イーロン・マスク
イーロン・マスク(Elon Musk, 1971年6月28日 - )は、南アフリカ共和国・プレトリア出身のアメリカの起業家であり、スペースX社の共同設立者およびCEOである。PayPal社の前身であるX.com社を1999年に設立した人物でもある。
人物・来歴
南アフリカ人の技術者の父親とカナダ人の母親との間に南アフリカで生まれる。母親は、ニューヨークで栄養士やモデルとして働いた経歴を持つ。
彼は10歳のときにコンピュータを買い、プログラミングを独学した。12歳のときに最初の商業ソフトウェアであるBlasterを販売する。17歳になった1988年、Pretoria Boys高校で大学入学資格を得た後、親の援助なしに家から独立したが、南アフリカでの徴兵にも一部ではあるがその理由があった。彼は「兵役につくことは、それ自体私には問題はないが、南アフリカ軍で黒人を抑圧することに時間を費やすのは、あまりよい方法のようには思えなかった」と述べている。彼はアメリカへの移住を希望した。彼は「アメリカは、すごいことを可能にする国だ」と述べている。
彼の母親はカナダのサスカチュワン州レジャイナの生まれで、多くの親戚がカナダ西部に住んでいた。そこでマスクは1989年6月にカナダに移住し、サスカチュワンのスウィフトカレントにあるいとこの小麦農場で働き、穀物貯蔵所の清掃をしたり野菜畑で働いた。また、彼はブリティッシュコロンビアの製材所でのボイラーの清掃やチェーンソーで丸木を切る仕事などもしていた。その後、彼はトロントへ引っ越して、クイーンズ大学に入学するまでの間、夏に銀行のコンピューター部門で働いたりもした。
その後アメリカ合衆国のペンシルベニア大学ウォートン・スクールへ進むための奨学金を受け、同校で学位を取得する。彼の後の言葉によると、当時、彼は「インターネット」「クリーン・エネルギー」「宇宙」の3つの分野に従事したいと考えていた。この願いは後に全て達成することになる。
起業
1995年に高エネルギー物理学を学ぶためスタンフォード大学の大学院へ進むが、2日在籍しただけで退学し、兄弟のKimbal Muskとともに、オンラインコンテンツ出版ソフトを提供するZip2社を起業する。この会社はのちにコンパック社のAltaVista部門に買収され、マスクは3億700万USドルの現金と、ストックオプションで3400万ドルを手にいれる。
1999年にはオンライン金融サービスと電子メールによる支払いサービスを行うX.com社の共同設立者となる。X.com社は1年後にConfinity社と合併し、これが2001年にPayPal社となる。
2002年に彼は3つ目の会社として、宇宙輸送を可能にするロケットを製造開発するスペースX社を起業し、現在CEOならびにCTOに就任している。また電気自動車会社であるテスラモーターズ社に投資し、同社の最初のモデル「0001」を自ら所有する。2008年10月には同社の会長兼CEOに就任した。
2006年には太陽光発電会社ソーラーシティを従兄弟であるリンドン·リーブと共同で立ち上げ、現在は同社の会長に就任している。
2013年には時速約800マイル(約1287キロ)の輸送機関ハイパーループ構想を明らかにした。
マスクの資産は、2005年時点において3億2,800万ドルとされている。
個人
2007年までマクラーレン・F1のオーナーでもあった。
今世紀の最高の発明家となるか?スティーブ・ジョブズを超える男とは
「ビジネスパーソン・オブ・ザ・イヤー2013」が米フォーチュン誌の2013年12月9日号で発表された。毎年年末に発表されるこのランキングは、世界中が注目するビジネスパーソン・ランキングだ。今年のベスト5は以下の通りとなっている。
1.イーロン・マスク(テスラモーターズ CEO, スペースX CEO, ソーラーシティ筆頭株主)
2.ダニエル・ローブ,デイヴィッド・アイホーン(活動的投資家)
3.馬化騰(テンセント CEO)
4.アンジェラ・アーレンツ(バーバリー CEO)
5.リード・ヘイスティングス(ネットフリックス CEO),ジェフ・ビューケス(タイムワーナーCEO)
まず、2位以下を見てみよう。2位のダニエル・ローブ, デイヴィッド・アイホーンはアップルの株を大量に取得するなどした投資家。3位の馬化騰は中国でインターネット事業を展開。4位のアンジェラ・アーレンツは、デジタルマーケティングでバーバリーを復活させ、5位のリード・ヘイスティングスとジェフ・ビューケスは、DVDなどの映像事業の再編をしている。ちなみに6位がジェフ・ベゾス(アマゾン CEO)、7位が日本人最高位の豊田章男(トヨタ自動車 CEO)である。
いずれも優れたビジネスパーソンだ。しかし、1位のイーロン・マスクはその事業内容のスケールが違う。テスラモーターズは電気自動車、スペースXは宇宙ロケット、ソーラーシティは太陽光発電である。彼は、これからの人類に必要な事業をことごとく引き受けているのだ。
21世紀最高の発明家の候補に
20世紀は、トーマス・エジソンやヘンリー・フォード、スティーブ・ジョブズなど「偉大な発明家」たちが輝かしい歴史を切り拓いた。では、21世紀の「最高の発明家」はいったい誰がなるのだろうか?米The Atlantic誌は、アマゾン創業者のジェフ・ベゾスや、「インターネット」の父と称されるヴィントン・サーフなどを抑え、イーロン・マスクを選んだ。
イーロンは1971年に南アフリカで生まれ、米国のペンシルベニア大学で物理学と経営学を学ぶ。スタンフォード大学院に入ったが、たった2日で辞めるとネット企業「Zip2」を創業し、その後、ネット決済サービス会社Xドットコムを興す。これが「ペイパル」の母体となる。そのペイパルは世界有数のオークションサイトeBayが買収、イーロンはそれにより得た約170億円の巨額資金でスペースX社を創業し、宇宙ロケット開発に参入した。この時、「シリコンバレーの成功者が、なぜ、宇宙開発に?」と世間は驚いた。
だが、本当に驚くべきことは、スペースX社が独自でロケットを開発し、2012年には国際宇宙ステーションとのドッキングに民間企業として初めて成功した点だ。しかも、ロケットの開発・製造コストは従来の10分の1と革命的だった。ベンチャー会社が、NASA(アメリカ航空宇宙局)流の古いやり方に風穴を開けたのだ。
それだけではない。イーロンのもう一つの会社「テスラ・モーターズ(電気自動車メーカー)」は、ノートPCのバッテリーを約7000個を搭載した、ポルシェより速く走る高級スポーツカー「テスラ・ロードスター(価格は10万ドル(約1千万円)」を開発した。業界関係者は騒然とし、ハリウッド俳優のレオナルド・ディカプリオたち有名人たちは、こぞってこのEVカーの購入に名乗りを上げた。かくして、ロードスターは一躍スポットライトを浴び、テスラ社はフォード以来の新たな自動車会社として株式上場も成し遂げた。
しかも、イーロンはEVカーの弱点だった充電ステーションを独自に全米に展開し、米大陸の横断を可能にしようと動き出した。個々の充電ステーションは太陽光パネルを有し、セルフ発電による余った電力を売電することも可能だ。太陽光パネルの設置は「ソーラーシティ社」が行うが、これもイーロンが会長を務める会社である。
ロケット、EVカー、太陽光発電、どれもが国家レベルでも手を焼く難事業だが、それをイーロンはひとりでやろうとしている。アップルのスティーブ・ジョブズは、パーソナルコンピュータで人々の生活に革新をもたらした。ジョブズを超えると言われているイーロン・マスクは、人類と地球の歴史を変えようとしている。
イーロン・マスクは21世紀の最高の発明家になれるのか。イーロンは未来の先導者なのか。幸運にも、我々はそれを見届けることができる時代に生きている。