学童服
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学童服(がくどうふく)とは、小学生が通学用に着用する衣装を指す。当項目では、特に註釈がない限り、日本における学童服について述べる。また、「<子供>の誕生」でも述べられている通り、学童服は男の子の衣装を中心に展開しているため、ここでは男の子の衣装を中心に論述する。
概要[編集]
上衣は中高生の学生服に近いが、襟が立襟ではなく折襟となる。ズボンは半ズボンで、ポケットはパッチポケットとなることが多い。ブレザーやイートンジャケットにネクタイのスタイルを採用する学校もある。
制服[編集]
国立小学校[編集]
現在のところ、日本に存在するすべての国立小学校では制服を採用している。
私立小学校[編集]
私立小学校では、一部の例外を除き、制服着用が普通である。
明治時代以来、私立小学校の制服は、男の子は半ズボンが普通であったが、1999年にカジュアルタイプの半ズボンが消えて以来、制服をハーフパンツ化する小学校が増えた。
2006年から、2008年にかけて開校された、関関同立の附属小学校は、最初からハーフパンツ制服を採用している。理由としては、立命館小学校は、「それが相応しいから」としか説明していない。
ただ、私立小学校は、授業料で運営が成り立っており、サービス業としての側面がある。
公立小学校[編集]
伝統的に、中国地方での採用率が高い。これは、学童服が中国地方の地場産業だからである。また、瀬戸内海を挟んだ四国地方(高知県を除く)でも採用率が高い。男の子の場合、ワイシャツに黒の半ズボン、というケースが多い。ただし、私立小学校と同様、カジュアルタイプでの半ズボン消滅以降、ハーフパンツを採用する学校が非常に増えている。2001年と2004年に、尾崎商事(現・菅公学生服)が、股下10センチ近い「半ズボン」を開発したが、従来型の股下2~3センチの半ズボンの市場占有率は2割、ハーフパンツに近い「半ズボン」の市場占有率は8割となっている。
自由服[編集]
自由服 も参照 服装は学校教育の領分ではなく、家庭教育の領分である、との考えによる。
1990年代後半以降の自由服小学校では、学童服と呼べるものはなくなった。小学生以下の固有の衣装である、半ズボンが消滅したためである。
1960年代から、1990年代前半にかけては、自由服小学校でも、学童服が典型的に見られた。
黄色い通学帽、名札、半ズボン、ランドセルでトータルファッションになる。
体育服[編集]
農村部では、通学用にジャージもしくは体操服を着用させる場合がある。農村部は所得が低く、子供服にかけられる資金が限られるためである。ただし、体育服の世界でも、2000年から2001年にかけ、ハーフパンツ化の流れが押し寄せ、伝統的な半ズボンタイプの体操服を維持する学校は少なくなった。
標準服の採用を巡る問題[編集]
東京都中央区特認校の泰明小学校では、2018年4月に入学する1年生に対し、イタリアのファッションブランド「アルマーニ」がデザインを監修した新しい標準服への変更を予定した。同校における標準服は学校側が推奨する服装であって着用を強制するものではないが、ほとんどの児童が指定の標準服を着ており、事実上の学校制服となっている。従来の標準服の価格が1万7,000円〜1万9,000円ほどだったのに対し、「アルマーニの標準服の価格は最大で8万円を超え、価格が従来の倍以上になった」「保護者が反対している」と報道されたことで疑問や批判の声が相次いだため、中央区教育委員会は記者会見を開いた。学校は、2017年9月、入学する児童の保護者説明会で、アルマーニの標準服に変更すると説明したが、2017年11月まで具体的な価格は明示していなかった。2017年10月、中央区教育委員会に「変更の理由が理解できない」といった保護者からの意見が寄せられたため、教育委員会がアルマーニの標準服を採用した理由を学校に確認した。その際、校長は「銀座の中で育てられてきた学校。銀座に誇りを持ち、絆を感じられる標準服にしたかった」と説明していた。また、2018年2月8日の衆議院予算委員会では寺田学によってこの問題が取り上げられるなど、国会においても物議を醸した。寺田は「学校長の考え方一つで決まってしまう。実態を見ながら考えなければいけない」と問題提起した。これに対し、文部科学大臣林芳正は「いろんな考え方があってはいいと思うが、ちゃんとみんなが納得の上で、進んでいくことが望ましい」「決める過程で、保護者などともう少し話をして決められればなという印象を持った」と述べた。さらに、副総理兼財務大臣麻生太郎は「アルマーニの話は初めて聞いたので言いようがないが、はっきり言ったら高いのだろう。結構高いと思う」と述べた。朝日新聞によると、制服など必須とされるのは合計約4万円であり、その他の希望者のみ任意で購入するバッグ、ベスト、セーター、くつ下などを全て購入すると8万円以上となる。西日本新聞は2月14日の記事で、2月13日までの間で450件あった区への問い合わせのうち、苦情が多かった一方で、保護者からは「問題ないという合意があった」「騒ぎになり心配だ」といった声も上がっていると報道している。読売新聞によると、2018年2月23日時点で、春の入学予定者60人中54人が採寸と入金を済ませている。朝日新聞によると、2月27日までの全国から中央区に659件の意見が寄せられた。5人の入学辞退者が出たが、残る入学予定者55人が同月27日までに新標準服の注文と支払いを済ませた。同月27日までに学校側と45人の新1年生の保護者の個別面談を終えたが、新標準服への不満の声は特に上がっていないという。2月27日には在校生336人の保護者らを対象とする説明会に98人が出席し、出席者からは「安全・安心に教育を受けられるか」「不審者が校内に侵入するのでは」といった不安の声が出た。新入生全55名がアルマーニの制服を着用して入学したことで、『女性セブン』は2018年4月26日号で「泰明ブランドに憧れて入学させる保護者にとっては、価値の底上げにつながっていたようだ。」「ふたを開けてみれば騒いでいるのは外部だけだったのだ。」と伝えている。