クロムグリーン
クロムグリーン(chrome green)は、緑色の顔料。一般の無機顔料とセラミック顔料では成分が異なる。
一般の無機顔料[編集]
別名ブランスイック緑(-みどり)、ブランスイックグリーン、シナバーグリーン(cinnabar green)。黄鉛と紺青の混合物。顔料としてのカラーコードはPigment Green 15であるが、混合物であるためこのカラーコードが使われることはあまりなく、絵具のクロムグリーンのチューブのカラーコード欄は“PY34、PB27”と表記されることが多い。なお“PY34”は黄鉛のカラーコード“Pigment Yellow 34”の略であり、“PB27”は紺青のカラーコード“Pigment Blue 27”である。
色調は黄鉛と紺青の混合比により異なる。黄鉛が多ければ黄緑となり、紺青が多ければ青緑となる。最初からクロムグリーンとして製品化されることはあまりなく、大抵使用する直前に配合される。着色力・隠蔽力・耐光性・耐候性は大きいが、二酸化硫黄(SO2)で変色し、硫化水素(H2S)でも黒変する。またアルカリに弱い。カラートタン、塗料に用いられる。かつては絵具やインクにも使われたが、六価クロムが含まれるため毒性があり、近年は絵具やインクに使われることは少なくなっている。
セラミック顔料[編集]
セラミック顔料でクロムグリーンといえば2種類あるが、1つはオキサイド・オブ・クロミウムをセラミック顔料として使うときの別名なので、ここではもう1つのクロムグリーンについて述べる。
化学式はAl2O3・Cr2O3で、Cr3+イオンの多いものが用いられる。水酸化アルミニウム(Al(OH)3)と酸化クロム(Cr2O3)を配合して1300℃で焼成して得られる。釉薬には使用せず、タイルの素地に練り込んで使用する。
なおオキサイド・オブ・クロミウムはAl2O3・Cr2O3と異なり釉薬の着色にも使用される。