「トヨタ・ハイエース」の版間の差分
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2020年1月8日 (水) 03:58時点における版
'''ハイエース'''(HIACE)は[[トヨタ自動車]]で生産されている[[キャブオーバー]]型の[[自動車]]([[ワンボックスカー]])。 ==概要== 初代モデルは[[1967年]]に登場した。かつてはショート[[ホイールベース]](標準ボディ)やトラックもラインナップされていたが、現在それらは消滅しており、ロングとスーパーロングの、ワゴン、[[ライトバン]]、コミューター([[マイクロバス]])のみとなっている。[[日産・キャラバン]]が長年の競合車種。 価格はやや高いが耐久性の高さや、エンジンパワー、積載量が多いことなどで、宅配業をはじめ多くの企業に貨物車、社用車として広く用いられる他に、[[送迎バス]]や[[ジャンボタクシー]]といった乗用、さらには[[救急車]]や[[寝台車 (自動車)|寝台車]]などの特殊用途車などとしても利用されている。[[路線バス]]や[[コミュニティバス]]に使用されることもある。 個人ユースでは趣味の道具である競技用[[オートバイ]](ロードレーサー・モトクロッサー)やラジコン飛行機などを輸送するトランスポーター(通称:[[トランポ]])としてよく使われているほか、[[バニング]]や[[キャンピングカー]]のベース車としても重宝されている。そのため、[[中古車]]店の中には「ハイエースの専門店」も存在する。 耐久性が高いことから[[新興国]]や[[開発途上国]]での人気は特に高い。それに関連して[[窃盗団#自動車窃盗団|自動車窃盗団]]による日本国内での盗難と[[密輸|密輸出]]も後を絶たず、[[日本損害保険協会]]による[[保険金]]支払い事案を対象とした調査結果で、ハイエースは[[2007年]]から5年連続で自動車盗難のワーストワンとなっている。<ref>[http://car.watch.impress.co.jp/docs/news/20100319_355863.html 日本損害保険協会、第11回自動車盗難事故実態調査結果を発表,自動車盗難はハイエースが3年連続トップ] - impress,2010年3月19日記事</ref> <ref>[http://www.sonpo.or.jp/news/file/00330.pdf 社団法人日本損害保険協会 2007年度自動車盗難事故実態調査結果報告]</ref><ref>[http://www.sonpo.or.jp/news/release/2012/1203_01.html 社団法人日本損害保険協会 第13回 自動車盗難事故実態調査結果発表]</ref> ==歴史== ===初代 H10系(1967年-1977年)=== ;[[1967年]]2月 :[[トヨタ・トヨエース|トヨエース]]の小型版として、[[後輪駆動#フロントエンジン・リアドライブ方式|FR方式]]の[[キャブオーバー]][[レイアウト]]を持つ初代モデルのトラック発売。テールビューのデザインは後に登場するY10系トヨエースにも流用される。エンジンは[[トヨタ・コロナ|コロナ]]と同じ1.3Lの[[トヨタ・P型エンジン|3P]]型であるが、コロナの70馬力に対し、ハイエースでは低回転域のトルクを重視した56馬力仕様となっている。 ;1967年10月 :[[ワンボックスカー|ワンボックス]]ボディーのワゴンを追加。エンジンは[[トヨタ・コロナ|コロナ]]と同じ1.5L・77馬力の[[トヨタ・R型エンジン|2R型]]のみで、9人乗りのワゴンのみ。全幅以外の外寸と[[ホイールベース]]は以後の4代目とほぼ同じ。ワゴンのリアドアはスライド式ではなく、[[蝶番|ヒンジ式]]。 ;[[1968年]]4月 スライドドアを持つ6人乗りの[[ライトバン|デリバリーバン]]を追加。[[定員]]は前席3名・後席3名の2列シートで、[[最大積載量]]は850キログラム。左のみのリアドアは前述のとおりスライド式で、バックドアは跳ね上げ式とドロップゲート(あおり)を組み合わせた上下2分割式となる。 ;[[1969年]]2月 :[[ホイールベース]]とリヤの[[オーバーハング (自動車用語)|オーバーハング]]を延ばした15人乗りと、先に発売されたワゴンをベースにした、4列シートの12人乗りのコミューターシリーズ(2ナンバー登録の[[マイクロバス]])を追加。ロングホイールベース仕様が[[日本の救急車|救急車]]仕様として[[トヨタ・救急車]]の名で発売された(英語で救急車を表す"Ambulance"のエンブレムが付いていた)。救急車仕様のエンジンは2.0L・98馬力の5R型が搭載された。スペースユーテリティに優れることから、以後は[[トヨタ・クラウン|クラウン]]ベースの[[ボンネット]]型救急車(それまでのトヨタ・救急車)の代替を行った。 ;[[1970年]] :安全対策を中心としたマイナーチェンジを行う。 ;[[1971年]]2月 :マイナーチェンジで[[フロントグリル]]のデザインが変更(3分割→一体化)され、屋根に[[プレス加工|プレス]]の[[リブ]]が付いた。ワゴン、コミューターの1.5Lは、コロナと同様の1.6L、12R型に変更。ワゴンに1.3L搭載車追加。 ;1971年11月 :シリーズ初の1ナンバー登録車でもある、コミューターと同じホイールペースのロングバンを追加。 ;[[1972年]]10月 :マイナーチェンジでフロントグリルのTOYOTAマークが右側のヘッドライト上に移動と同時にグリルのデザイン変更。バンに右側スライドドア装備の5ドアを設定。 ;[[1975年]]10月 :最後の小変更で昭和50年排出ガス規制に適合。ワゴン廃止。1.3Lエンジン搭載車を廃止し、代わりに1.8L・95馬力の16Rエンジン搭載車を追加。バンのフロントドア以降を380mm伸ばしたロングバンを追加。 ===2代目 H20~40系(1977年-1985年)=== ;[[1977年]]2月 :2代目にフルモデルチェンジ。初代同様、バン、ワゴン、トラックのラインナップ。[[前照灯|ヘッドランプ]]が丸型4灯から丸型2灯に変更された。 :当初ワゴンは9人乗りカスタム・デラックス・スタンダード・10人乗りデラックスのグレード体系が取られており、バンには3種類のホイールベースを設定。コミューターと呼ばれる2ナンバー登録のマイクロバス(12・15人乗り)も初期には3種類のホイールベースがあったが、[[1980年]]にはスーパーロング15人乗りのみとなった。スーパーロングの[[日本の救急車|救急車]]仕様はトヨタ・救急車として引き続き設定。 :全車に助手席パワーウインドウがオプション設定されており、運転席側のスイッチから操作可能だが運転席の窓自体は手動式である。 :トラックの荷台部分はH10系からの流用。 ;[[1979年]]3月 :ワゴンのエンジンを1968ccの18R-U型から1972ccの21R-U型へ変更し、昭和53年排出ガス規制に適合。 ;1979年7月 :[[オイルショック]]の影響で、バンに2200cc[[ディーゼルエンジン]]を追加(初)。ライバルの[[日産・キャラバン]]は前年5月にディーゼルエンジンを初設定している。 ;[[1980年]]1月 :マイナーチェンジ。ワゴンにスーパーカスタムを追加。メーターパネルの一新と[[ベンチレーター]]・[[ヒーター]]操作パネルに透過照明を追加。ディーゼルエンジンを全車に拡大採用すると共に、[[マニュアルトランスミッション]]を[[オーバードライブ]]付き5速へ変更。 ;[[1981年]]1月 :マイナーチェンジ。前後の[[パンパー]]が大型化され、ワゴンの[[ヘッドライト|ヘッドランプ]]を[[SEA規格|規格]]型の角型2灯に変更。同時にスーパーカスタムに[[サンルーフ|電動サンルーフ]]を設定。バンに上級グレードのGLを追加。吊り下げ式[[クーラー]]に代わり、トラックを除く全車<ref>トラックは1985年のモデルチェンジまで吊り下げ式クーラーを継続。</ref>に[[エアコン]]がオプション設定される。ワゴンのディーゼル車に[[オーバードライブ]]付き4速[[オートマチックトランスミッション]]を設定。ワゴンのガソリン車はMTを4速から5速へ変更。 ===3代目 H50系(1982年-1989年)=== ;[[1982年]]12月 :発表(発売は翌[[1983年]]1月から)。トラックは従来型をマイナーチェンジのうえ、継続生産される(RH24/LH24型。[[1985年]]8月まで)。「LASRE」と名づけられた新開発の[[トヨタ・Y型エンジン|3Y型]]ガソリンと、従来型から引き継がれた[[トヨタ・L型エンジン|L型]]ディーゼルを搭載。ワゴンの最上級グレードは「スーパーカスタム・サン&ムーンルーフ」であった。ガソリンエンジンにも4速[[オートマチック|AT]]が設定された。 :型式は標準がH5#系、ロングがH6#系、スーパーロングがH7#系。 ;[[1984年]]1月 :ワゴンのディーゼルエンジンをレーザー[[トヨタ・L型エンジン|2L型]]に変更した。少し遅れてバンにもレーザー2L型ディーゼルが搭載される。 ;[[1985年]]8月 :マイナーチェンジ。フェイスリフトを施し、サードシートにパワーリクライニング機能及びセカンドキャプテンシートの7人乗りワゴンの最上級グレード「スーパーカスタムリミテッド」を追加。また、スーパーカスタム・サン&ムーンルーフ以上にレーザー2L-T型ターボディーゼル車を設定した。バン、コミューター、救急車のヘッドランプを丸型2灯から規格型の角型2灯へ変更した。 [[ファイル:0180120802K400294401900.jpg|220px|thumb|ハイエーストラックH80系]] :同時にトラックをフルモデルチェンジ。同年5月、先行して[[トヨタ・トヨエース|トヨエース]] G15と[[トヨタ・ダイナ|ダイナ]]初の1トン積みクラスとなるダイナ100(Y50/60系)が発表されており、これにハイエーストラックが加わり[[姉妹車|三つ子車]]となる。ハイエーストラックのみ「H80/90系」の独自形式が与えられており、[[フロントグリル]]も他の2車とは異なり、ヘッドランプは規格型の角型2灯式となっている。これらは2トン積みクラスのダイナ200、トヨエース G25とキャブを共用しているが、[[フレーム形式 (自動車)|フレーム]]、[[サスペンション]]、ホーシング、[[差動装置|デフ]]などは、全て一回り小ぶりで、容量の小さいものとなっている。 ;[[1986年]]8月 :ワゴン系をマイナーチェンジ。この時期、次世代にあたるH100系の開発が佳境であり、顧客の100系への移行を妨げないよう、100系に通ずるデザインの異形ヘッドランプの採用(カスタム以上)となった。また、ワゴン スーパーカスタム及びバンのほぼ全グレードに[[四輪駆動|4WD]]を設定した。4WDのエンジンはワゴンがレーザー3Y型、バンがレーザー2L型ディーゼルであった。バンに中期型ワゴンと同じ顔を持ちハイグレードなインテリアを持つ最上級グレード「スーパーGL」を追加。4WDは5MTのみ。 南アフリカ共和国では、2.2Lガソリンエンジンの4Y-EU型を搭載し、2007年まで生産されていた。 ===4代目 H100系(1989年-2004年)=== [[ファイル:U00006331006 001L.jpg|320px|thumb|4代目バン]] [[ファイル:hiace-wagon of 4th generation.jpg|330px|thumb|4代目ワゴン]] ;[[1989年]][[8月14日]] :4代目へフルモデルチェンジ。このモデルから、[[燃料]]給油口が従来の右から左に変わった。また、全車フロアシフトとなり、パーキングブレーキも[[ダッシュボード (自動車)|ダッシュボード]]下のステッキ型から、前席間のフロアへ移設され、グリップ頂部にロック解除ボタンを持つレバー型に変更された。エンジンの再編も行われ、2.0Lガソリンエンジンは従来の3Y型から新開発の[[トヨタ・RZエンジン|1RZ-E]](バン・コミューターは1RZ)型に変更。新たに2.4Lガソリンエンジンの2RZ-E型も追加される。4WD車はガソリンエンジンを廃止し、2.8Lディーゼルエンジンの3L型に統一する。 :同時にワゴンには「高級ワンボックス」としての風格をより高める内外装や装備が与えられ、最上級グレード「スーパーカスタムリミテッド」の内装は当時の[[トヨタ・マークII|マークII]]や[[トヨタ・クラウン|クラウン]]などを思わせる豪華絢爛なものとなり、価格帯の上昇により収益性が一段と高まった。また、この代から一部グレードに[[スライドドア|パワースライドドア]]が設定された。 ;[[1990年]]10月 :スーパーカスタムリミテッドに4WDが追加される。専用外板色としてホワイトパールマイカが選べた。同時に、1年車検の煩わしさを嫌う客向けに、バン内装のSW(スイッチワゴン)をディーゼル2WD・MTのみの設定で追加。2L-Tエンジンは電子制御式スピル弁を持つ2L-TEに変更。オプションにワイヤレスドアロックを追加。 ;[[1992年]]5月 :ハイエースベースの高規格救急車[[トヨタ・ハイメディック]]発売。エンジンはハイエースに本来設定の無い初代[[トヨタ・セルシオ|セルシオ]]用、[[V型8気筒]]エンジン([[トヨタ・UZエンジン|1UZ-FE]])が搭載される。同時にワゴンを一部改良し、後部座席の[[シートベルト]]を3点式に変更、[[ハイマウントストップランプ]]を採用するなど安全面の強化、並びにリビングサルーンEXを追加。 ;[[1993年]]8月 :マイナーチェンジ。フェイスリフトならびにワゴンの[[尾灯|リアコンビランプ]]とリアガーニッシュのデザインを変更。このマイナーチェンジよりワゴンDXは、バン・コミューター用から、ワゴン用のフェイスになる。同時にバン・コミューターの[[前照灯|ヘッドランプ]]を[[シールドビーム]]から球換え式のH4[[ハロゲンランプ]]に変更。車両正面にあったハイエースのエンブレムが廃止され、トヨタの[[コーポレートアイデンティティ|CI]]マークに変更。 :4WDの方式が、それまでハイラックス系の[[トランスファー]]を流用したパートタイム式から、センターデフロック、副変速機を持たないフルタイム式へ変更され、フロント[[ハブ (機械)|ハブ]]もマニュアルフリーハブから直結になる。切り替えの煩わしさは無くなったが、悪路走破性は落ちた。 :2.0Lガソリンエンジン(バン・コミューター)は、[[キャブレター]]式燃料供給の[[トヨタ・RZエンジン|1RZ]]型から、電子制御式[[燃料噴射装置|燃料噴射]](EFI)の1RZ-E型(ワゴンはモデルチェンジ時から搭載)に変更。トルク不足とトラブルの多さに悩まされ続けた2.4Lディーゼルエンジンの[[トヨタ・L型エンジン|2L-TE型]]に代わり、L系をベースとしながらも、[[アルミニウム|アルミ]]製[[シリンダーヘッド]]を持った3.0Lディーゼルターボエンジンの[[トヨタ・KZエンジン|1KZ-TE型]]を新設。それまでのワゴンは2WDが2L-TE型、低回転域のトルクが必要な4WDには2.8Lの3L型が設定されていたが、2WD・4WD共に1KZ-TE型となった。バン・コミューターのディーゼルエンジンは3L型に統一された。エンジンの変更に伴い、バン・コミューターのガソリン車とワゴンのディーゼル車は平成4年規制に適合。ワゴンSWとスーパーカスタムリミテッドの[[熱反射ガラス]]の設定は廃止。ワゴンのサスペンションに上下感応[[TEMS]]を採用、エアコンの冷媒を[[代替フロン]]に変更するなど、装備面でも改良が図られている。 ;[[1994年]]8月 :一部改良。スーパーカスタムリミテッドに10スピーカーオーディオを、スーパーカスタムに電動格納式ドアミラー標準装備化。 ;[[1995年]]5月 :トラックフルモデルチェンジ。ダイナ・トヨエースの1t積と共通の(エンジンは3L/3Y型)Y100系の型式を与えられる。また、本形式もH80/90系の場合と同様、他の2車と[[キャビン|キャブ]]も共用する([[フロントグリル]]以外は2車とすべて共通)。 ;[[1995年]]8月 :一部改良。ワゴンの1RZ-Eエンジン車が廃止される。ワゴンDXにAT車を追加。バン・コミューターは2WD車のホイール形状を変更、並びに4WD車を全車フルタイム化。全ディーゼル車を平成6年[[短期規制]]に適合。 ;[[1996年]]8月 :ワゴンマイナーチェンジ。フェイスリフトの他、運転席・助手席[[エアバッグ]]、[[アンチロック・ブレーキ・システム|ABS]]を標準装備する。9人乗りカスタムは廃止。スーパーカスタムにオートエアコン等装備のスーパーカスタムGが新設定。バンは一部変更し、全車最大積載量を1250kgに増量並びにガソリン車を平成7年規制に適合(排ガス規制はコミューターも同様)。バン・コミューターは2WD車のホイール形状及びハブボルトの本数(5穴→6穴)を変更。バンGLはグレードではなくDX"GL"パッケージとなる。スーパーGLにはタコメーターが標準装備され、電動格納式ドアミラーをオプション設定した。同年、トラックが生産中止となる(AT車(3L型エンジン)は継続生産)。 ;[[1998年]]8月 :バンを中心としたマイナーチェンジ。バンパー下部のエプロンがバンパー一体式になると同時にフロントグリルのデザイン変更。バン・コミューターのガソリン車は平成10年アイドリング規制に、ディーゼル車はエンジンを3.0Lの5L型へ変更し、平成9年[[長期規制]]に適合。スーパーGLはシート地を変更すると共に運転席エアバッグ・ABSを標準装備化、また新たにガソリン2WD車(ATのみ)が追加される(運転席エアバッグ・ABSはその他のグレードにはオプションとして設定。また助手席エアバッグもオプションに追加された)。ワゴンはDXを除き、助手席からも集中ドアロック操作が可能になる。 ;[[1999年]]7月 :ワゴンマイナーチェンジ。ガソリン車は平成10年アイドリング規制に、ディーゼル車はエンジンに[[インタークーラー]]を採用、並びに平成10年規制に適合。フロント部分が少々長くなる。また、車両正面のハイエースのエンブレムが6年ぶりに復活した。内装はインパネを変更し、新たに[[自発光式メーター|オプティトロンメーター]]と、[[配線用差込接続器|アクセサリーコンセント]]を設定。[[マニュアルトランスミッション|MT]]車は国内ラインナップから廃止。バンは、[[姉妹車]]に[[トヨタ・レジアスエース|レジアスエース]]が追加される。 ;[[2000年]] :バンガソリン車にCDと、スーパーロングバン及びコミューターに2.4Lガソリンエンジン・2RZ-E型を追加。 ;[[2001年]]8月 :バンマイナーチェンジ。スーパーGLのステアリングがワゴン用になり、スーパーGLより若干装備が落とされたスーパーGL-Eを追加。同グレードには5ドアも設定されていた。同年、トラックAT車生産終了。これにより、トラックがラインナップから消滅した。また、ハイルーフのみの設定であったJRVA(日本RV協会)加盟ビルダー向けの“キャンパーベース・スーパーロング”にロールーフが追加され、[[2004年]]まで発売された。 ;[[2002年]]8月 :[[トヨタ・アルファード|アルファード]]の発売を機にワゴンのガソリン車を廃止。尚、全ディーゼル車は同年10月に施行された[[自動車から排出される窒素酸化物及び粒子状物質の特定地域における総量の削減等に関する特別措置法|自動車Nox・PM法]]に適合しない為、特定地域内での購入が出来なくなった。 ;[[2003年]] :バン・コミューターのガソリンエンジンが、新開発の[[トヨタ・TRエンジン|1TR-FE]]に変更され、平成13年規制に適合と同時に良-低排出ガス認定(☆)を受ける。これにより一時ストップしていた販売が再開される。 このモデルのバンのBピラー以降のデザインが[[ダイハツ・デルタ]]、[[トヨタ・ダイナ]]、[[トヨタ・トヨエース]]、[[日野・デュトロ]]それぞれのルートバンに流用されている。 ==== セミボンネット型ハイエース(グランビア) ==== [[ヨーロッパ|欧州]]でのハイエースは、[[1995年]]から[[トヨタ・グランビア|グランビア]]を質素にしたものに切り替わり、従来の[[キャブオーバー]]タイプは「トヨタ・ハイクラス」と改称された。ロングボディも存在する。 ===5代目 H200系(2004年 - 現在)=== [[ファイル:hiace-wagon of 5th generation.jpg|230px|thumb|5代目ワゴン(前期型)]] [[2004年]][[8月23日]]、5代目へ15年ぶりにフルモデルチェンジ(ワゴンのスーパーカスタム系は[[トヨタ・アルファード|アルファード]]に統合)。ボディは、 :ロング・標準ボディ幅・標準ルーフ(バンDX、スーパーGL) :ロング・標準ボディ幅・ハイルーフ(バンDX) :ロング・ワイドボディ・ミドルルーフ(ワゴンDX) :スーパーロング・ワイドボディ・ハイルーフ(バンDX、ワゴングランドキャビン、コミューターDX、コミューターGL、キャンパーベース車) と整理され、標準尺は廃止された。又、スーパーロング・ワイドボディ・ハイルーフは2005年1月より発売を開始した。 100系の全幅は全て小型車枠(4/5ナンバー)の1.7m未満だったが、200系の全長4.7m以上のものは全て全幅が1880mmのワイドボディ車(100系比190mmの拡大)となり、居住性が向上した。これにより、小型車はバンのみ(4ナンバー)となった。トレッドが広がり、[[ローリング|ロール]]抗性や小回り性の面でもプラスとなっているが、大幅な拡幅に取り回しや駐車場の確保に不安を持つ声もある。ワイドボディ・ミドルルーフ車は標準ボディ車ロング比でフロントクラッシャブルゾーンが150mm拡大され、全長が4840mmとなっているが、車内長は標準ボディ車と同じである。 先代の[[シフトレバー]]はフロア配置であったが、200系では全車インパネシフトとなり、[[ウォークスルー]]に配慮されている。日本国内向けの基本は4速[[オートマチックトランスミッション|AT]]であるが、バンロングDXに限り、5速[[マニュアルトランスミッション|MT]]も選べる。また、先代で廃止されていたステッキ式[[パーキングブレーキ]]レバーが、ウォークスルー性や乗降性との兼ね合いで復活した。また、ワゴンはハイエースのエンブレムが廃止され、1993年のマイナーチェンジ以来となるトヨタのCIマークが与えられたが、寸法は大きい物となった。 ディーゼル車(バン・コミューターのみ)は従来の3.0L[[自然吸気]]式エンジンの5L型から、2.5L[[ディーゼルエンジン#コモンレール方式|コモンレール式]]ディーゼルターボエンジンの[[トヨタ・KDエンジン|2KD-FTV型]]に変更し、平成15年[[新短期規制]]、[[都民の健康と安全を確保する環境に関する条例|東京都ディーゼル車規制]]、[[自動車から排出される窒素酸化物及び粒子状物質の特定地域における総量の削減等に関する特別措置法|自動車NOx・PM法]]に適合させた。 商用車はコストダウンの為か、多くのメーカー・車種で統一された汎用デザインの[[スチールホイール]]を装着する事が多いが、5代目では全車[[ホイールキャップ]]付きスチールホイールを標準装備とし、乗用車に近い印象を与えた外観としている。又、ワゴンには[[トヨタモデリスタインターナショナル]]の手でドレスアップされたエアロツアラーも設定された。ベースはワゴンDXだが、カラードバンパー、エアロパーツやオプションのパワーウインドウやワイヤレスドアロックなどの快適装備も装備され、安っぽさを感じないものとなっている。ちなみに持ち込み登録である。 ;[[2005年]] :一時受注停止。 ;2005年11月 :一部改良。全車にヘッドライトマニュアルレベリング機構を採用し、ハイマウントストップランプや助手席リクライニングシートも標準装備した。 ;[[2006年]][[4月27日]] :右側スライドドアの設定の無い200系ハイエース・ワイドスーパーロングハイルーフ形状の日本国外の輸出仕様車をベースにした両側スラ イドドアで室内高を嵩上げした新型の[[トヨタ・ハイメディック#3代目(2006年-) TRH221S・226S|ハイメディック]]と、防振ベッドを省いた救急車が登場。 : それをベースにした室内高1900mmの[[キャンピングカー|キャンパー]][[特装車]]を[[東京モーターショー]]出展、反響次第では市販化も検討。エンジンは一般販売のワイドまたはスーパーロング車と同じ[[直列4気筒]]2.7 L の[[トヨタ・TRエンジン|2TR-FE型]]搭載となり、トヨタの[[高規格救急車]]において市販車と同じエンジンが搭載されたのは初。 ;[[2007年]][[8月20日]] [[ファイル:10102013 200708g.jpg|310px|thumb|5代目ワゴン(中期型)]] :初の[[モデルチェンジ (自動車)|マイナーチェンジ]]。全車フロントグリルの形状変更。スーパーGL(バン)、グランドキャビン(ワゴン)、GL(ワゴンおよびコミューター)はシート表皮を変更。 :ディーゼル車は2500ccの[[トヨタ・KDエンジン|2KD-FTV型]]から3000ccの[[トヨタ・KDエンジン|1KD-FTV型]]に排気量拡大するとともに[[ディーゼル微粒子捕集フィルター|DPR]][[触媒]]を採用して[[平成17年排出ガス規制 (ディーゼル車)|新長期規制]]に適合させた。1KD-FTV型は2KD-FTV型よりも先に開発され、[[トヨタ・ランドクルーザープラド|ランドクルーザープラド]]等に積まれていたエンジンで、これにDPR等を付加したものがハイエースに搭載された。しかし、発売当初よりDPR作動に関わる燃料のポスト噴射により、燃料([[軽油]])が[[エンジンオイル]]を希釈する構造的欠陥を抱えており、法人個人を問わず、運行に支障を呈するケースが散見される。この現象は触媒の温度を上げるためにポスト噴射を行う全てのディーゼルエンジンで起こるもので、ハイエースをはじめ、他社製エンジンでも対策が進んでいるが、2010年現在、旧来の[[ディーゼル自動車|ディーゼル車]]やガソリン車並のメンテナンスフリー化は実現されておらず、特に個人ユースでは注意を要する。 :バン スーパーGLにワイドボディ・ミドルルーフ車、DX(の一部車型を除く)に“GLパッケージ”を新たに設定し、ワゴンにはDXとグランドキャビンの間に“ワゴンGL”が追加された。ワゴンGLは、ワゴンDXのサイズ(ワイドボディ・ミドルルーフ)でグランドキャビン並みの室内装備を持つ。ボディカラーはワゴンDXとほぼ同じだが、バン スーパーGLと同じ専用色の「ブラックマイカ」が選択できる。インテリアは後部2列のシートにアームレスト、リアクォーターコンソール、4列目(最後列)はコミューターと同じ跳ね上げ式の4人掛けシートが装備され、よりパーソナルユースを視野に入れたグレード展開としている。また、要望の多かったアルミホイールを、全車にメーカーオプションで設定した。 ;[[2010年]][[7月26日]] :2度目のマイナーチェンジ。ディーゼルエンジン車はエンジン型式こそ1KD-FTV型と変更の無いものの、以下のような多岐にわたる大幅な改良、および変更を受け、「平成21年(ポスト新長期)排出ガス規制」に適合し、当該エンジン搭載車のメーカー希望小売価格は12 - 15万円程度(消費税抜き)上昇した。 <1KD-FTVエンジン(搭載車)の変更点> :・最高出力を100kW(136ps)/3,400rpmから106kW(144ps)/3,400rpmへ向上 :・最大トルクを300N・m(30.6kgf・m)と保ちながら、発生回転域を1,200 - 2,400rpmから1,200 - 3,200rpmへ拡大 :・[[圧縮比]]を15:1へ低減(従前は16:1) :・燃料の最大噴射圧力を180MPaから200MPaに高圧化し、プレッシャーディスチャージバルブを変更 :・フューエルインジェクターには[[ピエゾ素子|ピエゾ]]アクチュエーター制御を採用、サプライポンプの吐出圧を高圧化、フィードポンプ部に燃料添加弁吐出口を設定 :・[[排気再循環|EGR]]バルブにバタフライバルブを採用、EGRクーラーは経路を変更し、バイパスバルブを設定 :・[[インテークマニホールド]]をスワールコントロールバルブ一体式から別体式へ変更 :・[[ターボチャージャー]]を小型化、ターボモータードライバーを廃止 :・3段式スワールコントロールバルブを採用 :・クーリングファンに左右独立制御を採用 :・[[グロープラグ|グロー]]コントロールユニットを採用し、グロー[[継電器|リレー]]を廃止 :・可変吐出圧オイルポンプを採用 :・[[吸気]]温センサーの取付位置を変更 :・排気温センサーを2カ所から3カ所へ増加 :・排気圧センサーを絶対圧検出から差圧検出へ変更 :・酸化触媒を追加 :・エンジンオイルのアッパーレベル警告を廃止(アッパースイッチ,アッパーウォーニングランプを廃止)し、オイルレベル(下限割れ)警告を設定 :・ターボチャージャーの後方に燃料添加弁を追加(PM燃焼・DPF再生用) :・[[タイミングベルト]]カバーの二重構造化 :・[[バルブタイミング]]を変更 :・[[燃焼室#直接噴射式|燃焼室]]形状および[[ピストン]]スカート形状などを変更 :・冷却水経路を小変更、サブ[[ラジエーター]]を廃止、クーリングファンにブラシレスモーターを採用 :・[[オルタネーター]]のエンジン始動時発電抑制制御を廃止 これらの改良、変更(特にピエゾ式インジェクターへの変更)によりエンジン[[騒音]]が低減したほか、[[燃料消費率]]も向上し、バンの一部車種(ロングボディ・標準ルーフ(2WD/4WD)/ミドルルーフ/ハイルーフ(2WD)及びコミューターの2WD車)において「平成27年度燃費基準」を達成した。 また、DPRの作動に関わる燃料ポスト噴射を廃止したため、従前の[[トヨタ・KDエンジン|1KD-FTV型]]エンジン車で問題となったエンジンオイルを軽油が希釈する問題は軽減または解決した可能性が高いが、評価が待たれる。 ガソリン車においてもエンジン制御・トランスミッション制御、及び触媒の変更等により、ワイドボディの4WD車を除く全タイプのバンにおいても「平成27年度燃費基準」を達成した。 全車フロントマスク([[フロントグリル]]、[[前照灯|ヘッドランプ]]、フロント[[バンパー]])の形状変更。初期型と初回マイナーチェンジ時のグリルには互換性があるが、この型から寸法が変わった。また、スーパーGL、コミューターGL、ワゴンGLとグランドキャビンには[[ディスチャージヘッドランプ]]をメーカーオプション設定すると共に、オート[[カーエアコン|エアコン]]を標準装備。全タイプの「DX」にはパワーウィンドウ(運転席キーOFF後作動可能、ワンタッチ式・挟み込み防止機能付)を標準装備。ボディカラーにはワゴン(グランドキャビン、およびGL)とバン(スーパーGL)にメーカーオプションとして「ホワイトパールクリスタルシャイン<070>」を、ワゴンのグランドキャビンには「ゴールドメタリック<593>」の設定を追加し、従前までバン(スーパーGL)にメーカーオプション設定の「インテリジェントシルバートーニング<2JN>」を廃止した。内装面ではドアトリムとシート表皮色にダークグレーを採用。また、スーパーGL、ワゴンGLとグランドキャビンはオプティトロンメーターのデザインを変更、スーパーGLにはダウンライト(フロント[[センターコンソール]]ボックス部)を追加した。 ;[[2012年]][[4月16日]] :一部改良(5月7日販売開始)。フロントルームランプにドアを閉めた後でも一定時間点灯するイルミネーテッドエントリーシステムを採用するとともに、盗難防止システム(エンジン[[イモビライザー]]システム)の全車標準装備<ref>概要にある通り、この時点で、5年連続の車名別盗難件数ワーストワンとなっている。</ref>、車速に応じて自動でドアロックがかかる車速感応パワードアロック(運転席・助手席ドアキー連動、衝撃感知ドアロック解除システム付)を採用(バン「DX」を除く)。 :ディーゼルエンジン車には触媒の浄化を手動で補える排出ガス浄化スイッチ(触媒浄化用)を標準装備。 :コミューターはリアシートの上下調整式ヘッドレストやリクライニング機能を「DX」にも拡大適応させた。メーカーオプションにはディスチャージヘッドランプ(ロービーム・オートレベリング機能付)を全車設定するとともに、後退時にバックカメラからの後方映像をインナーミラー内のディスプレイに映し、駐車をサポートするバックモニター内蔵自動防眩インナーミラーを国内のトヨタ車として初採用するなど装備の充実化が図られている。 :なお、バンのロング・標準ボディ(ディーゼル仕様の2WD車)は「平成21年排出ガス基準10%低減レベル([[低排出ガス車認定制度|低排出ガス車]])」認定となり、バンのロング・標準ボディ(ディーゼルの2WD・5MT車)とコミューターのディーゼル車は「平成27年度燃費基準+5%達成」となった。 ;2012年[[11月1日]] :バン「スーパーGL」をベースに、シート表皮とドアトリムに専用トリコット(エンボス加工付)を、ステアリングホイールとシフトノブに本革巻き&サイバーカーボン調加飾をそれぞれ施し、ディスチャージヘッドランプ(ロービーム・オートレベリング機能付)等を装備した特別仕様車「スーパーGL"PRIME SELECTION"」を発売。ボディカラーは特別設定色のボルドーマイカメタリックを含む4色を設定した。 ==製造== *[[トヨタ車体]]いなべ工場([[三重県]][[いなべ市]]) *[http://www.gifubody.co.jp/ 岐阜車体工業]([[岐阜県]][[各務原市]]) ==取扱チャネル== *[[トヨペット店]] :[[東京都|東京地区]]では[[東京トヨタ自動車|東京トヨタ]]でも取扱う。また、[[大阪府|大阪地区]]では2006年8月8日より[[大阪トヨタ自動車|大阪トヨタ]]で取扱う。 *[[トヨタビスタ店|ビスタ店]](現[[ネッツ店]]。1980年~1999年7月) :ディーラー網開始からトヨペット店との併売であったが、1999年に完全にトヨペット店の専売に移行した為、ビスタ店の取扱を打ち切り。バンは姉妹車の[[トヨタ・レジアスエース|レジアスエース]]に置き換わった。 ==派生車種== *[[トヨタ・グランビア]] *[[トヨタ・レジアス]] *[[トヨタ・グランドハイエース]] *[[トヨタ・ツーリングハイエース]] *[[トヨタ・レジアスエース]] *[[トヨタ・アルファード]] ==関連項目== {{commonscat|Toyota Hiace}} *[[トヨタ自動車]] *[[トヨタ・ハイメディック]](ハイエースをベースとした[[救急車]]) *[[日産・キャラバン]] *[[日産・ホーミー]] *[[シボレー・アストロ]] *[[バニング]] *[[キャンピングカー]] *[[箱車]] ==脚注== <references /> ==外部リンク== *[http://toyota.jp/hiace/ toyota.jp ハイエース] *[http://www.toyota.co.th/red/th/model/ventury/ventury_feat.asp Ventury(タイ仕様)] [[Category:トヨタの車種|はいええす]] [[Category:貨物自動車|はいええす]] [[Category:ミニバン|はいええす]] [[en:Toyota HiAce]]