「白銅剪子」の版間の差分
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==構成==  | ==構成==  | ||
表面に鍍金を施す。柄の部分は鳳凰の尾の形をかたどる<ref>[https://shosoin.kunaicho.go.jp/treasures?id=0000014237&index=0 白銅剪子]宮内庁</ref>。刃に半円形の受けの痕跡がある。交差する部分に孔をあけ、座金をあてて軸を通している。  | 表面に鍍金を施す。柄の部分は鳳凰の尾の形をかたどる<ref>[https://shosoin.kunaicho.go.jp/treasures?id=0000014237&index=0 白銅剪子]宮内庁</ref>。刃に半円形の受けの痕跡がある。交差する部分に孔をあけ、座金をあてて軸を通している。  | ||
==類例==  | ==類例==  | ||
| − | [[韓国]][[慶州市]]の[[雁鴨池]]からほぼ同型で寸法が似る古代のはさみが発見された。その品は先端金具が残されており、金具により切断されたものが落下しないように工夫されている<ref>[https://www.pusannavi.com/miru/1113/   | + | [[韓国]][[慶州市]]の[[雁鴨池]]からほぼ同型で寸法が似る古代のはさみが発見された。その品は先端金具が残されており、金具により切断されたものが落下しないように工夫されている<ref>[https://www.pusannavi.com/miru/1113/ 国立慶州博物館]Pusan Navi</ref>。新羅との活発な交流を証明する品である<ref>奈良国立博物館(2008)『正倉院展 六十回のあゆみ』奈良国立博物館</ref>。  | 
X字型の鋏は、最も古い時期のものであり、中国や韓国から持ち込まれたと推測されている<ref>光森正士(1993)『正倉院宝物にみる仏具・儀式具』奈良国立博物館</ref>。  | X字型の鋏は、最も古い時期のものであり、中国や韓国から持ち込まれたと推測されている<ref>光森正士(1993)『正倉院宝物にみる仏具・儀式具』奈良国立博物館</ref>。  | ||
==用途==  | ==用途==  | ||
| − | + | [[蝋燭]]は[[仏教]]と共に伝来したと言われるため、芯切り鋏も共に渡来したと想定される。当時の蝋燭の芯は燃えにくいため時間が経つと長く伸び、炎が大きくなる。そこで定期的に芯の先を切らなければならなかった。金属製で、持ち手よりも先端で切れるX字型の鋏が適している。刃の幅を広くし、切った芯が刃の上に残るように工夫している。  | |
花切はさみ説がある。枝に咲く花を枝ごと切りたい時はX字型の方が楽に切れる。この場合、刃が幅広くなっているのは修飾のためと解釈される。  | 花切はさみ説がある。枝に咲く花を枝ごと切りたい時はX字型の方が楽に切れる。この場合、刃が幅広くなっているのは修飾のためと解釈される。  | ||
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*[[1983年]] - 『日本の金工』([[東京国立博物館]])  | *[[1983年]] - 『日本の金工』([[東京国立博物館]])  | ||
*[[1988年]] - 第40回  「金銅剪子」  | *[[1988年]] - 第40回  「金銅剪子」  | ||
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2021年12月29日 (水) 19:30時点における最新版
白銅剪子(はくどうのせんし,White-Bronze Wick Shears)は先端が半円形にふくらみ蕨手状の飾りをつけた長いはさみである。用途は蝋燭の芯切り鋏説と花切り鋏説とがある。日本最古のX字型の鋏である。
構成[編集]
表面に鍍金を施す。柄の部分は鳳凰の尾の形をかたどる[1]。刃に半円形の受けの痕跡がある。交差する部分に孔をあけ、座金をあてて軸を通している。
類例[編集]
韓国慶州市の雁鴨池からほぼ同型で寸法が似る古代のはさみが発見された。その品は先端金具が残されており、金具により切断されたものが落下しないように工夫されている[2]。新羅との活発な交流を証明する品である[3]。 X字型の鋏は、最も古い時期のものであり、中国や韓国から持ち込まれたと推測されている[4]。
用途[編集]
蝋燭は仏教と共に伝来したと言われるため、芯切り鋏も共に渡来したと想定される。当時の蝋燭の芯は燃えにくいため時間が経つと長く伸び、炎が大きくなる。そこで定期的に芯の先を切らなければならなかった。金属製で、持ち手よりも先端で切れるX字型の鋏が適している。刃の幅を広くし、切った芯が刃の上に残るように工夫している。
花切はさみ説がある。枝に咲く花を枝ごと切りたい時はX字型の方が楽に切れる。この場合、刃が幅広くなっているのは修飾のためと解釈される。
材質[編集]
蛍光X線分析の結果、この剪子の材質は、白銅(高錫青銅)と確認された[5]。
展示歴[編集]
- 1963年 - 第16回 「金銅剪子」
 - 1969年 - 第22回 「金銅剪子」
 - 1983年 - 『日本の金工』(東京国立博物館)
 - 1988年 - 第40回 「金銅剪子」
 - 2002年 - 第54回 「白銅剪子」
 - 2018年 - 第70回 「白銅剪子」