MediaWiki
MediaWiki(メディアウィキ、略称:mw)は、ウィキソフトウェアの一つ。エンペディアやウィキペディアなどを動かしている重要なソフトウェアである。
目次
概要[編集]
パッケージファイルはPHPで書かれており、データベースはMySQLを使う。元々ウィキペディアのために作られたソフトウェアであり、開発元はウィキメディア財団である。このためMediaWikiの公式サイトもこの団体によって運営されており、MediaWikiで動いている。
MediaWikiは実質ウィキペディアと同じウィキシステムで稼動するサイトのため、外装や外観からMediaWikiサイトをウィキペディアと勘違いする人が多い。
主な特徴[編集]
以下はデフォルト設定に限って説明する。
- (ウィキであるので)誰でも簡単にテキスト内容の変更とページの新規作成が可能な「編集」機能。
- サイトのトップページは「メインページ」となり、またこのページはインストール直後に作られる(初版投稿者はMediaWiki default)。
- 他のウィキと同じく履歴機能が存在し、前後変更版の差分ページを見ることが可能(1.20以降差分の色が異なる)。
- 履歴には、未登録ユーザーの場合はIPアドレス、登録ユーザーの場合はそのユーザーのユーザー名が表示される。
- 左部分にサイドバーの様々なメニュー(サイトの更新状況、特別ページ一覧のリンク、トップページページへのリンク等)。
- 各種ページに議論用の「トーク」ページ(古いバージョンの場合は「ノート」)
- 記事本文やプロジェクトに関する説明ページ、カテゴリページ、利用者ページ、トークページなどのページ種類を分別する「名前空間」機能。
- 主に:(コロン)で名前空間を指定する。
- 特別ページ(「特別」の名前空間で指定されているページ)という、サイトに関する様々な状況、確認、操作などを行ったりするためのページ。このページは編集できない。制限のある特別ページは、特別ページ一覧からは太字で表示[1]される。
- 特別:バージョン情報でMediaWikiや拡張機能、他のソフトウェアの導入情報の確認。
ユーザー機能[編集]
MediaWikiは他のウィキソフトウェアと同じく、ユーザー登録機能が存在する。右上の「アカウント作成」(古いバージョンの場合は「ログインまたはアカウント作成」ページ経由が必要)をクリックしユーザー名とパスワードを設定すれば登録が可能である。メールアドレスの欄もあるが、これは任意で後から「個人設定」において設定が可能である。登録を行うとユーザーIDの番号が設定され、サイトで何番目の登録ユーザーかがわかるようになっている。アカウント名は一度取得すると、そのサイトからは利用者名を変更しない限り、二度と同じ名称で登録することは出来ない。またアカウントは一度取得すると削除もできないようになっており、データベーステーブルから無理に削除を行うとデータベースがおかしくなってしまうという危険性がある[2]。
登録を行うと以下の操作が可能になる。
- 個人設定の各種設定[3]
- 自分専用の利用者ページ(「利用者:」名前空間)とそのトークページの作成[4]
- 全保護されているページを除く、各種のページタイトルの変更(移動機能)
- ファイルのアップロード[5]
- 編集時に「細部の編集」のチェック[6]
- 半保護されたページの編集[7]
権限機能[編集]
MediaWikiは、全ユーザーに対する制限に関する権限機能[8]が存在する。具体的には管理者やビューロクラットといったものだが、全ユーザーや登録ユーザーに対し割り当てられている既定権限も存在する[9]。匿名などを含む全てのユーザーは本来"*"(星印)のグループに割り当てられ、登録ユーザーの場合は"user"に割り当てられている。「ビューロクラット」「管理者」といったものはその追加権限といったもので、この2グループ権限はユーザーによって付け替えなどが可能となっている。このグループは所属していると以下の操作が可能になる。
- 管理者の場合
(グループ名は"sysop")
- 各種ページの削除と復帰
- 編集を制限する「保護」の設定(期限設定可能)
- 特定のユーザーに対する編集の不許可設定(投稿ブロックの設定(期限設定可能))
- 他のウィキなどからページを履歴ごと取り込み(インポート)
- システムメッセージ(インターフェース、つまりMediaWiki名前空間)の編集
- ページ履歴の統合(標準使用不可)
- ページの特定版と特別:ログの一部を非表示化、または特定の登録利用者をブロックしてウィキ全体から非表示化(標準使用不可)
- ビューロクラットの場合
(グループ名は"bureaucrat")
- 他の利用者にグループ権限の付与/解除(剥奪)が可能
MediaWikiで最初に登録したユーザー(コンフィグ時の設定ユーザー)(ID1)の場合は、初めから管理者とビューロクラットグループに所属している。
上記のグループ権限はLocalSettings.phpでカスタマイズが可能で、新たにグループ権限を追加・変更したり、拡張機能によって追加されるグループ権限[10]も存在する。
主なバージョン[編集]
バージョン | リリース日 | 備考 |
---|---|---|
1.1 | 2003年12月8日 | |
1.2 | 2004年3月24日 | |
1.3 | 2004年8月11日 | |
1.4 | 2005年3月20日 | |
1.5 | 2005年10月5日 | MySQL 3をサポートする最終版 |
1.6 | 2006年4月5日 | PHP 4をサポートする最終版 2008年と2009年にセキュリティアップデート版(1.6.11,1.6.12)が大分後からリリースされた。 |
1.7 | 2006年7月7日 | |
1.8 | 2006年10月10日 | |
1.9 | 2007年1月10日 | |
1.10 | 2007年4月30日 2007年5月9日 |
|
1.11 | 2007年9月5日 2007年9月10日 |
|
1.12 | 2008年3月20日 | |
1.13 | 2008年2月(alpha版) 2008年8月14日 |
|
1.14 | 2008年7月(alpha版) 2009年2月7日 |
|
1.15 | 2009年1月(alpha版) 2009年6月10日 |
|
1.16 | 2009年5月1日(alpha版) 2010年7月28日 |
|
1.17 | 2010年2月22日(alpha版) 2011年6月22日 |
|
1.18 | 2011年11月28日 | MySQL 4をサポートする最終版 |
1.19 (サポート版) | 2011年5月6日(alpha版) 2012年5月2日 |
PHP 5.2.3をサポートする最終版 |
1.20 (サポート版) | 2012年2月9日(alpha版) 2012年11月6日 |
|
1.21 (サポート版) | 2012年10月1日(alpha版) 2013年5月25日 |
|
1.22 (最新版) | 2013年4月1日(alpha版) 2013年12月6日 |
最新安定版 |
1.23 (試験中) | 2013年10月24日(alpha版) |
カスタマイズ[編集]
MediaWikiはLocalSettings.phpというファイルで様々なカスタマイズが可能となっている。具体的には以下の設定が可能
- 権限(パーミッションとグループ)の設定
- 編集・登録などの可不可設定
- 拡張機能の付け外し(事前にextensionファルダ内にファイルの導入が必要)
- ライセンスの設定
- サイトの時間の設定
- ロゴの設定
- ファイルのアップロードの設定
- ファイルの拡張子の設定
など
また、上に述べたとおりシステムメッセージの変更も可能である。これはデータベース上でMediaWiki名前空間の編集を行うことで可能で、メッセージ以外にも外装などのcss(Cascading Style Sheets)やjs(javascript)の変更も可能である。
拡張機能(Extension)[編集]
MediaWikiには拡張機能(Extension)という、デフォルトには存在しない機能を導入することで、更なる利便性などを図ったりすることが出来る。主な拡張機能としては、利用者の通常では隠されたデータ情報を調べる「チェックユーザー」や、登録ユーザーのアカウント名を変更する「Renameuser」などがあり、新たな特別ページを含んだ機能を追加することができる。また、この他にYoutube動画などの外部サイトの一部コンテンツ読み込みや、サイト内の更新ページリスト(DPL)などをページ内に挿入出来るようにする「タグ系拡張機能」や、wikipedia:ja:Help:条件文を有効にする「パーサー関数機能」などもある。これらのファイル(phpコード)はMediaWikiの公式サイトから入手が可能で、入手したらMediaWikiのextensionフォルダ内にファイルを保存し、LocalSettings.phpにrequire_once( "{$IP}/extensions/拡張機能名/拡張機能名.php" );
の文字列行を挿入すれば導入完了となる。なお、一部ではデータベースのテーブルの操作が必要となる場合もあり、それを行わないと「データベースエラー」となるか、サイトに接続できなくなってしまうことがある。
MediaWiki1.18以降には、extensionフォルダ内にいくつかの拡張機能が標準で同封されるようになった。
MediaWikiを利用している主なサイト[編集]
など多数。Wikicollect:Wikicollect:ウィキの一覧/MediaWikiも参照。
その他[編集]
- MediaWikiのシステムメッセージは、Translatewiki.netというサイトで、各国からのユーザーによって英語から翻訳・更新などが行われている。
- MediaWikiはフリーソフトウェアであり、誰でもダウンロードして利用が可能であるが、上に述べたとおり稼動にはPHPやMySQLのダウンロードが必要となるため、導入にはある程度プログラミング言語などの知識がないと難しいが、最近ではマイサイトユーザーズ(myht)といったサイト構築サービスでは既にMediaWikiパッケージが用意されているため、素人でも簡単にMediaWikiを設置することができ、サイトの運営者になったりすることが出来る。またこの他@wikiのような独立したウィキ提供サービス(ウィキファーム)がMediaWikiにも存在し、日本ではまだ数は少ないがRxyWiki(現在サービス終了)やWikia[11]が該当する。
スパム問題[編集]
現在、MediaWikiサイトを横断するスパムボットの荒らしが発生しており問題になっている。これは主にアカウント作成を行い、英文ページ名を作成して長文の宣伝投稿を行うというものである。2011年10月頃から現れ始め、現在も増え続けている。このスパムについて未だ呼称はないが「アカウント作成系のスパム」「MediaWiki横断系スパム」(crosswiki-spam)とは言える[12]。通常の荒らし以上に厄介なものであり、放置しておくと少しずつ増える傾向があり、「最近の更新」ページをぎっしり埋め尽くすほか、ブロックしても次から次へと現れるため際限がなく、チェックユーザー機能で調べてもほぼIPが異なるため非常にせき止めにくい。最近では、一部のウィキで一日で500個以上ものアカウントやページが作られたりと被害が大きく、サーバーにも大きな負担を与えたり[13]、ウィキソフトウェアをエラーにしてアクセス不能にしたり、データベースディスクの使用量を膨大したり、とにかく制限が規制されてないウィキ全てに同様の行為を行うなど、これ以上にない史上最大級の荒らしと言える。またこれらのスパムはいくつか種類が存在し、メールアドレスを認証したり、利用者ページで外国人名の自己紹介をしたり、アカウント名と同タイトルのページを作ったりや、画像ファイルをアップロードしてくるのもいる。
現存の拡張機能やキャプチャ機能を入れても、以前に存在していたIPのスパムにしか効果がないため、これらのスパム対策としては、キャプチャ機能のQuestyCaptchaを用いて認証を日本語入力方式にするか、不正利用フィルター機能のフィルター構文で防ぐ、アカウントの作成を規制するなど、特別な方法で対策を施さなければならない[14]。また唯一カテゴリを入れてくる傾向がないため、これを利用して対策を行うのも良い。
脚注[編集]
- ↑ 古いバージョンの場合はページ下部の「制限のある特別ページ」節内に一覧で表示
- ↑ metawiki:MediaWiki よくある質問と回答集#私のユーザリストからあるユーザを削除するにはどうすればいいですか?
- ↑ 外装、メールアドレス(ウィキメールの有効化)、時刻設定、署名のカスタマイズなど
- ↑ 未登録時でも可能だが、IPアドレスのページとなるため(IPアドレスは他のユーザーと共有することもあるため)、サイトによっては(トークを除き)禁止となっている場合が多い。
- ↑ 但しデフォルトでは無効になっているため設定する必要がある
- ↑ 1.18以降の新規作成時はチェックがないため不可
- ↑ 自動承認機能(autoconfirmed)によって設定されているが、デフォルトでは0になっているため「登録利用者」(user)と同じ
- ↑ グループ(管理者などのユーザーに関する権限)とパーミッション(グループに適用したアクセス・操作などの権限)の設定のこと
- ↑ 特別:利用者グループ権限参照
- ↑ チェックユーザー(checkuser)、スタッフ(staff)、オーバーサイト(oversight)など
- ↑ 現在は通常のMediaWikiとは大きく異なる。
- ↑ ただしそれ以前にもそういったスクリプトで動いていたスパムは存在していた。
- ↑ 共有サーバーの場合、サーバー管理者側によって閉鎖・アクセス処置がとられることがある。
- ↑ freewiki:MediaWikiスパム対策
関連[編集]
- 特別:バージョン情報 - エンペディアのMediaWiki情報
- 投稿ブロック
- 過疎ペディア
- MediaWiki (2)