期間雇用社員
期間雇用社員(きかんこようしゃいん)とは、日本郵政グループ各社に勤める非正規雇用者の通称。かつて国営事業だった日本郵政公社時代(2007年9月末)まではゆうメイトと呼ばれていた。しかし、郵政グループの社員間や『交流会』などの一部においては未だにゆうメイトと呼称する者も多い。
概要[編集]
かつて非正規採用職員の雇用は、郵政省時代は主に夏季ならびに年末年始にのみ雇用する場合が多かったのだが、1990年代以降においては正規の職員(現在の正社員)の採用抑制や人員削減などによって非正規採用職員(期間雇用社員)の採用が増えており、近年では通年にわたって勤務する非正規採用職員も多い。身分は国営であった2007年9月末日まで、「非常勤職員の国家公務員」であった(巷の一部(特に高校生や大学生を中心とした若者など)では『なんちゃって公務員』と呼ぶ者もいた)。
2007年10月の郵政民営化によって、これまでの非正規採用職員に該当する非正規雇用者の総称を期間雇用社員とし、さらにスペシャリスト社員・エキスパート社員・月給制契約社員・時給制契約社員・パートタイマー・アルバイトに区分して細分化されるようになった。
- スペシャリスト社員:本社等において専門的な知識、技術又は経験を要する業務に従事
- エキスパート社員:本社・支社等において専門的業務に従事
- 月給制契約社員:時給制契約社員で実績が認められたものが登用される。一ヶ月の基本賃金が定められており、月平均勤務日数×所定労働時間×評価における時間給で計算した賃金にほぼ等しい。賞与は契約社員IIに比べて15%ほど高い。契約期間は1年ごとに更新。
- 時給制契約社員(現在はパートタイマーも含む):1日の所定労働時間が6時間以上。契約期間は1ヶ月以上6ヶ月以内で更新。
- パートタイマー(かつてあった、現在では廃止):1日の所定労働時間が6時間未満。契約期間は1ヶ月以上6ヶ月以内で更新
- アルバイト:1ヶ月未満の期間を定めて雇用される、短期間の労働者。
契約社員IIのうち週30時間以上の労働者に対しては、能力次第で契約社員I(準社員)に登用可能。 民営化後、空白日を設けずに継続できるようになった、以前は1年を超えて雇用することはできず、また予定期間満了後に1日以上の雇用契約のない日(非在職日)がなければならなかった。<1日雇用、日々更新の定義上>したがって、空白日に無保険になることはなくなった。 期間雇用社員以外に郵便事業会社のみ短時間社員(旧:短時間職員 現在は募集を停止)がある。契約期間は2年ごとに更新。主として、主婦・定年退職者が多い。給料は月給制であり、1日の勤務時間は4時間と短い。
歴史[編集]
- 1949年 行政機関職員定員法(昭和24年5月31日法律第126号)公布。非常勤職員を採用。
- 1960年 旧郵政省、非常勤任用規定を策定。
- 1961年 2月28日「定員外職員の常勤化の防止について」を閣議で決定する。これを受けて、人事院規則などで、非常勤職員の任用についての法制化。
- 1990年頃から「ゆうメイト」という呼称を制定。その後、常勤(臨時補充職員<※現在の月給制契約社員に該当する>)・非常勤<※現在の時給制契約社員、パートタイマー、アルバイト>ともに非正規採用職員の総称をゆうメイトに統一。
- 2007年10月の民営・分社化を機会にゆうメイトの呼称が消滅。民営化・分社化後において総称を期間雇用社員に改称し、さらにスペシャリスト社員・エキスパート社員・月給制契約社員・時給制契約社員・パートタイマー・アルバイトに細分化。同年9月末日まで在籍していたゆうメイトは全員一旦解雇され、その後細分化された肩書きにおいて各社に新規雇用という扱いにおいて事実上継続雇用となる。
- 2008年現在、日本郵政グループには12万人以上の期間雇用社員が在籍しているといわれている。
職務内容[編集]
大まかに分けて内務と外務がある。仕事内容は正社員と大きくは変わらないが、勤務時間は正社員が8時間なのに対して、期間雇用社員は6時間勤務ないし4時間勤務の者が多い(内務は早朝・日勤・中勤・夜勤は3~5時間程度・深夜勤は7~8時間程度が多い、外務は平均で5時間程度であるが、都市部では8時間の場合もある)。
内務は郵便課に、外務は集配課に配属されることが多い。
内務の場合は、年賀状の区分が主である。
- 御歳暮シーズンとして、ゆうパックなどの集荷・区分・配達をする短期間のアルバイトもある。
年末年始アルバイトに応募をするのは冬休みに入った高校生が多いが、やや早くから始まる御歳暮シーズンは近年の雇用問題も含めて多種多様な人もいる。
職務環境[編集]
勤務時間や雇用期間など、一定条件を満たせば雇用保険、厚生年金保険、社会保険に加入可能。また、正社員と同様に制服(ユニフォーム)・社員証(顔写真ならびに社名入り)等や、さらに外務の担当者には靴・防寒着・ヘルメットなども支給され、外見上は正社員とほとんど見分けがつかない。
さらに、条件を満たせば、有給休暇も取得でき、少額だが賞与も支給される。昇給は、年功序列ではなく能力給によって決まる。ただし、1回で昇給できる金額には上限があり、飛び級はできない。A+,A,B+,B,C+,Cの6段階あり、最初はCからスタートする、6か月ごとに評価が行われるが、原則として1段階しか昇給できない。ただし、以前に評価を受けた人が降格等になった場合は以前に取得したレベルを上限として昇給することができる。A+の人が他で勤務することになった場合は採用時にはC評価となるが、以前A+の評価を受けたことがあるということで特例でその評価を上限として昇格できる。ただし、昇給額にも上限があり、郵便事業の内務の場合最高で150円しか上がらない(おおむね900円程度)。いくら長期間勤務して評価がよくても、内務は外務の時給を超えることはほぼありえない。内務よりも外務のほうが平均して100円~230円ほど時給が高い。(民営化後改悪、加算賃金130円→80円に変更)ただし、自己都合等で他局・他支店へ転籍した場合はCからの再スタートになる。
「人事交流」や昇格による配転が多い正社員と違い、何年間も同じ支店・郵便局・同じ班に在籍する期間雇用社員は、正社員よりも現場の仕事を熟知していることが多く、新規入社や配転等により新たに配置されて来た正社員も職務上でわからないことがあれば期間雇用社員に相談する事がしばしば見られる。また最近では、定年を迎えた正社員が退職後に期間雇用社員になるケースも多い。
問題点[編集]
- 雇用不安定
- 期間雇用社員という身分のため、契約期間終了となった場合契約期間満了で退職となる。その後選考により支店長が認めた場合のみ、再採用する場合がありうる(1ヶ月以内に同一局所・同一職種に再雇用された場合は勤続年数を通算する、局所または職種が違う場合は、残っている年次有給休暇は再採用時に繰り越されるが、新規にもらえる年次有給休暇の日数は新規採用時のものによる)再採用時の雇用条件は以前と必ずしも同じとは限らない、当然給料は評価によって変動する、勤務日数、勤務時間等も変更になる場合がある。再採用されなくても、選考によって不採用になったのと同様であり、解雇ではないので争いの余地はない。公社時代に比べると、任期1日日々更新、したがって局の都合により予定雇用期間の中途であっても任期を更新しないという制度が廃止になったということ、1ヵ月毎等短期の雇用契約の繰り返しではなく、6ヵ月ごとの契約を結ぶことになったことで短期アルバイトと契約社員の違いが明確化されたところは大きな改善であるといえる。労働基準法が適用され、労働者が継続して働く意思があるにもかかわらず、突然退職を言い渡された場合は解雇予告手当を請求できるようになった。
- 給料が安い
- 日勤・中勤(内務)では、時給が720円程度、最高でも870円程度までしか昇給しない、主婦の勤務が多いが、近年では母子家庭の母親の勤務も目立つ。外務では理論上は1400円まで昇給できるが、仕事の能力というよりは、配達の担当している区の数で給料が決まる、現実には予算削減のため、配達をさせる区をあまり経験させないことが多い。仕事の能率よりも、担当している仕事の広さだけで給料を決めていることが多く、内務の場合は電話応対などの仕事がなく給料が上がらないというケースも見受けられる。深夜勤では割増が50%程度と大きい場合がある、したがって実質的な時給は1100円~1300円である。深夜勤務は日勤・中勤に比べ勤務時間が長い(7~9時間)、勤務日数が多いという観点から主婦・定年退職者を除く労働者の大半は深夜で働いているものであると思われる。主として30代の独身の男性が多い。月給制契約社員への登用制度もあり、この場合は時給制契約社員ならびにパートタイマー時代の有給休暇の残日数に相当する日数を新規採用時に付与する。ただし、給料は時給制契約社員の時給で週40時時間働いた金額にほぼ等しい。日勤は主婦中心であり、しかも勤務時間が短いために登用条件を満たさないことが多いことから、月給制契約社員を志願する人のほとんどは深夜勤務であると思われる。月給制契約社員となると日勤に配属されることが多く50%もある深夜割増がなくなってしまうので、時給制契約社員のときに比べて給料が大幅に下がってしまうので敬遠する人もいる。
- 年収は日勤の場合、年間労働時間1500時間×時給720円=108万円 深夜勤務で2, 000時間×時給1000円=200万円程度である。集配の場合は年間労働時間1300時間×900円=117万円、ただし都市部では2000時間×1000円=200万円である(新規採用時の給料)。<参考:ヤマト運輸 契約社員(深夜勤務)だと、年間1700時間×時給1080円=186万円> 他社に比べるとさほど悪いとはいえないが、これでは、深夜で働いても標準世帯(夫婦+子二人)の年収の40%であり、母子家庭の場合はやっていけない。せいぜい一人で生計を維持するのがやっとである。
- 販売促進の強制
外部リンク[編集]
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