)などのバリエーションがある。
- 2002年10月 - モデルチェンジ。
- 2004年8月 - 一部改良。
- 2005年7月 - 一部改良。ディーゼルエンジン(TZ)の廃止、及びエンジンの変更。
- 2006年8月 - ナビゲーションシステムの変更。
- 2007年7月 - 日本国内からのディーゼルエンジン車の廃止。
- Toyota Land Cruiser Prado 120 003.JPG
2ドアショートRX
- Toyota Land Cruiser Prado 120 004.JPG
2ドアショートRX
- Toyota Land Cruiser Prado 120 002.JPG
4ドアロングTX
背面スペアタイヤ有り
150系(2009年 - )[編集]
テンプレート:Infobox 自動車のスペック表 2009年9月におよそ7年ぶりのモデルチェンジを果たし、4代目へとモデルチェンジした。この代からハイラックスサーフを統合。プラットホームやエンジンは先代を踏襲しつつ発展させ、オフロードはもちろん、オンロードでも快適な走行ができるクルマとして開発され、「いつでもどこへでも行ける安心感と快適性」を備えたクルマとなったとメーカーは発表している。
新たに、直前側方死角もカバーするマルチテレインモニターやワイドビューフロント&サイドモニターを装備したことで、先代に装備されていた助手席側フロントフェンダーの補助ミラーが無くなり、すっきりとしたスタイリングとなった。
内装ではセカンドシートに足元スペースを広めるスライド機構と3列目への乗降性を高めるウォークイン機構を助手席側に備えたほか、サードシートはスイッチ一つで格納・復帰できる電動フロア格納機構を採用するとともに足元を50mm低床化された。
また、2.7L車は「平成22年度燃費基準+10%」を4.0Lは「平成22年度燃費基準+5%」をそれぞれ達成し、燃費性能を向上したほか、VSC・TRC、7個のSRSエアバッグ、運転席・助手席のアクティブヘッドレストに加え、ミリ波レーダー方式のプリクラッシュセーフティシステムを新たに設定し、安全性能も追求された。
4.0Lの1GR-FE型は今回のモデルではレギュラーガソリン仕様で276ps(203kw)/5600rpm、38.8kg・m(380N・m)/4400rpmを達成。10/15モード走行も8.2km/Lと先代モデルのハイオク仕様に比べパワー、燃費がそれぞれ向上している。
このモデルから同じプラットフォームを共有していた日本仕様のハイラックスサーフの生産終了に伴い、生産拠点が田原工場から日野自動車の羽村工場に移転した(国内モデルのみ。ただし輸出及びレクサス向けは従来通り田原工場にて生産されている。)。
左ハンドル車のリコール[編集]
2010年4月11日コンシューマー・リポートがレクサス・GX460は横転のリスクを抱えていると指摘し、2001年の三菱・モンテロ以来となる「買ってはいけない」との警告を発した。時速およそ100kmの速度で右コーナーに進入した場合、VSCの働きが弱く、縁石などにぶつかった場合、横転する危険があるというものである[1][2]。これを受け、トヨタはランドクルーザープラドとGX460の販売を即時中止した[3]。日本時間の4月20日、トヨタは「VSCとKDSSを共に装備した左ハンドルの18インチホイール仕様で顕著」としながら、GX460の全数と左ハンドルのランドクルーザー150系(##J15#L)をリコールの対象とし、VSCのプログラムを改修することを発表した(プレスリリース 動画あり)。[4]。
販売店[編集]
脚注[編集]
- ↑ (2010-04-13) Don't Buy: Safety Risk--2010 Lexus GX 460 コンシューマー・リポート 2010-04-13 [ arch. ] 2010-04-13
- ↑ (2010-04-13) Consumer Reports: Do not buy a Lexus GX 460 due to rollover risk WorldCarFans.com 2010-04-13 [ arch. ] 2010-04-13
- ↑ (2010-04-13) Toyota stops sale of 2010 Lexus GX 460 after Consumer Reports safety alert コンシューマー・リポート 2010-04-13 [ arch. ] 2010-04-14
- ↑ (2010-04-19) Recall: Lexus to update 2010 GX 460 stability control software コンシューマー・リポート 2010-04-19 [ arch. ] 2010-04-20
関連項目[編集]
- トヨタ自動車
- トヨタ・ランドクルーザー
- レクサス・GX
- トヨタ・ハイラックスサーフ
- トヨタ・ブリザード
- サイドアンダーミラー - フロントフェンダーに設置される補助確認装置
外部リンク[編集]
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